掛川で、「互産互消」のポテンシャルを知る

(左から)佐野デスク、筆者の松本、佐藤さん

「地産地消」ってもはや聞き飽きた感があって、ゲストハウスの食事や使う木材の話をするときも、自分からはあんまり言わないようにしている。もう市民権を得た言葉だし、本来は当たり前のことなので。。。

この地産地消に比肩するというか、むしろ新しい言葉に出会ったのが9月中ごろ。会社の大先輩の佐野デスクと飲んだとき、「互産互消を静岡と北海道でやっている人がいる。松本さんにぴったりだと思うので、会いに行きましょう!」とおっしゃった。すぐに盛り上がり、紹介してもらうことが決まった。

互産互消という言葉はこの時初めて聞いたけど、イメージはすぐ湧いた。自治体間でよくあるナントカ協定とかではなく、民間レベルで商いや人の流れをつくろうというもの。いちいち東京を介さない、ローカルtoローカル。それぞれの生活文化をシェアしあう感じ。しかも静岡×北海道ときた。

で、静岡県で大規模停電があった次の日の10月2日、掛川に「合同会社  互産互消機構」の佐藤雄一さんを訪ねた。もちろん、佐野デスクと一緒に。

佐藤さんからは商慣習の類似点、商圏、静岡にかけられている期待、互いのマーケットから見た潜在ニーズ、サイクルツーリズムの可能性などなどうかがった。旭川では深く事業展開をしていないようで、今後、連携できることを探っていきましょう!となった。新しいご縁もいただいた。楽しみー。

事務所を出たあとは、掛川駅の近くの粋な居酒屋「酒楽」で一献。 漁師さんから直接仕入れてるらしい刺し身がめちゃんこ美味。毎日でも通いたい飲み屋に、久し振りに出会えた。ごちそうさまでした!

 

 

保育所の申し込みをして道民気分

(つづき)

泊まった旭川のゲストハウス「宿・レトロハウス銀座」では朝6時前に自然に目が覚めた。ドミトリーは、熟睡できないわけじゃないけど、どことなく緊張して、いつも早く目が覚めてしまう。時間を有効に使えるからいいけど。

すぐにシャワーを浴びて、旭川駅へ。空気がひんやりして気持ちいい。駅併設のイオンモール囧rz に大好きなサンマルクカフェが入っていて、朝7時からやっているので、そこで作業するのが目的。きのうの夜に睡魔に勝てずできなかった、ブログ書きと保育園の申し込み作業。いまは次男・陽己(はるき)が幼稚園に行ってるけど手続きは妻任せだったので、初めての経験。妹の七海とあわせて2人分を記入する。けっこうな量になって、2時間かかっちゃった。

また15分くらい歩いて市役所に行って、提出。ゲストハウス「旭川公園」を建てる永山地区は、保育所の激戦区らしく、2人の子どもを同時に入れられる可能性があるのは2カ所だけ。しかも、めちゃ近いというわけじゃない。子どもがまぁまぁいるというのは良いことだけど。

手続きが終わって、10月17日の〝合否判定〟を待つ身となった。いよいよ、移り住むっていう実感が湧いてきた!

駅にバスで戻ってエキナカやセイコーマートでしこたまお土産を買い込み、11時発の特急「ライラック」で札幌へ。

深川いあたりで。秋だなあ

快速エアポートに乗り換えて空港に着き、エア・アジアでセントレア16時半ごろ着。

おつかれさまでした。(おわり)

アサヒカワライドと田子兵衛で美酒に酔う

(つづき)

北海道庁の創業ビジネスグランプリで幕を開けた2日泊3日の旭川滞在。プレゼンが終わって一安心して、旭川で実は初体験するゲストハウス「アサヒカワライド」 へ。緊張の余韻からか、気温は12度と低めだけど、空気がちょうどいいくらいに気持ち良い。

旭川駅から続く、日本初の歩行者専用道路・買物公園通りをひたすら北にいった、静かな場所に建つ。一階のハンコ屋が目印。ドアを開けると、自転車が飛び込んできて、さっそく「らしさ」が感じられる。

オーナーは旭川市の地域おこし協力隊の杉浦哲也さん。 愛知県碧南市の出身で、同庁職員とかを経験され、山やウインタースポーツが好きで旭川に。北海道歴はめちゃんこ長くて、いまも縦走とかアグレッシブに動き回っていらっしゃる。憧れる。生まれて初めてスノーボードをしたのが北海道・名寄だった自分としては、そのうちウィンタースポーツか大雪山系の登山をやってみたい。ここの自然はすごいんですよ! と人に言えるようになるためにも。

ということで、サイクリグとかスキー、ボードとか登山といったアウトドアやスポーツを楽しむ人の基地になってる宿です。それと、旭川に住みたいと思う人を増やすミッションもあり、移住を促進の拠点でもある。今年開業したばかり!

フロントの近くにはスノーボードっぽいスポーツウェアとかが置いてあって、また「らしさ」を感じる。

移住情報が載ったパンフレットとかもたくさん。

部屋はドミトリーのみで、この日泊まったのは男女相部屋で3000円代半ば。他の部屋の気配を感じにくいので、けっこう楽チン。規模感はちょうどいいかも。

ドミトリーの室内。8人泊まれる部屋

この日のお客さんは、道内の各地を回っている外国人と、日本人の女性がいらっしゃった。地震を受けてキャンセルがすごいらしく、特に海外では「北海道全体がダメ」っていうイメージが蔓延してるみたい。いろんなとこで、観光・宿泊の深刻なダメージがあるんだと耳にする。

共用キッチンのカウンター部分にはかわいいスツールがあって、開放的な共用スペースにテーブル・イスや、観光情報が置いてある。

 

看板猫の「たま」。出勤中

杉浦さんによると、近くに、知る人ぞ知る塩らーめんの名店があるらしい。めちゃ行きたくなったけど、今夜は1つの節目でパアッと飲まないといけなかったので、ある居酒屋に。横浜のグルメマスターである東京本社の清水センパイから「俺はこの店のために旭川に行く」と聞き、前に赤坂でお会いした時に即座にメモしておいた。その名は「田子兵衛」。

二階の入り口に続く階段がいい! ぜったい、帰りにコケてる人いる。

店内に入ると、元気な声の女性がフロアに、カウンターの向こうには大将らしきオヤジさんがいる。常連さんとの距離感がまた、いい。めちゃ個人的な話をしていても、一見の客のこちらにも気配りをして、話しかけてくれる。うれしい。

で、料理はというと。サケのルイベ、北海ボタンエビの刺身、生ラムの特製ジンギスカン、そして最後に若鶏の塩ザンギ(唐揚げ)!

一番ショッキングにおいしかったのは、文句なしにジンギスカン。肉は適度な柔らかさで、噛めば噛むほど、甘みを感じる。野菜とタレとの相性がサイコー。けっこうな量を食べてもしんどくならない旨さ。これまでの羊系でナンバーワンにおいしい。

ただ、ザンギも負けてない。プリプリした肉に、絶妙な塩味、サクサクの衣。魂こもってるな!って感じの唐揚げ。本気の唐揚げ。ただものすごい量で、終盤にはオーダーしすぎを反省。でもフロアのお姉さんの「すごい頼まれてるなって思ってましたけど、すごいですね最後までいきましたね!」と温かいお言葉(笑)。オヤジさんも「うちのザンギ、すごいでしょ」とにんまり。

これまで食べた中で一番うまいジンギスカン。甘みと、肉の旨味と。絶妙
北海ボタンエビの刺し身。美味
この若鶏のザンギ(唐揚げ)がすごい。塩味が効いて、身はプリプリ。本気の唐揚げ

地元客でにぎわっていて、良心的なお値段で、めちゃうまい。やる気に満ちてる感じ! お腹はパンパンで、ラーメンが入らなかったけど、ラーメン以外でお客さんが来たら連れていきたいお店の第1号になった〜。

宿に戻って細かい事務連絡やブログ書きをしようと思い、共用スペースの机に腰掛けるも、30分で意識不明に。

翌朝一番の気温は10度ないくらいの寒さ。でもキリッとして乾いて気持ちいい。杉浦さんに挨拶し、9時19分の列車に間に合うようにダッシュ! また来まーす

(つづく)

ビジコンで道内No. 1を獲りに行く

本選行きの切符を受け取る筆者(右)

地震を受けて延期されていた、北海道庁主催の「創業ビジネスグランプリ」道北大会。19日夜、旭川市内で開催されて、なんとか勝ち抜くことができました。㊗️   こんな大変な状況でも機会をいただけたことに感謝。

大会の規模はそんな大きくないから緊張しないかな、と高を括っていたのに、いざ登壇すると、いや正確に言うと登壇の前後は、脂汗がでてくる感じで・・・。

プレゼンの流れじたいは良かったと思うけど、いかんせん持ち時間の5分では足りず、恥ずかしいことに肝心の「地域課題」について詳しく触れることができずタイムオーバー。

寝起きみたい

どうしたって早口になるし、練習ではいけるとシミュレーションしても、実際はやっぱり違う。内容を再構成して時間配分という基本もちゃんとしなきゃ。めちゃ反省。

金融機関や起業家の先輩たちの審査員、来場者の方の前で、「ゼロベースで内容を確認して、グランプリを必ず獲ってきます!」と宣言しちゃったので、もう引き返せない。

本選行きのどデカイ切符

プレゼン後の質問・講評では「けっきょく1番の売りはなにか?」「共同スペース(カフェ棟)の投資効果を上げるために、収益力を高めた方がいいのでは?」「小屋(タイニーハウス)は本当にこの金額で建つのか?」「お客さんの立場にたった計画を」などなど。どれも、今後考えをブラッシュアップして人に伝えていく上で、コンパクトにインパクト残るように答えを用意しないといけない。

終わってから、プレゼンをお聞きになっていた行政書士の方からお声がけいただき、里山にお客さんを連れてアクティビティするときに、ホテルとかと連携していったらどうか、ご提案をいただいた。まさにどうやって広がりを持たせていくか考えていたところ。今後もお力添えをいただけそうなので、感謝しかない!  人前でお話しするのってやっぱいい!

それにしても今回は、慣れないiPad でトラブルつづき。

パワーポイントで資料をつくったはいいものの、iPad内でデータを移動させていたら行方不明になった。2日前に6000円くらいで買ったiPadでも使えるUSBメモリがちゃんと作動せず、何度コピー(複製)しても読めない状態が続き、拡張子かえても変化なく。行きの道中でデータ移行しようと考えてたのが甘かった。

札幌の家電量販店で一から探し、1万円くらい投じて買い直すことも考えたけど、新千歳空港の到着ロビーでカスタマーサービスに電話。1時間待って、ようやくつながり、担当の女性がめちゃ丁寧に調べてくれて、解決! 空港で2時間弱、足止めされた感じになったけど、旅とはトラブル。これくらいドタバタするくらいが楽しいけどね。

札幌から旭川に向かう「ライラック」は乗ってすぐにスマホもiPadもバッテリー残量がなくなり、ノートを見る以外、練習できず。車内どこにも充電できるのがないから、そろそろつけてほしいなー。競合のバスでもいいけど、長距離のバスも列車も、電源とWi-Fiはもう必須だと思う。訪日客をもっと増やしたいのなら、なおさら!

こちらは普通の切符

次の本選は10月14日。ライラック(or「カムイ」)に乗って乗り込みます。待ってろ札幌!

 

 

津山方面に「どんぐりコロコロ」と土管を訪ねて

(つづき)

西粟倉でいい空気をたくさん吸った後は、浜松の友達の実家がある津山市へ向かうことに。津山といえば、B’z。むかし、「稲葉浩志と松本孝弘のマツモトコウジです」とか自己紹介をしていた恥ずかしい過去をもつ自分としては、特別な存在だった津山・・・。

山を超えて、清里高原か小渕沢なんかを運転してるような気持ち良いドライブ。

昨日までの大雨が嘘のようにすがすがしい。もう秋の入り口なんだと教えてくれる。

途中で見えてきたのは奈義町の現代美術館。建物には入らなかったけど、この土管に目を奪われた。ゲストハウス「旭川公園」のシンボル遊具ともかぶってしまうではないか・・・。巨大なライバルが現れてしまったなぁー

そんなこんなでたどり着いたのが、NPO法人「どんぐりコロコロ」さん。(北海道・東川町のヴィラ「ニセウコロコロ」さんと同じ意味。ニセウ=どんぐりなので)。友達の実家のお母さんが、20年以上も支援をされているということで、急きょご案内いただくことに。

案内してくださった、所長の千原美和さん(右)。左は友達のお母さん

就労継続支援(B型)事業所の「どんぐり工房」と障害者生活介護施設「どんぐりぼちゃぽちゃ」を見学。

B型事業所では曜日ごとに紙すきやさをり織り、手描き染めをしていて、実際に手にとって使いやすいモノづくりをされている。下のさをり織りなんか、目を奪われれる。友達のお母さんはこれを持って世界を旅行し、宣伝されている。

かわいいさをり織り

「しあわせの青いデニムproject」というのもある。地元はデニム産地なので、ジーンズ工場(内田縫製)から上質な生地を無償で譲り受け、地域の自立支援協議会のプロジェクトチームをへて、ここ「どんぐり工房」をはじめいくつかの作業所で制作し、経費を除いたが工賃として支払われる仕組み。いいなぁ。クラッチバッグとかマウスパッドとか「何でもホルダー」とかかわいかった。

この工房は「市内だけでなく、県内、国内のいろんな人たちとステキな交流をもつことのできる『出会いの場』」であることを目指しているのがすごい。

だからデニムのコラボレーションもそうだし、紙すきでは地元で活躍するイラストレーターさんと仕事をしたり、積極的につながりを持っていらっしゃる。NPO法人には、利用者の宿泊サービスもしてほしいという要望もあるみたいだけど、広げすぎると、今の活動ができないということで、あえてしていないのだそう。所長の千原美和さんの「いろんな所に出かけて、皆さんといろんなつながりを持ってほしい」という話が印象的だった。

目の前の景色が素晴らしいー

(山陰の旅はあとちょっと続く)

 

 

 

 

 

すごいぞ西粟倉

(つづき)

すっかり気に入ってしまった西粟倉村。次の目的地は岡山県の津山市だけど、ちょっと寄り道をば。

「酒うらら」さんの店舗

廃校になった旧影石小学校というところには、日本酒屋さんや帽子屋さん、木製楽器の工房、間伐材の木くずを使って昨夜いただいた「森のうなぎ」の養殖場とかが入っている。淡いピンクがかわいい外観で、なかはまんま小学校という感じ。ソトコトの熱心な読者なら、一度見たことある人も多いのでは、というくらい有名なところ。

ここで地酒を買って車を走らせていると、村役場の隣に保育園らしき建物が。「こどものもり」というらしい。窓を閉めていても木の香りがプンプン鼻に入ってくるようなステキ施設。迷わず途中下車&撮影。

すごいわ、西粟倉。どれだけのお金を村内で回せているのか、循環や自立の度合いがどれだけなのか気になるけど、この人口1500人の村に「いい空気」が漂っているのは間違いない。行けなかったけど、油やイチゴ、ベリーの専門店なんかもあって、想像だけど若い人たちのエネルギーを感じる。50年、森を守ってきて、さらに次の50年につないでいこうという「百年の森林(もり)構想」を実践している村。その精神が各事業者に通底している気がするなあ〜。ああ、また来たい。

(山陰の旅はまだまだ続く)

鳥取駅前を歩けば

(つづき)

とりあえず鳥取駅に降りてみたけど、強烈な目的があったわけじゃなかったので、コンコースにある観光案内所で商店街の場所を聞いて、遅い朝ごはんで「砂丘そば」を食べて、ドトールでひたすら充電することに。

美しいほど潔くシンプルな「砂丘そば」

そのあと、北口を出て地下道をくぐり、大丸の隣にあるドーム状の不思議な空間を抜けて、商店街を目指す。

鳥取の中心部は初めて来たけど、びっくりするくらいの広範囲で、アーケードが残っている。一歩脇にそれたら寂しい感じのところが多かったけど、メーンの通りは個人の専門店が健在で、これまたびっくり。

メーン通りから一歩入るとこんな感じ

いま、時の人になっている石破茂さんの事務所もありましたよ。金沢に来られた時、夜行列車のことを軽くお話したのが懐かしいなぁ。

石破事務所。至る所に、そして地元紙にも石破さんの名前と顔が。さすが地元

いちばん衝撃的だったのは、メーン通りはすべて歩いてみたけど(片道15分以上はかかった)、コミュニティ施設はあったのにコンビニが一軒もなかったこと! いまどきすごい。規制してるのか、自然にこうなったんだけなのか分からないけど、嬉しいなぁ。

商店街のある「川端」というエリアが気になって、メーン通りから一本入った「川端銀座」というところを歩いてみた。古い旧商店みたいなのにまじって、イマドキな感じのショップが何軒もまじっていて。この混在してる感じがいいわ。

これはこれで味がある。ステキな角地

この川端銀座以外にもリノベーションされてそうなお店がいくつかあって、地方都市の商店街としてはその割合はけっこう多いと思う。市が力を入れているリノベーションと関係あるのかは分からないけど、シャッターばかり見えるのが今やどこでも普通になったので、心強い。

商店街のもつ「場のちから」ってすごいなとあらためて痛感。でも地元の人に聞くと、例に漏れず鳥取も北のほうの郊外イオンができて、そっちにかなり流れたらしい。それで駅前もかなりキツくなったとか。鉄道での移動に頼れないっていう限界があるのはすごく感じたけど、寂しいは寂しい。

ちなみに、この後出会うことになる、リノベーションスクールの経験者によると、スクールがきっかけでブックカフェ「ホンバコ」というのがオープンしたものの、閉店してしまったんだとか。持続させるためにプレイヤーをどう確保し育て、ソフト面を整備していくかは、ハード面のリノベーションと違った難しさがあるんだろなー

(山陰の旅はまだまだ続く)

「ヤミ民泊」の一人歩き

いっとき時代の寵児として脚光を浴びていた民泊が、逆風にさらされている。違法な「ヤミ民泊」なる言葉が、いろんなところで使われはじめた。

6月15日に「民泊新法」が施行されて、ようやく民泊のルールづくりができたと思ったら、「厳しすぎて営業できない」「既存のホテル・旅館を守りたいだけでしょ」とか批判とか不満が噴出した。

観光庁と自治体はさっそく調査。6月15日時点で仲介会社が予約サイトに登録していた2万3000件のうち、中間段階で1000件くらいがヤミ民泊だった。最終的には数千件くらいまで膨らむ感触だという。

なんかどんどん、民泊が負のイメージを帯びているような・・・。もともとグレーな存在だったけど、エアビーが広めたシェアリングサービスは時代の要請だし、需要があるから人気を集めたわけで。訪日客からしたら、「日本人のごく普通の暮らしを見てみたい」「安く滞在型の旅をしたい」って思うのは当然で、休眠中の物件をもつオーナーさんは、活用したいはず。騒音とかトラブル、治安上の問題、悪質な業者の排除とかクリアしないといけない問題はあるけど、なんで需要があったのかを見誤っちゃ本末転倒で。

民泊には2種類あって、一つはゲストハウスとかと同じように、厚労省が所管する旅館業法上の「簡易宿所」として許可を取るもの。営業できるエリアとか設備には縛りがある。自分の「旭川公園」(仮称)もこれに沿って準備中。

もう一つは、新法に基づいて内閣府の特区制度を使って届け出るパターン。簡易宿所のような制限は少ないけど、年間の営業日数が180日以下っていう条件がある。これで食っていこうと思ったら、かなりきついはず。地域によっては禁止しているところもある。今住んでいるマンションもダメ。

7月28日付の毎日新聞で、「民泊は時代に合うか」のテーマで、日本民泊協会代表理事の大植敏生(おおうえ・としお)さんと、立教大特任准教授の藥師丸正次郎(やくしまる・じろう)さんの紙上対談があった。

藥師丸さんは、「現時点で届け出数が伸び悩んでいるのは新法の制定により、ホスト側が経済的利益だけでなく、危機管理意識を高めた結果とも評価でき、法の意図に沿う」と一定の評価をしている。見出しは「安全性の確保に課題」。

大植さんは「インバウンド(訪日客)の中には家族連れで一か所に滞在しながら素顔の日本文化を楽しみたい人たちが多い。しかし日本のホテルがこれらのニーズを無視し、ごく一部のスイートルームを除いて3人以上が泊まれる部屋を提供してこなかった」「部屋を貸す事業者と気さくに話をする機会があるので、旅の最大の楽しみである『現地との触れ合い』が楽しめる」「宿泊施設は将来的に、ホテルのような事業者不滞在型よりも、地元との触れ合いが濃い民宿のような事業者滞在型が中心になっていくだろう。価格競争ではなく、サービス競争の時代に移っていく」と訴えている。ほんとそう。

大植さんの言葉は現場感覚があるし、「民宿のような〜」っていう部分がしっくりくる。「なんかあったらどうするんだ!」と過剰になったり、既存業界への影響を考えすぎるのは日本っぽい気もするけど。(投資して厳しい規制をクリアしてきたホテル・旅館側の気持ちは分かるけど)

ソトコトの2017年6月号の特集によれば、いまの旅に求められるのは、「人との出会い」や「関わり合い」。それがあれば、楽しさが倍増して、思い出が立体化して「また来て、会いたくなる」。ゲストハウスは「きっかけやひっかかりを芽生えさせてくれる場所」と役割を定義してる。人と地域に会いにいく旅は、いっときのブームに終わらないはず。

 

 

予定調和がない、という美しさ

静岡や愛知が台風の警戒で大変なことになってる。新幹線は運休を事前にアナウンスし、自治体職員の皆さんは夕方から未明にかけて缶詰めになるかもしれない。

そんな大型台風の影響を免れるためなのか、高校野球の静岡大会がきのう27日に無事、終わった。荒天のあおりを受けなくてほんと良かった。

夏の甲子園は朝日新聞が主催する。新聞業界で、他社がやっているのをこれだけどの社もエネルギー割いてやるってのは、高校野球ならでは。(大相撲とかもあるといえばあるけど)。結果を知りたいニーズは大きい。地域の代表同士がしのぎを削って上を目指す、というのが、なんともいえないドラマと関心を呼ぶんだろうなー。100回の伝統というのも、うなずける。

27日の県大会の決勝はすさまじいシーソーゲームだった。点を取られたら取り返し、流れを相手に持って行かれたように見えても、諦めムードなんてみじんも漂わず、笑みさえ浮かべて、これでもかとなかりに反撃を続ける。もう気持ちいいことこの上ないし、状況不利な場面を眺めて「あーあ、これでもうキツいよな~~」と、したり顔で中継を見つめていた自分がめちゃくちゃ恥ずかしくなる。

必死さがすさまじい。こっちは訳知り顔の評論家みたいな、勝手なことを言う外野。高校生たちはもう、2年間や3年間の自分のすべてをぶつけてきている。かっこいい。

しかししかし最近の高校野球。24時間テレビとか障害者を取り上げる番組と同じように「感動ポルノ」って言われることもあって、なんだかなーと思う。球児は泣かせるために頑張っているわけじゃないし、プロデューサーに打診されて野球をやってるわけじゃない。災害報道と同じくやたら美談に仕立てるのはどうかと思うけど、球児のドラマは作りものじゃない。グラウンドに予定調和はない。だから結果的に美しい。

高校球児の皆さんと比べるべくもないけど、自分も高校生のころは、がむしゃらな時期があった。修学旅行の企画をする立場にあったけど理想は実現できず不満だらけで、そのエネルギーを3年生の時の卒業旅行にぶつけた。そんでもってその卒業旅行が原体験になって、今の旭川公園に続いてる。不思議。 こっちも美しいものにしないと!

三週連続の旭川へ①  SKI SKI! SKYマーク

きのう金曜日に決めて、またまた急きょ旭川の旅。日曜日は宿直勤務なので、長女・七海(2才)を連れて日帰り。三週連続の旭川行きは人生初であります。

朝5時前にマイカーで浜松の家を出て、7時15分発の新千歳便に乗る。久々のスカイマーク

スカイマーク、激安のエア・アジアより使う頻度は低いけど、好きで好きで。コーポレートカラーから機内の雰囲気、ネスカフェと組んでるのでホットコーヒーとキットカットのサービスあるし、2才までは膝上抱っこなら無料で乗れる。エア・アジアみたいに前席の圧迫感がない。しかもこの日はもっと好きになるハプニングがあった。

搭乗口の手前にキッズスペースがあって、当然、長女にかなり強引に連れ込まれそうになる。どうしても搭乗前にトイレに行きたかったので、一緒に個室に入ってささっと済ませて、遊具へ急いで駆け込んだ。これがよくなかった!

手続きして自席に座った直後、お土産のうなぎパイをトイレの個室に置き忘れたことに気づいた。ダメ元でちょうど近くにいた爽やかなキャビンアテンダントさんに相談すると、間に合わないかもしれないと言いながら、(たぶん)グランドスタッフさんに連絡をとってくれた。この時、7時7分。

搭乗口から100mは離れてるし、男子トイレだし、とすっかり諦めてたのになんと、7時13分、何事もなかったように涼しい顔で荷物棚に入れてくれるではないですか!6分でこんなことできるのってどんだけプロフェッショナルよ。

ぜったいダッシュして誰かが取りに行ってくれただろうし、ギリギリの時間だったので焦らせたと思うけど、これには心底びっくり。軽く感動。せっかくならVSOP(高級なうなぎパイ)にしとけばよかったなーと思ったほど。

機体はボーイング737ー800。無駄に大きくなく、機内は白基調にベージュのレカロシート、鮮やかな紺色のカーペット。これだけでも快適で落ち着く空間だけど、この日はいっそう気持ちよく思えた。キットカットもコーヒーもいっそうおいしかった。

ちなみに帰りもスカイマークで、乗る前には機長さんたちが満面の笑みで思いっきり手を振ってくれたし、チョコを大量にもらい、絵本も届けてくれた。もう言うことなし!

ただ唯一残念だったのは、帰りにセントレアに着いてからのこと。スカイマークの早朝と深夜便で往復すれば、セントレアの駐車料金1500円が無料になるサービスがあって、それをお目当てにしてたんだけど、運悪く対象期間外だったようで。事前のアナウンス通りに手荷物受取所の職員さんに尋ねてそう教えてもらったんだけれど、ちょっとつっけんどんな感じで、知らなかったのが恥ずかしくなってしまった。。。旅は終わりの印象って大事だわ。