【道内の皆さまへ】新しい「どうみん割」について

「GoToトラベル」という言葉はすっかり死語のようになって、道民を対象にした「どうみん割」も遥か昔のもののように感じられる4月です。

この4月、全国で地域限定の旅行支援の事業が始まり、北海道では「新しい旅のスタイル」として始まりました。「どうみん割」の続編みたいな感じですね。条件とかは厳しくなってますが。

さて、この新しい「どうみん割」ですが、旭川公園ゲストハウスとしては、、、

参加しない 

ことに決めました!

けっこう真面目に考えまして、理由が多すぎるのですが、いくつかまとめます。数字が大きくなるほどに、重要性が高まります!

①期間が短すぎて、事務負担を考えるとリスクとコストのほうが大きい

②ゲストハウスで「黙食」するのなら、自分なら食事を抜いた方がマシ

③GoToできないから、やらないよりマシだしみんな全国でやろ~ぜ!という経緯に違和感

④「安いから行ってみよう」という動機づけは、もう、いいかなと

①~③はたぶん説明いらないと思いますので、④について補足します。

GoToトラベルも「どうみん割」も、安くするから旅行しよう、というのが趣旨なわけです。安ければ、今まで行けなかったところに行けるし、誰も困らないです。一見。

例えば7000円で本来やってて、3000円引きになったら、4000円でゲストは泊まれると。お客さんからしたら、どう感じるでしょうか? 「4000円しか払ってないのに、こんな素敵な宿に来ることができた!」と喜びしかないでしょう。一見。

じゃあ、同じ体験を次回した、あるいはしようとしたときに、7000円だとどう感じるのでしょうか?

例えば、旭川公園ゲストハウスでは、寝る、休むだけの場所として料金を設定しているわけではありません。ゲストによりけりですが、事前にニーズなどをお伺いし、できる限りのアレンジやアテンドをしご紹介をし、時には一緒に遊ばせてもらいます。その後もお付き合いが続くことも、ままあります。すべてひっくるめての価値だと思っています。そこで3000円引くとなると、どこから価値を削ればいいのか、私たちには分かりません。

提供している価値が同じなのに、値段が違うというのは、価値を見誤るリスクがあまりにも大きいと考えています。もちろん、安くなることで入り口が増え、選択肢が多くなり、多くの新しい出会いが生まれることは素晴らしいと思います。そして、事業者側も、その「価値」について、場合によってはアップグレードを含めて、柔軟に誠意と戦略をもって(良い意味で)コントロールしているとこもあると思います。

④を言い換えると、「値段から入ると、その価値が見えなくなるんじゃ?」ということになります。だから、その価値をお互いがしっかり認識できるような関係をこそ、私たち大事にしたいと考えています。 

「価値」はいろいろなものがあり、最近よく聞く「知覚価値」という言葉を使えば、その一部である「情緒的価値」に、私たちはもっと磨きをかけていきたいと思います。「あ、なんかいいな」というフワッとした居場所感、居心地の良さ。良い距離感で話をしたくなる、また会いたくなるような人と人の絆。そこに行けば、何かが生まれる、出会えるかもしれないと予想せずにはいられないワクワク感(これは「期待価値」とも言えますね・・・)

いま、旭川公園に何度も来ていただいているお客さんとは、一方的で申し訳ですが多分、ずっとお付き合いは続くと思っています。引っ越したりしても、まるで甥っ子姪っ子の成長を見に行くような感じで、またお互いに顔を見たいと思えるような関係が築ける気がします。

そのきっかけをつくる一つの手段、メディアとしてゲストハウスがあります。少なくとも、旭川公園ゲストハウスはそういう場所です。稼働率の目標を厳密に設定して達成にシャカリキになるスタイルは、とうの昔(2020年9月ごろ(笑))にやめました。

そしてもう一つ、GoToトラベルも「どうみん割」も、原資はわたしたちの税金であります(全部か一部かは知りません)。制度を一見して「あ、安くてラッキー」と思っても、それはやがて自分たちに跳ね返ってきます。このコロナ禍での大盤振る舞いをへて、この国はいったいどうなるんだろうと心配しかありません(あ、コロナ前もそうでした💦)。

任せっきり、チェックを怠ったことでここまで来てしまいました。もうこれからは、国や行政に頼って、困った時は救いだけ求めて文句を言うよりも、変幻自在にスタイルを変えて、できるだけ(ここ重要!)自立してやっていける生き方(「経営」とはよう言えません)を探す方が大事なんじゃないかと切に切に、思うわけです。

だから、自分たちにできる、自立に向けたささやかな“抵抗”として、新しい「どうみん割」は遠慮することにしました。

①にも関わってきますが、支援事業の期間や形が違うものになったら、別の判断があるかもしれません(根っこの思いは同じです!)。そして、自分たちのように「すべき」とは微塵も思いませんし、使えるものは基本的にどんどん使うべきだと考えています。

これまでGoToトラベルにも、どうみん割にもお世話になりました。本当に感謝しています。おかげさまで、多くのご縁をいただきました。

そして、身近な圏域で旅行をしようという、新しい「どうみん割」のメッセージには共感しているので、地元の人が地元の魅力を見つけらるようなスタイルがもっと広まればいいなと、心から思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!