晴れて個人事業主に

3月29日、旭川東税務署に開業届を提出しました。北海道庁のビジネスグランプリ(https://actnow.jp/project/asahikawa/detail)でお世話になっている関係で、年度内ギリギリというタイミングに。着工すらできていないけど、書面上は開業したということになった。

噂には聞いていたけど、開業届じたいは手続きはめちゃくちゃ簡単。氏名・住所や事業概要を書くだけ。あとは、青色申告や専従者給与(わが家の場合は給料の支払先は妻)とかの申請書を添えるだけ。枚数は控えを含めても10枚。書き方が分からなければ、丁寧に職員さんが教えてくれるので、窓口で15分くらいで済んでしまう。

とはいっても、軽いものではないので、開業にあたって誓いを4つ立てた。①目標と達成時期を定める ②寝落ち(NEOCHI)を未然に防ぐ ③人に会いまくる ④週に一度はスナックに行く というもの。

③と④はなんとかなっている気がする。①もやる気になればなんとかなる。ちょっとずつ、やることをまとめています。でも最大の難関は、なんといっても②の寝落ち。

子ども3人は基本的に「ママと寝たい」と騒ぐので、任せてしまって、自分がコーヒーを飲んで音楽を聴いたら、そこまで問題はない。でもたまに「パパ、寝よっ」と甘い言葉をかけられると、断りきれずにベッドイン。「ひょっとしたら・・・。いやでも、こんだけコーヒー飲んだし、やることいっぱいあるし、まさかね」と自分に言い聞かせて子どもの頭をさするのであります。 

これも不思議と波がって、体調がいいときは大丈夫だし、ダメなときはダメ。気持ちを強く持っているつもりでも朝5時になってしまう。それは自覚しているけど、開業したからには!と3月29日に決意した。

この29日はとても良かった。子どもに誘われなかったし、GLAYとLUNA SEAとYouTubeの力を借りて脳みそを元気にして朝3時半まで集中力が持続した。「この調子!」と勢いづいたけど、30日は夜8時半に次男の歯磨きをしてそのまま拉致され、朝5時前、外が白んでいるのに気が付いた。こんなんじゃ経営者になれないな~と反省を繰り返し、心は晴れないけれども、このページに救われている。

何度も見返そう。寝落ちとの闘いは続く。

家具の生い立ちが分かったなら

旭川は家具のまち。日本五大家具産地の一つ。特徴はいろいろあるけれど、デザイン性の高さがよく言われる。で、そのデザインがなぜ生まれるのかっていうところが面白いわけで。

ADW2019のプレスリリース

世界中のデザイナーと組む国際コンペ(IFDA)や、ADW(旭川デザインウィーク)という家具の祭典もある。家具とデザインを取り巻く、いろんな仕掛けやきっかけが転がってる。その中でも、自分がすごく興味が引かれてきたのが、「旭川木工コミュニティキャンプ(AMCC)」なるイベント。

AMCCホームページより

「木工と中心とする『ものづくり』にかかわる人が集まり、楽しく交流しながら、これからの時代の、新たな動きを生み出す土壌となる場」(HPより)。2009年にスタート。2019年は、今後のことをじっくり考えるために一呼吸おいて、短縮(濃縮)版を開くらしい。特に面白いなと思うのは、木工にかかわる多様な担い手が混じりあうこと。「『つくる人』『かんがえる人』『うる人』『つたえる人』『つかう人』など、ものづくりに関わる人が集まり、木工の現場を見学し、自然とふれあい、夜は、酒を飲みながら本音で、現実と夢を語り合う」(HPより)こと。本州からもたくさん思いのある人がやってきて、化学反応が起こらないわけがないわけで。最高。

これまでのAMCCはこの目で見れてないので引用情報ばっかりになってしまうけど、その化学反応をまざまざと見せつけられたのは、旭川家具のメーカー「メーベルトーコー」さんの商品を見てから。

最初に見たのは、2018年11月の「IFFT(インテリアライフ・リビング)」という国際展示会で、2回目は2019年3月29日にメーベルトーコーさんのショールームで。

104(天使)プロジェクト」というそうで、AMCCに参加した人の中で、端材や間伐材を使って家具をつくるというもの。メーベルトーコーさんの場合は、「人類進化ベッド」をつくるときに出た端材(道産カラマツ合板)を活用している。座面はRのついたものやフラットもあってさまざまだけど、脚はステンレスで人力で取り外し・付け替えもできる。それこそ飲みながらというか、雑談の中で生まれた商品らしい。

ビッグサイトではなくて地元の永山で妻・茜と一緒に見てみても、やっぱり「これいいなー」と完全一致。旭川公園ゲストハウスの公園(広場)部分にピッタリなのは間違いない。映画観賞会とかの時に、ベンチ状のこれを並べてみたい。

すべてがそう、というわけではないけど、商品が生まれた背景やきっかけをちょっとかじっただけで、思わず「ほしい」となるものっていっぱいある。ずっと言われているストーリーの大切さってことなんだろうけど、このベンチチェアーは真剣に欲しい! 思いやストーリーのある家具を、旭川公園にたくさん置きたい。そうすれば、ひょっとしたら、家具に興味なかった人でも作り手や森に興味が沸くかもしれないし。

ちなみに、メーベルトーコーさんの商品で旭川公園に置かせてもらうものが決まっているのは、「ハーフチェア」なるかっこいいやつ。

なんと、北海道の小学校英語情報誌「自分の町紹介資料集」という教科書の副読本みたいな本に取り上げられてる。しかも四季彩の丘(美瑛)の下、旭山動物園の右下。旭川家具の代表として。これは誇らしい。2脚のハーフチェアを導入するので、これについてはあらためて!

前向きで「全部ある」当麻町

移住に向けて旭川や周りの町を調べはじめるまで、失礼ながら当麻町という存在は知らなかった。旭川の東隣にある、人口6500人くらいの小さなまち。東川町のような知名度はないけど、地域づくりに熱心な人たちはみんな「最近、当麻が熱い」「当麻におもしろい人が集まってる」と口をそろえる。100%正しい!

町産材を使ったら数百万円の補助があったり移住・起業支援に熱いので、当麻はどうだろうかと検討したこともある。けっきょく、「旭川公園ゲストハウス」は旭川市内になったけど、ほとんど当麻と言える場所に落ち着いた。旭川市中心部までは車で20~30分かかるけど、当麻の中心部なら10分。だから当麻とおもしろいことやりたいな~と思い続けて、気づけば、おもしろいくらいいろんなご縁をいただいている。

地域おこし協力隊の原弘治さんは山に「IKAUSI CLASS」という自分のフィールドを持っていて、ツリーハウスづくりをずっとされている。凄腕の家具職人でもある。同じ協力隊の石黒康太郎さんは障害者福祉のスペシャリストで、いろんな野外遊びとイベントを企画してる。「山のバリスタ」でもある。役場職員にもカリスマ的な人がいらっしゃるし、菊川町長は気さくで、センスがあって、いい意味で前のめり。

ちなみに当麻町の新庁舎は平屋で、100%町産のカラマツ材を使っている。町長はご自身の家を建てたときに、「この木はカナダかな、ニュージーランドかなって思うと寂しくなっちゃって。せっかく見えるところに山があるんだから、それを使おう」と考えたのをきっかけに、町産材をどんどん使う施策を打ったらしい。それをご本人から聞いたときに、ちょっとドキっとしたわ。嬉しくて。

この冬は雪の上に作ったテントで夜を明かす「スノーキャンプ」とか、スノーシューで星明かりの下、樹齢1000年のイチイの木に会いに行く「スノーハイク」とか、トライアル的なアクティビティにお招きいただいてめっちゃ楽しませてもらった。「おもしろそう、それやるしかないっしょー」っていうノリがあって、どんどんアイデアがあふれ出てくる。それが今の当麻町。お世話になっている政策金融公庫の担当者さんも「いま本当に当麻は前向きな自治体になっていますよね」とおっしゃっていた。知ってる人は知っている。

<スノーキャンプのようす>

<スノーハイクのようす>

地元だけじゃなくて、都会から見てもそう。3月27日に「全部ある当麻町プロジェクト」の打ち上げがあって、東京のIT系の方や、地方創生系の方々とジンギスカンを囲みまして。その席で「これだけ地域資源があるのは珍しい」「旭川の周辺でも飛びぬけて面白くなってきた」「かなり先進的に発信をしてますねー」と皆さん、すっかり当麻ファン。

打ち上げには、不作だった昨年も道内で貴重なSランクの「ゆめぴりか」を生産している(しかもめちゃお手頃!)農家さんや、移住してトマト苦手でも飲めるジュース(自分が言うので間違いない)を作っている新規就農者さんもいて、おもしろい人の層が厚いのがすごい。けっきょく当麻の魅力は人の魅力。そんな、人に会いに行きたくなる拠点を「旭川公園」でつくりたい!

納屋だらけ、宝だらけ、な旭川

北国には、冬しかできないことがたくさんある。スポーツやアウトドアはもちろんだけど、夏はヒグマが出没する山の奥深くに入って管理したり、雪で滑らせて丸太を引っ張ったり。そして、これは移住前に想像はつかなかったけど、「雪が解けたら解体するんで」っていうケースがちらほらあった。中には、「リノベーションしてみない?」とお声がけいただいたケースも。

解体というのは、もう倒壊しかけの納屋や無人になった家屋のこと。郊外の農村地帯を車を流せばすぐ分かるけれど、本当に空き家が多い。しかも既に崩れ始めているものが。だから、冬の間にしっかり業者さんに見積もりしてもらって、雪解けとともにできるだけ早くに取り壊してしまいたい、という方がけっこういらっしゃる。

ということで、よくお世話いただいている方にこのシーズン2回、納屋を見学させてもらった。一つは、元農協組合長の納屋で、馬を飼っていたところ。上野ファームさんのすぐ裏で、ロケーションがいい。いろんな器具がそのまま放置されていたけど、内張りの板が味を出していた。

もう一つは、当麻町の道の駅そばにある、けっこうな大きさの納屋。収穫したお米を乾燥させるための風見鶏がキャッチーでかわいい。10m超の太くて長い梁が特徴で、住宅メーカーさんが「壊して捨てるのは忍びない」ということで、情報が回ってきたらしい。移築するのがいいのか、ここでリノベーションんしてカフェや雑貨を始める人を探すのがいいのか。2回お邪魔したけど、実に悩ましい、素晴らしい材が使われている物件で。2回目に同行してくれた、「旭川公園ゲストハウス」を施工してくださる「yomogiya」さんこと中村直弘さんは「宝の山ですね」と大絶賛していた。すぐに答えは見つからなかったけど、なんらかの形で生かしたいなぁ。

ちなみに一軒目をご案内くださった花卉農家の千代圭さんには、スキーやソリといった冬の必需品のご案内までいただきました。ありがとうございます!! スキーも古材も大切にします。


「トキワ焼き」を食べずに帰れない

旭川のまちなかに来て、用件を済ませて永山に帰ろうとすると、なにか忘れ物をしたような気分になる。「そうだ、トキワ焼き食べてない」。そう思える不思議な存在感が、福吉カフェにはある。

福吉カフェのコンセプトは、「もっと旭川が好きになるカフェ」。クロワッサンたい焼きの看板メニュー「トキワ焼き」は、すぐ近くにある、旭川のシンボルである「旭橋」がモチーフ。外はサクッ、中はトロふわ。ハムマヨや紫いも、つぶあん、クリーム…と絞り込むのが苦しい。ドリンクは和がベースで、「抹茶らて」が代名詞のような存在だ。ランチのプレートも充実している。

​大正13年に建てられた歴史建築「旧北島製粉所」をリノベーションした。プロデューサーの海老子川雄介さんは、カフェの運営にとどまらずイベントづくりや、まちづくりまで手がけている。カフェを旭山動物園や旭川ラーメンのような地域資源にし、旭川を「稼ぐまち」に押し上げようと奔走する。店内には観光や移住、体験の情報を発信するコーナーもあって、ちょっと一足伸ばしたくなる。

カフェの三色の暖簾をくぐれば、旭川をもっと知りたくなる。

下戸でも足しげく通う名門酒蔵

日本酒好きなら、かなりの人が知っているであろう「男山」。「旭川公園」と同じ、旭川市の永山という地区にある。連日、アジアからの団体旅行客を乗せた大型バスが乗りつける盛況ぶり。でも地元目線でみると、ここは上質な「水汲み場」として愛されている。

なんと、ここのお酒の仕込み水にも使っている、大雪山系の伏流水が汲み放題なのです。訪日客の元気に負けまいと、地元の旭川ナンバーの乗用車も次々に押し寄せる。老若男女、焼酎「ビッグマン」の空きボトルや、ホームセンターで売ってそうな大きなポリ容器を携えて。

「この水は、大雪山連峰の雪解け水が長い年月をかけて伏流水となったもので、『延命長寿の水』として親しまれ、仕込み水にも使用しているお水です」と説明書きがある。なんだか、そそられる。

この辺りでお水というと、水道がなく、大雪山の湧き水が全戸に供給されている東川町が有名。そのきれいな水を求めてお店を構える人が多いし、フジカラーの現像所がかつて、わざわざ旭川から東川に移転したこともあるほど。でも「男山」だって、全国区のおいしいお酒に使われている水が無料で提供されて住民に親しまれているから、違った意味でおもしろいなぁ~と思うのです。

「旭川公園」ではコーヒーやオリジナルブレンド米に、ここの伏流水や、ペーパン地区の湧き水を使う予定です。なんだかワクワクするなぁ~。

ちょっと観光客目線でいうと、蔵元限定のお酒がいくつかあって、純米大吟醸なんか、なまらおいしい。7月から全道販売される、日ハム応援の日本酒缶なんかも楽しい! チャレンジングで、応援の気持ちを込めてついつい大人買いしてしまう。

毎年2月には大行列があちこちで生まれる「酒蔵開放」もある。ゲストハウスで前後の夜をゆっくり過ごして、バスでどうぞ。(お迎えもできるかもしれません)

ちなみに男山は伊丹が発祥ですよ! 大阪のみなさん。ちなみに「旭川公園」管理人の松本は学生時代、恵比寿の立ち飲み屋で週に2回くらい「男山」を飲んでました。

||| 坂井寿香さん ///「半農半デザイン」が武器。お米・トマト・寒締めほうれん草をつくる農家&グラフィックデザイナー     

1983年、旭川市東旭川生まれ。学生時代にデザインを学び、卒業後は市内で経験を踏んだ。「坂井ファーム」の農場長のご主人と結婚し、いまは東旭川の「ペーパン」と呼ばれる地区で暮らす。米を中心にトマト、ほうれん草を栽培する農家を助け、子ども3人を育てる傍ら、グラフィックデザイナーとして地域の盛り上げに一役買っている。

ペーパンはアイヌ語で「甘い水」を意味する。「米飯」とも書き、豊田・瑞穂・米原とお米にちなんだ集落からなる。地区には旭山動物園の近くで倉沼川で合流するペーパン川があり、知る人ぞ知る美味しい湧き水もある。文字通りの米どころで、坂井ファームはその入り口の豊田に拠点を構えている。

米飯地区移住ポータルサイトHPより抜粋

中学一年の時、技術の授業でラジオを作り、そのラジオから流れてきた渋谷系のミュージシャン「ピチカート・ファイブ」のとりこになった。CDショップに行ってみると、ジャケットから何から、そのかわいさにはまったという。幼いころからエレクトーンを習っていたこともあって、音楽にも美術にも興味が深まっていった。

北海道教育大学の旭川校の美術コースでデザインのゼミに入り、デザインについて「広く浅く」学んだ。卒業してからは旭川市内の個人事務所で働いたり、広告代理店でチラシを手がけたりして経験を重ねた。

旭川公園ゲストハウスのHPを制作してくれた、鈴木裕矢さん㊧と

坂井ファームの一員となってからも、シールや名刺のデザインなど地域からの仕事が舞い込み、家族も「好きなようにやっていいよ」と温かく応援してくれた。自社の加工品では、できるだけ農薬を使わずに丹精したミニトマトのジュース「週末のペーパン」のパッケージをオシャレに彩った。「週末のペーパン」は、北海道新聞旭川支社が発行するフリーペーパー「ななかまど」(2019年11月30日)では、「澄み渡るような爽やかな甘さが一口目から広がり、飲むほどにフルーツに負けない甘さがあふれてゆく」と紹介された。

坂井ファームのお米(ゆめぴりか)、ドライトマト、「週末のペーパン」


同じ東旭川にあり、カフェやショップが点在する「桜岡」のガイドマップも作った。お店めぐりをすると、そこかしこで手に取れる。毎年7月に「クラークホースガーデン」で開かれる、「Sakuraoka Holiday(サクラオカホリデー)」にも携わる。

東旭川にとどまらず、体験型観光プログラムを提供する「アサヒカワモトクラシー」のデザインも担当している。

「アイヌ文化に気軽に触れられるように」との思いで、道産トドマツの活用で知られる「北海道ポットラック」が企画したアイヌのくらしシリーズ「AINU FOLK ART」にも携わっている。二風谷地区に暮らすアイヌの人に監修してもらい、伝統的な文様をベースにした雑貨をデザイン。道の駅や旭川駅近くのセレクトショップでひときわ目を引いている。アイヌ語を使った施設や商品は多いけれど「きちんとアイヌの考えや歴史を理解してからじゃないと、とても扱えません」とじっくりアイヌ文化に向き合う。

「AINU FOLK ART」ホームページより抜粋
A

今後は、家業の農業にデザインを取り込むことに、より力を入れるつもりという。「農家もデザイナーもいっぱいいる中で、農業もデザインもできる強みを生かしていきたいですね」

「丁寧な暮らし」のおすそ分け

旭川公園ゲストハウスの予定地から旭山動物方面へ。車で15分くらいドライブすると、東桜岡という地域にたどりつく。クラフト工房やホースガーデン、森の中のカフェと盛りだくさん。主張しすぎず、それぞれがしっかりとした世界観をもったショップが点在する。

そのなかに、丁寧な暮らしを体現したような雑貨屋さん Aujourd’hui(オージュルデュイ)がある。

静岡に住んでいたこともある女性が切り盛りしていて、旭川周辺の作家さんの、クオリティの高い手作り雑貨や、海外の気になったものを、セルフビルドの小屋で紹介している。2018年12月にお邪魔したときは、木こり兼スプーン職人が手がけたアズキナシ(樹種の名前)のスプーンや、蜜蝋(ハチミツでできてる)のキャンドルをいただいた。ゆくゆくは、コーヒーミルやキッチン道具なんかも買いにこよう。

小屋のような外観の建物を見るだけでも、ほっこりする。「あ、いいな」とつぶやきたくなる。

冬しか会えない、うつわカフェ

旭川から層雲峡の方面に向かう国道39号から、JR宗谷本線をはさんで北を通る道沿いに、冬しか営業しないカフェkotori(コトリ)さんがある。控えめな外観で、車だとうっかり通り過ぎてしまうほど、永山という地域に溶け込んでいる。たたずまいは丁寧な暮らしに根付いた雰囲気で、気持ちいい。優しい雪を借景にケーキとコーヒーをいただくと、もっと気持ちいい幸福感に包まれる。

普段使いできる器を紹介するのが、kotoriさんのポリシー。道内各地の作家さんの作品展をかねて、フードやドリンクで実際に使うことができる。初めてお邪魔したときは、同じ永山にこんなスタイルのお店があることに衝撃を受けた。器にきちんと向き合うカフェがあるなんて。静かに時間を楽しめる場所があるなんて。

2019年3月29日の食後のデザート&コーヒー

周囲は田畑が広がるロケーション。ハクチョウの群れが頭上を飛び、タンチョウが羽を休めることもある。向かいの農家さんでは、夏になると遠くからも直売野菜の買いに来る人でにぎわうらしい。

2点だけ注意がいる。静かな時間を楽しむため、大人だけの空間ということにご理解を。そして冬しかやってないので、一度逃すと半年以上は待たないといけない。2019年は3月末で終了。はやくも、次の冬が楽しみになってきた。