北海道には何度も何度も上陸しているけど、ド定番の観光地ってほとんど行ったことがない。小樽もその一つ。でも当麻町のスノーキャンプで荻野容子さん@小樽と知り合って、いろいろ現状を聞くにつれて興味が沸いたまちでもある。で、ちょうど取材の仕事で小樽行きが決まったので、(ちょうどホテルの取材で宿泊も!)ゆっくり歩いてきたわけです。
駅は出入り口が一か所しかなくて、熱海みたいな感じ。ロータリーは、タクシーや自家用車が見境なくごちゃごちゃしている。駅前の一等地にはパチンコ店がどでーんと構え、「東京」と名の付く雑貨店が幅を利かせ、あんまり風情が感じられない。風格のある石造りの建物にまじって、けっこうな数の中層マンションが幅を利かせている。なんだかなー。
北一硝子とかがあるメーン通りは土産物屋さんが所狭しと並んでいて、たしかに活気はあった。とにかく、アジア系の訪日客が多い、多い。どこを見渡しても歩いてる。すごい。旭川の買物公園の10倍くらいいそう。
噂によれば、香港あたりの投資家が小樽に注目して、有望な粒を探し回っているとか。ニセコ、札幌、富良野と投資家の目が向いている地域はいくつかあるけど、残念ながら旭川もという噂はまったく聞かない。
小樽は北海道新幹線も新たに延びてくるし、札幌からの近さも手伝って、ホテルの開発圧力も高まってる。小樽市としては、景観守るためにかなり厳しい要件も課しているみたいだけど。
荻野さんによれば、観光業界の界隈では一定の盛り上がりがあるけど、地元の暮らし(生活)とはちょっと離れたところに存在しているイメージ。過疎地に指定されていて、産業の広がり(裾野)も限定的で、地元経済はなかなか厳しい状況なんだとか。
ただ近年は、移住組やUターン組の若手がお店を持ったり、地元の小樽商大の学生がゲストハウスを開いたりして、新しい動きも出てきているそう。いいなぁ。
札幌とかとは違った背景で、地元がどんどん疲れていくのを見て面白いタネが徐々に花開いている状態なのかもー。
連れて行ってもらったカフェバー「石と鉄」は海外経験が長いオーナー・中源博幸さんが石蔵をリノベーションし、ハイセンスな空間を自ら創り上げていて驚愕! 圧倒的な存在感だわ。7月から「石蔵に泊まる」がコンセプトのゲストハウスもオープンするらしい。なんとしても泊まりにいこー。中源さん、後で知ったけど北海道新聞に出てたわ。
お昼ご飯は、札幌から移ってきた「なかよし食堂 ぺぺちゃん家」へ。荻野さんや店主ご夫妻が友達のように(実際に友達)おしゃべりを楽しんで、お客さんも知り合いがどんどん吸い込まれていく。コミュニティー感たっぷりの店。自分が旅の人だったら、こういう所にこそ行きたい。運河とかよりも。そこで暮らす人の息遣いが感じられるから。たぶんきっと、お客さんも濃い人たちに違いない!
案内してくれた荻野さんは「海外旅行でスーパーに行ったりすると、本当のその国のことに触れられる気がする。そこの普段の暮らしを見たいと思う人が増えていると思う」。旭川公園のコンセプトにも合ってるので、勝手ながら意を強くしてました。観光や旅行の専門家ではない、でも地元に熱い思いのある若い人が小樽のまちを変えていく。そんな予感がするなぁ。特定の産業におんぶにだっこじゃなくて、みんなで創っていきたい気分だわ。