ほとばしるエネルギーを感じたくて、十勝で「一年生」になった

旭川で会社を経営している方々とお話ししていると、面白いくらいに「十勝のエネルギーはすごい」と口をそろえる。確かに宿泊施設もおもしろいのが多いし、開拓者精神が強いイメージがある。ずっと気になっていたので、まっさらな目で見ようと、飛び込んでみた。

とかち帯広空港から車で10分のところに、更別村というまちがある。耕地面積は日本随一で、大規模農業を展開していて、高所得の農家さんも多い。人口は3200人。そこに2017年、「十勝さらべつ熱中小学校」ができた。

山形県を皮切りに始まった「大人の社会塾」で、地方創生を進めたい国の後押しを受けて全国に広まった。全国の一流の先生から刺激を受けまくるだけじゃなく、十勝なんかは部活動がめちゃ盛んなことが特筆すべき点。校長の山井太さん(スノーピーク社長)が部長を務める「野遊び部」、自然界のものだけでオリジナルクレヨンをつくる「クレヨン部」、小麦の新品種づくりから始める「ピザ部」とか、おもしろい動きばかり。みなさん、ここでの人の繋がりが好きで、何期も受講してる人が多い。

4月6日に第五期の入学式と特別授業があった。いやぁすごかった。180人超が受講する大所帯で、全国12の熱中小学校のなかで最大なんだとか。半年で22回(平均)の授業があって10,000円とか、もうタダに近いレベル。

更別村長の西山猛さんは挨拶で、「あなたにしかできないことが、ここならできる。人生の扉を開いてください。私は何もしないことが怖いです。変わらないためには、変わらないといけない。失敗してもいいんですよ」と元気はつらつ、呼びかける。月並みだけど少年のような満面の笑みをずっと浮かべてる。かっこいいリーダーだなぁ。

「これからは人づくりだ」と開校の打診を受け、自身も駆け回った西山村長

最初の授業は「道徳」で先生は、勉強を教えない塾を開かれている福田幸志郎さん。小中学校は同級生がいない、一人だけの環境で育った。中学校の教員をへてNPOで活動し、発想を鍛える塾を開業された。

授業は「環境を変えることで発想は広がる。心の国境を越えていき、味方を増やすにはどうするのか」というのが大テーマ。話の展開やテンポが絶妙で、実践するためのワークも負担にならず楽しめた。「物語」を通して自分を伝えていく上で、「現在への共感」「過去への理解」「未来への希望」を意識することが重要なんだとか。あらためて体系的に言われると、なるほど確かに!

2コマ目は「共生」で、地元のでっかい雑穀卸「山本忠信商店」の山本英明社長。歴史を紐解く大切さを説かれ、十勝でなぜ豆の生産・販売が盛んになったのかを紹介し、「農家寄り添って一緒になって作ってきたという誇りがある。社員にもそう思ってほしい」とマシンガントークでお話しされ、圧倒された。ミッションやビジョン、変化に対する仮説立てがいかに大事か、ほんと分かった。数分おきに聞く人を爆笑させるトークも見事すぎて、汗だくになるそのお姿に、パワーを頂かないわけがないわけで。

アツすぎる山本社長

山本社長は、十勝の開拓の祖と言われる依田勉三の生き様にも触れて「十勝人の気質、チャレンジ精神はここから出ているんです。ことごとく失敗しても諦めないでやった」とおっしゃった。なるほど、ここか。官に頼らず、民のパワーの源泉がこういう所にあるのかと。

夜は福田先生や、事務局の亀井秀樹さんや、アイヌのオシャレ極まりないデザイン雑貨を作っている小川基さん(ToyToy)らと飲んで、そのまま配信スタジオで収録。動画見たら顔真っ赤だし、ツマミを嚙み嚙みしてるのがそのまま写ってるし、恥ずかしいことこの上ない。。。かなり酔っぱらっていて、なに言ってたのか全然覚えてない。すべての北海道民にお詫びします。