瀬戸で「どう生きたい?」を考える夜

ゲストハウス三昧の日曜、後半戦。ゲストハウス「グローカル」で嬉しく、気持ちよくなり、そのまま名古屋から中央線の電車に乗り込んで、高蔵寺で愛知環状鉄道に乗り換えて、瀬戸市にある妻の実家へ。

瀬戸の夕暮れ

道路から、隣のお宅にお住まいのパパの姿が見えたので歓談&売り込み。家族でスキーに行くのが好きなんだって。ゲストハウスの周りのスキー環境や、ラッセル車が毎日目の前で走っていることをお伝えしたら、がっつり興味を持ってもらえて、さらに気持ちよくなってしまった。12月のクリスマスにお待ちしてます!

30分くらい休憩して、妻・茜とお出かけ。

名鉄の尾張瀬戸駅の近くで、コミュニティFM「ラジオサンキュー」のパーソナリティーの林ともみさんと合流。林さんには家族ぐるみでお世話になってる。パーソナリティー・役者の池戸陽平さん(旦那さん)、21番染色体がリング状(幸せの形)になっていてゆっくりじっくり成長されている娘さん、娘さんをごく自然に支え、仲良しで優しく凜々しい息子さん。

わが家の長男も障がいがあるので、これまでいろんな相談に乗ってくださり、アドバイスをもらってる。まぶしいというよりあったかい、太陽のような、もう理想のご家族で、わが家の道しるべです。

向かった先は、28日にプレオープンしたばかりのゲストハウス「ますきち」。建物はラジオサンキューの収録とかにも使われていた古民家で、少しずつリノベーションが進行中らしい。

雰囲気ある、「ますきち」の外観

オーナーは、北海道大を出て地元の瀬戸に戻ってきた南慎太郎さん。北大出身というだけで付加価値ついてるのに、24歳よ。若い若すぎる。事前にフェイスブックの写真を見てたけど26歳くらいかと思ってましたよ。

南さん㊧と林さん

古い建物はとにかく大変。作業そのものもそうだし、用途によっては法的な対応とかも。まだまだグランドオープンまでの道のりは長そうだけど、一通り案内してもらいながら、あれやこれや話し込んで勉強。

少し脱線しますがお許しを。瀬戸は「せともの」の由来にもなった、焼き物の一大産地。瀬戸といえば焼き物。「陶都」でありました。瀬戸支局にいた時はとにかく焼き物の取材が星の数ほどあった。ペンを投げたら焼き物に当たる、っていうくらい。九州やら長野やら東京やら、いろいろ見に行っては原稿を書いてたなあ。転勤間際に駆け込みで31回の連載をやったのも懐かしい。記者として、瀬戸は原点中の原点であります。

さて話を戻すと、「ますきち」は瀬戸らしさをいろんな形で演出してた。陶器の製品を載せる「モロ板」を階段に使ってたり、地元で生産されてる碍子(がいし)をハンガー掛けに使ったり。古材にまじって、銅作家さんが手がけた洗面所のボウルもあった。インスタが喜びそうな雰囲気が随所に。

この階段に「モロ板」が!

見学した後は近くの居酒屋に移動。辣腕で知られる、リクルート出身で元瀬戸市役所職員のキャリアコンサルタント・柴田朋子さんに合流してもらって、南さんを拉致して飲み会。

超多忙の柴田さん。前日にお声かけして偶然タイミングが合った! もはや必然だと思うけど。名物ブログはお金出してでも読みたいくらいで、だいぶご無沙汰してたけど、いつも指針を与えてくれてる存在なんです。生き抜く力を各方面に振りまいてくれてるような。

私と南さんは柴田さんに怒られることを期待して、そわそわ・ワクワクしながら着席。ビールが進む進む。焼酎の「茜霧島」も進む進む。ハートの調子がいいと、どんどん飲めるわ。

ここには書けない内容もたくさんあったけど、大まじめな、ありがたいお話をたくさんいただいた。

柴田さんからは、企業を絡めた事業の展開についてアドバイスを。具体的な事例紹介とともに。さすがすぎて、心の中で、ひたすらひれ伏す。刺激度はすごいもんで、ビールがまた進む。クラウドファンディングの話に絡めて、世の中の人がどんな気持ちで支援しようと思ってるのか、も教えてくれた。

茜には「松本くんは夢見る少年だから、もうどうすることもできない。茜ちゃんはどう生きていきたいの?」と核心を突く質問が!

これ、めっちゃ大事なこと。

ゲストハウスも公園づくりも、誤解を恐れずに言うとあくまで手段。自分たちがどう暮らし、子どもを育てて、死にたいか。それが出発点で、ゴール。これから忙しくなってきても、こんな大事なことを忘れないようにしたいな-。

体に目一杯入るパワーをもらった日曜日。一夜明けた月曜も、フルパワーで動けた。人に会うことでしか元気になれない。

「グローカル」な気持ちに満ちたゲストハウス

「ジョンダリ」と名付けられた台風12号が浜松を通りすぎた日曜、鈍行連絡に乗っていざ名古屋方面へ。念願のゲストハウス三昧! (二カ所やけど)

まずは有名な「グローカル」へ。名駅から徒歩7分の好立地にある、社員寮をリノベーションした建物。今年6月でオープン3周年。おめでとうございます!!

宿泊者の通用口。チェックインはカフェで

オーナーの市野将行さんには、私・松本が愛知県で勤務していたころ(2008~2011年)にお世話になった。多才で、人を引きつける力が半端なく、果てしないバイタリティ!!というイメージだった。大ナゴヤ大学という、みんなで学び合う、まちなかをキャンパスにした取り組みがあって、その取材と飲み会で市野さんと知り合うことができた。ご縁はほんとにありがたや。

市野さんは世界中を旅し、英会話教室を運営されていた。愛する名古屋で地元の若者と海外の人との交流を生みたい、といろんな活動をなさっていて、ちょっと前から「グローバル」と「ローカル」を掛けたグローカルって言葉が流行ってたので、目指すところはなんとなく自分にもイメージできた。

で、今回、旭川公園ゲストハウスの準備に合わせてあらためてグローカルさんを見てみたら、その人気の高さはすごくて。立ち上げで、めちゃくちゃ大変な思いをされていた記憶があっただけに、世界観がぶれずに、当初の思いをずっと貫かれていて、めちゃくちゃ男前です。

市野さんに案内されて、チェックインの流れや各フロアの特徴、計画時と今での想定内/想定外のこと、具体的にご教示いただいた。定員はホステル的に50人弱と大きいのでトイレやシャワーの数、ベッドのサイズ、室内のレイアウトとか、(当たり前だけど)いろんなことが計算されていた。随所に、1階での交流の背中を押すような工夫があった。勉強になります。

1階のカフェで、あらためてじっくりお話を聞かせてもらう。苦労話や運営のノウハウはもちろん、大事な心構えをいくつも教わった。

市野さん!

言葉(外国語)ができるうんぬんじゃない。人間同士、必要としているものが分かるかどうか。想像力です」。英語が超堪能で日常的に海外の人とコミュニケーションされている市野さんの言葉は、重みがある。そういえば会社の特派員の先輩記者も、同じこと言ってたな-。

どこまで気持ちを込められるか。愛知で一番気持ちがあると思ってやってます」。快適に過ごし満足してもらうために、どれだけお客さんに寄り添えるか。諦めずにベストを尽くせるか―。それを、どこまでも追求されてる。愛知県内のBooking.comで一番評価が高いからこその、強烈な説得力!!

これ、自分がやらなきゃ誰がやるんだろうって思ってきた。松本さんも、松本さんしかできないことを頑張ってください」と言ってくださった。松本にしかできないことをやらないと意味ないし、つまんない。 金言!

写真撮り忘れたけど、ランチはキッシュのセットをいただいた。風味豊かで、めちゃおいしかった。気持ちよくて、昼から生ビールもたらふく飲んじゃった。

カウンターの向こうの壁には、海外のビールとかがズラーっと並んでる。ぜんぶ飲んでみたい。

泊まれなくて飲むだけでも、名古屋にいながら海外旅行しているみたいな気分になれそう。出張帰りとか、駅ナカじゃなくてここに来たほうが気持ちよくなれるわ。

世界一周をしているというスタッフさんと市野さん。帰り際はずっと手を振ってくれた

予定調和がない、という美しさ

静岡や愛知が台風の警戒で大変なことになってる。新幹線は運休を事前にアナウンスし、自治体職員の皆さんは夕方から未明にかけて缶詰めになるかもしれない。

そんな大型台風の影響を免れるためなのか、高校野球の静岡大会がきのう27日に無事、終わった。荒天のあおりを受けなくてほんと良かった。

夏の甲子園は朝日新聞が主催する。新聞業界で、他社がやっているのをこれだけどの社もエネルギー割いてやるってのは、高校野球ならでは。(大相撲とかもあるといえばあるけど)。結果を知りたいニーズは大きい。地域の代表同士がしのぎを削って上を目指す、というのが、なんともいえないドラマと関心を呼ぶんだろうなー。100回の伝統というのも、うなずける。

27日の県大会の決勝はすさまじいシーソーゲームだった。点を取られたら取り返し、流れを相手に持って行かれたように見えても、諦めムードなんてみじんも漂わず、笑みさえ浮かべて、これでもかとなかりに反撃を続ける。もう気持ちいいことこの上ないし、状況不利な場面を眺めて「あーあ、これでもうキツいよな~~」と、したり顔で中継を見つめていた自分がめちゃくちゃ恥ずかしくなる。

必死さがすさまじい。こっちは訳知り顔の評論家みたいな、勝手なことを言う外野。高校生たちはもう、2年間や3年間の自分のすべてをぶつけてきている。かっこいい。

しかししかし最近の高校野球。24時間テレビとか障害者を取り上げる番組と同じように「感動ポルノ」って言われることもあって、なんだかなーと思う。球児は泣かせるために頑張っているわけじゃないし、プロデューサーに打診されて野球をやってるわけじゃない。災害報道と同じくやたら美談に仕立てるのはどうかと思うけど、球児のドラマは作りものじゃない。グラウンドに予定調和はない。だから結果的に美しい。

高校球児の皆さんと比べるべくもないけど、自分も高校生のころは、がむしゃらな時期があった。修学旅行の企画をする立場にあったけど理想は実現できず不満だらけで、そのエネルギーを3年生の時の卒業旅行にぶつけた。そんでもってその卒業旅行が原体験になって、今の旭川公園に続いてる。不思議。 こっちも美しいものにしないと!

コモン棟と小屋が素晴らしい件。

金曜夜に旭川公園メンバーと打ち合わせ。共同スペース(コモン棟)と小屋(タイニーハウス)の、基本的な考えを固めることに大成功いたしました! 全体の大まかな絵ができて一週間。いいペースで進んでる。

まずコモン棟。左側は、宿泊者だけの専用スペース。シャワー、洗面、ミニキッチン、トイレ、乾燥・洗濯機を置く。右側に引き戸があって、カフェスペースに移動できる。

目玉は、そのカフェスペースでして。朝は宿泊者に朝食を召し上がってもらうところ。メニューは洋食がグラノーラ(詳細は追って。地元食材使って神戸の専門家が監修してくれる垂涎もの!)、和食が、屯田兵の頃からの手作り品を使ったみそ汁、卵かけご飯、漬物、甘酒・・・。

日中は、稚内に続く線路を走るディーゼル列車や、公園スペースで遊ぶ人たちを眺めながら、コーヒーが飲める。浜松城公園の「タタズミコーヒー」旭川支店を目指します。軽食は焼き菓子、パン系、グラノーラを用意します。ちゃんとしたランチはやりません。

自分たちで何もかもできない、という事情もあるけれど、このカフェスペースはいろんな人に活用してもらいたいなー。旭川や近郊で、特技や趣味がある人のシェアショップとして。妄想ベースだけど、すぐ近くの旭川農業高校や旭川大学食物栄養専攻の学生さんたちのチャレンジショップとして。「小商い」を持ち寄る場、有り体に言えば委託販売の場として。めちゃくちゃ楽しくないですか?? カフェスペースだけじゃなくて、学生さんたちの力はぜひお借りしたい!

宿泊者専用スペースとは別に、「誰でもトイレ」を設けます。車いすの人やベビーカーの親子連れにも気持ちよく使ってもらえるように大きめに造ります。ウッドデッキに緩い勾配をつけるとか、入り方を工夫しないと。屋内だけじゃなく、ウッドデッキにも公園にも自由にイスを。

カフェスペースは、「こぢんまりとして、かわいい」(設計者談)雰囲気に。小屋と同じテイストで、上質感がありながら「豊かなシンプルライフ」を体現する感じになる予定であります。

コモン棟のラフ図面であります

さて、もう一方の小屋は、というと・・・。スペースの関係で、2人用が2棟、3人用が1棟となりました。小型の薪ストーブがもれなくついております。

2人用は一つが、女子2人旅を想定したもの。ロフト形式として、ドミトリー(相部屋)利用もしやすく。もう一つは、ユニバーサルタイプ。あえてバリアフリー対応とは呼ばない。引き戸にして、段差のないシームレスタイプ。ベッドへの移乗もしやすく。車いすの人が旅行をする時、おっきくて新しい、バリアフリー対応のホテルがほとんどのような気がする。言い方を変えれば、選択肢が限られる。でも、たまには一風変わった宿でローカルな暮らしを楽しんでもらいたいし、ユニバーサルな公園(コミュニティー)を目指すので、ここはお金がかかってもちゃんとしたい。

3人用はファミリータイプ。クルマで15分かからない旭山動物園帰りに休んでもらえるような空間にする。一日中遊んでクタクタになってから、動物園からレンタカーを30分運転して、旭川らしさがあるわけでもない、中心部のホテルに宿泊するのって、もったいなさがあると思ってて。朝起きたら、ドキドキする遊具(詳細は後日公開)でまた思い切り遊んでもらえれば。

いずれの小屋も、スーツケースをベッド下に置けるように、あと雪の日に濡れたものを乾かしやすくするよう収納にも工夫を。

小屋(タイニーハウス)のラフ図面。実際は2人用×2棟、3人用×1棟

定員は8人で収支計画を立ててたけど、7人でやっていけるように再設計しないと。(できるだけ単価を上げずに・・・)

今後、旭川公園チームの建築メンバーには、図面を詰めてもらってCGを描いてもらう。施工チームに入ってくれる、北海道のyomogiyaさんこと中村直弘さんに見積もりを出してもらう。

あー楽しい。あー大変。あー生きてるって感じ。

JR北に400億! 〝駅活〟はじめたい

国交省がJR北海道に400億円の経営支援をすると決めた。27日、石井大臣が表明。このブログでもこの間、国が支援策を夏に決めると書いたばっかりだったので、発表がけっこう早かったなーと驚き。

毎日新聞やら朝日新聞やら一斉に速報してた。あしたの北海道新聞が楽しみ!

7月28日付、朝日新聞の経済面

金額としては地元の求めていた規模より小さいけど、「監督命令」なるものが目を引く。経営をしっかり監視していくらしい。菅官房長官も「目に見える経営改善」を求めたらしいから、国民全体の目が北海道に注がれることになる。

鉄道に乗って残しましょう、なんていう活動はもう随分前からあるけど、クルマに頼り切った生活をいきなり変えるなんて無理。

だから〝駅活〟から始めたい。遠い昔はどこでも、今でも都市部では、駅は地域の中心だった。核だった。心臓だった。移動のためだけじゃない、代えがたいパブリックスペースだった。

それがどんどん鉄道からクルマに人が流れ、駅前が寂しいのはローカル線共通の見慣れた景色になった。こうなるともう悪循環しかない。

そんな中でも、駅を利用した取り組みはじわじわ広がっている。JR九州の豪華クルーズトレイン「ななつ星」とか新幹線「つばめ」をデザインした水戸岡鋭治さんは、地域を豊かに、よくするために、駅のリ・デザインから始めた

 

ゲストハウスの予定地の最寄り駅から2駅で、スキー場やピップエレキバンで有名な「比布駅」は駅舎をカフェにして賑わいを見せている。

幻に終わったけど、旭川を目指す前に検討していた、沼田町というところでは、未使用のホームで〝駅活〟できないかと模索していた。駅っていう公共空間をもっと豊かに、使いやすく、子どもに誇れるものにしたい。

恥ずかしい。。。

ゲストハウスは、旭川駅から14分の永山駅が最寄り。駅の周辺はまとまった空間あるけど寂しいからマルシェとかできそうだし、「旭川公園」(予定地)に、鉄道に乗ってでも来たくなるような魅力をつくろうと思う。もう一つの最寄り駅の北永山駅は、旭川農業高校の生徒さんが通学で使う。ただの殺風景なプレハブ待合室があるだけなので、ちょっと時間をかけて愛着のある施設にリノベーションできたら楽しいじゃん!!

〝駅活〟はじめたい。

 

移住がいよいよ現実のものに

photo:鈴木裕矢

水曜日に会社から、最終出社日と退職日についてOKが出た。退職願なるものも、生まれて初めて見た。

出口がちゃんと決まった。9月7日まで仕事をさせてもらって、10月17日付で退職する。気持ちの上で、すごくデカい。

さっそく引っ越しの見積もり比較を。大手3社が応じてくれ、値段を最重視してサカイさんにお願いした。貨物列車なのか、フェリーなのかまだ分からないけど、浜松から旭川まで35万円くらい。車2台で移動するし、いろいろかかるし、なんやかんや50万円くらいかなー。いかに会社が今までよくしてくれたか痛感する(笑) 仕事まだまだあるけど、さらばサラリーマン。

photo:鈴木裕矢

が、肝心の仮住まい先が決まってない。ゲストハウス予定地と同じ区画には大東建託のアパートがあるので、問い合わせたら、あいにく満室。ショック! すぐ隣で準備できると思ってたのにー。早く近くでアパート探さねば。家賃5~6万円で。

長男・大滋の通っている特別支援学校にも、連絡帳でお知らせを。今日さっそく先生から電話があって、いつまでいるかとかスケジュールを確認。やることいっぱい。次男・陽己の幼稚園にも言わなきゃ。

一気に本格化したからかどうか分からないけど、今朝は未明まで集中力が続いて、損益計算書、キャッシュフロー計画書、家計の収支などなど、とことん数字とにらめっこ。一泊あたりの値段のつけ方で迷っていたけど、すべて計算して平均単価7300円で落ち着きそうな感じ。しばらくは大変だけど、なんとか生活できそうな気がする! 経費、税金、返済、積み立て、保険・・・。売上げ全体からすると手元に残るのは「こんだけ!?」とあらためてびっくりするけど、シビアに、シビアに、何度も見直そう。来週末には完成させよ。

やたら忙しいアピールする人って時々いるし、辟易する。それでもやっぱり、「1日が24時間以上あればいいのにー」って思えるのは、楽しいし、懐かしい。

九州のレール・レディの魅力

毎日毎日、旭川のことばっかり考えてると、たまに沖縄とか九州のことが頭に浮かぶ。あっちに移住してたらどんなことしてたかな〜と。まだ移住してないのに。特にJR九州とかデザイナーの水戸岡鋭治さんには影響を受けたので、九州の動きはすごく気になっちゃう。

引っ越しに向けて荷物を減らしていかないといけないので、むだにたくさんある本を整理し始めてる。ダンボールの中から、懐かしい本が発掘された。

せっかくなので久々に読んでみる。

奥村美幸さんが実際の乗務体験をもとに仕事の素晴らしさを綴っている、優しい本です。あったかくなる。

しかも、めっちゃ大事なことをおっしゃっている。

「私たち社員の一瞬の笑顔でさえも、お客さまにとってはかけがえのないものになるのですね。私たちの一人ひとりのサービスによって、お客さまがJR九州全体のイメージをつくってしまう。それが会社のブランドそのものかもしれません」

サービス業としては当たり前のことかもしれないけど、やっぱりこういう事を意識してやれてる人って、多数派じゃないんじゃないかって思う。特に旅先では、車掌さんや駅員さんの対応、タクシー運転手さんの言動、ホテルのフロントさんの態度、そのどれか一つであっても、旅全体や地域の印象を左右してしまう。すごくシビアな仕事だと思う。

今まで九州で列車旅を何度もしたけど、九州全体のイメージは「楽しい」「元気」「おもてなし」「おしゃれ」とか、そんな感じ。九州新幹線から始まっていろんな観光列車で、地元の人たちが手を振るのが有名になり、今では全国でやられているけど、九州のこの一体感、心地よさはなかなか真似できないレベルだといつも思う。

奥村さんはこうも言う。

「私たちの会社も客室乗務員も、列車でのさまざまなサービスや出会いも、すべては九州という土壌が育んできたのだなということに気づかされました」

!!   なかなかここまでたどり着けないよね〜、と。こんな自然で気持ちいい郷土愛ってなかなかない! こういうのって、絶対にお客さんに伝わると思うんです。

勉強のために九州の外へ出向いた時のエピソードも面白い。

「水戸岡さんのデザインに慣れているせいでしょうか、そういえばそのとき、列車のデザインを『なんだか普通だな』と感じました。実は列車のデザインだけでなく、客室乗務員さんのサービスにも特に工夫が感じられず、『私たちのサービス、自信持っていいよね』と、みんなで話したのでした」

一歩間違えたら単なる自己陶酔、マスターベーションみたいになるけど、これはすごいよく分かる。デザインだから好みは分かれるけど、特急列車に乗ってドキドキするのは北海道くらいだし、普通列車でいえば、静岡ローカルは苦痛。人気の北陸新幹線や東北新幹線だって、九州新幹線ほどの「心が豊かになる感覚」を味わうことは自分にはできない。

ちなみに九州新幹線の800系のイスは、プライウッドという薄い板を11枚重ねたもので、窓のブラインドや手すりは、人吉市の山に生えているヤマザクラを活用。洗面室の縄のれんは、八代のイグサ。座席クッションは京都の西陣織・・・だそうです。人吉のヤマザクラっていうのは知らなかった。

岡崎さんにとって水戸岡さんは「雲の上にいる」ような存在らしい。自分にとっては、「公共空間を豊かにすることが子どもを育む」と教えてくださった存在で、やはり雲の上の方。10年ちょっとの記者人生の中でもとびきり得がたいインタビューをさせてもらえた。これもJR九州と新聞社のおかげ。すべてがつながってる。感謝。

 

北の鉄路の終着駅は

ゲストハウス予定地の近く、北永山駅にて。photo:松本茜

2016年11月18日、JR北海道のプレスリリース(報道発表)が全国的なニュースになった。社として単独で維持できない路線が、今あるうちの半分以上にあたる、という衝撃的な内容。どっかのシンクタンクの、ひどい冗談かと。

これを受けて各地の自治体が慌ただしく動いたけど、JRとしては廃止→バス転換、といった明確な方向性を示しているところもあり、また話し合いの場の設置もままならない地域もあったりで、情勢の厳しさは時間がたっても変わらなかった(少なくとも外から見ている限り)。

で、最近になって、5路線5区間については廃止して、道庁や国も容認する、という報道がでてきた。「やはり」というのが正直なところだけど、もっとやり方はないものか・・・と残念な気持ちになってしまった。

特に5路線の一つの留萌本線には思い入れがあった。沿線の沼田町という所に移住して、石狩沼田駅の使われていないホーム上にゲストハウスをつくろうと考えていた時期があったので。2月くらいのことで、もう半年前か~。

沼田町やJR北海道(本社)に説明した資料。今見たら恥ずかしい限りだけど、勢いはあった(笑)

この時は、思い付いてすぐ町役場にいってプレゼンしたもんだ。ローカル鉄道の再生話とか、駅の価値とか、いろんな文献を読んだ。でも既に留萌線の廃止は免れないだろうと思っていたし、沿線自治体の動きも鈍くて、「こりゃやばい」と感じた。

あの時、留萌本線や沼田にこだわり続けていたら、いまの永山での計画もなかったので、なんとも言えない複雑な気分。

翻ってわれらが宗谷本線。旭川―名寄は、道庁・沿線自治体とJR北海道が半分ずつ出資した「北海道高速鉄道開発」がかんでいるので、まず、近い将来に廃線ってことはないと思う。ただ利用客が少なくて厳しいのは変わりなくて、沿線自治体が「宗谷本線活性化推進協議会」を立ち上げている。極端に利用が少ない駅や踏切を廃止する議論をしている

国は今夏にも支援策の大枠を示す見通し。国鉄の分割民営化を進めたのは国だし、道路ばかりに手当てしてきたのは国なので、大きな責任があるのは当然。宗谷本線がまさにそうだけど、国土維持のために鉄道インフラを捉え直す必要もある。

自治体も、「道路、道路」と要望して、鉄道網とかぶせるように高規格道路を整備し、利用客が絶望的なくらいに減ってきてから「廃止するな!」「お年寄りと子どもはどうしてくれるんだ!」と文句を言うのは虫がよすぎる。

JRだけでどうにかできる次元ではもちろんないし、じゃあ普通の道民がどこまで関心あるのかといえば心もとない。北海道の鉄道全体の将来を見つめてデザインできる人がいないものかしら、って思う。外から知見を借りるのもいいのでは。

自分としては、高校生がたくさん使っている、ゲストハウス近くの北永山駅でおもしろいことをたくらんでます。

photo:松本茜
photo:松本茜

アヒルと時々、ソフトクリーム

日曜日はお茶を買いに行く用事があって、久しぶりに掛川市へ。キッズプレートが179円で人数分食べられるクーポンがあったのでガストでお昼ご飯を食べた後、「しばちゃんランチマーケット」という、田園地帯にある、牧場がやってるお店を目指した。目的は雰囲気、牛乳、ヨーグルト、ソフトクリーム。

 

掛川城の辺りから車で20分くらいかかるし、すれ違いがやっとの暗いトンネルとか狭い山道があるのに、ごった返してた。みんな、大汗かいて行列に並ばれておりました。いつも人気。

 

インスタ映えする大樹の下には、こんな感じでウサギがケージに入れられて、子どもたちがまぁ間違いなく周りに群がる。

目の前の川ではアヒルが泳いで草をついばんでいて、ときどき店横の陸にあがってきて、エサを食べてる。「おいかけないでね!」と看板に書いてあるけど、そりゃまぁ、小さい子どもたちは反射的に追いかけていくわけですよ。

次男は、他のお友達に「おいかけちゃダメ」と言っていた(笑)

近くにいたお客さんが「川、サイコーだなあ」「ミストがあるだけで涼しく感じるなあ。暑いけど」「友達きたら、ここかイオンモール連れていくわ」と、木の下でぽつり。

濃厚な乳製品の味だけじゃなくて、ロケーションとか風景、ここで食べるっていう体験を含めて楽しんでみえる様子。まちなかで「暑い、暑い」と言ってるよりは気持ちいいし、涼しい〝感じ〟が大切なんだろうな、と妙に納得した。

コンテナハウスでできている!きっちり車輪ついてる

土曜日の打ち合わせで、ジンギスカンをイメージして、「ヒツジ飼うのどうっすか」っていう話が冗談半分で出てたけど、このお店に来て、「けっこういいかも」と思えてきた。 10年弱前に取材でお邪魔した佐賀県のお宅(テーブルコーディネーター)のお庭には、ヤギが飼われてて、聞けば「除草するのより安いのよ、おほほほ」と。そんな実利的な面もあんのかいなと驚いたけど、やっぱり風景って大事よね。 いただいたコーヒーはとびきり美味しく感じたし、リラックスできたもんなぁ。

掛川を出たあとは、浜松市西区にあるコンテハウスの会社事務所に移動。ネットのイベント情報をかじって、ここでイベントやってると勘違いして行ってから、場所違いが発覚。それでも担当者さんが、常時公開はされてない展示場に案内してくれた。タープの使い方、内装の工夫、いろんな用途にできる奥深さ、断熱性、ロケットストーブとの相性・・・。めちゃくちゃ勉強になった。建築確認がいらないような建物だったら、中古の海上輸送コンテナを使いたいのになー。

図らずもコンテハウス三昧な日曜日になった。

プランニングが本格化した土曜の夜

昨晩はデザイナーの鈴木裕矢さん、公民連携をやってるビール好きの「タタズミコーヒー」の松島弘幸さん、建築家の松本憲さんご夫妻と打ち合わせ@浜松。松本さん側から、予定地の絵が出てきた~。プランニングの始まり始まり!

上の模型の写真でいうと、水色のスポンジは左が既にある二階建ての住宅、右のそれは二階建てアパート。その間に、上から順番に3台分の駐車スペース、自分のコンテナハウス住宅(管理棟)を置く。その下にある白い四角い模型が、ゲスト用の小屋(タイニーハウス)。右上はコモン棟で、ゲスト用のシャワー・キッチン・トイレと、ワークショップや食事に使えるカフェ的な空間を備えてる。そのカフェからは、写真右側にのびる、稚内につづく線路や、下側の公園で子どもたちが遊ぶのが見える。公園にはシンボリックな遊具を置く、という感じ。

実はこれ以外にもう一つの案(B)もあって、今回のA案と比べて検討しまして。B案は、小屋(タイニーハウス)が向かいのご近所さんの家を向く格好になるし、背後にはアパートが迫るんで、ゲストや近所の皆さんがストレスを感じてしまいそうで。今回のA案なら、公園と小屋にちょうどいい距離感があって、プライベート感がある程度確保できるかな、となった。

こうやって図面や模型で見せてもらえると、一気に計画に現実味がでてきて、ほんとにドキドキしちゃう。建物のレイアウトとかの詳細を詰めてもらって、来週にまた打ち合わせ。

この日の打ち合わせに先立って、建築メンバーは擦り合わせをしてくれていて、7月1日に旭川でお会いした yomogiyaさんこと中村直弘さん(北海道・長沼在住)も、テレビ電話(死語?)で参加。除雪機が通れる幅や落雪のことを考えた空間の取り方とかで、いろいろアドバイスをいただいたみたいで、感謝しかないです。現地での施工もお願いする予定。yomogiyaさんの小屋や暮らしは一度見たら虜になるかわいさ、かっこよさ。人全体として憧れる。インスタ映えもハンパない。めちゃくちゃ楽しみ。

鈴木さんや松島さんからもアイデアをもらい、ゲストハウス「旭川公園」をたくさんの人に知ってもらう作戦とか、ゲストが楽しめる工夫とかも話し合って、楽しみがどんどん膨らんできた! 浜松城公園の「タタズミコーヒー」の旭川支店をやらせてもらえないかなー。同じ公園だし。

事業計画やいろんな数字のブラッシュアップ、住宅(管理棟)づくり、融資に向けた準備、暖房システムの検討・・・。やるべきこと多すぎるけど、焦らず急いで冬前に実現させたい!