なんでもできる当麻町 (動画つき)

「うちのまちには何にもない」と嘆く自治体にだって、絶対あるはずの森。余計な垢(あか)のついた大人が「素」に戻れる森。それを、人の力で人の集まる場所に変えているのが当麻町というところ。

トマムで有名な占冠村、層雲峡が知られる上川町、そばの産地・幌加内町などいろんなエリアの地域おこし協力隊が集まった「地域づくり研修」が当麻であって、記録係としてお邪魔してきた!

森の楽しみ方といえば昔は森林浴だったイメージ。木育といえば、既に製材した木を加工して楽しむイメージがある。

でもせっかくなら、森に精通した個性豊かな人に教わりながら歩きたいし、クラフトをつくるなら、森で木を切るところから始めたい。そうすれば、全部がつながって丸ごと楽しい。いいプレイヤーがいれば、これができちゃう。どこだって。

当麻のまちづくり関係では木育マイスターが3人いまして。原さんと協力隊の長多さん、振興公社の石黒さん。全員がこの研修会の主催者側で、松本も普段から公私ともにすっごく遊んでもらってます。

町による植樹事業の失敗とその原因、かつて里山として活用されていた山の歴史、樹種ごとに違う個性、一斉に伐採するのではなく価値を増大させるための森の管理法・・・。尖った木こり・清水省吾さんや木育マイスターが歩きながら熱弁し、頂上を目指す。展望台からは「世界で二番目に美しく見える」と言われる大雪山を望む。達成感!

下山の途中で、あまり太くない白樺をみんなで囲み、縄を投げて幹にまき、ナイフで切り込みをいれて、伐倒準備。木工体験のために使う材を伐りだすのです。

「せーの、せーの」でみんなで息を合わせて、運動会の綱引きみたいに縄を引っ張る。倒れた瞬間は、そりゃもう、歓声が上がるわけで。運び出し、みんなで収穫を祝い。知識と技術があれば、まさにどこにでもできる楽しい伐倒体験。

翌日は、クーピーを挿入した巨大な色鉛筆をつくったり、「小さな家」で並べて自分たちの「まち」をつくったりとグループに分かれて白樺を細工。白樺の樹皮を焚き付けに、メタルマッチで火を起こしたり、テントを張ってみたりと、サバイバルっぽいことも清水さん監修の下、体験した。まさに、ブッシュクラフト。

身近な資源で、なんでもできる。プレイヤーがいれば、どこでもできる。当麻町はおもしろくて能力がハンパないプレイヤーが集まりすぎてるだけの話。参加者の皆さんは「うちのまちでもできそう」と手応えと可能性をお土産にされたのでした。

「コミュニティ」がついた木工キャンプ

ずーっとずーっと前から気になっていた旭川木工コミュニティキャンプ(AMCC)に、初めて参加してきた。(初だけど実行委員として…)今回で11年目だけど、わけあって「0回目」という位置づけ。

6月22日からの一泊。旭川駅やデザインセンターで集合してバスに乗り、当麻町の地域おこし協力隊の原弘治さんの森「IKAUSI CLASS」へ。

キハダって本当に肌が黄色い。歓声があがったわ
雨でも何度も空を見上げて

丸太の上へ順々にあがって自己紹介。雨の中みんなでゆっくり歩いて、原さんが木それぞれの個性や生き残り戦略、森の成り立ちと使い方をガイドしてくれる。

お昼は当麻の奥のほうにあるRICOのカレー。辛い中にもココナツの甘味がいいバランスなんだよなー。

特筆すべきは、このお昼ご飯の後。薪割り、木の色鉛筆づくり(講師:協力隊の長多さん)、チェーンソー体験(森ねっとの中村さん)、火おこし(とうま振興公社の石黒さん)、足踏みロクロ(協力隊の荒木さん)。一級のプロたちがそろい踏み。この層の厚さが当麻であり、旭川! 参加者の皆さんはもう没頭につぐ没頭で、笑い声がいろんな所から聞こえてきた。

お宿は東川町のキトウシ森林公園。「ミーティング」としてグループワークがあって、森を使ってどんな新ビジネスをつくるのか案を出し合う。「ツリーハウスホテル」「森の図書館」とか、10分ちょいで斬新で実現できそうなアイデアが続々、ゾクゾク。すごい。

これまでAMCCは「10年やろう」ということで続けてきた。でも一区切りを迎えたことで、立ち止まって次の10年を考えよう、という趣旨で「0回目」になった。だから「AMCC」ではなく「AMCC2」になっている! ミーティングでは、この辺も話し合った。個人としては、「木工」という切り口で、ほかの産業や地域ともっと絡んでいこうというアイデアにグッときた。

アイスプレジェクトの小助川泰介さんのリーダーシップや場の取り回し方、バランス感覚、すげー。これが実行委員長かー

夜の懇親会は、わが地元・永山の前坂精肉店のジンギスカンで実に誇らしい。この懇親会とキャビンでの2次会はAMCCの中ですごく大切にされている。それは、ホストもゲストもない「キャンプ」であり、交流によって「コミュニティ」をつくるものだから。家具とクラフト、メーカー同士、道内・道外、職人とデザイナー…。あらゆる垣根を超えて、産地だからできる体験をして、想いを紡ぐ場所。

確かにこれは、「コミュニティ」をつくる場だ。だから響く。ゲストハウスづくりにも通じるなぁー