すごいぞ北海道ガーデン

北海道らしい「ゆとり」と自然や地域を愛でる心が、日本のガーデン観光を引っ張っていく気がする!

5月のゴールデンウィークに行った、ゲストハウス近くの「上野ファーム」にて。シーズンではなく天気もイマイチだったけど、心安らぐ雰囲気。妻撮影

産経新聞(14日付)によると、国土交通省はガーデンツーリズムの普及を目指して、来年度に観光ルート化の支援に乗りだす方針だとか。

国交省は盆栽が世界的な人気を集めていることも踏まえて、旧家の日本庭園も入れてルート化するらしい。北海道は「和」テイストのものってないかもしれないけど、富良野のラベンダーとか、北竜町のヒマワリとか、規模感を生かして植物を楽しむのはかなり前から定着している。

そしてやっぱり出てきた。記事では「先駆的な例」として「北海道ガーデン街道を紹介している。「大雪 森のガーデン」やテレビドラマで一躍有名になった「風のガーデン」といった、8ガーデンを巡る250㌔の「花のルート」。「十勝千年の森」を運営していらっしゃる林克彦さんという方が仕掛け人で、十勝が通過されてしまうことに危機感を感じ、超高域で連携を模索した。ここんところ、十勝発のエネルギーには目を見張る。

わが「ゲストハウス旭川公園」としては、4700mしか離れていない、車で10分の「上野ファーム」をまず推すものであります。

もともとは米農家さんで、お客さんに直接売ることを始めて、「せっかくだからおもてなしをしよう」「魅せる農場にしよう」と時間をかけて庭を整備されてきた。オープンガーデンの一つだと思うし、理想的な公共空間だなぁ。規模はなかなか真似できないけど。今手がけている上野砂由紀さんはイングリッシュガーデンの界隈ではとても著名な方で、「風のガーデン」もデザインされた。今や数万人が訪れる人気スポットだけど、「観光客にたくさん来てもらおう!」と変な力を入れてきたんではなくて、地元志向、地に足の着いた感じが素敵すぎる!

上野ファームについてはまた詳しく書こう。道内の私設庭園(オープンガーデン)もたくさんお話があるのであらためて。

よく考えたら夏のハイシーズンの北海道で1度か2度しか経験がない。上野ファーム、いい季節にまた行きたくなってきた。

 

いま「公園」がアツい。

すてきな公共空間はどうあるべきか。どうつくるのか。「公共R不動産」の本でもいろんなサジェスチョンがあったけど、関心が高まってきてるなーと思う。特に関係者の間では。

でも最近、一般の利用者の目線からいっても、公共空間、特に公園にはアい視線が注がれている。うまく引っ張ってくれてるのは、そう、マガジンハウス(出版社)です。なんてったって、LIFE is PARK! だもの。

最近見た、同社発行の雑誌だけで3つある。

まず「&Premium」 2016年7月号

これはまあ、公園特集ではないけど、「これまで中でしてたことを外でやってみよう!」という大テーマで、公園の楽しみ方やら、デザイン遊具やらを紹介してる。 ちなみにこの雑誌は、「旭川公園」が想定顧客にしている方々が好んで読んでいる(設定な)のです。

次に「Hanako」2018年6月14日号

表紙ですべて悟ってしまう感じ。説明不要。

そして「BRUTUS」2018年8月1日号

このBRUTUSでは特集の最初のページに、こう書いてある。「いま公園がとても面白い。誰にでも開かれた自由なパブリックスペースであるのはもちろん、今までにない試みを始める実験場としても注目されています」。

そうなんだよ、実験するんだよ、旭川で!

識者3人が語り合うページでは、ランドスケープアーキテクトの石川初さんが、「使う側の市民が維持管理に参加するという民活の動きが最近の特徴。それとは逆に、企業や個人の持ち物が開放されて公園として整備されるという流れもある」と。

そうなんです!松本個人の持ち物を開放するんですよ、旭川で!

なんかもう、自分のために特集されているとしか思えない・・・。「旭川公園」の掲載が間に合わなかったことだけが心残りだけど、こういう勘違い(思い込み)って大事。うん。

 

旭川で、水を見よう。

「水の日」っていうのを初めて知った。きょう8月1日がそれらしい。けさ新聞をめくってたら、日経の全面広告で紹介されていて、「へー」と。

広告によると、この調子で水を使い続ければ、世界人口の3分の2の人が数年後に水不足になるらしい。水問題って派手じゃないけど、生きることこれほど直結する資源もないから、覚えとこう。

どこかの団体が広告を出しているのかと思ったら、控えめに、福井県の大野市とある。懐かしい。北陸に住んでた頃、恐竜博物館に遊びに行った帰りに寄った。アイスを食べた施設は、そういえば、せせらぎが聞こえる水辺空間で、気持ちよかった。市ホームページによると、至る所で水が湧く「名水のまち」らしい。意味のない観光PRの広告打つより、よっぽど問題意識や方向性が垣間見えて、大野市さん、すてき。

水のまちってすてき。水を通して、空、山、川、海がつながって見えるから。しかもこれって、まさに旭川が得意なところ。水を感じやすいから。

大雪山の伏流水があって、石狩川とかいろんな川が流れていて、ぜんぶ絵になる。自転車に乗りたくなる。掘るのが浅めでも地下水が出るという話を聞くし、わがままじぃじぃでも井戸水を取っている。

ゲストハウスの「旭川公園」も、水を大事にする場所にしたい。子ども(つまり実は大人も)の、バチャバチャしたいっていう気持ちも大事にしたい。

必ず見えやすいところに、井戸を置こう。使い方は、他の遊具と一緒でいろいろ。「これはこう使わないといけない」と縛るんじゃなくて、自分で考えて、自由に使う。検査して飲用できるならどんどん飲む。子どもたちが川をつくって遊ぶ。ハーブやヨモギを育てる、上げ床式の家庭菜園に水やりしてもいい。夏は、冷やし流しラーメンのワークショップに使うのもいい。

大事なのは、目の前の水がどこから出て、どう使うのか、見て、触れて感じること。ちょっと敷地の外に出ると、大雪山を望める。蛇口をひねるだけだとピンとこない、水の来し方とありがたさ。それが分かれば、無駄使いはしなくなる。水を大事にすれば、山も田んぼも川も花も、大切にできる。

食べ物もこれだけフードロスの問題が言われているけど、外食すればみんな、平気で残してる。トレーサビリティが大事とか、顔の見えるとこから買いましょうとか、地産地消とか、いろいろ言われてるけど、なかなか変わらない。大人数の宴会後のテーブルを見るのって、かなりきつい。

専門家じゃないし何か啓発したいとかじゃないけど、とりあえず、自転車の行動半径にある、水・木・食べ物・エネルギーを大切にする暮らしを始めたい。それが旭川の永山地区でできるんだっていうことを見せていきたい。なぜかというと、心地よくて楽しいだろうから。

年に一度、「水の日」に水を考えてみる。年に一度、「旭山公園」に来たときに、豊かな暮らしを考えてみる。そうなれたら、サイコー。

エネルギーの話はまたじっくりと。

プランニングが本格化した土曜の夜

昨晩はデザイナーの鈴木裕矢さん、公民連携をやってるビール好きの「タタズミコーヒー」の松島弘幸さん、建築家の松本憲さんご夫妻と打ち合わせ@浜松。松本さん側から、予定地の絵が出てきた~。プランニングの始まり始まり!

上の模型の写真でいうと、水色のスポンジは左が既にある二階建ての住宅、右のそれは二階建てアパート。その間に、上から順番に3台分の駐車スペース、自分のコンテナハウス住宅(管理棟)を置く。その下にある白い四角い模型が、ゲスト用の小屋(タイニーハウス)。右上はコモン棟で、ゲスト用のシャワー・キッチン・トイレと、ワークショップや食事に使えるカフェ的な空間を備えてる。そのカフェからは、写真右側にのびる、稚内につづく線路や、下側の公園で子どもたちが遊ぶのが見える。公園にはシンボリックな遊具を置く、という感じ。

実はこれ以外にもう一つの案(B)もあって、今回のA案と比べて検討しまして。B案は、小屋(タイニーハウス)が向かいのご近所さんの家を向く格好になるし、背後にはアパートが迫るんで、ゲストや近所の皆さんがストレスを感じてしまいそうで。今回のA案なら、公園と小屋にちょうどいい距離感があって、プライベート感がある程度確保できるかな、となった。

こうやって図面や模型で見せてもらえると、一気に計画に現実味がでてきて、ほんとにドキドキしちゃう。建物のレイアウトとかの詳細を詰めてもらって、来週にまた打ち合わせ。

この日の打ち合わせに先立って、建築メンバーは擦り合わせをしてくれていて、7月1日に旭川でお会いした yomogiyaさんこと中村直弘さん(北海道・長沼在住)も、テレビ電話(死語?)で参加。除雪機が通れる幅や落雪のことを考えた空間の取り方とかで、いろいろアドバイスをいただいたみたいで、感謝しかないです。現地での施工もお願いする予定。yomogiyaさんの小屋や暮らしは一度見たら虜になるかわいさ、かっこよさ。人全体として憧れる。インスタ映えもハンパない。めちゃくちゃ楽しみ。

鈴木さんや松島さんからもアイデアをもらい、ゲストハウス「旭川公園」をたくさんの人に知ってもらう作戦とか、ゲストが楽しめる工夫とかも話し合って、楽しみがどんどん膨らんできた! 浜松城公園の「タタズミコーヒー」の旭川支店をやらせてもらえないかなー。同じ公園だし。

事業計画やいろんな数字のブラッシュアップ、住宅(管理棟)づくり、融資に向けた準備、暖房システムの検討・・・。やるべきこと多すぎるけど、焦らず急いで冬前に実現させたい!

 

 

 

 

 

 

 

クルマ屋さんにある公園の研究

浜松駅からクルマで10分くらい行ったところに、スズキアリーナのお店があって、車が売っている。当たり前だけど。でも二台しか展示してなくて、半分(それ以上?)のスペースは、常識はずれの子どもの遊び場になっている。

「LimoLimoもりた」っていう名前で、玩具で有名なボーネルンドがプロデュースしているキッズスペース。ボーネルンドはヨーロッパ各国のおもちゃを扱って、行政施設とか学校の校庭とかで「遊びの場」を手がけている。

近所の子供づれがふらっと遊びにこれるような存在で、これも公園といえば公園のようなもの。遊具がいつも一緒(のはず)だけど子どもたちは飽きずに楽しそう。

一番人気はボールプールで、そのプールに飛び込める滑り台付きの家みたいなやつにも登ったりするにも大好き。あとはおままごとや屋台ごっこ、クルマ型で運転している気分になれる遊具、赤ちゃんでもできる滑り台などなど・・・。

普通の公園にある、どこにでもある画一的な遊具となにが違うんだろう。まずボールプールは普通の屋外の公園にはない。全体的にデザインがよくてコンパクトにたくさんの種類が集められていて、素材の手触りがいい。子どもは飽きやすいからハマるし、親としても安心できる。雨の日も酷暑の日も遊べる全天候型。自然の中で体得するような遊びの要素はないけど、このコンテンツはめちゃくちゃ強い。この施設をつくってから、自動車関連の売り上げも伸びたとか。静岡市駿河区のお店にも、リモリモが導入されるようになった。

この日は猛暑日で1時間以上もお世話になっちゃった。快適で便利で、ほんと助かってます。

でも夕方の4時半を過ぎていったんお店を出て、長男がトイレに行きたいというので、もう一回入ろうとしたら、トイレでも断られてしまった。LimoLimoの時間が終わるから、とのこと。まあ企業のお店の中だからしょうがない。

自分のつくろうとしている公園ゲストハウスも、地域に開かれた場所にしたいけど、こっちにも生活があるので、24時間開放するわけにはいかない。家族でやるので人的資源には限界があるし、宿泊者との兼ね合いもある。決められた時間じゃない時に「トイレを貸してほしい」と言われたらどう対応するがベストなのかなーと考えこんだ。うーん

半分、自分ごと。

NHKの連ドラって不思議。毎日見てるわけじゃないのに、たまたま目にした時に、記憶に残るシーンや言葉がけっこうある。会社で当直勤務している時なんか、NHKつけっぱなしなんで、けっこうちゃんと見入ってしまう。

今朝3日は一場面だけ見た。ヒロインと同じように涙した。

前後関係がよく分からないけど、鈴愛(すずめ)が漫画家をやめるかどうか、っていう瀬戸際にいるらしく。公園で座って、中村雅俊演じる祖父の仙吉に電話をかけている。

鈴愛が漏らす。「まーあかんかもしらん」。そーかー、みたいな感じであっさりと返す仙吉は、今後のこととして、「このご時世、どうやったって生きていけるぞ」とアドバイスする。

なんか自分に言ってくれてるようで、これだけでもグッとくる。でもこの後がほんとうに素晴らしい。

仙吉は、初めて人に話すという、戦中の体験談を鈴愛に伝える。捕虜にならないように地元の人にかくまってもらった。場所は日の当たらない穴蔵。でも1日に15分だけ、太陽の光が差し込んでくるという。24時間のうちの、15分。

仙吉は語り始める。「15分、光が差すだけで、人はそれを楽しみに生きていける」。こちらの涙腺はすでに崩壊寸前。

どういうことなのか、さらに優しく、易しく、孫に教える仙吉。「どうにでもなるぞ。大丈夫やってことや。人間はな、強いぞ」

「ほっか」と泣きながらうなずく鈴愛。仙吉が「鈴愛はことのほか、強いぞ」と続けると、「ほっか。知らなんだ」と、またうなずく。そして弦を張り替えたばかりのギターで、「あの素晴らしい愛をもう一度」を歌いだす。

こんな愛情深いやりとりってあるんだろうか・・・。自分にもし孫ができたら、こんな場面を演じてから死にたい。

ところで、鈴愛が仙吉と話す場に選んだのが、公園だったことは見逃せない! 自宅でも職場でもない、サードプレイス(第3の場所)。内省し、自分と向き合い、さらけ出す場所なんだな~。ほっとする公園って、まさにそういう所だと思うわ

 

「かつての公園」を、まだまだ諦めきれない

なんで土地を手に入れるのが難しいんだろう。
せっかく壁に直面しているので、ちょっと考えてみた。
たぶん理由は2つある。

①売りに出されていない地面を買おうとしてるから。
②だって土地は「人」が関わるものだから

①は文字通り。所有者の割り出し、譲ってくれるかの意思確認、値段交渉・・・。ぜんぶ素人が、一人でやらないといけない。

なので②について思うところを。

5月アタマの時点では、旭川のゲストハウス候補地に目を付けた区画の角地は、そんな苦労せず買えるんじゃ?と甘く考えていた。
地元の不動産屋さんに聞いても、ここは「売りに出しても売れないから」という理由で、売りに出る土地がそもそも少ないんだとか。
なんで安いのかは知らない。素敵な場所なので、こっちにしてみればラッキーでしかない。

でも安いから、高いから、長年使われていないから、というポイントでしか考えてなかった。
「土地はいろいろあるぞー」と言われ、デリケートだと知ったかぶりをしていても、開拓使が置かれてまだ150年の北海道だし、なんとかなる気がしてた。

ところがどっこい。
そんなもんじゃないってことに気付くのに、2ヶ月かかってしまったわ。

角地の1つを不動産屋さんに当たってもらったところ、はじめは親族の方から「売る方向で」とお話しがあったが、その後は連絡がつかなくなった
所有者は施設に入っていらっしゃる、高齢の方。業者さんと同様に、「親族の中でまとまらなかったのでは」、と推測している。
まあよくある話だし、引っかき回すのは本意ではなかったし。すぐ、次に進めた。

そして、もう一つの角地の経緯については、直前のブログの通り
所有者一人の考えだけでは、いかんともしがたいっていうケースに、またもや直面するなんて。

当たり前だけど、土地は買った人がいて、使う人が複数に及び、相続もされる。時間がたつほどに、関係する人が増えてくる。
売りに出されていない土地が簡単に手に入ると思ったのが、甘かった。

その反面、、所有者をなんとか辿れただけでもマシな方なかーと思う。

空き家問題はけっこうクローズアップされているけど、土地についても同じ問題がある。
所有者不明の土地がこれから、どんどん社会問題化していく。
地方からの人口流出、高齢化、人口減少。こんな、言い尽くされた状況が、所有者の把握を難しくしている。

6月上旬には、知事の判断で10年間は公益目的の使用や、取得手続きの簡素化ができる特措法が成立した。
「土地放棄制度」や、戸籍と登記簿との連動を検討する方針も打ち出された。
土地問題に後手後手だった国も、ようやく重い腰を上げないといけない状況に追い込まれたってことだろうなー。

でも、だからこそ余計に、この区画にこだわりたい。

所有者が本当に不明なら(特措法は別にすると)お手上げだけど、ここは違う。
未活用だった土地を使って、町内会が「ちびっこ広場」なる公園をつくっていた歴史がある。
子どもの声が響いていた、地域の記憶が詰まっている場所。そこにまた〝公園〟をつくれたら、文句なしに素敵でしょ!

この区画は、ホント雰囲気がしっくりくる。
ドラえもんに出てくるような、土管が似合う空き地。
そこに子どものハートと脳みそをくすぐるような、地元の材を使った遊び道具を添えたい。
おじいちゃんが散歩ついでに立ち寄って、座ってコーヒーを飲んで。
週末は時々、ママたちが、暮らしを豊かにするワークショップを楽しみにきて。

そんな〝公園〟があったらいい。そんでもって、その管理棟で暮らしたい。

ベースとなってるイメージは、実は千葉市にありまして。
「HELLO! GARDEN」というプロジェクト。
角地の空き地で、「小さな屋外喫茶」や、小さな農園「実験ガーデン」、「日替わり本棚」などを展開してる。
小屋(タイニーハウス)を使った「映画館」もある。
一度現地を見に行ったけど、雰囲気、色使い(自分が学生時代「イエロー」と言われてたので、黄色は欠かせない)ともに、まさにドンピシャすぎてびっくり。

千葉市にある「HELLO! GARDEN」で使われている空き地。子どもは自然と走り出す

旭川の公園ゲストハウスでも、コーヒーとか焼き菓子、極小農園は必須。
読書や宿題ができる机も並べたい。
冬は「かまくら」か雪室になる、木製ジャングルジムを置きたい。
大雪山の伏流水を汲む井戸と、その隣には薪を使ったキャンプファイヤーを・・・。

あかん、また妄想だけが膨らんできた。
まずは土地をしっかり固めないと。うん。

今週末もしっかり感じてこよ。

またもや躓いた、旭川の公園ゲストハウス

こないだの日曜日(6月24日)、ゲストハウス予定地の地権者さんとついにお話しすることができて、めちゃ感触がよかったので、ついに計画が進むかー!と期待はどんどん膨らんでいった。土地がイケる、という前提で暖房の検討(薪ストーブにするか、ペレットストーブにするか、ボイラーにするか)とかも月曜、火曜とやってきた。

そして水曜。地権者さんに意思確認の電話をする日を迎えた。もう前日からドキドキして、たまらなかった。不安よりも高揚感。いまの予定地の区画に限ってみても、地権者さんとの接触や割り出しに2ヶ月かけてたので、これまでで一番大きなターニングポイント。

宿直明けに部屋にこもってスマホを握りしめる。意を決して、日曜にメモした電話番号の数字をタップする。

「静岡県の松本です。日曜は突然すみませんでした、ご丁寧にありがとうございました。ご子息と昨日お電話をされるというお話でしたが、いかがでしたか?」

所有者の女性は落ち着いた口調で返す。

「(電話は)来ましたよ。なんかね、考えてることがあるから、『売らないでほしい』って言ってました」

あれ。え?

「あ、そうなんですね。何かされる予定なんでしょうか」と返すのがやっとで、情けないことに頭がフリーズ気味に。この後、どんな言葉を継いだのか覚えてないけれど、「またよろしくお願いします」と開き直ったように電話を終えた。

日曜は60分話し込んだけど、この日は56秒で終わった。

この後はちょうど、浜松市内でデザイナーさんや建築屋さん、設計士さん、公民連携の仕掛け人でつくるチームと打ち合わせ。進捗は伝えていたので、「うえ〜い!」と計画をスピードアップさせる場になるはずだったけど、一転してどよよ〜んとした空気が漂う。そして、やっぱりもう一押ししてみようとなり、再び地権者の女性に電話した。

浜松城公園のベンチに座って、深呼吸して、発信履歴をたどる。3コールくらいで出てくれた。

息子さんのお考えが第一なことは理解しているが、せめてお手紙をだすか、お話をしてこちらの思いをお伝えしたい。そうしないと諦めきれないー。

そんな話をしたけれど、女性は「中身は知らないけど息子はなにか考えているみたいだし、そんな話には応じることはない。もうやめてほしい。ご縁がなかったんですから」と取り付く島もない感じだった。

日曜の話では、息子さんはこの土地に一切興味を示さず、千葉に長くいて、地元に帰ってくる予定もない。女性は昭和40年代に、息子さんのためにと新聞広告で土地を買い、現地を一度も見たことがないくらいだった。なので、売ってくれるんじゃないかなーと甘く考えてた。

一方で、もし自分がこの息子さんの立場だったらと思うと、まぁそりゃそうなるよね、とも。母親が詐欺とかで騙されてるんじゃないかなと勘ぐるよね、と。息子さんはこの女性に、電話は留守電にしておいて相手が分かってから出るように、と普段からアドバイスしているくらいで、自分が警戒されているのは間違いないと思う。

さてどうしたものか。

地元の子どもも集まるコミュニティーとしての〝公園〟をつくろうとしていたので、この区画が数年前まで町内会の公園(ちびっこ広場)だった歴史を知って、勝手に運命感じてたし、そう簡単に諦めきれない。

道は三つ。

一つは、息子さんに接触することを目指し、時間をかけて地権者さんとコミュニケーションすること。何がなんでも、このベストの角地(350㎡)にこだわるパターン。

二つ目は、同じ区画の中で、売りに出されている土地(300㎡)をとりあえず買って住み、ゲストハウスと〝公園〟を作り、実際に見せて理解を得て行くパターン。今後のことを考えて、住宅のコンテナハウス、ゲストハウスの小屋(タイニーハウス)ともに動かすことはできるので。ただ角地じゃないし、半分はアパートと住宅に挟まれてる。万一、隣にアパートでも建ったら無価値になるリスクをはらむ。

三つ目は、まったく別の区画を新たに探す。コンセプトから作りなおす。これまでもだいぶ、旭川市外も含めて見てきてはいるけど・・・

立地は妥協してはいけない。それは大前提なのは分かっているつもり。ただ小さく産んで、大きく育てる考え方もある。今の区画も、この半年で三ヶ所目の候補だし、今ならここにたどり着くためにこれまでの二ヶ所がポシャったんだと思える。だから次に進むと、別のベストかベターが見つかるかもしれない。でも時間をかけて進む保証はない。なにより、公園だった地域の記憶はなんとしても生かしたい・・・

これまでのハードルとは異次元で、また躓いてしまった。退職の意思は伝えている。遠くないうちに退職時期も示さないといけない。10月から雪は降り始める。

焦ってはいけない、でも前に進みたい。

ブログを書いていていると、娘がひょっこり起きてきた。ふらふらと歩き、すぐに躓くように眠りこけた。朝になったら、また元気いっぱいなんだろな

 

人とつながる旭川一泊の旅⑨ 〆の公園研究

旭山動物園の閉園が夕方の5時15分。夏期でもけっこう早いなぁと思いつつ、蛍の光が流れては、もう抗う気力もしぼんでしまうので、ゲートに向かう。

帰りの飛行機は旭川空港から、夜7時35分の便。早めにいけば、前後でしか取れなかった座席を調整できるかもしれないと聞いていたので、1時間半前に着くとしても、まだ時間はある。

ということで、また予定地のある永山地区に戻った。ちょうど十分、エクストレイルを走らせると、北海道庁の出先機関・上川総合振興局や永山小中学校、永山神社のある中心部に着いた。ここに、永山中央公園がある。

スケボーの練習に使うような台や、しゃれた色合いのブランコが見えて、気になっていた。こちらもゲストハウスの敷地内に〝公園〟をつくろうとしているので、ライバルを研究しておかなきゃと。

目を引いたのは、小高い丘に連なる謎の滑り台。断面は土管を上下で切断したようなU字型で、頂上には土管が置かれている。滑り面には緑色のブツブツがあるシートが敷かれている。段ボールかなにかで滑るのかしら?

アスレチック遊具では、京都の真っ赤な鳥居を連想させるデザインの、ロの字の木枠を重ねた渡り通路や、チップが敷かれた地下室チックな空間が印象的だった。なかなかに個性的だわ。

低学年の子どもより、高学年や中学生の姿が多い。だだっ広い巨大な敷地で、キャッチボールの練習をしている選手もいるので、幅広い層の子どもに使われてる。なかなかに強敵だわ。

自分も〝公園〟をつくる以上、こことかぶらない形で遊び道具や仕組みをつくらないと。。。と考えながら、まだまだ遊びたいとごねる次男を引っ張って、空港方面に舞い戻ることにした。

高校3年以来の旭川空港。レンタカーの事務所は隣接していて、歩いて1,2分くらいの感じ。レンタカー会社の事務所が離れたところにある新千歳空港とかと違って、送迎のときのタイムロスを考えなくてもいいし、精神衛生上、やっぱコンパクトなものにはかなわないと痛感。

やっとビールを飲める。土産店で迷わずサッポロクラシックを選び、保安検査場の行列を見ながら一気に飲み干した。シートベルトを締めてすぐ次男は機嫌が悪くなり、離陸して10分とたたないうちに意識を失った。おそらくそれから10分としないうちに、自分も一時的に記憶を失った。

着陸は21時20分。それから5分以上、駐機場までウロチョロ。運良く前から3列目に座っていたので、眠ったままの次男を抱いて猛ダッシュ。500mくらい走り、21時41分の京急電車に間に合った。人は多いし、でかいから汗だくになる。暮らしも空港も、小さいに越したことないわ。

品川駅で10分しか乗り換え時間がないのでまたダッシュ。まったく起きず。最終の名古屋行き「ひかり」は自由席満席で立ち客ゾロゾロ。新横浜の直前で、おにいさんが「次で降りますので」と席を譲ってくれて、疲れが一気に吹き飛ぶ思いだった。最敬礼。この後も次男は寝続け、23時半に自宅に帰っても起きないまま。無理をさせてごめん。そして静岡麦酒の缶ビールを開けると、あのお兄さんが本当に新横で下りたのかか、気になりだした。(おわり)

 

人とつながる旭川一泊の旅④ 公園と図書館で準備体操

客室からの眺め。かわいい

次男は朝6時に起きてきたので、4時間しか寝れなかった。。。そのまま大浴場に入って朝食を食べることに。

お風呂はきれいで、お湯は温泉みたいな風情はないにしても、すっきりしてて◎。

朝ごはんは、イオンの4階の一部を間借りした感じのレストランで、地物にこだわったビュッフェ。ゲストハウス予定地でもある、旭川市永山地区のお米(ななつぼし)をはじめ、一通り地元産を網羅した感じで、予想以上だった。

一番気に入ったのは旭川ラーメンで、朝からスープまで飲み干してしまった。お椀に入れていただくので、そんなに罪悪感はなく。具はチャーシューとメンマ、ネギ。必要にして十分。周りを見回したら、ラーメン率がけっこう高くてびっくり。中華系の訪日客の皆さんのお盆を覗いたけど、和の人もいるし洋の人もいるし。いろいろ。そりゃそうか。

ホテルは全体的に、スタイリッシュな印象にまとまっているけど、木目調の壁紙がめくれて木じゃないことがモロ見えだったり、中途半端にモダンなアイテム(電話とか机とかイス)が多いのが残念。イオンっぽい軽さのある、どこでもあるホテル。木製のティッシュケースは、なぜか越前漆器だったし。なんでJR北海道のホテルで。。。?

でもフロントそばにあるラウンジや図書コーナーは良かった。本はJRだけあって鉄道関連や旅、スポーツ、酒といろいろで、ちょっと古めかしたハードカバーが揃っているのがそそられる。館内至る所にあるサインも併せて参考にしよう。

部屋に置いてあった利用の手引き。参考にしよう

ただ部屋に戻ってもテンションは高まらず、「きょう調べて、土地所有者が不明のままだったらどうしよう」という不安が先に立ってしまう。とはいっても部屋にいても仕方ないので、8時半前にはチェックアウト。中央図書館に向かう。

図書館は9時半からなので、旭川のセントラルパークたる「常盤公園」を散策。この公園の中に、図書館や公会堂、道立美術館が備わっている。上川神社も。

池の周りを歩いていると、カワウソみたいな動物がひょっこり水中から現れて、次男の好奇心を刺激してくれる。小径は気分が良く、市民が思い思いに時間を過ごしているのがいい。空気もいっそう美味しい。次男は久々に解き放たれて楽しそうで、だんだんとこちらもやる気がわいてきた。

その土地の空気を吸って、その土地にいる気分になってくる。ほんとに朝は大事だなあと思う。地元の人の生活感も分かるしね。公園は最適なメディアである。

突然、歌と踊りが始まった。旭川がきっと肌に合うんだろう

図書館では、第1候補地の登記事項証明書に書いてある所有者の住所と、候補地周辺のゼンリン住宅地図を閲覧して、親切で気持ちいい職員さんにコピーしてもらう。念のため電話帳(緑色、個人版)もチェックする。絵本コーナーには感謝してもしきれないわ、ほんと。助かった。

さあこれで道具はそろった。現地取材に向かおう! ここで決めなきゃもう勇気ある撤退も視野に入れないと。(つづく)