“前坂の味”を受け継ぐ「ジンギスカンの博」

宿泊のゲストさんから、「前坂さんなくなったみたいですけど、食べられますか?」というお問い合わせをちょくちょくいただきます。このホームページなどをご覧になって、道外の方も「前坂さん」に興味を持ってくださる方がいて、うれしい限りです。そして、あの味を受け継いだ、お店の情報をしっかりお届けできておらず、すみません💦

 「ジンギスカンの博」というお店です。「前坂」で十八年勤めた大橋陽子さんが切り盛りされています。水回り設備の施工会社を営むご主人の名前から「博」と名づけたそうです。

 お店の入り口の頭上には、ジン鍋のオブジェが! こういう 内外装にも ご主人やお仲間の思いが詰まっています。まさに手作りのお店。店舗は、前坂の調理場だった一階を改装しました。ちなみに、二階は以前からご主人の倉庫だったそうです。すごい縁!

 大橋さんは「前坂」ではベテランの域で、閉店の1年ほど前に閉じることを知らされても、当初は引き継ぐ考えはなかったようです。それでも、常連客の熱望を受けた女将さんから「やってみないかい?」「やってごらん」と打診されて、思いを固めました。設備を譲り受けるなどサポートも受けて、周囲の期待に押されるように、予定より一か月以上早くオープンしました。

 準備はドタバタだったものの、技術や運営面での継承はスムーズだったようです。大橋さんは「十八年やってきたので、スライスからタレ作り、配達まで全部できます。あまり苦労しませんでした」と笑います。六十六年続いた味を守るのはプレッシャーがありそうなものですが、「前坂」のご主人や女将さんが近くで見守ってくれて、やりやすいといいます。

 十八年間、一つの家族のような温かい前坂で働いた大橋さん。その味の魅力を「タレはリンゴをすり下ろすところから。体に悪いものは使わず、全部手作りで手を抜きません」と語りました。二大看板のジンギスカンやホルモンは、そのまま引き継ぎました。

 一方で、時代に合わせた進化も目を見張るものがあります。

 子どももお腹いっぱいになるように、臭いを避けたい人も気軽にと、ラムより手頃な値段であっさりした「豚ジンギスカン」が新登場!コンパクトな店内で混雑しないよう、ラムも量り売りはせず、500グラムと1キロのみの設定にしました。ラム以外は冷凍とし、すぐ渡せるようにしました。すでに地方発送も始め、人気だった餃子の復活も計画中です。

 今回の“復活”に常連は「ジンギスカン難民だった」「やっぱりこの味じゃないと」と喜んだそうです。「地元の人に愛される味。できる限り長く残していきたいです」と大橋さん。

「ジンギスカンの博」は旧前坂から約五十メートルで、永山支所駐車場の向かいです。旭川公園ゲストハウスでは、焼き台・炭・トング類・紙皿などをご提供するプラン(税込み1,000円/人)と、食材調達(ラム肉、野菜、〆のうどん)から調理まで含めたお任せプラン(同2,700円/人、お子様は召し上がる量に応じてご相談)があります。 ※屋外で召し上がっていただくのは、午後8時30分までとなっております。