隣の畑、そばの川、ときどき裏山

春本番。シラカバなのか、花粉も本番です。コーヒーを控える毎日。

敷地内の「公園ファーム・離れ」で、ラベンダーを発見!

5~6月は、「今のうちに」を迫られることがいくつかあって、代表格が畑。次点が薪の調達であります。雨が本格的に多くなる前に、気温がまぁまぁ高くなる時に、いざ。

6月1日、去年から始めた「みんなの公園ファーム」が始動しました。いつもカフェに来てくださる皆さんにお手伝いしてもらい、畝をつくっていく。苗は、ご近所で町内会活動でも役員同士の農家・Tさんから大量にいただいて。

トマト・ピーマン・セロリ・パセリ・ナス・ジャガイモ・トウキビ・シソを、30mくらいの区画に植えていく作業。去年は土をふるいに掛けて小石を分けて、えっさ、ほいさと高く盛っていたけれど、2年目は大進化。これまたいただきもののマルチ(保温・乾燥防止のビニル)を敷いて、その穴に植えていく。めっちゃ速い!!

汗を流したあとは、みんなで賄いごはんと、アイスコーヒーで休憩。みんなで作業するって、この時間のためにやってるんだな~と思える、ヒュッゲなひととき。

皆さんが帰られたら、管理人は里山部・清水省吾さんが管理する山へ。「裏山」として使わせてもらってて、片道10分ちょっとだから、いつでも行ける。

途中、人工の「永山新川」を渡る橋から、あまりに大雪山と手前の緑がきれいだったもんで、車を停めてボーっとする。たまたま、宗谷本線のトラス橋をDECMOことH100型が通過。車体自体はステンレスで味気ないけど、この景色だからなんでも許せちゃう。

里山部のベースの「突哨山(とっしょうざん)は、旭川市と比布町にまたがっていて、カタクリの群生で有名。ゲストハウスで器を使わせてもらっている陶芸家・工藤和彦さんの「ウラヤマクラシテル」もこの山にありまして。駐車場のある「カタクリ広場」を過ぎてちょっと行ったところに、「里山部」の入り口がある。ここからは軽トラがおススメ。なんてったって清水さんに触発されて軽トラ買ったようなもんだから、四駆でアグレッシブに走らせる!

昨シーズンに取りにこれなかった分の薪は、ちょうど荷台満載くらいの量。ヒグラシや鳥の鳴き声をBGMに、筋肉痛覚悟で猛烈にポンポン載せて、ほどよく汗をかいて。重さでブレーキの利きにくくなった軽トラを駆り、ゲストハウスへ。

この前日には、ご近所さんからも大量の薪の差し入れがあったので、今年の冬の7割くらいはなんとかなりそう!

それにしても、畑が歩いてすぐあって、食べるもの(の一部)を自分たちでつくることができて、少し足を延ばせば永山新川も石狩川もあって、森があって。あぁ、この場所を選んでよかったーと思えた1日。この近さこそ、豊かさ。しかも人にも恵まれて・・・。

旭川、やっぱいいなー!

「ド」「レ」「ミ」と、つながるチカラ

今はやりの音楽はおろか、有名な歌手の名前もあまり知らない。眠気覚ましのYouTubeくらいしか日常的に聞く音楽がない、あんま褒められたもんではないわが身でも、年に何度か、たまたまご縁をいただいて耳にした音楽に、強く打たれることがある。書かずにはいられないことが家具メーカーのショールームであったので、ごくごく簡単にお伝えするのであります。

9月12日の夕方、旭川家具を代表するメーカーの「匠工芸」であった恒例の「星空コンサート」で、長尾匡祐さん(ヴォーカル)、せらよこさん(ピアノ)ご夫妻の「ドートレトミシー」さんのライブがあった。 ご夫妻は旭川公園にも来ていただいていて、東川町の地域おこし協力隊としてご活躍の幅を広げていらっしゃる。行かないわけにはいかない。

憧れていた星空コンサート。匠工芸さんから案内のDMをいただいて、「これは!」と思いたったものの、アナウンス直後に締め切られるほどの人気ぶりらしく。 ぜいたくな自社のチェアーを距離を離して置き、50名限定というプレミアムチケット! YouTube生配信もあったけど、直に聞く機会に恵まれたので、喜び勇んで軽トラを30分走らせた。

一曲目は、オリジナルの「̪̺̪̺Bridge」という曲。

「昔々の遠い国」で、思いを寄せ合いながら大きな川を隔てた別々の村に暮らす「娘」と「若者」が、橋が架けられたことで結ばれ、「小さな舟」で故郷を離れるという物語。なぜか四国の四万十川を思い浮かべて、「娘」と「若者」の着ているものや年頃合いとか、いろいろ想像を巡らせた。 じーんときて、思わず涙がなじむ。

別に悲しい内容ではないのに、魂のこもった言葉と、過剰に主張しないピアノとギターの音色が、鼻の奥のなにかをつついてくるような感覚。

「Bridge(橋)」も音楽も人をつなぐものだけれど、つなぐことで良くも悪くもいろいろ引き起こす、でも川の流れのように、時間の流れによって全てが良い方向に向かうし、それを楽しんで受けれていこうよ、っていうメッセージであるように聞こえて。この歌は「若者と娘は子供たちに連れられて いつかきっとこの橋に戻るだろう」という言葉で締めくくられる。いいなぁ。

長尾さんの声は、伸びやかで、澄んだなかに時折男声らしい力強さも顔をのぞかせる。その表情は、ほんとうに嬉しい、楽しいよという感じで。コロナで、大勢の前での表現を封じられていただけに、どれほどの幸福感なんだろうと、じわじわきてしまった。よこさんのピアノは、いのちの喜びに満ちているようで、そっとそばに寄り添い続けてくれるような優しさと速さが、じん、と心に入ってくる。何を思い浮かべて声を出しているのか、どんなシーンを描いて鍵盤をはじいているのか、気のせいかもしれないけど、鮮明に伝わってくる。

歌声と演奏はもちろん、西日本出身らしい、お二人の軽妙な掛け合いもめちゃ楽しかった。

よこさんは、今回、いつも使っている電子ピアノではなくて、匠工芸さんに置いてあるアコースティックピアノをギリギリまで調律して使ったという楽屋話を教えてくれた。これがとっても素敵で。「楽器も家具も、生きている木から生まれたもの。どこの森の木が切られたのか、枝にどんな鳥が止まっていたのか、下で鹿が座っていたのかと想像してしまいます」「木を使っているから、時間とともに変わっていくのもいいですね」とも。

これってすごく本質的なことで、なんとなく木はいいよね~じゃなくて(入り口はそれでもいいけど)、なんで木に惹かれるのか、森から木のことを考えている人からしか出てこない言葉。音楽を通して、人とのつながりや、自然・生き物への共感とリスペクトがビシバシ伝わってくる。「ドレミ」が世界共通なことから、「ドートレトミシー」になったらしいけど、音楽もMCも聞いてみて、「あー、このお二人なら!」と膝を打った。ライブは2時間弱だったけど、あっという間で、いつまでも包まれていたい感じだった。

旭川公園にお越し下さったよこさん(左)、長尾さん(右)  (2020年4月)

このまま、良い思い出に終わらせたくなかったので、 アルバム「星の地図を探して」を家に持ち帰りました。星空コンサートにぴったりなタイトル(笑)。サインもらったけど、写真忘れて悔やまれるー 。(※ドートレさんは、オンラインで「うたごえ喫茶」や「こども歌広場」もされてます)

そして、匠工芸の桑原社長の締めの挨拶が、しびれるくらい良かった。コロナ禍で、恒例のコンサートを開催するかどうか、社内で議論があったという。「いろんなことが中止になっている。やめることは可能だし、やめたことに文句は言われない」と。うんうん、本当に。それしか選択肢ないのかな?と思うくらいに。で、こう続けていらした。

「こういう時だからこそ、心地の良い暮らしってどういうことか、考えようと。音楽や芸術、自然があって心地よい暮らしはできる。コロナウイルスという化け物が、人の暮らしはどういうものかを見直そう、どうしたら仲良く、心地よく生きられるかを教えてくれる気がします。みんなで楽しい生活を過ごせますように」。これは匠工芸のファンになるよねー。ものづくりは「心」から、ということがライブでも伝わったし、作り手の思いから理解して買いたい、置きたいなーとあらためて。こういう素敵な取り組みは、お客さんはもちろん、社員の皆さんにとってもかけがえのない機会な気がする。

当麻のココペリさんで7月に聞いた、アイヌがルーツのトンコリ奏者・OKIさんのライブも衝撃的だった。世界的に有名で、知り合いにもファンがたくさんいると後で聞いたけど、恥ずかしながらまったく存じ上げなかった。

ご近所には、宝物があるふれているんだな。じっとしているのは時間がもったいない。

男山の酒蔵開放まで車で7分! 1年分の飲み倒しをぜひ

旭川公園ゲストハウスから車で7分。「北の灘」と称される旭川を代表する、そして北海道が誇る名酒蔵「男山」がすぐ近くにあります。同じく酒どころである兵庫県西宮市出身の管理人は学生時代に立ち飲み屋で毎週「男山」を愛飲し、こちらはなんと伊丹発祥でもあるので、親近感がすごいです。

管理人も週に2、3回は通って、たくさん仕込み水をいただいています。大雪山連峰の雪解け水が伏流水となって湧き出たもので、真冬でもボトルを持った市民が列をなしてます。ローカルでも大人気! まさに暮らしに根差した、最重要なローカル資源です。


その男山で2月9日、いよいよ年に一度の「酒蔵開放」が開催されます~。造りたての味を楽しんでもらおうと、なんと1979(昭和54)年から続いている超・長寿イベント。今や1万人が来るんだとか。男山から一番近いゲストハウスとして、宣伝せねば!

去年は家族みんなで出かけました。あんまり時間がなかったので、駆け足で振舞い酒をいただきまくりましたが、今年は体調をしっかり整え、珍味をつまみながら5時間ほどフルに堪能しようと思います!(開催は午前10時~午後3時)

試飲コーナーは長蛇の列! 待ち時間は想定しておかないと、けっこう体が冷えてくる。でも、辿り着いた時の喜びといったら・・・。何度でも並びたくなる。

けっこうテンポよく、すぐにいただけるのが「鏡開き樽酒」。杉の薫りと一緒にどうぞ。平安~室町時代の「かめ仕込み酒」も無料で試飲できます。お酒を飲まない方は、麹を使った甘酒の試飲もできます~


一升瓶のケースがずらりと並んでいて、この雰囲気がたまらない。グループでちょっとずつシェアしたり、つまみを味わったり。ワイガヤで酔いがどんどん気持ちよくなってきます!

 

ちなみにお子さまコーナーも充実。将来の左党を育成するには最適な環境です。ご家族連れでぜひどうぞ。ゲストハウスにもこれくらい空きビンがあれば、玄関へのアプローチにフットライト代わりに並べたい・・・。

インスタ映えする(かもしれない)、滝みたいな噴水もあります。訪日客はとりあえずみんなここで写真撮ってます。敷地内のこの日本庭園は、自撮りの聖地。(写真は最近のもの)

41回目の昨年は、早朝から開門を待つ長蛇の列ができていたんだとか。札幌からはバスツアーも!

今年の当日限定のお酒は、「今朝ノ酒」「斗瓶どり吟醸原酒」そして「燗酒」。あったまりそう★ お酒を飲まない人は甘酒のほか、酒粕入りの蕎麦やうどん、豚汁の販売もあります!お土産には「酒まんじゅう」や、時鮭や銀鱈を男山の酒粕で漬けた「北海道二段仕込み」も良さそう。福袋は午前25本、午後40本です。

詳しくは、公式ホームページhttps://www.otokoyama.com/blog/notice/1304 をご覧くださいませ~

従業員さん総出! 男山のすべてが詰まった年に一度の大イベントです。相乗りして一緒に行きませんかー。もちろん宿泊も大歓迎です!(昼寝はご相談ください)

線路の近くに大根が眠っている、という幸せ

知ってる人は知っている、ゲストハウスそばの自家菜園。稚内につづくJRの線路の脇に、細長~い畑が続いている。

そこで地元の人がいろんな野菜を育てていて、森さんはゲストハウス目の前で耕作をされている。もともとは線路の向こう側の60坪の土地でやっていたけれど、続けられない人がでてきて、声をかけられてここでもするようになったとか。

もう10何年も、農薬を使わず大根やネギ、とうきび(トウモロコシ)なんかを育てていて。管理人としてみれば、「いつかあそこで育てたい」「たべてみたい!」と思うのは当然のことで。

そう思っていたところに、森さんが声をかけてきてくれて、大根やネギをくれるようになった!

次男が森さんの畑に遊びに行って、大根の葉っぱをモシャモシャ食べ始めたのがきっかけけ(笑)それから何度も森さんは来てくれて、お裾分けしてくださる。

葉っぱはそのままでも食べられるし、炒め物にするとご飯が止まらない! 自家製の「牛乳漬け」なるものもいただいたけど、まろやかで甘くてこれまた美味! 酵素ジュースにしてもうまい!

こんな幸せなことはないなぁ~。

そして冬にむけて、ご厚意に甘えて、森さんの畑に大根を10本くらい、寝かせることにしたんです。雪が降ると天然の雪室になるので、お客さんが来たら一緒に掘り起こして、甘味を増した大根をゲストハウスで食す!

楽しみすぎて、本格的な冬が待ち遠しい★ 冬こそ北海道へ一気に向かってほしい~

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永山といえば、市民手づくりの「屯田まつり」

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旭川公園のある永山は、旭川市内でも一番早い時期に屯田兵が開拓した地域。だからなのか、旭川市に編入されたいまも、永山人としての誇りみたいなものを、いろんな人から感じとることができる。そしてその象徴が、まつり。

毎年7月下旬に行われる「永山屯田まつり」は、昭和62年に始まった。むかし「旭川屯田まつり」と呼ばれていた時期もあったけど、やっぱ「永山」ということになったらしい。なんか、いいなぁ。

一番の特徴は、発祥が寺社仏閣にあるんでなくて、市民から生まれたということ。「屯田魂の後世への継承」「地域開拓者の偉業に対する敬愛と感謝」をテーマに、住民や企業が手作りしているお祭りというのは、そんなにない。そういえば浜松まつりも、市民発祥だけど。

明治24年に400戸の屯田兵と家族が入ってきて、鍬で一から開拓。いまでは人口4万人を数えるまでになった。なかなか、地元の起こりや祖先を思いやる機会がないということで、お祭りをすることになった。

松本家が永山に移住してきたのは2018年10月だから、去年の屯田まつりは見れてなかった。今年が最初ということで、目を見開いてきましたよ。

「すごいよ」とは聞いていたけど、ほんとにすごい迫力だった。短い、短い夏を楽しみぬいてる感じがした。道内で一番大きいと言われる太鼓も、各地区の山車も。「エイヤサー、エイヤサー」の大合唱で、みなさん心底楽しんでる感じ。旭川公園のある地区の自治会でも、昔は独自にあんどんや山車を持っていたんだとか。今度、そんな歴史も紐解いてみよう。

この屯田まつり、冬に「実行委員にどうだ」と声かけをいただいていたけど、そのまんまになっていて反省。来年こそは、太鼓を叩けるように(裏方でもいいけど)、そして永山に早く溶け込めるように楽しもう!

ついに目覚めた「白樺プロジェクト」 (動画つき)

旭川で6月にあったデザインウィーク(ADW)で、去年からお邪魔していた「白樺プロジェクト」がお披露目になった。一般に公開される初めてのタイミングで、東川町の「木と暮らしの工房」の鳥羽山さん、美瑛の樹凛工房の杉達さん、デザイナーの田中さんたちがもの凄いエネルギー量で間に合わせた。そのブースがこちら

会場になった旭川デザインセンターの、二階に通じる階段を上がって正面という好立地も手伝っただろうけど、その圧倒的な存在感に客波は絶えず。切り株やチェーンソーがどーんと中央にあって、だれもが「森とのつながり」を直感できる空間だわ。

思わず「かわいーー」と唸るスツールやベンチ、「白樺がこんなきれいだなんて」と見惚れるテーブルはもちろん、樹液の化粧品や飲み物、白樺で染めたフェルト作品などなど、いろんなタッチポイントがあるのもすごい。

最終日には最強のキコリがブースに立って、お客さんにダイレクトに説明していた。いい意味での異様な光景で素晴らしき哉。

ADWの期間終了後も、さっそく7月1日には幌加内町にある北大雨龍研究林で視察・採取したし、9日には旭川大学で今後の方針を話し合った。大きなイベントがあった後こそ、しっかりじっくり持続させることを考えることが大事!

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そして旭川公園としての白樺プロジェクトも、地味に進行中。清水さんに切りだしてもらった里山部産の白樺は乾燥・製材が終わり、岡山県西粟倉の「ようび」へ送られた。完成が待ち遠しすぎる!!!

目的の本がなくても、お出かけの目的になる本屋

妻のリクエストで、札幌にほど近い江別市にある蔦屋書店に行ってきた。蔦屋は東京の代官山以来だったけど、久々にガツんときてサイコーでした。

自分の中での目的は2つ。なぜ集客力があるのかを感じることと、北海道の蔦屋書店として、旭川ゆかりのものがどれだけあるかをみること。

江別はレンガや小麦がたくさん作られてきたことで有名なまち。(江別のレンガを周りに積んだ薪ストーブを下川町で見て初めて知った😅)。だから駐車場から建物の外観をみて、「江別らしいな」とすぐ認知できた。分かりやすいのって大事。

<知><食><暮らし>の三つの棟から成っていて、まずはスターバックス以外が本棚である<知>に入り、つぎに洒落た飲食テナントが入る<食>へ、アウトドアや子どもの遊び、雑貨をメーンにした<暮らし>へと進んでいった。

入った瞬間から、キョロキョロしっぱなし。圧倒的な刺激量。目を前後左右、そして上下に忙しく動かす。「自分の興味がある本がないわけはない」という気分になって、本を買いに来たわけじゃないのに、なんとなく歩き回って探してしまう。

憎いほどいいなと思ったのは、おそらくコンシェルジュさんが作ったであろう、本のジャンルごとのおススメ文。キャッチーな写真も添えてある。ポップとは違ってスマートすぎるけど、思わず読んじゃうクオリティ。かなり力入ってる。

そして当然のように、その近くにはそれに関連するグッズが置いてある。旅行ならその行先を、お弁当ならその中身を、どうしても想像してしまう。これはもう、体験価値を提供してるようなもんだ。

そしてそして、3棟のうち、1つに足を運べば、どうしたって他も見たくなる。

すると、「食」「旅」「キッチン雑貨」「器」「子育て」「アウトドア」「洋服」と、暮らしのあらゆる要素がつながってくる。否応なしに、自分はどんな暮らしがしたいかなってイメージする。ライフスタイルを提案されてるな、自分。完全にCCC(運営会社)の術中にはまっているな…と思いながらも、まぁ楽しいからしょうがないよね。

子ども本のコーナー。いいなぁ
どどーんと贅沢にマリメッコを紹介

本に囲まれたり、本を選んでいる時間を楽しませることに主眼を置いているんだろなーと、来る前は思っていたけれど、それだけじゃなかった。

スタバのスペースで観察していると、本を持ち込んで(清算前でも読める)ドリンクを楽しんでいる人は、半分もいなかった。この「蔦屋書店」という空間で仕事したり、自習したり、おしゃべりしたり、ネットサーフィンしたりといった体験に価値を見出してるんだろな。たぶん。

ところで、にわか「おにぎり研究家」の松本家としては、フードコーナーのおむすび屋さん「Hakodate Omusubi函太郎」で大人食いしないわけにはいかない。

鮭と山わさび、二番目に高価な「岩海苔と雪たらこ」(550円)、日替わり味噌汁をオーダー。

ごはんは、道南で生まれたという「ふっくりんこ」の特別栽培米。ほんのり甘く、ほんのり塩味がして、ふっくらして瑞々しく、バランスがある。わが家で試行錯誤しているお米に比べて、透き通った感じがするし、粒感は弱くても粒ごとの存在感は生きている。うーむ! 

炊き立てご飯の水分の逃がし方、握り方、ノリの巻き方もめちゃ参考になった。調理場が丸見えなので、じーっと観察してしまった(すみません)。

おにぎり屋さんの楽しさの一つは、家庭ではできない種類の多さ。価格の幅が大きすぎて、ついつい高級メニューも食べたくなるじゃん! お米や具、みそ汁まで全体で「道南」を感じさせる演出にも驚いた。

そうそう、旭川周辺ゆかりの作家さんや商品もたくさんあった! ▼大雪木工(東川)のチェア、▼アカエゾマツのアロマ「はぐりら」(旭川)、▼旭川公園ゲストハウスでも使う瀬戸晋さん(東旭川)の漆拭きの木食器、▼ロクロ挽きで薄い質感の「kamiシリーズ」が人気の木工メーカー「高橋工芸」(旭川)、▼日本茶ブランド「USAGIYA」(旭川)。けっこういっぱいあって、うれしかったな~。

ゴールデンウイーク最終日。子どもを保育所やデイサービスに預けている間のとんぼ返りの小旅行だったけど、お腹いっぱいになれて幸せでした。

絵を描くように、植物たちをデザインする。ナチュラルな上野ファームについて



4月下旬、いよいよ旭川が誇る上野ファームがオープンした。全国のガーデナーの憧れの地で、このゴールデンウイークもさっそく賑わっている。連休中は2回、ヘッドガーデナーの上野砂由紀さんが案内するガーデンウオークもあって、すごい人気だった。

この時期に咲いている花は、まだまだ少ない。特に今年は雪解けが遅かったことも影響してるんだとか。最盛期ではないからそりゃそうなんだけど、けっして背伸びせず、それぞれの季節ならではの見せ方をしている表れでもある。

5月4日のガーデンウオークには50人超が参加。上野さんは冒頭「この時期のガーデンを知ると、もっと咲いた時の感動が大きくなります。100倍楽しめますよ」と切り出した。

ガーデン内は植物の名前が書かれたラベルがない。来園者からは表示を求める声もあるけれど、「自然な雰囲気で楽しめるようにしたいので」とあえて対応していないんだとか。だからこそ、上野さんから直に聞ける機会はまたとないチャンス。いつもより100倍耳の穴を大きくして、ゆっくり歩いた。


左右対称に植えている「ミラーボーダー」のエリアでは、チューリップが開花を待っていた。ここの球根類は植えっぱなしで、掘り上げることはしない。花が終わったら周りのほかの植物が伸びて、自然とバトンタッチするようにしているんだとか。

前後左右に植えることで開花期を調整し、6月~9月に「なんかしらが咲いている」状態をつくりだしている。「調整して、結果が出るのが一年後。それを繰り返していきます。気の長い作業ですが、うまくいくと嬉しいですね」と上野さん。

気軽にできるガーデニングのコツも教えてくれた。同じチューリップでも早咲き、中間咲き、晩成咲きの3種類を組み合わせることで、色が変わって長く楽しめるガーデンがつくれるという。

来園者が小人(こびと)になった気分で楽しむ「ノームの庭」でも、季節ごとに見せ場を変えている。チューリップが終わる頃には、アリウムが存在感を増すように演出。通路に近いところには常緑の植物を置き、花が終わっても楽しめるよう計算している。



「毎年同じ庭はありません。雨や気温で高さ(丈)も変わる。デザインは生きているので、日々変わるのがガーデニングの一番の面白さですね。絵を描くようなガーデニングです」

1時間のガーデンウオークも終盤。かつて屯田兵が訓練をした「射的山」のふもとでは、上野さんはクリスマスローズとルピナスを紹介した。「本州なら、クリスマスローズは日の当たるところはNG。でもここならどんどん大きくなります。植物は暑くなるとエネルギーをつかうので、それほど大きくならないんですが、北国では本州の2倍くらいになるのもあります。ここの植物を関東に持っていっても、3分の1くらいは枯れるはず。北海道だからこそのガーデンがつくれるということを知っていただきたいです」とまとめた。「北海道ガーデン」という言葉が、これまでで一番しっくりきた。

季節に逆らわず、花の組み合わせをイメージして長く楽しむって新鮮。上野ファームでやっていることを、普段の暮らしにも取り入れることができそうだし。草花の織り成す景色は春から夏、秋にかけての季節の変化だけでなく、1週間単位でめまぐるしく変わっていくというのも、生き物らしくて楽しい。農家の上野家が、お客さんをもてなすために始めたプライベートガーデンだからこその、自然体の魅力も大きいんだろうなーと思う。

暇さえあれば、季節ごとのグラデーションを見にいこう。準備するのはカメラと年間パスポートだけでいい。

移住後はじめての「突哨山」

ゲストハウス「旭川公園」の予定地の近くには、突哨山(とっしょうざん)という里山があって、今や売れっ子になっている清水省吾さんが一部を所有して、消費者が気軽に入り、興味をもてる「オープンな林業」を展開している。

清水さんが展開する「里山部」入り口

木こりとしての貫禄十分な清水氏

「自伐型」というスタイルで、山主(所有者)が森林組合とかにお願いして終わり、ではなく、自分で所有して管理し、職人さんと連携して川下のお客さんまで届けるスタイル。これから北海道で広がっているだろうし、家具産地としての旭川にとって、森が近くにいて木々のことを知れる環境っていうのは何物にもかえがたい。

予定地から車で10分くらいの場所にこの里山と清水さんがいるっていうのは、場所を決める上ですごく大きなポイントになった。感謝!

10月22日には移住後はじめて、突哨山に来て清水さんと作戦会議。名目は、クラウドファンディングの返礼品にもなっているオリジナルスツールの候補木のセレクトだったけど、森のなかを案内してもらい、今後のことをなんやかんや話しているうちに、時間が過ぎて(笑)おかげで家族みんなで、心ゆくまで堪能させてもらいました。

「里山部」の清水さんのフィールドに唯一あるカラマツ

なんだか北海道っぽいシラカバ

木のスプーンとかを作れる「削り馬」が森の中に置いてあった。子どもたちは夢中になって乗りたがる。これ、ゲストハウスにも起きたいなあと夢想中。

当たり前だけど現行林業のうえに成り立っている家具産業。小規模だけど自分たちで所有し管理して手がける、そんな林業と丁寧なものづくり技術を組み合わせる、そんなオリジナルをつくっていきたい。(その片棒を担ぎたい)

 

学校までの道も、いちいち景色がきれいで困る

星野リゾートの「OMO7」を早めに出発して、自分と妻、長男はとなり町・東川町というところへ向かう。東川は、ちょっと前の記事で紹介したニセウコロコロさんのある町。

アパートに荷物を取りに行って、そこから10分弱ほどクルマを走らせると、言わずと知れた旭山動物園。その周りは田園地帯で、紅葉が盛りを迎えていた。まだまだ北海道初心者なので、見るもの見るもの新鮮で。でもこの感覚は忘れずにいたい。外の目線だから、感じることを。

ここから十分しないくらいで、北海道立の東川養護学校に到着。登校体験として、調理実習の授業に参加させてもらう。われわれ父母は、先生や職員さんから説明を受ける。

素晴らしい方ばかりで、楽しい学校生活になるのは間違いないと確信できた。長男・大滋(たいし)も、浜松にいるときから体調が優れずにいたけど、学校に来たらハイテンションに。子どもにとって特別な場所なんだな。特にこの子にとっては、自分の素を解放できるところなんだろう。親に怒られるわけでもないし、弟妹のやかましさに怖がる心配もないしで。

学校の正門から見た、畑と空。近くの畑をお借りしての農業実習やスキー学習もあるので、自分がやりたいくらいだわ。

アパート方面に帰る時も、思わず見とれてしまう景色がずっと続く。イオン渋滞に巻き込まれる都市部より、こっちの方がずっといい。にしてもスマホ写真にするとどうも雰囲気とホンモノの色が出ない・・・。

お昼は、ちかくの「よし乃」で味噌バターらーめん。腹ペコな時は、ここに限る。安定してうまい。

ご飯を食べて、最寄りの佐川急便まで預かり荷物を取りに行くときも、石狩川沿いにこの景色。困った困った

しかもこの日は虹がでてた。北海道にきて、何度も虹を見ている気がする。

午後は引越しの家財の搬入日。10月5日に出して、この日は12日。いちばん安いところを選んで頼んだけど、安さにはやっぱりわけがある。トラブル続出で、なんやかんや、他のところとトータルでは変わらないくらい、余計な出費を強いられてしまったー。

なので夜は旭川発祥の塩ホルモンが食べられる、近くの「きくちゃん」へゴー。体調よくなくビール2杯で撃沈するも、肉はうまい。あと、ガゴメ昆布とキャベツをまぜた「きくちゃん漬け」に、おかわりしたくなる滋味あり。ちょっとずつ、ホルモンがソウルフードだと体で分かってきた。早めに「馬場ホルモン」もいきたいー。

手伝いに来てくれた妹と、長男・大滋