昭和61年、苫小牧生まれ。旭川大学でコウモリを研究したのをきっかけに、その棲家である森の魅力に引き込まれ、2014年、ついに山を購入してしまう。「旭川公園ゲストハウス」予定地から車で10分ほどの「突哨(とっしょう)山」の一部4.7haを、「里山部」のフィールドとして管理。まちに出て「顔の見える林業」をアピールするだけではなく、森林をシェアしてもらおうと、まちの人を森に呼び込んでいる。
最近では道内外で講演をすることも多く、プレゼン冒頭の十八番は「フリーで木こりやってます」。仕事道具は軽トラとチェーンソー。重機を一切使わない〝漢気(おとこぎ)〟にこだわり、「北海道一、環境にやさしい木こり」を自任している。時折、道外に修行に出かけ、〝漢気〟を磨くとともに、自分の立ち位置と針路を客観視することを忘れない。2019年3月には奈良県・吉野で山籠もり。巨大なヒノキと闘った。
自ら山を所有し、下草刈りや枝打ち、間伐といった管理をして、顔の見えるお客に家具材や薪を販売する。こうした「自伐型林業」を広げようとNPOも立ち上げた。木の命と向き合い、森全体のことを考えて切るべきではないと判断したなら、「切らない」という選択肢も手元に残す。森の価値を最大化しないと、産業としても自然としても持続可能ではなくなると信じているからだ。
全国的に山主が森林組合や企業に管理を任せていて、「所有」と「管理」が分断されている現状がある。補助金を得るために大規模に重機を使って皆伐する現行林業に対し、強烈に異を唱える。「森を見ず、生態系のバランスを崩し、森の価値を次代へ引き継がない」。反発をいとわず、自分の信じたスタイルを貫く姿に共感が広がっている。
と書いてくると、硬派なだけの木こりに聞こえるが、さにあらず。北海道では珍しい里山を身近に感じてもらおうと、火おこしやハンモック体験、森林ウオーク、サバイバル体験、冬はスノーモービル、スノーシュー、スノーキャンプなど、お客の「これやりたい」を広く叶える。旭川のまちなかから近い突哨山だからこそ、できることがある。
2019年の「旭川冬まつり」では雪像が居並ぶ白一色の会場に、イメージカラーのオレンジの作業着をまとい、「焚き火ソムリエ」として活躍。シラカバの木で火を起こし、寒さで震える来場者の心をつかんだ。
農業も漁業も、消費者は産地や生産者に気を配るようになってきたのに、林業はまだまだ。「清水さんのトマト」はあっても、「清水さんのシラカバ」はなかなかない。でも、ないならやるのが清水さん。そしておこがましくも、「小規模だからこそ」の思いは筆者も一緒。「清水さんのシラカバ」で、旭川公園ゲストハウスのオリジナルスツールを作るプロジェクトがもっか進行中であります。