ずっといたくなる地元の愛されカフェ

いま仮住まいしている永山地区のアパートから10分くらい行くと、東旭川町ってところがあって、旭山動物園もあるし、永山よりもカフェがたくさんある。どこかのタイミングで開拓しないといけないなぁと思っていたけど、地元の農家でデザイナーの坂井寿香さんと顔合わせする時に、「りむカフェ」を紹介してもらってお邪魔した。

すごくゆったりしたシンプルな空間、とかではない。開放的なガーデンがあるわけでもない。周りは幹線道路と住宅という立地。本や雑誌、雑貨がたくさん置いてある。なのに、というべきか、だからこそ、というべきか、適度な「包まれ感」と「迷いのない空間づくり」があって、気持ちいい。雑貨屋さんでもあり、まるでお菓子やさんや図書館でもあり、店主の人柄がダイレクトに伝わってくる。

「仕事でも読書でも、一人の時間を大切にしてほしい」という思いから、一人ひとりがじっくり時間を楽しむ空間づくりがある。読書や作業に適した机、ほの暗い照明、薪ストーブ、どれをとっても心地よい。

そして、お客さんとの距離の取り方がすごくいい。一人で静かにしたい人にはそれほど干渉せず、お客さんからアプローチすると、いろんな話に花が咲く。地域の、おもしろい人たちを楽しんで紹介されているのも◎。店主夫妻に「また会いたい」と思える。なかなかこんなお店ないので、「りむカフェ、行きたいなぁ」とほぼ毎日思う。

上川に富永さん来たる!

11月の終わりに、八王子で公園経営をされている「NPOフュージョン長池」の富永一夫さんと、同じく公園づくりの活動をされている牧野ふみよさん、札幌在住で月形町で「コテージガーデン」を経営されている三石浩司さんが、こっちのほう(上川地方)にいらっしゃった。

富永さんは多摩ニュータウン南西部にある八王子市の長池公園を中心に管理・運営されている。豊富な経験をいかして「公園経営学校」なるものを主宰されていて、全国各地に出向いて、すてきな公共空間をつくる同志を育てていらっしゃる。この業界ではとっても知られた方。その富永さんが小ブログをご覧になって連絡をくださり、上川駅前に投宿するというので、お会いすることになった。恐悦至極とはまさに、このためにある言葉だわ。

大雪森のガーデンのガーデナーさんたちも集まって、おいしーい居酒屋で一次会。富永さんの即興講義が始まる。人財育成、マネジメント、公共空間のあるべき姿、行政とどう一緒にやっていくか・・・。次々に淀みなく言葉が紡がれ、もう圧倒されるしかなかった。(恐れ多くて写真撮りそびれた・・・)

二次会は近くのスナック「男」。このほかにも魅力的な名前のスナックはあって、上川楽しいなぁ。至るところに高梨沙良さんの応援のぼりがあって、地元感がある。宿は、鉄道マニアも秘境駅を訪ねるために利用するという、「くうねる たにぐち」さん。お世話になりました。 

富永さん、牧野さん、三石さんの力強い応援をもらて、もう百人力だわ。三石さんは同じ道民として、その後もあちこちでその後もお世話になりっぱなし!

薪を運べば、いるわいるわ

ゲストハウス「旭川公園」の予定地の近くにある、陶芸家さんの登り窯でお手伝いした時のこと。農業用のコンテナにぎっしり積まれた薪(カラマツ)をひたすら窯の中に入れる作業があって。そのまませっせせっせと入れたらいいんだけど、けっこうな確率で、いろんな虫さんに遭遇して、燃やしたくないのでガン見してしまうのであります。

薪ストーブを導入する家庭でも、例えば旦那さんは大好きなのに、奥さんは虫が部屋に入るのがいや、というのはよく聞くもので。虫は薪のわすかな隙間ですやすやと越冬するので、これは避けられない。クモとか、なんかの幼虫とかが多いのかなぁと想像していたけれども、実際はそんなもんばかりじゃないんだと、薪運びの作業で知った。

一番多かったのは、トンボ。糸トンボみたいなやつで、ウィキペディアによると、「オツネントンボ」というらしい。トンボが越冬するなんて、知らなかったなー。最初は感動して、じっくり見ていたけれども、あまりに多すぎて作業効率が悪くなるので、すぐに食傷気味に(笑) けっきょく、30匹くらい軽トラの荷台に入れて持ち帰ったけど、知らない間に行方不明になったり、雪の中でお亡くなりになったりしてしまった・・・。

あと、多かったのはハチ(ジバチというらしい)、それとクモ。蛇の抜け殻なんてのもあってびっくり。ある程度、心しておかないと、いきなり想定外の虫や小型生物がわんさか出てきたらびっくりするわね。それにしても、気持ちよさそうに越冬している彼ら彼女らには、申し訳ないなぁと感じてしまうわ。

それにしても、昼休憩の時に、陶芸家の奥さんにいただいたカレーのうまさといったら。。。お代わりしまくってしまった。優しさがにじんでて、芯からあったまる。

プレーパークとは何する場所ぞ

旭川市民にとってのセントラルパーク・常盤公園では年になんどか、「プレーパーク」なるイベントが開かれていまして、移住してからずっと気になっていたのであります。しかも、とてもお世話になっている旭川大学短大の清水冬樹先生(幼児教育)が関わっていらっしゃるというので、よけいに。

プレーパーク? パンフレットには、こう書いてある。「あそぶ時間がない。あそぶところがない。外でどうやってあそんでいいかわからない。そんな子どもたち。そして、お母さん・お父さんの声をよく耳にしませんか?外で子どもたちが自分らしく遊べる場所を作りたい。そんな思いでときわプレーパークをはじめてみました。」 そう、何をやってもいいところ。自分で遊びをつくるところ。大人はちょっと、その手伝いをするだけ。

プレーパークは東京・世田谷に有名なところがあって、全国でもちらほら実践例がある。考えてみれば、子どもが遊ぶ場所ってどんどん減っていて、公園ですら「べからず集」ばっかりになった。火を使ってはいけない、ボール遊びしてはいけない、ペットを連れてきてはいけない。遊具は画一的な、危険を過度に排除したものばかり。これでは子どもはのびのびできないし、何よりつまらない。

北海道でも、冬になると「子どもを遊ばせる場所がない」という親御さんは多い。でも、雪の上だって無限の遊び場になるし、子どもはちゃんと遊ぶ能力が備わっている。それを大人がスポイルしてないかどうかのほうか、大事な気がする。どこまでできるか分からないけど、ゲストハウス「旭川公園」の広場も、プレーパークのような場所にしたい。清水先生、よろしくお願いします。

木工体験ならデザインセンターへ

このブログにも何度か登場している、ゲストハウス予定地から車でじ10分くらいの「旭川デザインセンター」。家具組合(正式には旭川家具工業協同組合)が運営している、共同ショールームの位置づけで、1000坪のフロアに各社の自慢の品が並んでいる。

ただ、はっきり言ってそんな入りやすくないし、お値段もまぁ高い。いいものだから、何世代にもわたって直しながら使えるものだから、道産材などいい材料を使っているから、確かな技術があるから、安くなくて当然。何十万もするテーブルにちょいと触れる、なんてなかなか勇気のいること。

そんな人におススメなのは、毎月のように(定期ではないと思うけど)開かれているワークショップ。使い捨てない、長く愛すをテーマにした「アイスプロジェクト」の小助川泰介さんが講師となって、巣箱型の貯金箱、クリスマスオーナメントとか、干支とか、親しみやすいものの木工体験を提供していらっしゃる。

家具職人の小助川はとっても気さくで、優しくて、老若男女一人ひとりの進み具合をみて、丁寧に教えてくれる。おひとり様でも、小さな子どもがいても安心。わが家も何度かお世話になった。

ちょっとでも地域の人に家具や木工を気軽に楽しんでもらえたらー。そんな思いをもつ一流の職人と直接にものを作れるなんて、なかなかない。旭川に旅行で来た人も、都合が合えばぜひ参加してもらいたいアクティビティだわ。

薄い木片を北海道みたいな形にしてみた。誰にも気づかれなかった。ちなみに下は、下北半島と津軽半島です

スナックざくざく

ゲストハウス「旭川公園」の予定地近く、そしていま仮住まいしているアパートの近くには、JR 永山駅を中心にした旧市街地で、往時のにぎわいはもちろんないけど、まぁまぁ飲食店がある。その中でもありがたいのは、スナックがいくつもあること。

なかなかお金が苦しくて回数は重ねられていないけど、2018年11月下旬からスナックの開拓を始めた(といっても二回だけ、しかも同じ店)。いつも常連さんが楽しんでいる「スナック沙希」では山崎12年のウイスキーをショットで頼んだつもりがボトルになったので、蒸発しない限り何度も行く口実ができた。ママは優しくて気配りがすごくて、すごく居心地よく飲めるお店。料理もおいしい! そして申し訳ないくらいに、めちゃんこリーズナブル。

紗季さんのところで通い慣れたら、徐々にほかのところにも広げていきたいなー。情報の集まるスナック回りは新聞記者の基本。新人時代は二日に一度は瀬戸のスナック「Wink」に行ってた。楽しかったし、そのつもりはなかったけど仕事でもすごく助けてもらった。

日本遺産からアイヌを思う

北海道のお店や施設をぐるぐる回っていると、これでもかというくらい、アイヌ語が多く使われていることに気づく。中身はたぶん玉石混交で、本当にアイヌの皆さんの思想を理解して共感して、リスペクトしてるところもあるけど、安易に「北海道らしさが出るから」と使っているところもある(気がする)。

あらゆるものに神を見出して、自然崇拝するアイヌは奥が深すぎて今までちゃんと理解しようという機会がなかったけど、上川町(層雲峡のあるところ)などでつくる大雪山麓上川アイヌ日本遺産推進協議会が開いたシンポジウムは、考えるいいきっかけになった。

旭川を含めた上川地方のアイヌは、厳しい環境を生き抜くためにクマの木彫りを生み出したらしく、一口にアイヌといっても地域ごとにさまざまなんだと知った。無知すぎて恥ずかしくなったけど・・・。旭川にある、唯一の私設アイヌ記念館・川村カ子ト記念館の川村久恵さんは、「ブームの陰でアイヌが置いてきぼりになっている」と指摘して、アイヌの皆さんの生活にしっかり還元するような仕組みが大切だと説いていた。川村さんは、旭山動物園でアイヌの視点からみた動物の解説なんかもされていて、めちゃくちゃ面白いと感じ入った。どこかでお力を借りたいなぁ。

講演の後は、市博物館でアイヌの歴史にも触れられて、大満足。なかなか見ごたえあった! アイヌも昔とは違ってきているという指摘はあるけれど、自然崇拝やら共生、持続可能な暮らしとか、アイヌの哲学が現代でも最先端を行っている。学ぶことは多い。

森林療法のメッカが旭川とは!

旭川が誇る観光(というか有名どころの)施設・三浦綾子記念文学館で、森林療法の可能性を探るシンポジウムが開かれまして。われらが里山部の清水省吾さん、旭川大学の横田宏樹先生(現・静岡大)らが登壇するとあって、無条件で参加ボタンを押したのは言うまでもない。

独自開発をした商品を手に、熱弁をふるう住友先生

行ってみると、どうやらキーパーソンとして研究をしてきたのは、前旭川医大の住友先生だったと分かり、香りのする独自製品も開発して企業と相談しているということで、そのバイタリティーに圧倒された。森林を歩くと、いかに医学的にも効果があるかのデータを積み上げてこられたけども、それをどう世に伝え、広げていくか、森林の可能性を追い求めていくか、ロマンのようなものすら感じた。

おもしろかったのは、「旭川モデル」として、東京のIT系企業さんが、メンタルヘルス対策で旭川に社員を連れていき、ゆったりとした時間と自然環境の中で心を整えようということをされている、と知ったことであります。市役所もそのサポートをしているらしく、これまで森林に関してはちょっとだけかじっている思いがあったけど、当たり前ながら全然知らないことばかりだなぁ、と嬉しくなった。

住友先生はいま東北薬科で仙台にいらっしゃるけれども、引き続きお世話になり、年末には忘年会にもお誘いいただく幸運に恵まれた。森林×医療×まちづくり×福祉。いろんなことができそうで、どんどんかかわらせてもらおうー。

地元で家具めぐり

ビッグサイトであったIFFT(インテリア・ライフスタイル・リビング)展でご挨拶した家具メーカー「メーベルトーコー」さんにお声がけいただき、本社ショールームにお邪魔してきた。

旭川は家具のまち、というのは何度か取り上げてきているけれど、各メーカーがひしめく木工団地というのが、わが永山地区にありまして。ゲストハウス旭川公園から車で10分くらい。ほんと近所。

メーベルトーコーさんもその団地にあって、他社と切磋琢磨しながら成長してこられた。ゲストハウスは、旭川家具をばんばん置いていくし、ショールームみたいな位置づけにしようと思っているところ、その考えに興味を持っていただいて、いろいろ話す機会に恵まれた。

これまで木工団地はイベントでしか実は来たことがなかったので、ショールームに入るのはすごく新鮮。デザイナーさんとコラボレーションしたいきさつにとどまらず、音楽家(チェロ奏者とか)のために設計したハーフチェア(座面が普通の椅子の半分くらい)とか、チンパンジーの寝床に着想を得て究極まで寝心地を追求した「人類進化ベッド」とか、おもしろいものがたくさん。そしてそれぞれの商品が生まれた背景を直接聞くと、がぜん欲しくなるし、愛着がわく。

京都の布団メーカーが販売している「人類進化ベッド」。高いけど欲しくなる

単にかっこいいとか、かわいいとかじゃなくて、裏にあるストーリーや作り手の顔まで分かるように。そんな形で地元のよいものを発信していきたいなー。

「デスカフェ」です

デスカフェなる催しが、旭川の近くでも定期的に開かれている。どちらかというと、東京とかで知られているけど、東京・高島平と地元当麻町の二拠点居住をされている高島さんという紳士が、旭川の隣町、それこそゲストハウス「旭川公園」そばの当麻町で開いている。

安楽死を認めるか? 生きることへの希望を持てた言葉とは?・・・

毎回、けっこう真面目で重そうなテーマが設定されて、医大の学生さんや住職さん、薬剤師さんとか多彩な面々が当麻に集まる。

でも重い空気になることは一切なく、身の上話をしながら、てんで自由に意見を言い合う。正解なんてない。「死」を考えることはつまり、「生きている今」をどれだけ充実させるかということなので、自然とそういうマインドが頭をもたげていく。しかも、後半はまちづくりやら、食べ物のこととか、地域の困りごととか、雑談になってくる。それも、持ち寄りのお菓子を頬張りながら。これがまた楽しくて、ドキドキする出会いにあふれている。この辺の魅力の一つは、間違いなく人の魅力なんだなぁ。