膨らむのは夢だけじゃない。総事業費も

地権者さんの側と相談中の土地の問題は、なんとなく良い方向に進んでる感じがする。なのでそれを前提に、総事業費を洗い直している。でもいろいろ考えてると、頭の中がお花畑になってきまして。

photo: 鈴木裕矢   かつて公園だったゲストハウス予定地の周りに咲くお花

おっきなところだと、土地は三筆で560~600万円ほど、住宅は1100~1500万円ほど、小屋は400万円以上・・・。ほかに謝礼のたぐい、申請費用、各種工事、井戸掘削、自転車、暖房関係、宣伝・広告・・・。3カ月はまったくお客さんが来なくても食っていけるようにしないといけないし。

最初にソロバンをはじいたのが五月の半ばだったような気がするけど、その時はなんやかんやで、2100万円くらいが総事業費のイメージだった。当時は土地は1筆。でも現実的にいろいろ詰めていくと、そんなんじゃ無理で、冬を生き抜くには計画性のある暖房システムが欠かせない。長い目で見たら、エネルギーとカネの地域内循環について手を抜くことはできない。

「借りれるだけ借りて、キャッシュを残しときなよ」「初期投資は過剰にならないように」「最初の集客が命。そこを削るなよ」・・・。ありがたいことに、いろんなアドバイスをいただく。いっぺんに何もかもできないとは思うけど、一方で走り始めこそが肝心だとも。

う~ん。逆立ちしても、酒絶ちしても、お金が足りない。使えるお金を集めるにはどうするのか。

①地元金融機関からの融資額を増やす

②政策金融公庫にもお願いする(そのつもりではいたけど)

③クラウドファンディングを頑張る

④フェアレディZに続いてファミリーカーを売る

⑤施設・設備を妥協する

うーん。。。確かにいろんな方法があるけど、本質的じゃないような気も。「持続可能な暮らし」とかカッコよさげな事をうそぶいているけど、そもそも事業として持続可能なのか。

売り上げや、本当の粗利がこんだけ見込める→だからこれだけ投資できる、という考え方が必要なのでは?

たとえ土地がうまくいっても、壁は絶え間なく立ちはだかりそう。まだまだスタート地点にも立てていない。

photo: 鈴木裕矢  予定地から見える宗谷本線の列車。毎日毎日、確かに前に進んでいる。でもそれは、どこで下車してよいか分からない各駅停車の旅

 

「里山部」に入りたい。木こりに会う旅

ゲストハウスの予定地から車で10分もしないところに、知る人ぞ知る里山がある。「突哨山(とっしょうざん)」という、かつてアイヌが生活していた場所。遠く望める大雪山のような知名度はないけど、まわりは農地やほどよい人家や刑務所があって、暮らしの一部になっている感じのところ。

観光的には、国内最大のカタクリの群生地として有名。日本酒の「男山」が一部を所有して「男山自然公園」を管理、公開している。(見ごろは4月下旬~5月上旬くらい)

でも自分としては、この山で「自伐型林業」をやっている木こりさんがいるのが、最大のコンテンツ!  1986年生まれの清水省吾さん。「里山部」っていう商号で活動されている個人事業主。突き抜け感があって、めちゃくちゃ面白いし、勉強になるし、地球にとって大切なことをされている。

「自伐型」っていうと聞きなれないけど、近ごろ静かに、じわりと浸透してきた。山林を所有したり借りたりしてる人が自分で森林管理をすること。枝打ち、伐採、販売まで。川上から川下まで見通しているので、まちの消費者も、山主さんの現状も身体で分かっていないといけない。森林組合とか企業のやるような、委託を受けてガバッと皆伐してしまったり、大規模にやったりとは真逆の林業。自分の中でのイメージとしては、として木を見つめ、どう活用することが地球や山にとっていいのかを考え、持続可能な形で次代につないでいこう、というスタイル。小さな林業

里山部のホームページには、こう自己紹介されてる。

「地域資源としての魅力と文化を、地域の子どもたちを含め、観光に訪れた方たちにも広く知っていただき、旭川の魅力の一つとして発信していきたいと思います。」

「異業種のワカモノを中心としたチームYAMABITO’S(やまびとーず)メンバー。里山部の森をシェアしながら、地域の里山コミュニティの形成を目標に、個の表現・生きる喜びを里山を通じて見いだすような活動を行なっています」

観光で来た人にも魅力を感じてもらう、山林シェア里山コミュニティ・・・。もう、よだれが出そうなキーワードが並んでいて、会いたくないわけがない!

三月、「米蔵(マイハウス)」でご飯食べた時に店内にあったチラシで里山部を知って気になってた。ゴールデンウィークに母と義母も連れて旭川に行った時には、直前にムリを言ったにもかかわらず、清水さんは時間をつくってくれて、里山部のフィールドでお会いした。マシンガントーク。山主さんの置かれた現状、旭川家具の業界に対する思い、エネルギー問題、観光、教育・・・。木や森を軸にした話は尽きることがなくて、「あぁ、ここに決めた!」と直感した。ゲストハウス周辺のコンテンツとして、一番打ち出させてもらいたいなと思うほど、ドキドキした!

ちょうどこの時、別の山にいたヒグマさんが高速道路を渡って突哨山に迷い込んできたようなんだけど、そりゃヒグマも居心地いいわな、と思える空間だった。わが子らも、ほんと楽しそうにしていて。

泣くほど楽しい里山

ゲストに、この里山や清水さんに会いに来てほしいし、森で遊んで何かをつくったりしてほしい。そんでもって、ゲストハウスや〝公園〟でも突哨山や清水さんを感じられるような仕掛けをつくりたい。遊具の一部に使うとか、ファニチャー類に材を使わせてらうとか。薪を買わせてもらって、割ってみるとか。思わず山や清水さんを見てみたいと思ってもらえるようなモノを置きたい。誰が、どこでどうやって作ったか分かるって豊かなことだし、小さいからやりやすい。自分の日常に戻ってからも、暮らしのヒントになる。というか、おかしな経済社会ができる前はみんなそうだった。

将来的には、あんなことやこんなことも考えてます。突哨山と清水さん、よろしくお願いします。

 

地球は怒ってる。なので新しい暮らしを考える

たまには観念的なことも。

今回の西日本の「記録的豪雨」の被害のすさまじさと言ったらない。テレビの映像や新聞の写真グラフを見るのがつらくなってくる。

ちょっと前まで、「局所的なゲリラ豪雨に注意」とか叫ばれてたけど、今回みたいな超広域で特別警報が出て、100人以上の命を奪う雨って、いったいなんなんだ。こんなことあっていいのか。ついこの間、北海道で大雨が降って全国ニュースになり、心配していたのが嘘のようなひどさ。

7月8日付の産経新聞の一面コラム、「産経抄」に、膝を打つ指摘があった。

「平成最後の夏を迎え、『異常気象』と呼ばれたものが日常となりつつある。防災も減災も、地球の異変に鈍感では成り立たないと、増え続ける犠牲者の数が教えている」

ほんとその通り。ずっとそう思ってた。地球がおかしくなっている。「このままではまずいだろ」って、地球が怒っているような気がする。

たぶん小学生か中学生のころから、地球温暖化と異常気象については学校で習ってきたし、気候変動が一躍世界的なテーマになって、広く知られるようになった。省エネから始まって、低炭素社会をつくろう、持続可能な開発をめざそうと、いろんなフェーズで叫ばれてきた。

でもどうやら、人間のここ数年、数十年の努力と変化は、地球の怒りと病気を癒やすには至っていない。スピードが追いついてない。科学的な知識はないけど、そう考えないと「異常気象の脱・異常化」は説明つかない気がする。

といってもすぐクルマを手放すことはできないし(一台は別の理由でお別れしたけど)、化石燃料をゼロにして文明を拒絶するなんてできない。ちょっとずつ、できる範囲で暮らしを変えることしかできない。だから同じ北海道でも、周囲に何もない、まちと隔絶された原野に移るのは難しかった。

移住を考えだしたときに、今までとは違う暮らし方ってどんなんやろーと、けっこう考えた。そこで目指したいと思ったのは、「できるだけ自分で作りだす、小さな暮らし」。助け合うのは大事だけど、無理のある既存のグリッド(網)に依存しすぎない。食べ物、建物、水、木、エネルギー。できるだけ近いところで、自分や近い人の手で賄える暮らし。

福島の原発事故を目の当たりにした日本人は、なんとなく、この大切さに気づくチャンスも多かったし、ある程度、実践する人も増えてきた。

「サステナブル」(持続可能)、「地産地消」、突き詰めて大げさに言えば「パーマカルチャー」(豪州発祥で、、永続可能な農業をベースにした文化、デザイン)・・・。言い方はいろいろだろうけど、かっこよくしたいわけじゃない。具体的に、ゲストハウスを予定する旭川・永山地区でやりたいことはいくつかある。

★近くの里山から木を切り出す。薪をエネルギー源にして暖房をとり、無垢材や端材で家具や遊具をつくる。

★太陽光で小規模発電、太陽熱で給湯

★屯田兵の時代から続くやり方でつくられた味噌や醤油、こうじ、漬物の素を日々いただく。

★井戸を掘って、遠望できる大雪山の伏流水の恵みをいただく(飲用できればいいけど・・・)

★ご近所さんと同じように、〝公園〟の敷地内にミニガーデンをつくって、食べたい野菜をちょっとだけつくる。そんで、ご近所さんと「おすそわけ」する。

★近くのJA直売所や、元気な農園さんで、永山の作り手の顔が見えるコメ、野菜をいただく

★大雪山の伏流水を汲める「男山」の日本酒を毎日飲む

「わがままじいじぃ」でおやつを食べる

★自転車でいける生活圏を確立する

★建物は断熱性を突き詰め、余計な冷暖房を避ける

★繁華街に飲みに行く時は鉄道で(旭川←永山駅は14分)

どこまで実現できるか。できれば全部やりたい。お金はどうしてもかかるけど、本当の問題はそこじゃないし。こういう暮らしが実現できたら、それもローカル資源になる。

 

 

三週連続の旭川へ⑥ とまらないポップコーン

北海道は夜の7時を過ぎてもまだまだ明るいけど、6時には旭川を出なきゃ。5時前後に行けるところといえば・・・。

わがままじぃじぃでしょう。

味のあるフォント

ゲストハウスの今の予定地にたどり着く前に調べていた、JR宗谷本線の北永山駅。そこからすぐの交差点に面していて、ご自宅の敷地内に畑とプレハブの店舗を構えている。同じ永山地区でも、デザインセンターとか旭川木工センターとは別世界のような雰囲気がまたいい!

安心でおいしい素材にこだわった〝3時のおやつ〟がそろう。人気はおやき(あん、クリーム)、濃厚なソフトクリーム、農薬を使わず育てたトウモロコシでつくるポップコーン。

お店に来るのは4回目になるかなー。おいしいのはもちろん、近所の駄菓子屋さんのような存在感が好き。

しかも、ご主人は全くワガママじゃなく超絶フレンドリー。小学生の見守り活動している紳士がおやきを焼いてる感じ。「わがまま」=「こだわり」、って解釈なんだろなー。

今回の旅でお供をしてくれている長女が好きなのは断然ポップコーン。ご主人にはお孫さんがいらっしゃり、「子どもさんも安心して食べれます!」と太鼓判を押す逸品。変な味付けはお断り。長女も最初はソフトクリームをペロペロしてたのに、詰め放題のポップコーンが目に入った瞬間「ポップコーン、食べるの」と言い出した。一度食べ始めると、まさにエンドレス。

わがままじぃじぃのポップコーンは止まらない

敷地内に自作の五右衛門風呂があるのもワクワクする。今は稼働してないけど、ちゃんと自分で動かせれば入れてもらえるチャンスがでてくるんで、実は前々から夢見ている。晴れた日は、ここから線路を望む絵が絶景で。すごすぎる。

井戸水を使えるようになっている。この辺では浅く掘っただけで大雪山の伏流水が取れるといい、ここでは6m掘ったら出てきたらしい。ゲストハウスでも井戸は作る予定。

庭にはいろんな野菜や色とりどりの花が植えられていて、お客さんが眺めていったりしてる。プレハブの中でテレビ見ながら世間話したり、庭の周りをうろちょろしたり。こんなローカル感のあるお店って、なかなかない。ローカルを求めている旅行者は楽しんでくれるはず!!

一番上の写真と反対側(旭川市中心部寄り)にあるお庭

移住してゲストハウスやることも「じぃじぃ」に報告。またあらためて、しっかり取材させてもらお。

インターに向かう前に、ちょっとだけ予定地を見ることに。近所の方にご挨拶がてら、線路や周辺でパシャパシャ。

ラッピングされたキハ40「北海道の恵み」シリーズ。「道北 流氷の恵み」に幸運にも遭遇したので、流し撮り!

やっぱりいいなぁ。落ち着く。今週くらいに、地権者さんから良い返事が来たらいいなぁ・・・。 なんて考えながらレンタカーに戻ったら、娘はポップコーンの袋を抱えながら沈没。

新千歳空港で意識がはっきり戻ったら、すぐにポップコーンを要求。いつもは寝てる時間だけど、ポップコーンが欲しいあまりに活動的になる。そのまま袋を持って保安検査場を通過し、ゲート前でもひたすら食べておりました。

新千歳空港でスカイマーク最終便を待つ。ポップコーン、止まらない

自宅には25時半に到着。娘よ、申し訳ない(ずっと寝てたけど)                          (おわり)

三週連続の旭川へ⑤ 地元の旅のプロの金言

JAの直売所を出て、「旭川ふるさと旅行」さんへ。永山地区の中心部で、永山神社の隣。2週間前にかじった中央公園のすぐ近くにあった。

突然のお願いだったのに、快く迎えてくださったのは、社長の喜久野夕介さん。全国転勤のある会社で働いていて、初任地が旭川。その後の転勤でまた旭川に住む機会はないと知らされて、11年前にこちらに移住された。すごい。旭川のいいところの1つが、まちも自然も楽しめることだとか。

主に手がけていらっしゃるのは、地元の人が旅行に行く時の企画・手配、道外などからの旅行のそれ、訪日客のそれ。

この事務所の近くには、もともと地元資本だったけど、ここ数年の間にチェーンに生まれ変わったホテルがあって。市中心部からは車で20分くらいと離れているけれど、このホテルのお客さんの顔触れは、個人訪日客や観光客の姿もあるらしい。市中心部のホテルで需要を賄いきれない時もある。なので、「永山という地区はポテンシャルがあると思います」とおっしゃっていた。一方で、訪日客の取り込みは事業をやっていく上ではやらざるを得ないともアドバイスいただいた。

国道沿いにある日本酒「男山」の酒造り資料館(実際には物販や試飲コーナー)も、旭川デザインセンターの前に昼ご飯で寄ったあさひかわラーメン村も中華圏の訪日客でいつもにぎわってる。市中心部のゲストハウスでも、訪日客がかなり多いんだとか。このインパクトはやっぱりすごい。

自分が永山でやろうとしているゲストハウスは、最重視するターゲットが「関東に住む30代女性」。準備も足りないし、と自分で言い訳をして、増え続ける訪日客を最初からは取り込もうと考えていなかった。地元のプロのアドバイスを胸に、ちゃんと考えていかねば!

なんで北海道なのか旭川を選んだ理由、新聞記者を辞めてまでなんでするのかとか、経緯を一通りお伝えする。「こちらでできることはなんでも言ってください」とありがたい言葉をいただく。同じ地域の住民に自分がなるかもしれないし、移住体験を取り扱っていらっしゃるので、どんどんお世話になります!

時計を見ると4時45分。あと1カ所か2カ所回って、新千歳空港に戻ろう。           (つづく。次でラスト)

 

三週連続の旭川へ③ デザインセンターで木を考える

お腹が満たされた後は、旭川市の永山地区に移住して長い、旅行関係の方にお電話。アポを取って急きょ、1時間50分後にお時間いただくことに。ありがとうございます。

向かう途中、これまで行きたくても行けなかった旭川「デザインセンター」に寄ってみた。駐車場は札幌や函館のレンタカーが。レンタカー以外も、けっこう広域から来てる。

旭川は日本の五大家具産地で、協同組合のやってるセンターはその発信拠点。旭川市や近郊の30社以上が製品を展示している。バイヤーとか実際に家具を探してる人にとっては、めちゃくちゃありがたい存在なんだと思う。

一通りぐるっと回ってみた。確かに洗練された、スタイリッシュな家具がそろってる。スイッチパネルやバインダー、カードケースとか小物類もちらほら。ただ自分の好みからすると、世界観やデザインに引き込まれたのは数えるほどで、全体としてみたら、ちょっと洒落た家具屋さんとそんな変わらないかな、という感じ。怒られそうだけど、同じようなデザインが多かった。

収穫だったのは、「ここの木の家具 北海道プロジェクト」なるものを知れたこと。旭川から始める、「日本の森を守る家具づくり」といったイメージ。

「明和地所」ホームページより

黄色いポスターには、「できることなら、近くの山から伐り出した木で、家具をつくりたい」「実は、ないと言われていた北海道の木材資源はここ数十年で着実に増えており、私たちが家具づくりに使う広葉樹も、日本有数の保有量になっています。」

旭川家具で、道産広葉樹がどのくらい使われてるか。プロジェクトは4年目で、2014年は26.9%だったのが。17年には36.7%に上がってきてるらしい。すごい!

できることなら、近くの山から伐り出した木で、家具をつくりたい」。

この思いは自分も一緒。旭川・永山地区のゲストハウスや〝公園〟で使う家具や遊具は、できるだけ近くの材を使いたい! 小さいからこそ、できることはあるはず。昔、アイヌの人たちの生活の場だった「突哨山(とっしょうざん)」で木こり(自伐型林業)をしている清水省吾さんの力を借りて。旭川大学では、地元家具業界の抱えるこういった課題とかを研究している先生もいるので、そちらのお知恵も借りて。  (つづく)

 

 

 

 

三週連続の旭川へ② 土地とラーメンをめぐる旅

スカイマークは定刻より早く新千歳に着き、トイレで長女のおむつを替えてレンタカーを待つ。周りを見渡しても半袖一枚は我々のほかになし。みんなウインドブレーカーとか着てる。気温は13~14度くらい。寒いけど、地元気取りでやせ我慢!

おなじみのカーレンタル北海道。2週連続です。9時から20時までスイフトを借りて、4000円也。免責をちゃんとオプションで手当てしないと合計20万円取られるので、そこだけ注意。

長女は千歳インターに乗るとすぐ熟睡。そのまま2時間ほど走って、道央道の旭川鷹栖ICで下りる。地権者さん宅へまたお邪魔してお話。2週続けてすみません。

先方は「数年スパンで考えていらっしゃると思ってました」「売ることは問題ないとは思いますが」と言われる一方で、ごきょうだいで相談し、不動産屋さんに相場を聞いてみるとおっしゃった。土地を3筆も買って大丈夫か、冬に来たことはあるか、など心配してくださる。長男・大滋(たいし)を通わせようと思っている東川養護学校(東川町)の評判の良さなどはご存じだった。「ご無理なさらず」とも。はい、熟考いたします。。。こちらからは、なぜこの土地に惹かれているかを重ねて申し上げた。

この後は、3筆のうち2筆が売りに出されているので、訪問や電話で不動産屋さんに連絡。今後の協力をお願いした。初めて深くお話した業者では、計画をすごく面白がってくれた。

ひと仕事終えると急にお腹が空いたので、行ったことのない、旭川市永山地区の「らーめん村」へ。でっかい商業施設の一角を占めていて、中華系の観光客のバスを4台くらい発見。ラーメンはすごいコンテンツだとあらためて驚く。

入ったのは「工房 加藤らーめん」。加藤系列のところは気になっていたので初挑戦です。訪日客が多く、自分も店員さんに「アチラ、OK?」と指を差されて案内されたので、きっと間違われているんだろうー

「熟成醤正油らーめん」(720円)を注文。あんま詳しくないけど、正統派の旭川らーめんという感じ。HPによると、すべて道産食材にこだわり、日本で初めて縮れ麺を開発した加藤ラーメンの麺を使っている。醤油は旭川の有名なキッコーさん。

ラーメンなら黙々と食べられる娘

一口目は「うん、おいしい」。コクが程よくあって、ネギやチャーシューと麺の相性はいいけど、強い個性がある感じではない。自分の一番好きなラーメンのタイプh、最初の印象と感動が最後まで持続するラーメン。サイドメニューで頼んだチャーマヨ丼(300円)の方が印象に残った。マヨのジャンキー感がたまらない。

しかししかし、この加藤一族から、まだ行けてない「蜂屋」も生まれていたとは。加藤ラーメンは昔ながらの旭川醤油というイメージがあるけど、どんどん開拓して違いも知っていかねば。

チーズといったら、別の「チー」のポーズを。。。ちょっと教育間違えたかも

(つづく)

住宅街×ゲストハウス

5月に撮った、予定地周辺の写真。先週末に行った時は撮るの忘れてた・・・・

融資の相談をしている金融機関さんには、進ちょくや課題をそのつど報告しているんだけど、先日来、「地元の人間からすると、住宅街にゲストハウスというのはやはりイメージできない」というご指摘をいただいていた。

旭川では例がないと思うし、「なんであえて住宅街なんかに?」「近隣との関係でリスクが高いのでは」と言われるのも、さもありなん、であります。

理由を説明せよ!  と言われたら、こう答える。「地域のありのままを感じるには、そこに暮らす人に囲まれた方がいいに決まっているから。暮らしをシェアできるから

もう少し詳しめに。

「地域の暮らしを体で感じてほしいなら、人を通じて地元の空気感が分かる場所ほどいい。人里はなれた、自然があふれた場所や農泊は北海道らしいけれど、ご近所さんとの接点は限られる。もっとリアルに普段着の暮らしを知ろうと思ったら、町内会にチェックインするくらいのイメージがいい。まちなかのホテルがディープなまちを案内する企画とかはあるけれど、もっと自然体がいいんじゃない?  それには、ご近所さんの多い住宅街、その中でもいろんな人の入り混じる〝公園〟のような場所だったら最高です」

なんとなく分かってもらえる。論理的には破綻していないはず。ただ、これで全く前例に接したことのない人や興味のない人に伝わるかというと、そうではないと思う。じゃあもっと伝え方を工夫しないといけないし、脳みそに汗をかかないといけない。新人記者が原稿用紙に向かうように。

これだ!というレベルに言語化はまだできてないけど、手始めに、全国のゲストハウス例を調べてみた。同じ北海道の都市として札幌、そして次に鎌倉を。

なぜ鎌倉かというと、実は理由がありまして。旭川の永山地区で準備しているゲストハウスのペルソナ(最重視する想定の顧客層)は、横浜市に住む30代女性(実際はもっと細かく決めているけど・・・)。なので、旭川の中心部から永山地区まで行く心理的な距離と、横浜から鎌倉に行くそれが、同じくらいかなあと想定して。

ネットで簡単にみる限り、住宅街にあるゲストハウスは、札幌では二件、鎌倉でも二件あった。ほとんどが最寄駅から15分以上歩くところで、周りはほんとに普通の家。

おもしろかったのが、鎌倉に住んでいる高校のバレー部の先輩に連絡してみたら、鎌倉の一つのゲストハウスが行動圏内にあるんだと!  雰囲気を聞いたら、「もはや地元民しか行かないよーな住宅街なのに、外国のバックパッカーがたくさん来てる」「周囲にすごく馴染んでる」「目の前にあるドラッグストアでしょっちゅう買い物するけど、違和感なし! もしかしたら、ドラッグストアがあるおかげで自然と地元民が集まることで、ローカル感をさらに出しているのかも」と。

北先輩、めちゃ分かりやすいご明察ありがとございますー    見たことないけど、その通りなんだろな〜って感じがするし、住宅街にあるからこその存在感を醸してるはず。

都内の下町や京都なんかは住宅街のゲストハウスなんてごまんとあるし、仙台とか滋賀県の彦根、博多、沖縄のうるま、湘南とか、いくらでも同じような立地のゲストハウスが見つかった。富山市の「縁(えにし)」っていう宿は、「住むように、泊まる。住宅街の小さな宿。 Feel Local!」とコピーにあって、自分のゲストハウスと丸かぶり(実はホテルも含めて同じようなのは全国にけっこうある。それだけローカル志向が強まってる!)。

それぞれホームページとか紹介サイトとか見てみると、喧騒から離れて、ローカルな暮らしを感じられるよ!的なアピールポイントを打ち出してるところがチラホラあった。

久しぶりに事例研究っぽいことやったけど、ほんと大事やなと痛感!  他の人にわかりやすく説明するときの材料にもなるし、コンセプト磨きができるし、めちゃくちゃイメージがしやすくなる。

北国の信金と北先輩に感謝と最敬礼。

 

 

 

最高な住民アンケート

年度末のことし3月、ゲストハウス予定地がある永山地区でされたアンケート結果が発表されたみたい。最近知ったけど。まちづくり協議会、商工会、地元信金や旭川大学、商店街とかでつくる「永山地域経済活性中長期計画策定検討会」として、地域住民に聞き取ったもの。

サンプル数は100ほどと少なくいのがあれだけど、面白い結果が出てた。自分のためにあるかのような    ♪(´ε` )

今後の永山商店街のあり方に対する自由記述なら、こんなかんじ。ちょっと長いけど、引用↓↓↓

  • 大学が近くにあるのでもっと若者向けの店やおしゃれなカフェがあったら、若者の暇つぶしにもなると思うし、永山も少しは活性化するのでは(20代女性)
  • この地域は若者が遊ぶところが全くない。喫茶店のような落ち着ける場所が欲しい。(20代男性)
  • 古い建物、汚い景観。学生が寄り付かない理由の一つだと思う(20代男性)
  • 学生が空きコマを過ごせる場所がない。講義のない空きコマに行けるようなカフェがあったらうれしい(20代女性)
  • 市民の共有スペースがあるとよい。旭川大の学生の参加。(30代男性)
  • 買い物困難者への支援。移動販売車による販売活動(40代男性)
  • 愛されている老舗店舗の閉店に心が痛みます。月に一回マルシェの開催(50代女性)
  • 飲食を伴い多くの人が集まれる場の設置。(公民館は飲食ができない) (60代男性)
  • 人が集まれてふれあえる場の創出(60代女性)

ゲストハウスは子どもたちが遊びに来る公園みたいな場所をつくりたいと思ってるけど、子どもだけってことじゃなくて、お母さんたちも、おじいちゃんおばあちゃんも来てもらって、混ざり合ってもらえるのが理想!  ここで大事なのが学生さんの存在で、時間にも余裕があるし、勉強したことを実践してもらいたいし、中立的で利害関係がないから、どんどん来てほしい。学生もローカル資源

そう思ってたところに、このアンケート。学生さんは、時間がつぶせて楽しい、美意識が満たされる場所を求めてる。自分が学生の時も確かにそうだった。空き時間は背伸びして行くようなカフェか図書館か、バイト。机にコーヒーがあれば、なんでもできるし、くつろげる。

それに学生さんだけじゃなくてオトナも、コミュニティスペースを求めている。人が集まれる場所をほしがってる。ヒントが詰まりすぎたアンケートに感謝!

予定地は旭川大学から歩いて5分かからない。やっぱいい立地だわ。なんでもできそう。

 

 

 

 

真っさらな目で旭川を感じる強行軍③ 半端ない充実感

地権者さん方の近くに到着。全国民の心のふるさと・セイコーマートで買い物や一服をしてもらって、自分と次男がご自宅に向かい、深呼吸して呼び鈴を鳴らす。お留守っぽい。

いったんみんなの元へ戻り、お昼ご飯をとることに。地元の青年農家さんが始めた石蔵ダイニング「米蔵(マイハウス)」へ。車で10分ほど。ここは自分と家族にとって3回目の訪問。自家製ベーコンがめちゃウマ。蔵を活用した空間もいいし、イタリアンベースで地元の野菜がたくさん取れるのがいい。気取らない雰囲気と味で、いつもにぎわう。家族連れ、ご婦人の集まり、カップルと客層はさまざま。

料理を待つ間、ゲストハウスのある〝公園〟での物販についてみんなであーでもない、こーでもないと。妻の茜はパンとか焼き菓子とかも勉強しているけど、発酵も楽しいし。松島さんは「燻製いいですよ。始めやすい」「ビールとかどうですか」と。元パン職人の鈴木さんは、作りやすさ、販売のしやすさから菓子の可能性を熱く語る。 ビールつくりたくなった。石川県にいるとき、有名な小規模農家さんが自家製ビールをつくっていて、すごいおいしかったのを思い出した。

松島さんと松本(憲)さんはサッポロクラシックの生をジョッキでクイッと。このお店はクラシックの何か(すみません)に認定されていて、泡立ち、のど越しに二人とも満足してくれた。

食後は、もう一度地権者さんのもとへ。先ほどお尋ねしたお宅から少し目を転じると、あら、その離れのようなお宅に表札が。こんなこともあるのねー。いつだって見落としはあるし、見直し・再チャレンジって大事だな。「もう1回おたずねしてみましょう」と言ってくれたチームの皆さん、ありがとう。

玄関ドアの前で、深呼吸する。いつだって突撃訪問するときは心臓がバクバク。「新聞記者だから慣れてるんだねー」と言われるけど、いやいや確かにピンポンすること自体はそうだけど、なんてったってこれからの人生かかってますから。普段の仕事と違って「じゃあ次」とはいきませんから。わけのわからない若造が「土地欲しい」って来るなんて、もし自分がその立場だったら腰抜かしちゃうかも。

地権者さんのご家族がいらっしゃって、用件をお伝えする。すると、なんと他のご家族に電話でつないでくれ、お話しする機会をいただいた。感激・・・。帰り際、長女のためにお茶やお菓子もいただいてしまった。恐悦至極に存じます。あらためて書面で、こちらの思いをお伝えすることになった。

この後はひたすら道央自動車道を走り、空港方面へ。時計とにらめっこしながら、「yomogiya」さんこと中村さん宅にお邪魔しようと目論んでいた。ギリギリ行けそうだったので、岩見沢ICを下りて、下道で長沼町へ。田畑の景色が素晴らしく、周辺にスタイリッシュな宿やベーカリーがあるのも納得。

流しでは絶対に分からない、道から一歩入ったところに中村さんのお宅が見えた。となりのトトロのサツキたちの家のように、奥まったところ。

あった。うおーーーーーお、かわいい!

撮影:松本憲
なにか作っている途中なのかしら。中村さんは旭川のイベントに行っていなかったので、また聞いてみよ

たまりません。

お腹いっぱいになって新千歳空港に急行。帰りのエア・ドゥ便は出発が40分遅れで助かった。全国的に悪天候で、新千歳も霧が立ちこめ、欠航が相次いでたので、飛んだだけでもラッキーと思わねば。

羽田からは京急で品川。自由席しかないのでダッシュしてホームに向かうも、長蛇の列。通勤電車だと「次の列車をご利用ください」というレベルの混みようで、デッキに人があふれて入れない。心の中で土下座して人垣を押しのけて無理矢理8人、入れてもらった。子どもたちは疲れ果て、抱っこして眠りこけてしまった。静岡ってこんな遠かったっけ・・・。午後10時48分に浜松駅に到着。本州ってこんな湿度高かったっけ・・・。

これまでで一番、収穫のあった旅だった気がする。自信をもって進んでいけると確信できた! (おわり)