ふだんの金沢に逢いに行く旅

二泊三日の旭川から帰ってきた次の日からは、また二泊三日で久々に金沢へーー。浜松で働く前は4年間、金沢にいたのでお世話になった人も多く、もともと親戚が石川県内にたくさんいるので、ご挨拶行脚を兼ねた旅。

親戚に退職&移住&ゲストハウスの話を打ち明けると、漫画のように「えーーっ」という反応。でも自分の父親とは違って、なんでそんなことを考えるようになってしまったのか興味を持って聞いてくれ、最後は「一度きりの人生だから」「体だけには気をつけるように」と理解してくれて、きもちよく送り出してくれる。ちゃんと軌道に乗せて、また笑って挨拶に来れるようにしないと!と決意をあらたにする。

1日目の夜は、北陸本社の先輩方とソウルフード・第七餃子。トライアスロンや鉄人レースで自衛官より強いアスリート兼ジャーナリストの先輩は、この日のトレーニングでアキレス腱を断裂するも、松葉杖をついて参戦してくださった。

※著名人のため顔出しNG

 

なんか、いつでもまた会えるような気がするので、そんなしんみりせず、別れ際も気持ちよく。2軒目では、自分が学生時代に通っていた東京・恵比寿の立ち飲みバーで働いていたお姉さんも合流。なんと、その店の常連で旭川の木工作家さんがいるらしく、さっそく紹介してもらった。どこでどう繋がってるか、恐ろしいくらい分からんもので。

滞在中は二泊とも、長男・大滋(たいし)が通っていた石川県立・明和特別支援学校のお友達のお家でお世話になることに。もはや定宿と化していて、たいへん恐縮ながら、どのホテルよりも落ち着く場所。「あ〜帰ってきたなー」と幸せになる場所。いつもありがとうございます。子供たちも、久々の再会にハイテンションをキープ。他の学校友達も翌日に来てくれてパーティーしたり、ママ同士で深夜の女子会に行ったりして、ほんとにいい時間を過ごせました。 会うたびに、会うたびに、力になってますホント。

最終日は、同じ大学の池田センパイのお宅(新築)訪問&ランチ。金沢時代、なにからなにまで一番お世話になったと言える先輩で、ずっと懇意にしていただいている。とある茶屋街の一角に、「えっ、こんなとこに住宅があるの?」って思う路地にオシャレで遊び心あふれる、リノベーションされた町家だった。住みたい!

茶屋街を散策。懐かしい。3年前まではこれが日常だった

ご飯は、ひがし茶屋街入り口にある「とどろき亭」で。安定してめちゃ美味。「おいしい洋食なんて何年ぶりかしらー?」と文字通り舌鼓。

初めて二階のステキ個室にも入れて最高な時間!    ごちそうさまでした。

 

コンテナを凌ぐコンテンツの家づくりへ

(つづき)

コンテナハウスは幻に終わったものの、「旭川公園」グループのメンバーから心配の電話をもらい、「これは前向きに考えるしかないですね」「もっと良くなるためのステップでしかない」という感じで一致団結。けっこうすぐに気持ちを切り替えることに大成功。

もともと、木造の宿泊棟(小屋=タイニーハウス)とコモン棟とのデザインの統一感を考えると、コンテナより木造のほうがいいんじゃない?っていう意見もあったし、空間として1つの世界観を出すには、同じ人に設計・施工をお願いしたほうがシンプルで美しい仕事になると確信。

松本憲さんからの提案もあって、施工は住宅以外の建物と同じくyomogi8さん(中村直弘さん@北海道)に頼もう、となって意見が一致。信頼できる、気持ちを一つにしてやってきた仲間たちとの仕事は速いし、なんといっても気持ちいい。「これは間違いないな」っていう安心感が半端ない。

この、いくつかのやり取りがあったのが23日。そんで、25日は憲さんの事務所(浜松市のフォルム建築設計室)で所長さんを交えて打ち合わせ。ものすごいスピード感!

この場で、こんな事態になった背景をおさらいし、法的にやっかいなことがあるとご説明。そしてすぐに、フォルムさんの方で設計を進めてもらうことになった。とけない根雪が積もる前に基礎を打てたら打とう、という、これまでとほぼ同じタイムスケジュールも確認。なんと!!

「寝室」「リビング」と部屋の用途を限定しない間取り、二階建てをやめて平屋にすること、将来的なロフトの増設余地、洗面所と独立したトイレ・・・。こっちの要望はあちらの提案が、スパっ、スパっとはまっていく。楽しい!さっそく図面を描き始めてくれ、そのライブ感に卒倒しかけた。

描いてくれるのは、憲さんの奥さんのしのちゃん。「こんな経験なかなかできない。『まぁこんな感じかな』って済ませたくない。『ここまでやったから!』と思えるくらいやらないと気が済まない」とは本人の弁。うれしいなあ。

そしてそして、たった二日間を挟んだ28日、憲さんから「平面プランができてきて打ち合わせを」「最低限の極小住宅プランで満足してます」とメッセンジャーが入る。これは間違いないものができてるなー。こんなスピード感で住宅ができるなんて、もう感動しかない!

これまでの100倍くらいのスピードで進み始めたので、一気にテンションが上がってきた。住宅をめぐるドタバタも、最良のゴールに向かうための必要なプロセスなんだなー。少なくとも3年後くらいには、心からそう思いたい。

(おわり)

 

 

コンテナハウスは夢のまま幻に

9月23日朝10時すぎ、旅行先の金沢。コインランドリーで洗濯物を放り込もうとしたら、スマホが鳴った。今年春から相談をしていた、八王子にあるコンテナハウスのメーカー社長からだった。

今回のゲストハウス計画は、全体で5つもの建物を1つの敷地に建てるので、建築基準法上、なかなかやっかいなパターンだった。複数のものを同時に同じ敷地に造ることができないので、住宅を管理棟として位置付けて、そのほかと従属関係を持たせないとクリアできない。だから、住宅とそのほかの部分で設計者が違うと、誰か代表を置いて市役所に申請を出さないといけない。誰でも好んでやってくれるわけじゃない。だから一緒に楽しんでくれる人とやらないといけない。

その住宅をコンテナ(海上輸送コンテナではなくて、建築用のコンテナ型重量鉄骨)で建てようと思って、ずっと計画を練ってきた。でも、担当の人ががなかなかこちらの意図や事情を理解・伝達してくれず、数ヶ月単位で時間だけが過ぎていき、設計にも全然話を通しておらず、あまり意味のない打ち合わせをすることもあった。そのたびに、八王子まで片道3時間以上かけてお邪魔していた。

電話をくれたその社長はステキな理念をお持ちで、推進力があり、おもしろがる能力に秀でていて、正直かなり惹かれていた。でもその社長には、土地利用の事情がきちんと伝わっていなかったようで、この時の電話では「こちらは特殊な工法でコンテナハウスを造るので、守秘義務のこともあって、ほかの設計者と組むことはできない。住宅とそのほかの部分とを分けて申請すると思っていたけど、今回のような形なら協力はできない」ということだった。

え?   それ、いま言う?

ここ一週間くらいで担当の方が社長にケツを叩かれてやっと動き出したと思ったら、組織内でぜんぜん認識が共有されていないことがだんだん分かってきた。前日22日も「え?それ今までに言ってますよね?」ということを電話で何度も聞かれ、挙げ句の果てには「いま言ったことをメールでまた送ってほしい」と訳の分からないことをおっしゃる。そのたびに、長い、長いメールを送らないといけない。

思わず乾燥機を蹴飛ばしたくなって、関係各所に「コンテナハウスがダメになった」と連絡。

間違いなく、これまでで最大のピンチであります。

住宅が建てられなければ、開業はできない。これまで、雪が降る前に基礎を打つというスケジュールでやってきて、それを信頼し、見越して退職時期を決め、いろんなことを調整してきた。それが全部、振り出しに戻ったかたち。

担当の方は、こちらが金沢や名古屋にいる間、二度浜松に足を運び、詫びを言いたかったみたいだけど、一からやり直さすために動かないといけないので、当然そんな時間もなく。メールでいろいろと苦言を言っても、「お優しい言葉、有難うございます」と来て、あーほんとに伝わらないことってあるんだなぁ、としみじみ。これまでのモヤモヤが妙に納得できたし、「多分この方は、一応こっちの人生もかかっていたプロジェクトなんだと理解されることはないんだろうな」と確信。こちらに甘さがあったし、「なんかおかしい」と感じた時に、方針転換しておくべきだった。

まぁなんかやろうと思えば、予想外にいろんなことがある。そのたびに自分も試される。いい勉強にはなった。

そしてこの話がおもしろいのは、これで気分が沈んだままにならなかったこと。すぐに信頼できる仲間と前を向いて、新しく最良の道を見つけることができた。(つづく)

 

 

 

「旭川公園」のシンボル遊具の方向性が決定!

8月22日(水)は、泊まった妻の実家(愛知県瀬戸市)を早朝に出て鈍行列車で浜松に戻り、普通に仕事。夜は秘密基地みたいなところで打ち合わせ!わくわく

会場は、浜北区のコインランドリーにほど近い、とある工場(こうば)

おなじみの鈴木裕矢さん、松島弘幸さん、松本憲さんと、オブザーバー(?)に世界で一番洗濯したくなる小屋を置く予定のランドリーをそばで経営してる細田尚弘さん。

旭川訪問の結果を報告。平面の図面では法的に問題なかったこと、細かい注意点、共同スペースの厨房を大きくするかもしれないこと、暖房の検討とか、もろもろ報告して、今後のスケジュールややるべき事を共有。

現地では冬の集客の厳しさについてあらためて指摘を受けたけど、「本州の人が楽しめるコンテンツは絶対ある」という認識で一致。松島さんからは、星野リゾートが青森でやってる宿で、冬の集客が課題になっていて、温泉に氷瀑をつくることでお客を引き寄せたことを教えてもらう。奥入瀬渓流のホテルのはずだけど、その着眼点と実現に向けた努力量がすごいわ。

ゲストハウス「旭川公園」(仮)でも冬は厳しい。でも全国で唯一毎日運転されるラッセル車を撮影しにくる人へのアピールや、近くの比布町のスキー場で合宿する人へのアピール、地域の自主除排雪活動への参加とか、犬ぞりへの送客とか、やってみたいことは雪山のようにある。

憲さんからは、広場部分に置くシンボリックな木製ジャングルジムについて、「なんかしっくりこない」と意見が。周りの建物の世界観と、なんとなく合わない。自分も一緒だったので、じゃあ何がいいか、どんな機能を持たせるのかと、ああでもない、こうでもない、と考える。

左から鈴木さん、松島さん、憲さん、細田さん。鈴木さんはこの写真のブログ掲載許可を請うと、「僕は水虫じゃないってことを書いてくれたら」。水虫ではないです

こっからこのメンバーがすごいのは、「なんで『公園』にしたんだっけ」と原点に立ち帰り、そのイメージを基にすぐ次のアイデアが浮かぶこと。で、アイコン(シンボル)がほどなく決定。憲さんがおもむろに絵を描き始める。遊び方を定めないいろんな遊具や、商品(?)への展開とか、妄想を膨らませてあっという間に2時間がたった。

すごくすっきり。いい公園になりそうだわ。

ライラックと会社の仲間に感謝

初めてかもしれない、旭川2泊旅も、もうおしまい。本州に帰らないといけない。

朝は4時45分くらいに起きてシャワーを浴びて、寝ぼけ眼の子どもの着替えをさせて、チェックアウト→旭川駅にとことこと。

北海道の特急を使うとき、「Sきっぷ」っていう安い往復割引切符があって、旭川⇔札幌なら5000円ちょっと。50%安いんだよね。これ使ってみたかったので、みどりの窓口に行って、同一行程で大人2人使えないかと聞いてみたけど、「ご利用になれません」。近くにチケットショップも見つからなかったので、大人しく正規運賃で新千歳空港までの切符を買って、ホームに。駅は至る所に木が使われていて、ほんと気持ちいいわ。

朝6時発の、特急「ライラック」。昔、青函連絡線の「特急」で使われてた789系。ほんと大好きな車両。これがあるから旭川に住みたい、って言ってもおかしくないくらいだわ。かわいいでしょ、どう見ても。

終点の札幌では停車位置を間違えたとかで10分弱もフリーズして、もともと遅れていたのに重ねての遅延。大丈夫かな、JR北海道。乗り換えた快速エアポートは優先席まで若者で賑わっていて、抱っこで耐え忍ぶ30分に。いつもそうだけど、まあ空港アクセスだからいっか。

新千歳空港駅から出発ゲートまでの移動はほんと楽で、ちゃちゃっとスカイマークで手続きして、お買い物。スカイマークは安心感半端ないし、この日は身障者割引使ったけど、いつもながら心地よい応対。1人2万2000円ちょっとと格安じゃないけど、お金払ってもイヤじゃないのがスカイマーク

9時40分に定刻で出発。さすが! 機内では長女を抱っこしてたけど、半分くらい寝てくれて、ラッキー。お礼メールの文面を作りまくる。定刻11時半にセントレア着。

名古屋で仕事して、会社の大先輩とお茶したり飲んだり、同期が壮行会開いてくれて、満腹な夜。旭川では落ち込むこともあって、これまでで一番どよーんとしてたけど、やっぱり人に会うほど元気がでてくる。感謝。

 

 

世界で一番、洗濯が楽しくなる小屋

作業する松本憲ちゃん

ゴミ(不要物)を愛して磨きをかけ、新しい命を宿らせて、おしゃれな作品に仕上げちゃう建築家の松本憲ちゃんから、メッセンジャーの「旭川公園グループ」にアナウンスが。「ワークショップで誰でも参加で小屋作りしてるので、松本ファミリーで都合の良いときに遊びにきてください」

場所は浜松市の浜北区ときた。「サン・ファイン」っていうコインランドリーらしい。で、行ってきた。

「現場」のサン・ファインというコインランドリー

外観だけ見たらほとんど完成してるような感じだったけど、キュートといったらありゃしない。ラッキーなことにキャスター(車輪)を外す瞬間の「ナントカ式」にも立ち会えた!

とりあえずかっこいい、かわいい

下半分はギザギザみたいなテイストです。これ、洗濯板をイメージしてて、圧倒的な存在感ならが優しい全体の雰囲気をつくってる。窓は実際にお店で使われてた機械の扉の、円形のふた。ちゃんと物語や意味がある。

小屋っていう響きだけでもかわいいけど、久しぶりに実際に見てみると「抱き締めたい!」っていう感じになる。しかも屋根は可動式!キャンピングカーみたいにボワン、と開くのです。

子どもたちは当然のように大はしゃぎして、お店屋さん気取り。中に入って、工具のインパクトドライバーとか木に触ったり。

子どもたちも大喜び

小屋って、見た目の可愛さはもちろんだけど、この秘密基地感がたまらない。大きなハコじゃないから、中と外がつながりやすい。旭川の公園ゲストハウスでも、思わず外=ローカルを感じに出たくなるような小屋をつくりたい。

この小屋は子どもでも押せるくらい軽く移動できて、軽トラの荷台にスポンと載るサイズ。これで旭川に連れて行きたい。津軽海峡を渡りたい!

憲ちゃんは静岡市のビームス前でも自作の小屋を置いたり、「ビッグイシュー」で作品が取り上げられたり、小屋作りはお手の物だとは思うけど、ほんと愛情込めてんなー、というのがよく分かる。超多忙ながら、好きで、楽しくて、たまらないんだろなー。

お仕事中の、クールな表情の憲ちゃん

この小屋を使って、コインランドリーの二代目が何を目指していらっしゃるのかは、あらためて取材して記事にしようー。

みんな笑顔

ゲストハウス「旭山公園」の説明をするとき、「小屋を並べますよ」、「かわいいの作るよ!」とついつい言っちゃうけど、小屋って完成したものしか実は見たことがない。どうやって作られてるのかは、本でしか知らなかった。ちょっとだけ小屋とお近づきになれた気がする。

この日はデザイナーの鈴木裕矢さんもいたけど、「旭川公園」メンバーの普段の仕事の一端も見れて、なんかうれしい。

同級生はいいもんだ

祖母の家を後にして、家族を置いて1人だけ別行動させてもらうことに。JRの三宮駅で降りて、そごう隣のビル「神戸国際会館」地下二階へ急いだ。

創業70年弱の「千代田繊維工業」(加古川市)が展開する、「千代治のくつ下」のお店を訪ねるのが目的。大学のゼミで一緒だった長谷川くんが、何年か前、後を継ぐために地元に戻って頑張っている。帰省した時や加古川の近くに行ったら会おうと思ってたけど、こんな便利な一等地にあるならと、当日思い立ってお邪魔してきた。

10分くらいしか見れなかったので詳しく語れる材料がないけど、女性向けがほとんど。ビビットな配色でシャープなやつから、ベージュ系のふわふわ系まで、色づかいやデザインは多彩な感じ。 おっ!と思ったのが、冷えを取り、デトックスにもなるという「おやすみソックス」。シルクを使っていて、肌によくて、デトックスにもいいらしい。なんか、良さそう。なのでいくつかいただいてきた。今度ゆっくりお邪魔して、レディースだけど、緑色のコットンベストを手に入れたい。

神戸新聞によると、加古川は明治時代からの全国的な靴下産地。ただバブル崩壊後は大手の生産拠点がアジアに移り、千代田さんも売り上げが急落した。三代目社長(長谷川くんのお父上)の奥さまがネット販売に活路を見いだし、自社ブランド立ち上げにつなげたらしい!そして2017年3月に初の常設の直営店(ここ)を実現させたしい! すごい。

ここ、神戸らしい上質な商品に贈られる「神戸セレクション」(2013年)にも選ばれているらしい。特徴ある目玉商品もいろいろ出されてる。どんどん大きくなってほしいー。

この後は摂津本山というJRの駅に移動して、中学・高校の時の同級生と飲み会。

乗り換えの電車を待つ、住吉駅のホームにて

それぞれの仕事のことをひとしきり話した後は、移住&ゲストハウス、AI、経営、工場勤務、ネット取り次ぎ業界のいま、人材開発・・・と、テーマ別のトークセッションが尽きず。なんか、みんな大人になったなあとしみじみ。15年前はバカ話しかしてなかったのに。 CAとして活躍する十河さん、車好きの同志で野望を抱いて転職を控えた辻本くん、神戸で人気の「グラノーラジャーニー」(こちらも神戸セレクション)をやっている敏腕経営者の西村くん、忙しいところありがとー。

ある1人から、若手との接し方について金言が。「どんだけどうしようもない相手だと思っても、理解しようという姿勢でじっくり聞く」「この人が言うなら、と思ってもらえるように人間的な魅力を高めるのが大事」「誰にでも大切にしたい価値観があって、それを見つけ出して導けるといい」・・・。

うーん、これは決定的に自分に欠けている。理解を超えた年下の相手と接すると、「ああ、違う星の人だ」と思って、理解することを自ら拒絶しちゃってる。できる限りアンガーマネジメントして、実践してみようかしら。

そして西村くんからは、お付き合いのある素敵なコーヒーマイスターがいるとの耳寄りの情報が。次の日(6日)、さっそく会いにいく段取りをしてくれた。このスピード感が好き。同級生はいいもんだ。中学時代の恩師が、「今いる友達を大事にせよ。利害関係のない間柄の貴重さは、いずれ分かるから」と言っていたのを思い出した夜。       (つづく)

瀬戸で「どう生きたい?」を考える夜

ゲストハウス三昧の日曜、後半戦。ゲストハウス「グローカル」で嬉しく、気持ちよくなり、そのまま名古屋から中央線の電車に乗り込んで、高蔵寺で愛知環状鉄道に乗り換えて、瀬戸市にある妻の実家へ。

瀬戸の夕暮れ

道路から、隣のお宅にお住まいのパパの姿が見えたので歓談&売り込み。家族でスキーに行くのが好きなんだって。ゲストハウスの周りのスキー環境や、ラッセル車が毎日目の前で走っていることをお伝えしたら、がっつり興味を持ってもらえて、さらに気持ちよくなってしまった。12月のクリスマスにお待ちしてます!

30分くらい休憩して、妻・茜とお出かけ。

名鉄の尾張瀬戸駅の近くで、コミュニティFM「ラジオサンキュー」のパーソナリティーの林ともみさんと合流。林さんには家族ぐるみでお世話になってる。パーソナリティー・役者の池戸陽平さん(旦那さん)、21番染色体がリング状(幸せの形)になっていてゆっくりじっくり成長されている娘さん、娘さんをごく自然に支え、仲良しで優しく凜々しい息子さん。

わが家の長男も障がいがあるので、これまでいろんな相談に乗ってくださり、アドバイスをもらってる。まぶしいというよりあったかい、太陽のような、もう理想のご家族で、わが家の道しるべです。

向かった先は、28日にプレオープンしたばかりのゲストハウス「ますきち」。建物はラジオサンキューの収録とかにも使われていた古民家で、少しずつリノベーションが進行中らしい。

雰囲気ある、「ますきち」の外観

オーナーは、北海道大を出て地元の瀬戸に戻ってきた南慎太郎さん。北大出身というだけで付加価値ついてるのに、24歳よ。若い若すぎる。事前にフェイスブックの写真を見てたけど26歳くらいかと思ってましたよ。

南さん㊧と林さん

古い建物はとにかく大変。作業そのものもそうだし、用途によっては法的な対応とかも。まだまだグランドオープンまでの道のりは長そうだけど、一通り案内してもらいながら、あれやこれや話し込んで勉強。

少し脱線しますがお許しを。瀬戸は「せともの」の由来にもなった、焼き物の一大産地。瀬戸といえば焼き物。「陶都」でありました。瀬戸支局にいた時はとにかく焼き物の取材が星の数ほどあった。ペンを投げたら焼き物に当たる、っていうくらい。九州やら長野やら東京やら、いろいろ見に行っては原稿を書いてたなあ。転勤間際に駆け込みで31回の連載をやったのも懐かしい。記者として、瀬戸は原点中の原点であります。

さて話を戻すと、「ますきち」は瀬戸らしさをいろんな形で演出してた。陶器の製品を載せる「モロ板」を階段に使ってたり、地元で生産されてる碍子(がいし)をハンガー掛けに使ったり。古材にまじって、銅作家さんが手がけた洗面所のボウルもあった。インスタが喜びそうな雰囲気が随所に。

この階段に「モロ板」が!

見学した後は近くの居酒屋に移動。辣腕で知られる、リクルート出身で元瀬戸市役所職員のキャリアコンサルタント・柴田朋子さんに合流してもらって、南さんを拉致して飲み会。

超多忙の柴田さん。前日にお声かけして偶然タイミングが合った! もはや必然だと思うけど。名物ブログはお金出してでも読みたいくらいで、だいぶご無沙汰してたけど、いつも指針を与えてくれてる存在なんです。生き抜く力を各方面に振りまいてくれてるような。

私と南さんは柴田さんに怒られることを期待して、そわそわ・ワクワクしながら着席。ビールが進む進む。焼酎の「茜霧島」も進む進む。ハートの調子がいいと、どんどん飲めるわ。

ここには書けない内容もたくさんあったけど、大まじめな、ありがたいお話をたくさんいただいた。

柴田さんからは、企業を絡めた事業の展開についてアドバイスを。具体的な事例紹介とともに。さすがすぎて、心の中で、ひたすらひれ伏す。刺激度はすごいもんで、ビールがまた進む。クラウドファンディングの話に絡めて、世の中の人がどんな気持ちで支援しようと思ってるのか、も教えてくれた。

茜には「松本くんは夢見る少年だから、もうどうすることもできない。茜ちゃんはどう生きていきたいの?」と核心を突く質問が!

これ、めっちゃ大事なこと。

ゲストハウスも公園づくりも、誤解を恐れずに言うとあくまで手段。自分たちがどう暮らし、子どもを育てて、死にたいか。それが出発点で、ゴール。これから忙しくなってきても、こんな大事なことを忘れないようにしたいな-。

体に目一杯入るパワーをもらった日曜日。一夜明けた月曜も、フルパワーで動けた。人に会うことでしか元気になれない。

「公共R不動産」より②〜理想の公共空間〜

だーいぶ時間をあけてしまったけど、名著「公共R不動産のプロジェクトスタディー公民連携のしくみとデザインー」で刺さったところのメモ。1回目から1ヶ月ぶり。

本の終盤で、岩手県紫波町のオガールプロジェクトで広場を手がけた、ランドスケープアーキテクトの長谷川浩己さんのインタビューがあった。オガールプロジェクトは、公民連携で収益をあげていく大成功例として知られてて、盛岡市のベッドタウンの紫波町の駅前にある元空き地に、図書館、産直、体育館、エコ住宅、宿泊施設、保育園を集約させていて、デザイン、土地活用、ファシリティとかいろんな分野で賞を受けてる超有名な事例。

長谷川さんはこう言っている。「僕はよく、オープンスペースにおける『空き地性』と『庭性』について考えます。この双方をどういうバランスで確保するか、デザインの大きなポイントの一つ」。開かれた庭にしないと人を呼べないし、空き地性とは多様に展開するための余地、みたいなものだという。この、「開かれた庭」っていう考え方がめちゃくちゃしっくりする。ゲストハウスを〝公園〟と呼んでるけど、開かれた庭、と呼ぶ方が分かりやすいかも。オープンガーデンはたくさんあるし、そこに「遊び」の要素を強くだす、という感じになるし。

photo:鈴木裕矢 庭のような空き地。ここにゲストハウスをつくります

しかも特色あるオープンスペースをつくるために大事なのは、誰がオーナーなのか、なんだって。「公園や広場でも、そこに家守みたいな存在がいて、その人のセンスや趣味が反映され、価値観に共感した人がやってくる。デザイナーは、そのセンスや趣味を形にするサポートをする。そうして公共空間がおもてなしの場所としてまちに開かれているのが理想だと思います」

めちゃくちゃ理想。ドンピシャの理想。まさにこんなところを作っていきたいなーとおもってる。

住民向けワークショップでは、「何が欲しいか?」ではなくて「どう過ごしたい?」と訪ねていたそうな。希望を議論すれば揉めるので、できることや予算は限られているし、アクティビティを考える場所にしていたんだって。

ゲストハウスの公園でなにが欲しいかといえば、そりゃなんでもほしい。いまある(必須だと思っている)のは、管理棟を兼ねた住宅、ゲストが宿泊する小屋(中にも遊具あり)、共同棟、キャンプファイヤーみたいな焚き火、井戸、木製ジャングルジム、自転車、落書き看板、イス、テーブル、飲み物やお菓子を出す屋台。

ゆったりしたい人にはそうしてほしいし、遊びたい子どもは動き回る。近くの里山「突哨山」の薪や大雪山の伏流水を汲み上げることで、自給的な暮らしを感じてもらいたい。

お風呂とかまだまだ欲しいなと思うけど、なんでもできるわけじゃないし、やりすぎると何がなんだか分からなくなるので、「何がしたいのか」ちゃんと考えないと。

どうありたいのか、どう過ごしてほしいのか。そして、事業として持続可能なように、どうすべきなのか。考えることが山積み!!

 

 

甘酒と祝福の味

三連休に入ってしまった。落ち着かない。先週まで三週連続で旭川に行ってたので、現地にいないことに強烈なる違和感が!   なんにも準備してない!っていう不安に駆られる。

きょうはゆっくり寝て、甘酒教室へ。妻の茜は金沢に本拠地がある「発酵食大学」の通信制で勉強してきて、自分もこれまで何度か試飲したけど、あの甘さがはどうも苦手。でも「飲む点滴」って言われるほど体にはいいし、夏に冷やして飲むとけっこういい感じだし、味を工夫したら苦手な人でもちょっとずつ入りやすいなぁとは思っていて。

旭川のゲストハウス予定地のすぐ近くには「屯田の里」っていう、農家のお母さんたちの店があって、ここの麹(こうじ)を作って甘酒とかスムージーを作ろうともくろんでる。

屯田の里は、屯田兵だった先祖から脈々と伝えられてきた手づくりの味を生かして、味噌とか醤油、麹、ラーメン味噌、漬物とかを販売してる。添加物を使わないことにこだわって、農薬を使わなかったり減らして、自分たちの家族がつくった大豆や麦、米を原料に使ってる。味噌しか食べたことないけど、リピートするおいしさ。しっかりした味付けで、コクがあるけど、優しい。身近な資源をつかった自給的な暮らしっていうのは、ゲストハウスの世界観の象徴の一つ。

ということで、おいしい甘酒づくはマスターしないと。旭川でも商品化されてる缶の甘酒はあるけど、やっぱ自家製でやってみたい。(地ビールならぬ「自ビール」もやりたい)

ところで今日の甘酒教室で、部屋に入るなり「おめでと〜〜」って祝福された。先生が京都でゲストハウスを開く女性なんやけど、ブログを読んでくれてて、土地が決まったことを我が事のように喜んでくれた!

この先生だけじゃなくて、この数日「おめでとう」って言ってくれる友達がけっこういて、ほんと泣きたくなる。そんな友達多いほうじゃないのに、急に増えてきた感じ(笑) それもフェイスブック上のコメントだけじゃなくて、LINEとかメール、メッセンジャーとかでも。

「ついに進み始めたね」「OB会ぜひ旭川で。クラウドファンディングとかぜひぜひ協力させて!」「おめでとう!!」どなど。過酷なことを乗り越えた経験のある人から「思いを貫き続ければ、少数でも必ず理解してくれる人は出てくる」と言われた時には、そうそう、そうだよなーと膝を打った。自分も、結婚がまさにそうだったし…

こんなエールだけでも嬉しいけど、「最後はカネ。『引っ込みがつかないからやる』というのは絶対に避けて。勇気ある撤退であっても支持する」という友人もいた。なかなかこういう事を言ってくれる人は少ない。ありがたや。シビアであるべき所は絶対に気を抜いちゃいけない。

人によって言うことやアドバイスは違うし、関係が近い方が遠慮して都合の悪いことを言いにくくなる。でもそれを全部引っくるめて、自分で咀嚼して、判断していくことが、今までもこれからも続いていくんだな〜。

始めるのは簡単で、続けることこそ難しい。元気玉をもらって、いろんな声をいただいて、悩んで、行動して・・・。そんな積み重ねが、持続可能な暮らしや事業につながるはず。

夕方は次男の強い希望でプールへ。たまには頭を真っさらにしてゆっくりするのもいいな〜

古橋廣之進記念浜松市総合水泳場「トビオ」にて