木工体験ならデザインセンターへ

このブログにも何度か登場している、ゲストハウス予定地から車でじ10分くらいの「旭川デザインセンター」。家具組合(正式には旭川家具工業協同組合)が運営している、共同ショールームの位置づけで、1000坪のフロアに各社の自慢の品が並んでいる。

ただ、はっきり言ってそんな入りやすくないし、お値段もまぁ高い。いいものだから、何世代にもわたって直しながら使えるものだから、道産材などいい材料を使っているから、確かな技術があるから、安くなくて当然。何十万もするテーブルにちょいと触れる、なんてなかなか勇気のいること。

そんな人におススメなのは、毎月のように(定期ではないと思うけど)開かれているワークショップ。使い捨てない、長く愛すをテーマにした「アイスプロジェクト」の小助川泰介さんが講師となって、巣箱型の貯金箱、クリスマスオーナメントとか、干支とか、親しみやすいものの木工体験を提供していらっしゃる。

家具職人の小助川はとっても気さくで、優しくて、老若男女一人ひとりの進み具合をみて、丁寧に教えてくれる。おひとり様でも、小さな子どもがいても安心。わが家も何度かお世話になった。

ちょっとでも地域の人に家具や木工を気軽に楽しんでもらえたらー。そんな思いをもつ一流の職人と直接にものを作れるなんて、なかなかない。旭川に旅行で来た人も、都合が合えばぜひ参加してもらいたいアクティビティだわ。

薄い木片を北海道みたいな形にしてみた。誰にも気づかれなかった。ちなみに下は、下北半島と津軽半島です

スナックざくざく

ゲストハウス「旭川公園」の予定地近く、そしていま仮住まいしているアパートの近くには、JR 永山駅を中心にした旧市街地で、往時のにぎわいはもちろんないけど、まぁまぁ飲食店がある。その中でもありがたいのは、スナックがいくつもあること。

なかなかお金が苦しくて回数は重ねられていないけど、2018年11月下旬からスナックの開拓を始めた(といっても二回だけ、しかも同じ店)。いつも常連さんが楽しんでいる「スナック沙希」では山崎12年のウイスキーをショットで頼んだつもりがボトルになったので、蒸発しない限り何度も行く口実ができた。ママは優しくて気配りがすごくて、すごく居心地よく飲めるお店。料理もおいしい! そして申し訳ないくらいに、めちゃんこリーズナブル。

紗季さんのところで通い慣れたら、徐々にほかのところにも広げていきたいなー。情報の集まるスナック回りは新聞記者の基本。新人時代は二日に一度は瀬戸のスナック「Wink」に行ってた。楽しかったし、そのつもりはなかったけど仕事でもすごく助けてもらった。

日本遺産からアイヌを思う

北海道のお店や施設をぐるぐる回っていると、これでもかというくらい、アイヌ語が多く使われていることに気づく。中身はたぶん玉石混交で、本当にアイヌの皆さんの思想を理解して共感して、リスペクトしてるところもあるけど、安易に「北海道らしさが出るから」と使っているところもある(気がする)。

あらゆるものに神を見出して、自然崇拝するアイヌは奥が深すぎて今までちゃんと理解しようという機会がなかったけど、上川町(層雲峡のあるところ)などでつくる大雪山麓上川アイヌ日本遺産推進協議会が開いたシンポジウムは、考えるいいきっかけになった。

旭川を含めた上川地方のアイヌは、厳しい環境を生き抜くためにクマの木彫りを生み出したらしく、一口にアイヌといっても地域ごとにさまざまなんだと知った。無知すぎて恥ずかしくなったけど・・・。旭川にある、唯一の私設アイヌ記念館・川村カ子ト記念館の川村久恵さんは、「ブームの陰でアイヌが置いてきぼりになっている」と指摘して、アイヌの皆さんの生活にしっかり還元するような仕組みが大切だと説いていた。川村さんは、旭山動物園でアイヌの視点からみた動物の解説なんかもされていて、めちゃくちゃ面白いと感じ入った。どこかでお力を借りたいなぁ。

講演の後は、市博物館でアイヌの歴史にも触れられて、大満足。なかなか見ごたえあった! アイヌも昔とは違ってきているという指摘はあるけれど、自然崇拝やら共生、持続可能な暮らしとか、アイヌの哲学が現代でも最先端を行っている。学ぶことは多い。

森林療法のメッカが旭川とは!

旭川が誇る観光(というか有名どころの)施設・三浦綾子記念文学館で、森林療法の可能性を探るシンポジウムが開かれまして。われらが里山部の清水省吾さん、旭川大学の横田宏樹先生(現・静岡大)らが登壇するとあって、無条件で参加ボタンを押したのは言うまでもない。

独自開発をした商品を手に、熱弁をふるう住友先生

行ってみると、どうやらキーパーソンとして研究をしてきたのは、前旭川医大の住友先生だったと分かり、香りのする独自製品も開発して企業と相談しているということで、そのバイタリティーに圧倒された。森林を歩くと、いかに医学的にも効果があるかのデータを積み上げてこられたけども、それをどう世に伝え、広げていくか、森林の可能性を追い求めていくか、ロマンのようなものすら感じた。

おもしろかったのは、「旭川モデル」として、東京のIT系企業さんが、メンタルヘルス対策で旭川に社員を連れていき、ゆったりとした時間と自然環境の中で心を整えようということをされている、と知ったことであります。市役所もそのサポートをしているらしく、これまで森林に関してはちょっとだけかじっている思いがあったけど、当たり前ながら全然知らないことばかりだなぁ、と嬉しくなった。

住友先生はいま東北薬科で仙台にいらっしゃるけれども、引き続きお世話になり、年末には忘年会にもお誘いいただく幸運に恵まれた。森林×医療×まちづくり×福祉。いろんなことができそうで、どんどんかかわらせてもらおうー。

地元で家具めぐり

ビッグサイトであったIFFT(インテリア・ライフスタイル・リビング)展でご挨拶した家具メーカー「メーベルトーコー」さんにお声がけいただき、本社ショールームにお邪魔してきた。

旭川は家具のまち、というのは何度か取り上げてきているけれど、各メーカーがひしめく木工団地というのが、わが永山地区にありまして。ゲストハウス旭川公園から車で10分くらい。ほんと近所。

メーベルトーコーさんもその団地にあって、他社と切磋琢磨しながら成長してこられた。ゲストハウスは、旭川家具をばんばん置いていくし、ショールームみたいな位置づけにしようと思っているところ、その考えに興味を持っていただいて、いろいろ話す機会に恵まれた。

これまで木工団地はイベントでしか実は来たことがなかったので、ショールームに入るのはすごく新鮮。デザイナーさんとコラボレーションしたいきさつにとどまらず、音楽家(チェロ奏者とか)のために設計したハーフチェア(座面が普通の椅子の半分くらい)とか、チンパンジーの寝床に着想を得て究極まで寝心地を追求した「人類進化ベッド」とか、おもしろいものがたくさん。そしてそれぞれの商品が生まれた背景を直接聞くと、がぜん欲しくなるし、愛着がわく。

京都の布団メーカーが販売している「人類進化ベッド」。高いけど欲しくなる

単にかっこいいとか、かわいいとかじゃなくて、裏にあるストーリーや作り手の顔まで分かるように。そんな形で地元のよいものを発信していきたいなー。

「デスカフェ」です

デスカフェなる催しが、旭川の近くでも定期的に開かれている。どちらかというと、東京とかで知られているけど、東京・高島平と地元当麻町の二拠点居住をされている高島さんという紳士が、旭川の隣町、それこそゲストハウス「旭川公園」そばの当麻町で開いている。

安楽死を認めるか? 生きることへの希望を持てた言葉とは?・・・

毎回、けっこう真面目で重そうなテーマが設定されて、医大の学生さんや住職さん、薬剤師さんとか多彩な面々が当麻に集まる。

でも重い空気になることは一切なく、身の上話をしながら、てんで自由に意見を言い合う。正解なんてない。「死」を考えることはつまり、「生きている今」をどれだけ充実させるかということなので、自然とそういうマインドが頭をもたげていく。しかも、後半はまちづくりやら、食べ物のこととか、地域の困りごととか、雑談になってくる。それも、持ち寄りのお菓子を頬張りながら。これがまた楽しくて、ドキドキする出会いにあふれている。この辺の魅力の一つは、間違いなく人の魅力なんだなぁ。

シラカバのポテンシャルはバカにならない

北海道の木ってなに?って言われると、多くの人が思い浮かべるのがシラカバ。北欧チックだし、冷涼な気候にぴったり。本州なら標高1000m超えないと自生しないとも言われてるけど、北海道、特に旭川周辺なんていくらでも生えてる。

そしてシラカバは、お金にならない。建築用の材としてはもちろん、家具材としてもほとんど見向きされていない。かつてはいくつかのメーカーで使われていたけど、黄色く変色したり、カビが生えやすいとか、強度があまりないと言われたり、流通してないしとかで、さんざんな言われよう。けっこうこれは意外だったけど。

一方で、一気に伐られてしまった森とか、火事や荒廃とかでダメにななったところなんかでは、いち早く生えてきて、「パイオニア」とか「母なる樹」とか呼ばれている。生命力が強くて、文字通り勝手に生えてくるらしい。そしてそして、樹液はそのまま飲めるし、葉っぱはお茶になるし、キシリトールになるし、樹皮は皮細工に使われるし、余すところなく、無駄なく使えるっていう珍しい木でもある。花粉が多くの道民を困らせる、って以外は申し分ない。

簡単に言うと、どこにでも、それこそ身近な里山にもたくさんあるんだけど、信じられないくらい無価値になっていて、邪魔者扱いされて、活用されていない代表選手なんです。

これをなんとかしようと、道立の林産試験場が立ち上がって、旭川大学や家具職人らと一緒に「シラカバプロジェクト」が立ち上がった。11月中旬からずっとお邪魔してるけど、毎回ざっくばらんでも真剣な議論があって、シラカバで旭川地域の家具づくりに新風を巻き起こそうと本気で考えてる。雪が解けたころ、具体的な動きとして広くお示ししたいなー。いままでやってないことにチャレンジするって、どう考えても楽しい!

がんばれ旭川空港

就航率99.5%-。最近、旭川空港のキャッチコピーの一部にこの数字が強調されるようになった。新千歳なんかは雪がある程度積もると欠航のリスクが高いけど、旭川空港は地元の農家さんで組む除雪隊がなまら強力で、ほとんど欠航しない。すごいです。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190121-00010001-doshin-hok

ということで安定運航ということでは有名(知る人ぞ知る?)なんだけど、実は11月下旬に国際線ターミナルビルが新設されたのです。国際化を進めよう、新千歳の補完機能をアピールしようということで。国際定期便は台北があるだけで、ターミナルビルができたからといって増えたわけでも、その見込みがあるわけではないけど、とりあえずハコは造った、と。この辺の苦戦ぶりは釧路空港と一緒かしら。 市がどれだけ本気で空港を活用としているのか未知数だけども、とりあえず施設の完成は地元では大きな話題だったので、オープン翌日くらいに見に行ってきた。

うーん、魅力的なショップはいくつもあるけど、どこかチグハグというか、中途半端な感じがする。特にレストランとその周辺は。旭川家具も、なかなか見えないところに追いやられてしまったし。 もっと、ちょっとしたドライブがてら、ふらっと立ち寄れるカフェのような存在にしたほうがいいんじゃないのかなーと思う。それに、到着ゲートの場末感を、早くなんとかした方がいいのでは・・・。

家具展で久々に本州へ

旭川のおいしいところ、日常の普段着の生活を発信するゲストハウスをつくるうえで、旭川家具の勉強は何にもまして大事なことで。お金がなくてもできる限り見ていこうと思ってます。11月中旬にはビッグサイトでIFFT (インテリア・ライフスタイル・リビング)があって、旭川家具業界からも出展があったので、見に行っちゃった。

朝6時、新千歳空港に直行するバス「たいせつライナー」に乗り込む。Wi-Fi、スマホが充電できるポートを備えていて、快適快適。JRとは異次元だわ。もはやバスでは当たり前になったけど、JRは快速エアポートの一部のみって貧しすぎる。お金ないのは分かるけど。。。

機中で読んだ名著2冊

ジェットスターは定刻に飛び立ち、成田へ。バスで大崎駅に行って、立ち食い蕎麦でお昼を食べて、急いでビッグサイトへ。昔、記者時代に焼き物の取材(自腹)でインテリアライフスタイル展は見たことあるけど、リビングは初めてなり。

旭川家具は、イメージカラーの青ですぐ目立つ。道産材をもっと使おうよ!という「ここの木の家具プロジェクト」は休憩スペースを兼ねていて、ミネラルウオーターや、壺屋さんのバームクーヘンが置かれていた。6月のデザインウィーク(ADW)というイベントもPR。面白かったのは、お客さんがカンディハウスの椅子に座って「へぇ、旭川でこんなことやってるんだ」「いい椅子ってわかるね」と感想を口にしていたこと。なんだか嬉しくなったなー。

個別ブースでは、カンディや匠工芸、メーベルトーコー、大雪木工、WAKASA、ガージーカームワークス、クリエイトファニチャー、アーリー・タイムスアルファさんが出展。バイヤーさんと活発に商談をされておりました。自分もご挨拶などいろいろと。

印象的だったのは、他の産地と比べてデザイン性の高さは飛びぬけてるってこと。どこでも木製家具らしい木(もく)木(もく)感はあるけど、生活に取り入れたいなと思うのは旭川が一番だった。バイヤーの食いつき具合も良好。ひとことで言えば、洗練されてる雰囲気かな。大雪木工さんの、デッドストックに光を当てて家具とジョイントさせる「大切プロジェクト」は出色だった。他産地だと、大川の猫とか、企画としてやってたカリモク×デザイナーのコラボとか、良かったなぁ。

夕方からは、年に二回くらいでる感染症の症状がひどくなり、松屋でキムカル丼を食べてゲストハウスでバタンキュー。トレインホステル北斗星です。寝台特急・北斗星の寝台や備品をつくったファン垂涎の空間。マニアっぽい人もちらほらいたけど、さすが外国人が多い。場所は馬喰町で、繊維の問屋街があるけど、ローカル感があっていいのかもしれないなぁ。

翌朝は4時半に起きて、エア・ドゥの始発で旭川直行。東京は近い。でも高い。一か月ぶりに本州の空気を吸ったけど、ちょっと中途半端に終わったかなー。

最適な暖房とはなんなんだ

旭川に来て驚愕したのは、子ども医療費と暖房の高さであります。子ども医療費はどこかで書くとして、はじめての冬に、耐えれれなくつらい暖房関係のことを少々。

十月、本州では考えられないけど日中はほとんど暖房をつけてました。大東建託に備え付けのFF式ガスストーブ。それで1万5000円。明細みたら、何かの間違いかと思ったわ。ぜんぜん温まらないし、体にも良くなさそうなのに。翌月は2万を超え、翌々月は2万3000円。。。。もうイヤになる。

なぜイヤかと言うと、ほとんど稼げていないのに高額なキャッシュが出ていくのがまず第一(これは自業自得)、そして体表面しか温まらない健康上のこと、なにより、環境のことでしょう。このエネルギーを得るのにどれだけアブラ燃やしてるのかしら。早く薪やペレットに移行したい。っていうか、移行すべきだ。

ゲストハウス「旭川公園」は共同スペースに小型の薪ストーブを、宿泊棟のタイニーハウスにはペレットストーブを置く予定。タイニーハウスは当初、小型の薪だったけど、スペースや安全管理のことを考えて、調整がしやすいペレットに落ち着いた。当初は住宅を管理棟として建てようと考え、総事業費の高騰でやめてしまったのだけども、当初はこちらはペレットで考えていた。

なぜ薪やペレットか。こういった木質バイオマスが、本当に木材の有効利用にかなっているかについては色んな意見があるけど、こと暖房を考えたら、この二択しか考えられなかった。電気はどこでつくるの、ガスはどうやってつくるの? って考えたら、おのずと答えは明らかになるのかなと。

自宅(管理棟)に導入するはずだったイタリア製のペレットストーブ

よく言われることだけど、「遠くにいるアラブの石油王より、近くの木こりさんへ」というイメージ。どこにお金を回し、未利用の資源を活用していくか。そして薪もペレットも、輻射熱(遠赤外線みたいなの)で体の芯まであったかい。単なる「薪ストーブへの憧れ」ではなくて、初期費用を除けば薪・ペレットを選ばない理由はない、と思う。(自分の意志で設置工事ができる環境なら)

ということで、旭川に来てからはワンストップでなんでも相談できる「煙突の横山」にしばしばお邪魔して、考えを擦り合わせたり、機種を選んだり、いろいろお世話になっています。度重なる事業計画の変更でご迷惑をおかけしているにもかかわらず、いつも優しく応対していただき、感謝感謝。

早く春になってほしい気持ち半分、薪ストーブを拝む冬がまた来てほしい気持ちが半分。なんかいいなぁ。