家族全員で迎える宿に

いつもお世話になっている(でも実は初対面)沖電気工業の松山和馬さんと、ご紹介いただいたジャパンケーブルキャストの徳永慶一郎さんが旭川に来られた4月24日夕のこと。旭川の間違いない名店「ぎんねこ」で家族みんなでお迎えし、ご飯を食べる幸運にあずかった。

そこで松山さんも徳永さんも「家族っていいよなぁ、一緒にいるって大事だよなぁ」と口をそろえていらっしゃった。松山さんは知的障害のある長男・大滋(たいし)の小さい時(愛知県瀬戸市時代)からご存知で、底抜けフレンドリーなキャラクターも全部ふくめて、「家族の良さは、価値になるよ」とおっしゃった。

過分なお言葉で、自分の家族のことを文字にするのはめちゃくちゃ面はゆいけど、ゲストハウスをやる上ですごい大切なことを思い出した。

宿をやろうと思ったのは、①自分が旅・宿好きだから②地域の人と外の人も交われるメディアだから③地域のあらゆることに絡む裾野の広い存在だから―という理由があったけど、家族のことを考えた結果でもあった。そういえば。

自分がやりたいだけじゃなくて、妻や子どもたちにとっても楽しくて豊かに生きれること、もっといえば、全員で強みを生かせる仕事はなんやろかと考えてたんだった。そして宿、とくに民宿や家族経営のユースホステルのようなイメージが浮かんでいた。自分にとって原体験の卒業旅行で初めて行った屈斜路原野ユースゲストハウスも、そんな存在のあったかい宿だった。

松本家の子ども3人はまったく人見知りせず、図々しいくらいに大人の懐に入っていく。大滋も、同世代といるより大人と一緒にいるほうが大好きなようで、愛想を振りまき、外国人を見かけると、所かまわず「ハロー」と声をかける。だから、自然と笑顔を招く。

こういうのって、もし自分がゲストだったら嬉しいと思うし、地域暮らしを見せていく宿を展開するんだったら、家族をまるごと見せてなんぼ。自分たちそのものを売っていく、とも言えるかなと。家族みんなが旭川暮らしを全力で楽しんでいることを、どんどん出していく。そしてゲストに旭川や周辺のファンになってもらう。そんな循環ができたら嬉しいなって思う。

ゲストハウスといっても、いまやものすごく多様化していて、経営主体も家族から個人、学生仲間、株式会社とさまざま。

その中で、自分たちだからこそできるのは、自分の自慢できる家族でいろんな人たちをお迎えすること。お迎えというか、一緒に楽しむこと。松山さん、徳永さんとゲラゲラ3時間も笑って、久しぶりにそんなことを思った。

会社を辞めて北海道でゲストハウスをやると宣言したとき、「家族いるのに何考えてるの」とよく言われたけど、家族がいるからこそやりたいし、見せていきたいものがあったんだよね。そういえば。と、無理やり正当化してみる。