人とつながる旭川一泊の旅⑤ 熱を帯びる「地取り」

図書館から車で3分。ここが、ゲストハウス候補地の登記書類に書かれていた、土地所有者の住所があるエリア。ただ昭和40年代の資料で、丁目までしか書いていない。住宅地図にも該当する名前はない。

畑作業をしていた男性に話しかけて、事情を説明し、「この女性を探している」と協力をお願いする。ご丁寧に家に戻って、地図を持ってきて、町内会長や、もっとも長く住んでいる〝長老〟を教えてもらう。

さっそく突撃。長く住む方々は「まったく知らないなあ、分からんなあ」と申し訳なさそうな返事。町内会長さんも親身になって聞いてくれ、頭をひねって下さったが、分からずじまい。でも皆さん「ご苦労さま」「がんばってね」と励ましてくれて、うれしくなる。

ここで5人に当たったけど厳しそうだったので、候補地の永山地区へ。まず、書類上の同じ姓の家を一軒あたってから、昨日の夕方に引き続き、近くの方に聞いてみることにした。

まず候補地の経緯や思い出を教えてもらう。昔はやはり、町内会が管理する子どものための公園だったという。町内会のみんなで葦を借り、一通りの遊具もそろえて、盆踊りもやったそうだ。ますますここが欲しくなった。盆踊りをしていたなんて、完璧なまでのストーリー。けっして特別じゃないにしても、地域の記憶が詰まった場所だったということ。すぐに、みんなで踊っている光景を思い浮かべた。

町内会長さんを紹介してもらって、さっそくご自宅へ。いろいろ思い出してもらっている時に、奥様が援軍となってくださり、「(登記上の所有者と)下の名前が同じ人がいた気がする!」とアシスト。会長さんは昔、「ちびっこ広場」を運営していた時と閉鎖するときの資料ファイルを引っ張り出してくれ、ページをめくってくれた。すると、

あった!          下の名前が同じ女性の名前が!

確かに登記上の住所は違うけど、ここを訪ねればご本人がいらっしゃるか、親族が住んでおられるかも、と大ハシャギ。

3人で永山の魅力を語り合った。空気がきれい、大雪山がある、石狩川がある、まちに近い、暮らしやすい・・・。最近は子どもが減って寂しくなったことや、近くの人工河川「永山新川」ができるまでは、みんな井戸を使っていたこと、大学ができて区画開発がされ、昭和50年代に急速に人が増えたこと・・・。めちゃくちゃ勉強になった。

自分からは、「子どもやママ、お年寄りと、いろんな世代が混じり合う場をつくりたいし、そこで子どもを育てたい」「地域の人がふらっと来れるコミュニティをつくりたい」と計画を説明。

奥様からは「ぜひ実現させて! 盛り上げてよ!」とエールを送ってもらう。もう百人力ですよ。これだけでビールを浴びたい気持ちになったが、家の前に停めた車内で次男が号泣しているのが聞こえ、失礼することに。今後のご協力もお願いした。うれしすぎる。

徹底して周辺に聞き込みをする「地取り」で成果があったときの、あの喜び。新聞記者をやっててよかった・・・!

さっそく、所有者の現住所に急ごう!             (つづく)

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