同級生はいいもんだ

祖母の家を後にして、家族を置いて1人だけ別行動させてもらうことに。JRの三宮駅で降りて、そごう隣のビル「神戸国際会館」地下二階へ急いだ。

創業70年弱の「千代田繊維工業」(加古川市)が展開する、「千代治のくつ下」のお店を訪ねるのが目的。大学のゼミで一緒だった長谷川くんが、何年か前、後を継ぐために地元に戻って頑張っている。帰省した時や加古川の近くに行ったら会おうと思ってたけど、こんな便利な一等地にあるならと、当日思い立ってお邪魔してきた。

10分くらいしか見れなかったので詳しく語れる材料がないけど、女性向けがほとんど。ビビットな配色でシャープなやつから、ベージュ系のふわふわ系まで、色づかいやデザインは多彩な感じ。 おっ!と思ったのが、冷えを取り、デトックスにもなるという「おやすみソックス」。シルクを使っていて、肌によくて、デトックスにもいいらしい。なんか、良さそう。なのでいくつかいただいてきた。今度ゆっくりお邪魔して、レディースだけど、緑色のコットンベストを手に入れたい。

神戸新聞によると、加古川は明治時代からの全国的な靴下産地。ただバブル崩壊後は大手の生産拠点がアジアに移り、千代田さんも売り上げが急落した。三代目社長(長谷川くんのお父上)の奥さまがネット販売に活路を見いだし、自社ブランド立ち上げにつなげたらしい!そして2017年3月に初の常設の直営店(ここ)を実現させたしい! すごい。

ここ、神戸らしい上質な商品に贈られる「神戸セレクション」(2013年)にも選ばれているらしい。特徴ある目玉商品もいろいろ出されてる。どんどん大きくなってほしいー。

この後は摂津本山というJRの駅に移動して、中学・高校の時の同級生と飲み会。

乗り換えの電車を待つ、住吉駅のホームにて

それぞれの仕事のことをひとしきり話した後は、移住&ゲストハウス、AI、経営、工場勤務、ネット取り次ぎ業界のいま、人材開発・・・と、テーマ別のトークセッションが尽きず。なんか、みんな大人になったなあとしみじみ。15年前はバカ話しかしてなかったのに。 CAとして活躍する十河さん、車好きの同志で野望を抱いて転職を控えた辻本くん、神戸で人気の「グラノーラジャーニー」(こちらも神戸セレクション)をやっている敏腕経営者の西村くん、忙しいところありがとー。

ある1人から、若手との接し方について金言が。「どんだけどうしようもない相手だと思っても、理解しようという姿勢でじっくり聞く」「この人が言うなら、と思ってもらえるように人間的な魅力を高めるのが大事」「誰にでも大切にしたい価値観があって、それを見つけ出して導けるといい」・・・。

うーん、これは決定的に自分に欠けている。理解を超えた年下の相手と接すると、「ああ、違う星の人だ」と思って、理解することを自ら拒絶しちゃってる。できる限りアンガーマネジメントして、実践してみようかしら。

そして西村くんからは、お付き合いのある素敵なコーヒーマイスターがいるとの耳寄りの情報が。次の日(6日)、さっそく会いにいく段取りをしてくれた。このスピード感が好き。同級生はいいもんだ。中学時代の恩師が、「今いる友達を大事にせよ。利害関係のない間柄の貴重さは、いずれ分かるから」と言っていたのを思い出した夜。       (つづく)

なんにも失わずに進もうなんて、無理でしょ

帰省の話のつづき。身内ネタです、すみません。

神戸市垂水区に住んでいる祖母に会いに行きまして。旭川に移住することをまだ伝えておらず、私の母も反応が怖くてなかなか言い出せなかったので、意を決してカミングアウトするのが最大のミッションだった。

焼き肉屋さんでお昼を食べて、生ビールで乾杯したあとに「秋に北海道に引っ越しするわ」と切り出した。すると祖母は、梅干しを口にいれた漫画のキャラみたいな表情をして、「えーーー」と、これまた漫画のように言った。

転勤だと直感したようだけど、移住して宿を始めることとかを、こちらとしては丁寧に説明したら、いよいよ驚きを深めて、ひ孫たちに向かって「もうなかなか会えなくなるかなぁ」とぼやく。

距離が生まれることでショックを受けてしまわないか、妻・茜も自分の母もかなり前からかなり心配していた。これまでも帰省すると、茜は「おばあちゃんの喜んでる顔を見ると、すぐに移住というのは・・・」と漏らすことがあった。

ほんとその通りだと思うし、かなり初期からもちろん自分なりに考えてきた。孫を溺愛している母や祖母が悲しむのが好きな子どもなんていないし。

でも、本当にやりたいことがあるなら悩んでも答えがブレるわけないし、あえてドライに言うなら、母や祖母亡き後も自分や子どもたちは生きるわけで、その人生を豊かにするんであれば、えいや!でやらんといかん。 と、言い聞かせてきた。 もっとキツい言い方をするなら、母や祖母のために生きているわけではないので、その順番は間違っちゃいけない。と、言い聞かせてきた。少し心を鬼にして。覚悟が試されてる、とも思っていたので。

自分たちが本当に活き活きと新しい人生を楽しんで、その姿を見せることで母や祖母たちを幸せな気分にさせたほうが、長い目でみて、みんなにとっていい。そしてそのためには、しっかり軌道に乗せて、必要以上に寂しい思いをさせないように、ある程度、飛行機で関西・瀬戸と北海道を行き来できるようにしたい。そのように思うに至ったのであります。

焼き肉屋さんから帰って、祖母は母や妻といろいろ話して、けっきょくは「自分のやりたいことをやるのが一番や」「子ども(ひ孫)のことを考えて、ならそうるのがいいやんね」というところで落ち着いたようで。自分に言い聞かせているのかもしれないけど、額面通りに受け取ろうと思った。

たぶん、孫の決断を信じてくれてるんだろなー。祖父もそうだったし。

とにかく長生きしてもらって、とにかく楽しくやってるところを見せたいとやる気がみなぎってきた!

「神戸」は強すぎる

帰省で神戸に来ました。

あっ、「神戸」と書いたけど、実家があるのは兵庫県の西宮市。神戸と大阪のちょうど中間にあるところ。西宮といえば、「甲子園があるところ」と言えば分かってもらえるけど、知らない人ももちろんいる。

なので大学生のころなんか、勉強会(人によってはコンパというらしい)とかで「神戸出身」と名乗ってた。「買い物は神戸でしてた」、とか、「よく神戸でご飯食べてた」とか。アホらしいけど、まぁウソではないし。

効果があったかどうかはともかく、それくらい「神戸」には力がある。武器にしている事業者もいっぱいいる。

なんでこんなに神戸ブランドがあるのかは、いろんな分析が言われるけど、まずはロケーションでしょう。山があって、海がある。しかも横浜と違って、その間の免責が狭いから、一日あれば両方楽しめる。ハイブリッドないいとこどり。 山に登って海を見る、海を目の前に山を望む。高校生のころまでこれは日常だったけど、この豊かさはすごいもんだと思ってた。

山なら、ハーブ園があるし少し足を伸ばせば乳製品で有名な六甲山もある。海ならもう説明不要なくらい、きれいに整えられた神戸港がある。失礼ながら、名古屋港や大阪港とは全然イメージが違う。

今まさにハーバーランドのスターバックス(本意ではないけど)におりまして。たくさん船が行き交い、マルシェみたいなものがあり、ランドマークとしてのポートタワーがあって、みんな記念写真を撮ってる。水辺空間というコンテンツの強さに思いを馳せる。子どもたちを母や妹に預け、アンパンマンミュージアムで遊ばせて楽をしているので、よけいに気持ちがいい!

実際に外国人が多いけど、その歴史がベースになった異国情緒が自然に漂っているのも、まちのブランドを形成するのに大きなポイント。

「神戸」と聞いて、説明不要なくらい多くの人がいだくイメージがあるから、「神戸」と名の付いた商品には競争力がでてくる。

北海道でいえば、「富良野」とか「小樽」、もしくは「十勝」、あるいは「知床」かなと。「札幌」は微妙だけど、まあ当てはまるかな。

じゃあ、旭川はどうだろうかと考えた時に、まだまだイメージが沸かない。旭川はよく知らなくても旭山動物園は知ってる人は多いくらい。(移住先としてはよく知られてる)。富良野や美瑛に行くために、宿が取れなくてある程度便利だから選ばれている要素が強いと思う。

旭山動物園以外に、強力なコンテンツが必要という声は地元でも根強いらしい。でもそれだけで「神戸的なまち」になれるわけじゃない。なる必要もないかもしれないけど。ただ旭川ってどんな所?と聞かれてすぐイメージできるような存在になれば、通過型のまちから脱却できるかも(?)。

まちの玄関が駅だとすると、現状は、木の香りがする素敵な旭川駅を出た瞬間に、イオンが飛び込んでくる。ホテルが立ち並ぶ中心部は、他の都市と代わり映えしない。そして歩く人が多くない。目に見える「旭川らしさ」が駅で完結していて、もったいない。大きい市だから動きにくい点はあるけど、これどうすんだろ。引っ越したら、なんかおもしろいこと考えたい。

職を転じて新たな天職を

最終出社まであと35日。ここに来て、新聞記者の仕事のありがたさと醍醐味を、久しぶりにガツンと思い知ることになるなんて。

愛知県瀬戸市の「三峰園窯」の加藤達伸さんが、フェイスブックの投稿でブログのリンクを張って、メッセージを寄せてくださった。

そのメッセージの中心は、7年前に書いた、瀬戸焼のこれからについての連載。「今でも読み返し自身がかかわる瀬戸焼のブランディング事業に役立てたりしています」とある。保管してくれている記事の写真とともに。

加藤達伸さんのフェイスブックより

こんな嬉しいことってあるかしら。まさに記者冥利に尽きるってもんで。

瀬戸市の担当=焼き物担当として、期間は短かったけどいろんな事を考えた。毎日のように地元の人たちと飲んで、加藤さんはじめ焼き物に携わる作り手とも本音でしゃべって、飲んで飲んで。 本音の積み重ねが、自分の中で問題意識に成長し、いろいろ調べようと足が動き、たくさんの人に伝えたくなった。サラリーマンとしてというより、たまた多くの人に届けるツールを持っているだけの市民として、という感覚が強かった。

休みの日は県外を含めて産地を見に行ったし(今なら絶対、出張申請してる!)、仕事と遊びの境がそんなになくて、熱量があった。苦しくても好きでやっていて楽しいから、全部よし。書くことでいろいろと言われることもあったけど、心の通じた人からは、ウインクしながら親指を立てたグー!マークを向けてくれるような応援をもらって、31回続けられた。

なんのために、誰のために書くのか、すごく明確だった。もちろん批判や懸念もあったけど、支局に「購入したい」「まとめてスクラップしたい」と電話をもらった。反響があることが一番のやりがい。

その仕事が、時間をへてもまだ読んだ人の記憶に残ってるなんて、会社辞めたら罰が当たると思っちゃうくらい、恐れ多くて、幸せな気分になる。

長久手町(当時、今は長久手市)を担当していた時に知り合った職員さんからも、「今回のことがあって、松本さんの記事を読み返しました」とメッセージをもらっていて、同じように嬉しかった。

新聞記者といえば、「抜いた」「抜かれた」の世界。特ダネを求めて、他社より早く報じることを目指して、がむしゃらに動き回るイメージがある。もちろんその通りだけど、特に若い記者と話していると、これまで不動に見えた新聞像は確実に変わってきているし、読む人が求めているものは何なのか、をより考えるようになっている気がする。

「いい記事」といってもいろいろ。

記者が掘り起こさないと、埋もれたまま社会で共有できなかったようなネタは間違いなく一級の特ダネだろうと思う。じゃあ、明日普通に発表されることを今日すごいエネルギーをかけて書くのって、どれだけの共感を得られるんだろう。社内でもだいぶ意見が分かれるところ。ほかには、内容がじわじわと体に染み渡って力を与えるような記事とか、長く記憶に残る記事とか、いろんなタイプがある。

その中で、やっぱり自分としては、時間がたっても誰かの心に残るようなものを残すのが好きだった。というより、そういうのを目指してはいた。紙媒体として記録・保存できるものだから、一過性で消費される情報より、新聞らしい情報を届けられるし、反響もある。

新聞記者をやめて旭川に移住し、ゲストハウスをやると言ったら、ほとんど全員に驚かれる。「全然違ったことするのね、大丈夫?」と心配してくれる人もいる。でも実は、やることの根っこは一緒。

新聞記者は赴任した地域を好きになって、そこの人たちと喜怒哀楽や問題点を共有して、聞き出し、まとめ、発信して、フィードバックを受ける。

ゲストハウスや公園づくりも同じこと。ローカル(地域)資源を発掘し、編集し、意味づけし、つなげて、発信して・・・。

新しい天職になっていく、そんな予感しかしないわ。

旭川で、水を見よう。

「水の日」っていうのを初めて知った。きょう8月1日がそれらしい。けさ新聞をめくってたら、日経の全面広告で紹介されていて、「へー」と。

広告によると、この調子で水を使い続ければ、世界人口の3分の2の人が数年後に水不足になるらしい。水問題って派手じゃないけど、生きることこれほど直結する資源もないから、覚えとこう。

どこかの団体が広告を出しているのかと思ったら、控えめに、福井県の大野市とある。懐かしい。北陸に住んでた頃、恐竜博物館に遊びに行った帰りに寄った。アイスを食べた施設は、そういえば、せせらぎが聞こえる水辺空間で、気持ちよかった。市ホームページによると、至る所で水が湧く「名水のまち」らしい。意味のない観光PRの広告打つより、よっぽど問題意識や方向性が垣間見えて、大野市さん、すてき。

水のまちってすてき。水を通して、空、山、川、海がつながって見えるから。しかもこれって、まさに旭川が得意なところ。水を感じやすいから。

大雪山の伏流水があって、石狩川とかいろんな川が流れていて、ぜんぶ絵になる。自転車に乗りたくなる。掘るのが浅めでも地下水が出るという話を聞くし、わがままじぃじぃでも井戸水を取っている。

ゲストハウスの「旭川公園」も、水を大事にする場所にしたい。子ども(つまり実は大人も)の、バチャバチャしたいっていう気持ちも大事にしたい。

必ず見えやすいところに、井戸を置こう。使い方は、他の遊具と一緒でいろいろ。「これはこう使わないといけない」と縛るんじゃなくて、自分で考えて、自由に使う。検査して飲用できるならどんどん飲む。子どもたちが川をつくって遊ぶ。ハーブやヨモギを育てる、上げ床式の家庭菜園に水やりしてもいい。夏は、冷やし流しラーメンのワークショップに使うのもいい。

大事なのは、目の前の水がどこから出て、どう使うのか、見て、触れて感じること。ちょっと敷地の外に出ると、大雪山を望める。蛇口をひねるだけだとピンとこない、水の来し方とありがたさ。それが分かれば、無駄使いはしなくなる。水を大事にすれば、山も田んぼも川も花も、大切にできる。

食べ物もこれだけフードロスの問題が言われているけど、外食すればみんな、平気で残してる。トレーサビリティが大事とか、顔の見えるとこから買いましょうとか、地産地消とか、いろいろ言われてるけど、なかなか変わらない。大人数の宴会後のテーブルを見るのって、かなりきつい。

専門家じゃないし何か啓発したいとかじゃないけど、とりあえず、自転車の行動半径にある、水・木・食べ物・エネルギーを大切にする暮らしを始めたい。それが旭川の永山地区でできるんだっていうことを見せていきたい。なぜかというと、心地よくて楽しいだろうから。

年に一度、「水の日」に水を考えてみる。年に一度、「旭山公園」に来たときに、豊かな暮らしを考えてみる。そうなれたら、サイコー。

エネルギーの話はまたじっくりと。

瀬戸で「どう生きたい?」を考える夜

ゲストハウス三昧の日曜、後半戦。ゲストハウス「グローカル」で嬉しく、気持ちよくなり、そのまま名古屋から中央線の電車に乗り込んで、高蔵寺で愛知環状鉄道に乗り換えて、瀬戸市にある妻の実家へ。

瀬戸の夕暮れ

道路から、隣のお宅にお住まいのパパの姿が見えたので歓談&売り込み。家族でスキーに行くのが好きなんだって。ゲストハウスの周りのスキー環境や、ラッセル車が毎日目の前で走っていることをお伝えしたら、がっつり興味を持ってもらえて、さらに気持ちよくなってしまった。12月のクリスマスにお待ちしてます!

30分くらい休憩して、妻・茜とお出かけ。

名鉄の尾張瀬戸駅の近くで、コミュニティFM「ラジオサンキュー」のパーソナリティーの林ともみさんと合流。林さんには家族ぐるみでお世話になってる。パーソナリティー・役者の池戸陽平さん(旦那さん)、21番染色体がリング状(幸せの形)になっていてゆっくりじっくり成長されている娘さん、娘さんをごく自然に支え、仲良しで優しく凜々しい息子さん。

わが家の長男も障がいがあるので、これまでいろんな相談に乗ってくださり、アドバイスをもらってる。まぶしいというよりあったかい、太陽のような、もう理想のご家族で、わが家の道しるべです。

向かった先は、28日にプレオープンしたばかりのゲストハウス「ますきち」。建物はラジオサンキューの収録とかにも使われていた古民家で、少しずつリノベーションが進行中らしい。

雰囲気ある、「ますきち」の外観

オーナーは、北海道大を出て地元の瀬戸に戻ってきた南慎太郎さん。北大出身というだけで付加価値ついてるのに、24歳よ。若い若すぎる。事前にフェイスブックの写真を見てたけど26歳くらいかと思ってましたよ。

南さん㊧と林さん

古い建物はとにかく大変。作業そのものもそうだし、用途によっては法的な対応とかも。まだまだグランドオープンまでの道のりは長そうだけど、一通り案内してもらいながら、あれやこれや話し込んで勉強。

少し脱線しますがお許しを。瀬戸は「せともの」の由来にもなった、焼き物の一大産地。瀬戸といえば焼き物。「陶都」でありました。瀬戸支局にいた時はとにかく焼き物の取材が星の数ほどあった。ペンを投げたら焼き物に当たる、っていうくらい。九州やら長野やら東京やら、いろいろ見に行っては原稿を書いてたなあ。転勤間際に駆け込みで31回の連載をやったのも懐かしい。記者として、瀬戸は原点中の原点であります。

さて話を戻すと、「ますきち」は瀬戸らしさをいろんな形で演出してた。陶器の製品を載せる「モロ板」を階段に使ってたり、地元で生産されてる碍子(がいし)をハンガー掛けに使ったり。古材にまじって、銅作家さんが手がけた洗面所のボウルもあった。インスタが喜びそうな雰囲気が随所に。

この階段に「モロ板」が!

見学した後は近くの居酒屋に移動。辣腕で知られる、リクルート出身で元瀬戸市役所職員のキャリアコンサルタント・柴田朋子さんに合流してもらって、南さんを拉致して飲み会。

超多忙の柴田さん。前日にお声かけして偶然タイミングが合った! もはや必然だと思うけど。名物ブログはお金出してでも読みたいくらいで、だいぶご無沙汰してたけど、いつも指針を与えてくれてる存在なんです。生き抜く力を各方面に振りまいてくれてるような。

私と南さんは柴田さんに怒られることを期待して、そわそわ・ワクワクしながら着席。ビールが進む進む。焼酎の「茜霧島」も進む進む。ハートの調子がいいと、どんどん飲めるわ。

ここには書けない内容もたくさんあったけど、大まじめな、ありがたいお話をたくさんいただいた。

柴田さんからは、企業を絡めた事業の展開についてアドバイスを。具体的な事例紹介とともに。さすがすぎて、心の中で、ひたすらひれ伏す。刺激度はすごいもんで、ビールがまた進む。クラウドファンディングの話に絡めて、世の中の人がどんな気持ちで支援しようと思ってるのか、も教えてくれた。

茜には「松本くんは夢見る少年だから、もうどうすることもできない。茜ちゃんはどう生きていきたいの?」と核心を突く質問が!

これ、めっちゃ大事なこと。

ゲストハウスも公園づくりも、誤解を恐れずに言うとあくまで手段。自分たちがどう暮らし、子どもを育てて、死にたいか。それが出発点で、ゴール。これから忙しくなってきても、こんな大事なことを忘れないようにしたいな-。

体に目一杯入るパワーをもらった日曜日。一夜明けた月曜も、フルパワーで動けた。人に会うことでしか元気になれない。

「グローカル」な気持ちに満ちたゲストハウス

「ジョンダリ」と名付けられた台風12号が浜松を通りすぎた日曜、鈍行連絡に乗っていざ名古屋方面へ。念願のゲストハウス三昧! (二カ所やけど)

まずは有名な「グローカル」へ。名駅から徒歩7分の好立地にある、社員寮をリノベーションした建物。今年6月でオープン3周年。おめでとうございます!!

宿泊者の通用口。チェックインはカフェで

オーナーの市野将行さんには、私・松本が愛知県で勤務していたころ(2008~2011年)にお世話になった。多才で、人を引きつける力が半端なく、果てしないバイタリティ!!というイメージだった。大ナゴヤ大学という、みんなで学び合う、まちなかをキャンパスにした取り組みがあって、その取材と飲み会で市野さんと知り合うことができた。ご縁はほんとにありがたや。

市野さんは世界中を旅し、英会話教室を運営されていた。愛する名古屋で地元の若者と海外の人との交流を生みたい、といろんな活動をなさっていて、ちょっと前から「グローバル」と「ローカル」を掛けたグローカルって言葉が流行ってたので、目指すところはなんとなく自分にもイメージできた。

で、今回、旭川公園ゲストハウスの準備に合わせてあらためてグローカルさんを見てみたら、その人気の高さはすごくて。立ち上げで、めちゃくちゃ大変な思いをされていた記憶があっただけに、世界観がぶれずに、当初の思いをずっと貫かれていて、めちゃくちゃ男前です。

市野さんに案内されて、チェックインの流れや各フロアの特徴、計画時と今での想定内/想定外のこと、具体的にご教示いただいた。定員はホステル的に50人弱と大きいのでトイレやシャワーの数、ベッドのサイズ、室内のレイアウトとか、(当たり前だけど)いろんなことが計算されていた。随所に、1階での交流の背中を押すような工夫があった。勉強になります。

1階のカフェで、あらためてじっくりお話を聞かせてもらう。苦労話や運営のノウハウはもちろん、大事な心構えをいくつも教わった。

市野さん!

言葉(外国語)ができるうんぬんじゃない。人間同士、必要としているものが分かるかどうか。想像力です」。英語が超堪能で日常的に海外の人とコミュニケーションされている市野さんの言葉は、重みがある。そういえば会社の特派員の先輩記者も、同じこと言ってたな-。

どこまで気持ちを込められるか。愛知で一番気持ちがあると思ってやってます」。快適に過ごし満足してもらうために、どれだけお客さんに寄り添えるか。諦めずにベストを尽くせるか―。それを、どこまでも追求されてる。愛知県内のBooking.comで一番評価が高いからこその、強烈な説得力!!

これ、自分がやらなきゃ誰がやるんだろうって思ってきた。松本さんも、松本さんしかできないことを頑張ってください」と言ってくださった。松本にしかできないことをやらないと意味ないし、つまんない。 金言!

写真撮り忘れたけど、ランチはキッシュのセットをいただいた。風味豊かで、めちゃおいしかった。気持ちよくて、昼から生ビールもたらふく飲んじゃった。

カウンターの向こうの壁には、海外のビールとかがズラーっと並んでる。ぜんぶ飲んでみたい。

泊まれなくて飲むだけでも、名古屋にいながら海外旅行しているみたいな気分になれそう。出張帰りとか、駅ナカじゃなくてここに来たほうが気持ちよくなれるわ。

世界一周をしているというスタッフさんと市野さん。帰り際はずっと手を振ってくれた

予定調和がない、という美しさ

静岡や愛知が台風の警戒で大変なことになってる。新幹線は運休を事前にアナウンスし、自治体職員の皆さんは夕方から未明にかけて缶詰めになるかもしれない。

そんな大型台風の影響を免れるためなのか、高校野球の静岡大会がきのう27日に無事、終わった。荒天のあおりを受けなくてほんと良かった。

夏の甲子園は朝日新聞が主催する。新聞業界で、他社がやっているのをこれだけどの社もエネルギー割いてやるってのは、高校野球ならでは。(大相撲とかもあるといえばあるけど)。結果を知りたいニーズは大きい。地域の代表同士がしのぎを削って上を目指す、というのが、なんともいえないドラマと関心を呼ぶんだろうなー。100回の伝統というのも、うなずける。

27日の県大会の決勝はすさまじいシーソーゲームだった。点を取られたら取り返し、流れを相手に持って行かれたように見えても、諦めムードなんてみじんも漂わず、笑みさえ浮かべて、これでもかとなかりに反撃を続ける。もう気持ちいいことこの上ないし、状況不利な場面を眺めて「あーあ、これでもうキツいよな~~」と、したり顔で中継を見つめていた自分がめちゃくちゃ恥ずかしくなる。

必死さがすさまじい。こっちは訳知り顔の評論家みたいな、勝手なことを言う外野。高校生たちはもう、2年間や3年間の自分のすべてをぶつけてきている。かっこいい。

しかししかし最近の高校野球。24時間テレビとか障害者を取り上げる番組と同じように「感動ポルノ」って言われることもあって、なんだかなーと思う。球児は泣かせるために頑張っているわけじゃないし、プロデューサーに打診されて野球をやってるわけじゃない。災害報道と同じくやたら美談に仕立てるのはどうかと思うけど、球児のドラマは作りものじゃない。グラウンドに予定調和はない。だから結果的に美しい。

高校球児の皆さんと比べるべくもないけど、自分も高校生のころは、がむしゃらな時期があった。修学旅行の企画をする立場にあったけど理想は実現できず不満だらけで、そのエネルギーを3年生の時の卒業旅行にぶつけた。そんでもってその卒業旅行が原体験になって、今の旭川公園に続いてる。不思議。 こっちも美しいものにしないと!

コモン棟と小屋が素晴らしい件。

金曜夜に旭川公園メンバーと打ち合わせ。共同スペース(コモン棟)と小屋(タイニーハウス)の、基本的な考えを固めることに大成功いたしました! 全体の大まかな絵ができて一週間。いいペースで進んでる。

まずコモン棟。左側は、宿泊者だけの専用スペース。シャワー、洗面、ミニキッチン、トイレ、乾燥・洗濯機を置く。右側に引き戸があって、カフェスペースに移動できる。

目玉は、そのカフェスペースでして。朝は宿泊者に朝食を召し上がってもらうところ。メニューは洋食がグラノーラ(詳細は追って。地元食材使って神戸の専門家が監修してくれる垂涎もの!)、和食が、屯田兵の頃からの手作り品を使ったみそ汁、卵かけご飯、漬物、甘酒・・・。

日中は、稚内に続く線路を走るディーゼル列車や、公園スペースで遊ぶ人たちを眺めながら、コーヒーが飲める。浜松城公園の「タタズミコーヒー」旭川支店を目指します。軽食は焼き菓子、パン系、グラノーラを用意します。ちゃんとしたランチはやりません。

自分たちで何もかもできない、という事情もあるけれど、このカフェスペースはいろんな人に活用してもらいたいなー。旭川や近郊で、特技や趣味がある人のシェアショップとして。妄想ベースだけど、すぐ近くの旭川農業高校や旭川大学食物栄養専攻の学生さんたちのチャレンジショップとして。「小商い」を持ち寄る場、有り体に言えば委託販売の場として。めちゃくちゃ楽しくないですか?? カフェスペースだけじゃなくて、学生さんたちの力はぜひお借りしたい!

宿泊者専用スペースとは別に、「誰でもトイレ」を設けます。車いすの人やベビーカーの親子連れにも気持ちよく使ってもらえるように大きめに造ります。ウッドデッキに緩い勾配をつけるとか、入り方を工夫しないと。屋内だけじゃなく、ウッドデッキにも公園にも自由にイスを。

カフェスペースは、「こぢんまりとして、かわいい」(設計者談)雰囲気に。小屋と同じテイストで、上質感がありながら「豊かなシンプルライフ」を体現する感じになる予定であります。

コモン棟のラフ図面であります

さて、もう一方の小屋は、というと・・・。スペースの関係で、2人用が2棟、3人用が1棟となりました。小型の薪ストーブがもれなくついております。

2人用は一つが、女子2人旅を想定したもの。ロフト形式として、ドミトリー(相部屋)利用もしやすく。もう一つは、ユニバーサルタイプ。あえてバリアフリー対応とは呼ばない。引き戸にして、段差のないシームレスタイプ。ベッドへの移乗もしやすく。車いすの人が旅行をする時、おっきくて新しい、バリアフリー対応のホテルがほとんどのような気がする。言い方を変えれば、選択肢が限られる。でも、たまには一風変わった宿でローカルな暮らしを楽しんでもらいたいし、ユニバーサルな公園(コミュニティー)を目指すので、ここはお金がかかってもちゃんとしたい。

3人用はファミリータイプ。クルマで15分かからない旭山動物園帰りに休んでもらえるような空間にする。一日中遊んでクタクタになってから、動物園からレンタカーを30分運転して、旭川らしさがあるわけでもない、中心部のホテルに宿泊するのって、もったいなさがあると思ってて。朝起きたら、ドキドキする遊具(詳細は後日公開)でまた思い切り遊んでもらえれば。

いずれの小屋も、スーツケースをベッド下に置けるように、あと雪の日に濡れたものを乾かしやすくするよう収納にも工夫を。

小屋(タイニーハウス)のラフ図面。実際は2人用×2棟、3人用×1棟

定員は8人で収支計画を立ててたけど、7人でやっていけるように再設計しないと。(できるだけ単価を上げずに・・・)

今後、旭川公園チームの建築メンバーには、図面を詰めてもらってCGを描いてもらう。施工チームに入ってくれる、北海道のyomogiyaさんこと中村直弘さんに見積もりを出してもらう。

あー楽しい。あー大変。あー生きてるって感じ。

JR北に400億! 〝駅活〟はじめたい

国交省がJR北海道に400億円の経営支援をすると決めた。27日、石井大臣が表明。このブログでもこの間、国が支援策を夏に決めると書いたばっかりだったので、発表がけっこう早かったなーと驚き。

毎日新聞やら朝日新聞やら一斉に速報してた。あしたの北海道新聞が楽しみ!

7月28日付、朝日新聞の経済面

金額としては地元の求めていた規模より小さいけど、「監督命令」なるものが目を引く。経営をしっかり監視していくらしい。菅官房長官も「目に見える経営改善」を求めたらしいから、国民全体の目が北海道に注がれることになる。

鉄道に乗って残しましょう、なんていう活動はもう随分前からあるけど、クルマに頼り切った生活をいきなり変えるなんて無理。

だから〝駅活〟から始めたい。遠い昔はどこでも、今でも都市部では、駅は地域の中心だった。核だった。心臓だった。移動のためだけじゃない、代えがたいパブリックスペースだった。

それがどんどん鉄道からクルマに人が流れ、駅前が寂しいのはローカル線共通の見慣れた景色になった。こうなるともう悪循環しかない。

そんな中でも、駅を利用した取り組みはじわじわ広がっている。JR九州の豪華クルーズトレイン「ななつ星」とか新幹線「つばめ」をデザインした水戸岡鋭治さんは、地域を豊かに、よくするために、駅のリ・デザインから始めた

 

ゲストハウスの予定地の最寄り駅から2駅で、スキー場やピップエレキバンで有名な「比布駅」は駅舎をカフェにして賑わいを見せている。

幻に終わったけど、旭川を目指す前に検討していた、沼田町というところでは、未使用のホームで〝駅活〟できないかと模索していた。駅っていう公共空間をもっと豊かに、使いやすく、子どもに誇れるものにしたい。

恥ずかしい。。。

ゲストハウスは、旭川駅から14分の永山駅が最寄り。駅の周辺はまとまった空間あるけど寂しいからマルシェとかできそうだし、「旭川公園」(予定地)に、鉄道に乗ってでも来たくなるような魅力をつくろうと思う。もう一つの最寄り駅の北永山駅は、旭川農業高校の生徒さんが通学で使う。ただの殺風景なプレハブ待合室があるだけなので、ちょっと時間をかけて愛着のある施設にリノベーションできたら楽しいじゃん!!

〝駅活〟はじめたい。