真っさらな目で旭川を感じる強行軍② 「yomogiya」さん、こんにちは

宿は旭川駅前の「WBFグランデ旭川」。なかなかお高いけど、部屋はきれいだし、和洋室で大人数でも使いやすい。ロビーには、「北海道生活」とか「&premium」とか「スロウ」とか好きな雑誌も置いてて、いい感じ。ちなみに訪日客はやっぱり中華系が多い。

朝食付きだと思い込んでたけど、確認したら「なし」。皆さんすみません。館内のビュッフェ形式の朝食を調べたら、1700円(宿泊者)と来た。高すぎるので、駅前のイオンに入っているサンマルクカフェを目指す。でも玄関で、なかなかの雨の強さに気が滅入り、「イオンで朝ご飯」への抵抗感も消えなかったので潔く諦めて大枚をはたく。

せっかくなんでイクラの小鉢を何個もたべ、旭川ラーメンを自分でつくった。地元産のものを使った料理は全体的においしかったし、こだわりがあった。嬉しかったのはご飯。先週の「JRinn」と同じで、ゲストハウス予定地のある永山地区のもの。

朝ご飯の後は、長男・大滋と温泉に入ってまったりして、長沼という場所(岩見沢と千歳の中間くらい)に住んでいる大工さんのご到着を待つことに。

大工さんは、「yomogiya」の屋号で仕事をされている中村直弘さん。「住みよさ」を追求して、旭川で小屋を作られた実績もある。文句なしにかわいくて、断熱も薪ストーブも「ならでは」の工夫があって。東京でシステムエンジニアをやっていて、HP制作やデザインなんかもされてる。もう、HPとかインスタグラム見たら、すぐやられます。

中村さんにこちらの計画をお伝えし、一緒におもしろがっていただけることになって、飛び上がりそうになっちゃった。地元のすごい人のつながりや技、知識をお裾分けしてもらわないと、どうしても立ちゆかなくなるし。

ホテルの駐車場では、中村さんの愛車・ハイエースを見せてもらった。説明する必要がないくらい、存在感が半端ない。今夜はここの荷台に泊まるんだって。やべえ。

中村さんとお別れしてからは、予定地がある町内会長さんに先週の結果をご報告。その後は、きびすを返して新たな地権者さんのもとへ向かうことになった。候補地は角地じゃないほうがいいような気が強くなってきたので、なんとかこちらの思いが伝われば、と。祈るようにして向かった。ドキドキ  (つづく)

真っさらな目で旭川を感じる強行軍① 感じないと始まらない

前の投稿から4日もブランクがあいちゃった。反省! 慣れるまでは質より量のはずなのに。心入れ変えよ。

6月27日(水)にゲストハウス候補地の角地が頓挫。失意に暮れていたその直後に打ち合わせし、帰り際、「都合つけば週末に旭川行きませんか? ここで悶々としててもしょうがない」と無茶ぶりをやってしまった。そこから仕事やご家族との予定を調整してもらい、翌日には自分の家族含め8人での弾丸ツアー催行が決まった。このスピード感が皆さんのメンバーのすごいところ。

スキルフルでクリエイティブなチーム(通称:「旭川公園グループ」、略称:AKG)の顔触れは、デザイナーで広告・宣伝・ネット・企画・撮影となんでもござれの鈴木裕矢さん、公民連携をいろいろ仕掛け普段は浜松城公園に日産・キャラバンを置いて「タタズミコーヒー」をやっている松島弘幸さん、ゴミを愛しなんでも作っちゃう、建築家の松本憲さん。

で、週末をつかって行ってきた。

今回も一週間前と同じくお昼のエア・アジア便。だいぶ到着が遅くなったけど、新千歳からデリカを借りて一気に旭川市の候補地へ。夕方4時半を回って、予定地近くに差しかかると、松島さん(確か)が「この辺の家、塀とかないんすねー」とぽつり。あ、確かに。狭い、閉じられたっていう感じがしないのは、そういうのが影響してるのかなぁと気付かされる。

家族チームはご近所さん家族と井戸端会議。旭川公園チームは、周辺を練り歩いてdigging。そばにある、旭川市で最古の小学校に雰囲気のいい丘があることとかを発掘してくれた。

感想は「ここはいいっすね~」「よく見つけましたねー」「〝公園〟をイメージできる」と、しっくりきたみたいで。

撮影:鈴木裕矢 やっぱプロが撮ると違う。
撮影:鈴木裕矢  このままジャケット写真にしてほしい

めちゃくちゃホッとした。これまで自分や妻・茜の中では「いいね」と思っていても、第三者の目、目の肥えた人の目にどう映るのか、魅力的なのかどうか不安なところもあったんで。

明らかに本州のそれとは違う、空の広さ。肺が喜んでる感じのする空気。線路に並行して続く家庭菜園。ディーゼルの普通列車が奏でる、コトン、コトンというジョイント音。空き地に咲く、なぞに色とりどりの花。ご近所さんのフレンドリーさ。確かに北海道らしさはあり、ローカルな暮らしのかおりがある。

なんでここに暮らしたいと思ったのか、3人のメンバーに分かってもらえた。離れた所で100回打ち合わせしても、現地に来て感じることにはかなわない。あとはこれをどう言語化するか。事業としてニーズが見込めるか説明できるようにするか。

これまで角地で検討を重ねてきたけど、そこにこだわらなくてもやれる。逆に角地じゃなくても、見通しの良い「L字型」の地面が確保できれば、そっちの方がいいんでは?という感触も得られた。ほんと来てよかったな~

この永山地区ではこの日、永山神社のお祭りが運良くあって、これでもかというくらいに人が旧市街地にあふれていた。こんなに人がいるなんて、正直意外。自転車で集まってきてるのがいい。パパとママが、子どもの手を引いているのもいい。

旭川公園チームはこのお祭りを見学。家族チームは、友人家族と夜ご飯の約束があったので、まちなかに向けて移動。

駅前の豪奢なホテル(直前で安宿が確保できず)に泊まり、夜は旭川公園チーム3人と自分、次男・陽己でホテル内の天然温泉へ。ほとんど移動だったけど気持ち良くベッドイン。明日もうまくいきそうな気がする。        (つづく)

 

 

 

「かつての公園」を、まだまだ諦めきれない

なんで土地を手に入れるのが難しいんだろう。
せっかく壁に直面しているので、ちょっと考えてみた。
たぶん理由は2つある。

①売りに出されていない地面を買おうとしてるから。
②だって土地は「人」が関わるものだから

①は文字通り。所有者の割り出し、譲ってくれるかの意思確認、値段交渉・・・。ぜんぶ素人が、一人でやらないといけない。

なので②について思うところを。

5月アタマの時点では、旭川のゲストハウス候補地に目を付けた区画の角地は、そんな苦労せず買えるんじゃ?と甘く考えていた。
地元の不動産屋さんに聞いても、ここは「売りに出しても売れないから」という理由で、売りに出る土地がそもそも少ないんだとか。
なんで安いのかは知らない。素敵な場所なので、こっちにしてみればラッキーでしかない。

でも安いから、高いから、長年使われていないから、というポイントでしか考えてなかった。
「土地はいろいろあるぞー」と言われ、デリケートだと知ったかぶりをしていても、開拓使が置かれてまだ150年の北海道だし、なんとかなる気がしてた。

ところがどっこい。
そんなもんじゃないってことに気付くのに、2ヶ月かかってしまったわ。

角地の1つを不動産屋さんに当たってもらったところ、はじめは親族の方から「売る方向で」とお話しがあったが、その後は連絡がつかなくなった
所有者は施設に入っていらっしゃる、高齢の方。業者さんと同様に、「親族の中でまとまらなかったのでは」、と推測している。
まあよくある話だし、引っかき回すのは本意ではなかったし。すぐ、次に進めた。

そして、もう一つの角地の経緯については、直前のブログの通り
所有者一人の考えだけでは、いかんともしがたいっていうケースに、またもや直面するなんて。

当たり前だけど、土地は買った人がいて、使う人が複数に及び、相続もされる。時間がたつほどに、関係する人が増えてくる。
売りに出されていない土地が簡単に手に入ると思ったのが、甘かった。

その反面、、所有者をなんとか辿れただけでもマシな方なかーと思う。

空き家問題はけっこうクローズアップされているけど、土地についても同じ問題がある。
所有者不明の土地がこれから、どんどん社会問題化していく。
地方からの人口流出、高齢化、人口減少。こんな、言い尽くされた状況が、所有者の把握を難しくしている。

6月上旬には、知事の判断で10年間は公益目的の使用や、取得手続きの簡素化ができる特措法が成立した。
「土地放棄制度」や、戸籍と登記簿との連動を検討する方針も打ち出された。
土地問題に後手後手だった国も、ようやく重い腰を上げないといけない状況に追い込まれたってことだろうなー。

でも、だからこそ余計に、この区画にこだわりたい。

所有者が本当に不明なら(特措法は別にすると)お手上げだけど、ここは違う。
未活用だった土地を使って、町内会が「ちびっこ広場」なる公園をつくっていた歴史がある。
子どもの声が響いていた、地域の記憶が詰まっている場所。そこにまた〝公園〟をつくれたら、文句なしに素敵でしょ!

この区画は、ホント雰囲気がしっくりくる。
ドラえもんに出てくるような、土管が似合う空き地。
そこに子どものハートと脳みそをくすぐるような、地元の材を使った遊び道具を添えたい。
おじいちゃんが散歩ついでに立ち寄って、座ってコーヒーを飲んで。
週末は時々、ママたちが、暮らしを豊かにするワークショップを楽しみにきて。

そんな〝公園〟があったらいい。そんでもって、その管理棟で暮らしたい。

ベースとなってるイメージは、実は千葉市にありまして。
「HELLO! GARDEN」というプロジェクト。
角地の空き地で、「小さな屋外喫茶」や、小さな農園「実験ガーデン」、「日替わり本棚」などを展開してる。
小屋(タイニーハウス)を使った「映画館」もある。
一度現地を見に行ったけど、雰囲気、色使い(自分が学生時代「イエロー」と言われてたので、黄色は欠かせない)ともに、まさにドンピシャすぎてびっくり。

千葉市にある「HELLO! GARDEN」で使われている空き地。子どもは自然と走り出す

旭川の公園ゲストハウスでも、コーヒーとか焼き菓子、極小農園は必須。
読書や宿題ができる机も並べたい。
冬は「かまくら」か雪室になる、木製ジャングルジムを置きたい。
大雪山の伏流水を汲む井戸と、その隣には薪を使ったキャンプファイヤーを・・・。

あかん、また妄想だけが膨らんできた。
まずは土地をしっかり固めないと。うん。

今週末もしっかり感じてこよ。

またもや躓いた、旭川の公園ゲストハウス

こないだの日曜日(6月24日)、ゲストハウス予定地の地権者さんとついにお話しすることができて、めちゃ感触がよかったので、ついに計画が進むかー!と期待はどんどん膨らんでいった。土地がイケる、という前提で暖房の検討(薪ストーブにするか、ペレットストーブにするか、ボイラーにするか)とかも月曜、火曜とやってきた。

そして水曜。地権者さんに意思確認の電話をする日を迎えた。もう前日からドキドキして、たまらなかった。不安よりも高揚感。いまの予定地の区画に限ってみても、地権者さんとの接触や割り出しに2ヶ月かけてたので、これまでで一番大きなターニングポイント。

宿直明けに部屋にこもってスマホを握りしめる。意を決して、日曜にメモした電話番号の数字をタップする。

「静岡県の松本です。日曜は突然すみませんでした、ご丁寧にありがとうございました。ご子息と昨日お電話をされるというお話でしたが、いかがでしたか?」

所有者の女性は落ち着いた口調で返す。

「(電話は)来ましたよ。なんかね、考えてることがあるから、『売らないでほしい』って言ってました」

あれ。え?

「あ、そうなんですね。何かされる予定なんでしょうか」と返すのがやっとで、情けないことに頭がフリーズ気味に。この後、どんな言葉を継いだのか覚えてないけれど、「またよろしくお願いします」と開き直ったように電話を終えた。

日曜は60分話し込んだけど、この日は56秒で終わった。

この後はちょうど、浜松市内でデザイナーさんや建築屋さん、設計士さん、公民連携の仕掛け人でつくるチームと打ち合わせ。進捗は伝えていたので、「うえ〜い!」と計画をスピードアップさせる場になるはずだったけど、一転してどよよ〜んとした空気が漂う。そして、やっぱりもう一押ししてみようとなり、再び地権者の女性に電話した。

浜松城公園のベンチに座って、深呼吸して、発信履歴をたどる。3コールくらいで出てくれた。

息子さんのお考えが第一なことは理解しているが、せめてお手紙をだすか、お話をしてこちらの思いをお伝えしたい。そうしないと諦めきれないー。

そんな話をしたけれど、女性は「中身は知らないけど息子はなにか考えているみたいだし、そんな話には応じることはない。もうやめてほしい。ご縁がなかったんですから」と取り付く島もない感じだった。

日曜の話では、息子さんはこの土地に一切興味を示さず、千葉に長くいて、地元に帰ってくる予定もない。女性は昭和40年代に、息子さんのためにと新聞広告で土地を買い、現地を一度も見たことがないくらいだった。なので、売ってくれるんじゃないかなーと甘く考えてた。

一方で、もし自分がこの息子さんの立場だったらと思うと、まぁそりゃそうなるよね、とも。母親が詐欺とかで騙されてるんじゃないかなと勘ぐるよね、と。息子さんはこの女性に、電話は留守電にしておいて相手が分かってから出るように、と普段からアドバイスしているくらいで、自分が警戒されているのは間違いないと思う。

さてどうしたものか。

地元の子どもも集まるコミュニティーとしての〝公園〟をつくろうとしていたので、この区画が数年前まで町内会の公園(ちびっこ広場)だった歴史を知って、勝手に運命感じてたし、そう簡単に諦めきれない。

道は三つ。

一つは、息子さんに接触することを目指し、時間をかけて地権者さんとコミュニケーションすること。何がなんでも、このベストの角地(350㎡)にこだわるパターン。

二つ目は、同じ区画の中で、売りに出されている土地(300㎡)をとりあえず買って住み、ゲストハウスと〝公園〟を作り、実際に見せて理解を得て行くパターン。今後のことを考えて、住宅のコンテナハウス、ゲストハウスの小屋(タイニーハウス)ともに動かすことはできるので。ただ角地じゃないし、半分はアパートと住宅に挟まれてる。万一、隣にアパートでも建ったら無価値になるリスクをはらむ。

三つ目は、まったく別の区画を新たに探す。コンセプトから作りなおす。これまでもだいぶ、旭川市外も含めて見てきてはいるけど・・・

立地は妥協してはいけない。それは大前提なのは分かっているつもり。ただ小さく産んで、大きく育てる考え方もある。今の区画も、この半年で三ヶ所目の候補だし、今ならここにたどり着くためにこれまでの二ヶ所がポシャったんだと思える。だから次に進むと、別のベストかベターが見つかるかもしれない。でも時間をかけて進む保証はない。なにより、公園だった地域の記憶はなんとしても生かしたい・・・

これまでのハードルとは異次元で、また躓いてしまった。退職の意思は伝えている。遠くないうちに退職時期も示さないといけない。10月から雪は降り始める。

焦ってはいけない、でも前に進みたい。

ブログを書いていていると、娘がひょっこり起きてきた。ふらふらと歩き、すぐに躓くように眠りこけた。朝になったら、また元気いっぱいなんだろな

 

人とつながる旭川一泊の旅⑥ ついに所有者さんに!

予定地から12キロ離れた、ゲストハウス予定地の所有者とみられる方のところへ、環状の国道12号をひた走る。隣の次男は、町内会長さん宅でお話ししている時、車内で一人ぼっちになったと思って、ずっと泣いている。「ジュースかアイス買おうか」と安易な言葉をかけ、なだめながら向かう。

15分ほど走って、セイコーマートが見当たらなかたので、セブンイレブンでスイカアイスを購入。車内で食べてもらい、機嫌をとる。自分もパーカーを羽織っていたが、我慢ならないくらい暑くなって、ここで半袖になった。緊張なのか興奮なのか、ドキドキもしてきた。いよいよ最大のヤマ場。

近くにメルセデス・ベンツ旭川のある交差点から、高台に入った。豪邸が並んでいて、芦屋とか田園調布みたいな雰囲気が漂う。そこからさらにのぼっていくと、ややカジュアルな住宅地が見えてきた。山の斜面を切り開いて造成したような、なかなかに傾斜のある、暮らしやすいすてきな所。

雪よけシェルターのような、ガレージの外壁を取っ払ったような細長い玄関先を歩いて、ピンポンを押す。沈黙の時間。お庭に伸びた雑草と白い花がまぶしい。緊張が高まる。

「どちらさん?」とおばあちゃんの声が聞こえて、「旭川に引っ越しようとしている、静岡県からきた松本と申します。場所は永山で考えていて、ずっと土地を探してます。お尋ねしたいことがありまして」と言うと、出てきてくれた。

促されて細長い玄関先にあるイスに腰掛けていると、おばあちゃんは「ちょっと待ってて。留守電にしてくるから」といったん宅内に戻った。しばらくして、今度はアイスの「モナ王」を持ってこられ、次男に「どうぞ、食べていいよ」と進めてくれた。照れてゴモゴモする彼。嬉しかった。

80歳を過ぎたこの女性は、これまで20年以上、里親になる活動をしていたんだという。子どもに向ける眼差しは文句なしに温かい。このイスに座って、毎朝学校に向かう子どもたちに「おはよう」と挨拶しているらしい。いいなぁ、こんなところに暮らしたいんだわ。

移住、引っ越しを考えるに至った経緯をお話しした。このまま転勤ばかりの生活を送るよりも、次男が小学校に入るまでに、どこかに根をおろしたかったこと。自分の意思で「地元」をつくりたかったこと。隣の人の名前も知らない生活ではなく、近くの子どもやママたち、おじいちゃん、おばあちゃんと混じり合うように育ってほしい、ということ。じっくり率直に伝えると、女性は「うん、うん、そうだねえ」と静かに頷いてくれた。

女性は、三度の飯よりゴルフ、麻雀、パチンコが好きなんだという。式場のコンパニオンとして働いていて、収入があったので、遠慮せず遊んでいたらしい。他界されたご主人は地位のある方だったけど、自分で自分の人生を楽しんできた。

脳梗塞やガンを経験し、今では自由な外出はできなくなった。病院通いが続いている。ただ、市のタクシー補助をあえて受け取っていないんだとか。「市の財源が減るでしょ」とさらっとおっしゃる。かっこいい。

このシェルターみたいなところは、近所のお年寄りがやってきては座り、おしゃべりを楽しんでいるそうな。どおりでテーブルもあるし、イスもたくさんあるんだな。これは立派なコミュニティだし、幸せな地域だなと思う。

電話や贈りものをしてくれるお孫さんやお子さん、お嫁さんの話になると目尻が急に下がる。1人暮らしで、みんなが気にかけていることがよく分かった。幸せそうだった。

さて、予定地は登記上はこの女性が所有しているものの、実際には息子さんにあげた形になっていると教えてくれた。関東で忙しく活躍されている息子さんが旭川に戻った時のことを思って、1971(昭和46)年に新聞広告を見て購入したらしい。とりあえず息子さんに、売ってもいいかを確認していただくことになった。その電話は26日(火)になされると。    ドキドキ!

(つづく)

 

人とつながる旭川一泊の旅⑤ 熱を帯びる「地取り」

図書館から車で3分。ここが、ゲストハウス候補地の登記書類に書かれていた、土地所有者の住所があるエリア。ただ昭和40年代の資料で、丁目までしか書いていない。住宅地図にも該当する名前はない。

畑作業をしていた男性に話しかけて、事情を説明し、「この女性を探している」と協力をお願いする。ご丁寧に家に戻って、地図を持ってきて、町内会長や、もっとも長く住んでいる〝長老〟を教えてもらう。

さっそく突撃。長く住む方々は「まったく知らないなあ、分からんなあ」と申し訳なさそうな返事。町内会長さんも親身になって聞いてくれ、頭をひねって下さったが、分からずじまい。でも皆さん「ご苦労さま」「がんばってね」と励ましてくれて、うれしくなる。

ここで5人に当たったけど厳しそうだったので、候補地の永山地区へ。まず、書類上の同じ姓の家を一軒あたってから、昨日の夕方に引き続き、近くの方に聞いてみることにした。

まず候補地の経緯や思い出を教えてもらう。昔はやはり、町内会が管理する子どものための公園だったという。町内会のみんなで葦を借り、一通りの遊具もそろえて、盆踊りもやったそうだ。ますますここが欲しくなった。盆踊りをしていたなんて、完璧なまでのストーリー。けっして特別じゃないにしても、地域の記憶が詰まった場所だったということ。すぐに、みんなで踊っている光景を思い浮かべた。

町内会長さんを紹介してもらって、さっそくご自宅へ。いろいろ思い出してもらっている時に、奥様が援軍となってくださり、「(登記上の所有者と)下の名前が同じ人がいた気がする!」とアシスト。会長さんは昔、「ちびっこ広場」を運営していた時と閉鎖するときの資料ファイルを引っ張り出してくれ、ページをめくってくれた。すると、

あった!          下の名前が同じ女性の名前が!

確かに登記上の住所は違うけど、ここを訪ねればご本人がいらっしゃるか、親族が住んでおられるかも、と大ハシャギ。

3人で永山の魅力を語り合った。空気がきれい、大雪山がある、石狩川がある、まちに近い、暮らしやすい・・・。最近は子どもが減って寂しくなったことや、近くの人工河川「永山新川」ができるまでは、みんな井戸を使っていたこと、大学ができて区画開発がされ、昭和50年代に急速に人が増えたこと・・・。めちゃくちゃ勉強になった。

自分からは、「子どもやママ、お年寄りと、いろんな世代が混じり合う場をつくりたいし、そこで子どもを育てたい」「地域の人がふらっと来れるコミュニティをつくりたい」と計画を説明。

奥様からは「ぜひ実現させて! 盛り上げてよ!」とエールを送ってもらう。もう百人力ですよ。これだけでビールを浴びたい気持ちになったが、家の前に停めた車内で次男が号泣しているのが聞こえ、失礼することに。今後のご協力もお願いした。うれしすぎる。

徹底して周辺に聞き込みをする「地取り」で成果があったときの、あの喜び。新聞記者をやっててよかった・・・!

さっそく、所有者の現住所に急ごう!             (つづく)

人とつながる旭川一泊の旅③ ありがたい助言

誰もが、北海道に住みたいと思うようなグリーンアスパラのナントカ

今宵の宿は、JR系の「JR inn」。旭川駅直結で、なぜかイオンと合体してる。土曜の夜7時前。駐車場に入るのにけっこう時間を取られて、時計を気にする。旭川もいくつかイオンがあるけど、〝イオン渋滞〟はどこの地方都市にも共通するんだろうなー。うーん、なんだかな〜、だけど。

やっと駐車場の空きを見つけてフロントを目指すも、一度5階に上がらないといけないらしい。フロントは中華系の訪日客でごった返している。やっぱ勢いすごい。当然、チェックイン後のエレベーターもなかなか乗れず。

部屋に荷物を置いて、次男を抱っこして傘をさし、急いで徒歩7分ほどの喫茶店へ。地元の名士に違いない、事情通で人脈も広い税理士の先生とのお約束。

何をしようとしているか、なぜこの場所か、資金計画と時期は・・・などなど一通りお話しして、真摯に耳を傾けてくださること90分。これまで、勢いよく起業したはいいものの、夢破れて消えた人をたくさん見てきたというだけあって、すべての言葉に重みがあった。ずしんと響く。

◆立地は中途半端なもので妥協するのは絶対ダメ。

◆やっつけで進めて秋オープンにするより、冬を越して3月にした方がいい。

◆やろうとしていることがダメになっても食べていけるような副業は絶対に必要。この安心感があるかないかが、大きな違いになって現れてくる。

ありがたい・・・・!

うすうす、自分の中で都合の悪いことを「まあいいか、なんとかなるか」と過小評価していたけど、戒めてもらえた。副業も、時期も、土地の代替案も、いちおう考えてはいるけど、見えにくいリスクや長い目でみた時の取るべき選択について、冷徹に考え抜こうと思った。

この方はすでに予定地の登記情報も取り寄せて、お知り合いの不動産屋さんにも、いろいろと取材してくださっていた。紹介されて初めてお電話したのが4日前の19日だったので、すごいスピード感。 脱帽するしかない。

この90分間、退屈した次男のSOSを振り切って熱中した。頑張ってお利口にしてくれた次男へのご褒美に(?)、繁華街で道内の海産物を食べられる地元資本の居酒屋へ。

疲れ果て、乾杯にもやらされ感が漂う次男

いくらこぼれ飯、時鮭といくらの長芋和え、干しコマイ、厚岸(釧路方面、最近はウイスキーで注目)の生牡蠣、襟裳のタコ塩炙り…。襟裳のたこわさびは、今まで食べてきた中で最高にうまかった(これまでは明石・魚の棚のだった)。

ちょっと食べてぐちゃぐちゃになったけど、厚岸の生牡蠣。あしたお腹痛くなりませんように。。。自転車で北海道回った時も、厚岸で牡蠣を大人買いして関西に送ったなあ
いくらこぼれ飯。美味しいけど、改善の余地あり。北海道で食べなくてもいいレベル。よくあることだけども
あんまり美味しそうに見えない写真だけど、まあまあウマイ。時鮭といくらの長芋和え。でもルイベにしたほうが鮭は喜ぶだろうなー

グリーンアスパラはゲストハウスの予定地から近い東鷹栖の「中谷農場」さんのもの。ご飯は同じく東鷹栖の「高見農場」さんの特Aななつぼし。食べてないけど、鷹栖町「新田ファーム」の牛肉もメニューにあった。日本酒は、予定地近くの「男山」のものがなかったので、駅近くの高砂酒造さんの「国土無双」でクイッと。

北海道は食料自給率が200%を優に超える。旭川は稚内、網走、釧路、十勝の各方面からうまいものが集まる「食の交差点」でもある。地物だけみてもすごいとこなんだけど、やっぱ旭川の総合力はおそるべし。

いい感じに流れが来てると勝手に思ってるので、明日は猛取材をかけていこう。明日が今後の全てを決める気がする。                                                                      (つづく)

 

人とつながる旭川一泊の旅② 舞い込んだ特ダネ

旭川駅からは、せかせかと歩いて日産レンタカーで。昨日電話をもらってたけど、ランクアップキャンペーンをやっていて、マーチクラスで予約したのに、まだ1100㎞しか走ってない、新車のエクストレイルを配車してくれた。

ステアリングは軽く、どっしり感はないけど、タウンユースで特に女性からしたら扱いやすそう。好みとしてはタイヤにもっと接地感がほしい。操作フィールやオーナメント、パーツに本物感や艶、しっとり感がほしい。ルームミラーが、かなり頭の近くにあって、強烈な違和感。大きくないボディなのに、取り回しが良くない印象になってしまってる。でも、予定地に向かう国道39号(その名も「大雪通り」、浜松の国道152号「自動車街通り」と雰囲気がめっちゃ似てる)では上手に路面のデコボコをいなしてくれた。快適。

さて予定地に着くと、もう夕方の5時40分。7時からまちなかで待ち合わせなので、時間がない! 「ママに持っていくんだー」と、予定地に咲き乱れる花を摘む次男をよそに、あたりをブラブラ。

ピンポンを押す前に、お向かいさんが庭で作業されていたので、お声かけ。世間話をしつつ、「ここに引っ越したい」「公園のような所をつくりたい」「小屋を並べて小さな宿にしたい」と伝える。怪訝そうなというか、「なんでこんな何もないところに?」と心配するような視線を投げかけてくださる。 そばにいた旦那さんも、「当麻町とか比布町、東川にした方がいいよ。こんなとこで宿やるなんて・・・」と苦笑い。うんうん、そうだよなーと、でも内心ではしたり顔に。だからこそ、面白いんであって。

めげずにお話をしていくと、予定地がかつて、町内会が管理(提案?)していた公園だったと教えてくれた。

なんと!  これは完全な特ダネ!

今から公園をつくろうとしているのに、予想だにしない奇跡の偶然の一致!  完璧すぎるストーリーを手にれて、天にも昇る心地だった。けっきょく所有者はわからずじまいだったけど。

これは幸先良さそうだとホクホク顔になって、まちなかにとんぼ返りすることにした。               (つづく)

人とつながる旭川一泊の旅① 北海道スイッチ

朝の8時15分に浜松駅に着き、セントレア直行バスに乗りこんだ。座り心地の悪い古い遠鉄(遠州鉄道)のバスだったけど、運転技術はその辺の路線バスとは異次元。北鉄(石川県、北陸鉄道)や名鉄でも一緒。やっぱり高速バスなんかは運転手さんのレベルが違うなあと実感する。例外はあるけど

セントレアでゆっくりエア・アジア便を待つも、到着機材の遅れとかで30分ほどのディレイ。新千歳着も同じくらい遅れて、予定してた列車に乗れず。今日はできる限り「地取り」しようと思ってたので、この30分はでかい。

札幌までは快速エアポート。次男の陽己(はるき、4歳)はさかんに話しかけられ、幼稚園での様子を根掘り葉掘り聞かれて、上機嫌に。でも最近、「恥ずかしい」とか言って、前みたいに聞かれてもいないのに名前とか自己紹介することがなくなった。これも成長なのかしら。

札幌駅で、同じホームに入線してきたスーパー北斗。キハ261系が導入されてからは乗ってない

札幌で乗り換えて特急「ライラック」に。自由席は乗車率80%ほどに見えるけど、指定は30%くらい。もっと賑わってほしいところだけど、バスとの競合もあるのかしら。

次男がすごくよく寝たので、そしてパワーポイントが文字化けしてフリーズしたので、これからのことに車内でじっくり思いを馳せてみた。

しばらく本業に追われていて、旭川移住とゲストハウスのことが頭から離れていたこともあって、この一週間はけっこうネガティブな状態だった。冷めた目で「ほんとに自分やるんかいな」「一生楽しめるのか」「うまくいくのかしら」とか心配してたけど、なんのことはない。北海道に足を踏みれたら、簡単にマインドに切り替わった。もとの自分に戻れた。しかも、いっそう(思いが)強くなって。

夫婦も一緒かもしれないけど、突っ走ってばかりだと、ろくなことはない。ときどきブレーキをかけてもらって考えを深めたり、違う目で思いのほどを確かめるのって大切だわ。

同じ編成でも、シートにはいろんな色がある。緑が主体なのに一部だけブルーがあったり、赤基調なのに緑が混じったり。変化球というか、多様性の演出みたいなのが好き
この色すごい好き。青森からよく昔乗った、スーパー白鳥と同じ色のままかしら?かわいい
旭川駅の同じホームで出発を待っていた、旭川始発、網走行きの特急「大雪」。自由席は厳しかったけど、ハイデッカーのグリーン車はほとんど埋まっているという謎

ライラックは16時55分、定刻通り旭川駅に滑り込んだ。

                                                                             (つづく)

 

いざ、旭川。「地取り」の旅へ

「旭川」の文字にドキドキする

明日からの土日は久々に旭川へ。前に行ったのが5月28日(日帰り)だったから、ほぼ一カ月ぶり。えらく時間があいちゃった。それだけ進展が鈍かったんだなー

急ごしらえの、「地取り」のための旅。取材っぽい旅。ゲストハウス予定地を詰めんなん。

いま、慌ただしく準備してます。
今回もいつもと同じく、セントレアから新千歳にエア・アジア便で入る。2人で片道2万円ちょい。
平日の安いときは4000~5000円台だけど、まあ仕方ないかー。

本当は旭川⇔セントレアor羽田でサクッと行ってみたいところやけど、旭川線はJAL/ANA・エアドゥしか飛んでないので、高くて高くて。
新千歳から旭川までは道央道をビュン!と走っても、なんやなんや2時間以上かかるし、眠いし、疲れる。
もっと旭川便が増えて安くなればなぁ・・・。エア・アジアほどじゃなくても。

エア・アジア便だけ数日前に確保していたものの、帰りの便がなかなか決まらず。昨日、やっと固まった。
ほとんどの便と座席が埋まってるし、高い!!
道内の記者によれば、観光シーズンに入り、2万人が来場するデザインウイークの期間中でもあるからでは、とのこと。これは夏のハイシーズンは恐怖でしかない。。。

帰りの足はさまざま検討した。
ベストは、新千歳→セントレアのスカイマークかエア・アジア、小牧着のジェットスター。つまりLCCを使う。
でも全滅。
新千歳→羽田のスカイマークを見たけどやはりダメで、エア・ドゥも厳しい。

そこでついに、初となる旭川発も調べ、セントレア行きや羽田行き、羽田経由のセントレア行きをチェックした。
これというのがなく、新千歳→神戸・大阪、新千歳→仙台も見たものの、できるだけ長く旭川に滞在できることや、運賃をひっくるめて考えて、19時半発の旭川→羽田のエア・ドゥをセレクト。大人3.5万円で合計5.3万円。

高い・・・。しかも最終の「ひかり」で浜松に戻る強行軍になる。次男よ、申し訳ない。

でもしかし、必死になって旭川までの空路を調べてみると、ほんとたくさん選択肢があってびっくりしたし、お金さえあれば旭川は遠くないんだと痛感。新千歳⇔羽田なんて、JR特急よりよっぽど多いんじゃないかと思うくらい。

浜松から空港までの足も考えないといけない。行きのセントレアまでは、バスがいいか、新幹線がいいか次男(4歳)に選んでもらったら、「バスがいい」と言う。
すぐに3000円強の空港直行バスをセレクト。膝上で130分はきついし、トイレに行きたいと言い出したら恐怖以外にないけど、新幹線より1300円くらい安いから◎。

新千歳からはいつも「カーレンタル北海道」で小型車(1日3000円!)で借りるけど、次男がいるので、快速「エアポート」と特急「ライラック」を乗り継いで旭川へ向かうことに。(昔はこの特急、「スーパーカムイ」って名前で、妙にワクワクした)

旭川駅に着いたら、日産レンタカーで借りて移動する。二日間借りて、コミコミ6600円。

次男との初めての2人旅でもある。
ホテルの部屋で寝かせたら夜の街には行けないけど、いい経験になりそう。人と会う時におりこうにしていたら、JR北海道の789系(特急「カムイ」か「ライラック」)のプラレールでも進呈しようかしら。

北海道に、少しでもいいイメージを持ってもらうための姑息な先行投資である!