冬が終わって、冬を待つ

またまた更新が滞ってしまい・・・。気づけば春になってました💦

2022年の冬(2021→2022シーズン)は、自分にとって記念すべきものとなりました! 念願、というかこれまでなんとなく避けていたスキーに初挑戦したのです。

この「あさひかわ新聞」にも書いたのですが、きっかけは次男のスキー教室。子どもが挑戦しているのに、親もやらないと示しがつかない!と高所恐怖症なのに一念発起しました。

旭川公園ゲストハウスとしては、スキーをメーンに滞在される方は多くはないものの、やっぱり「どこがいいですか?」とは決まれます。こんなスキー場だらけの旭川に暮らしているので、もちろんある程度のことは知っているし、必要に応じて詳しい人に聞くようにしてましたが、やっぱり、身が入らないというのが正直なところで・・・。

そりゃ、スキーは中学の時の合宿で恐怖を覚えてからは経験は皆無で、唯一あるのは大学生の時、名寄で人生初のスノーボードをやったくらい(なぜかボードは滑れた!)なので、「ここが楽しいですよ!」なんて適当なことは言えないわけで。

で、2022年2月、よっとこさスタート。カニさん歩きやハの字から始めて、高さにも慣れていって、ぴっぷスキー場(比布町)で3回、芦別国設スキー場(芦別市)とカムイスキーリンクス(旭川市)でそれぞれ1回ずつ経験。富良野スキー場(富良野市)では、春スキーもやってみました。

結果は、やればやるほど楽しくて、時間に余裕があって雪があれば、すぐにでも行きたいと思えるくらいに。想像以上の進歩です! 北海道に来てよかった~と、久々にしみじみです。

お客さんと滑る楽しみもできたし、来シーズンが楽しみすぎる。3年くらいしたら、華麗にターンできるようになるのかなーと想像しつつ、夏と秋が終わるのを今か今かと待ち焦がれています。

隣の畑、そばの川、ときどき裏山

春本番。シラカバなのか、花粉も本番です。コーヒーを控える毎日。

敷地内の「公園ファーム・離れ」で、ラベンダーを発見!

5~6月は、「今のうちに」を迫られることがいくつかあって、代表格が畑。次点が薪の調達であります。雨が本格的に多くなる前に、気温がまぁまぁ高くなる時に、いざ。

6月1日、去年から始めた「みんなの公園ファーム」が始動しました。いつもカフェに来てくださる皆さんにお手伝いしてもらい、畝をつくっていく。苗は、ご近所で町内会活動でも役員同士の農家・Tさんから大量にいただいて。

トマト・ピーマン・セロリ・パセリ・ナス・ジャガイモ・トウキビ・シソを、30mくらいの区画に植えていく作業。去年は土をふるいに掛けて小石を分けて、えっさ、ほいさと高く盛っていたけれど、2年目は大進化。これまたいただきもののマルチ(保温・乾燥防止のビニル)を敷いて、その穴に植えていく。めっちゃ速い!!

汗を流したあとは、みんなで賄いごはんと、アイスコーヒーで休憩。みんなで作業するって、この時間のためにやってるんだな~と思える、ヒュッゲなひととき。

皆さんが帰られたら、管理人は里山部・清水省吾さんが管理する山へ。「裏山」として使わせてもらってて、片道10分ちょっとだから、いつでも行ける。

途中、人工の「永山新川」を渡る橋から、あまりに大雪山と手前の緑がきれいだったもんで、車を停めてボーっとする。たまたま、宗谷本線のトラス橋をDECMOことH100型が通過。車体自体はステンレスで味気ないけど、この景色だからなんでも許せちゃう。

里山部のベースの「突哨山(とっしょうざん)は、旭川市と比布町にまたがっていて、カタクリの群生で有名。ゲストハウスで器を使わせてもらっている陶芸家・工藤和彦さんの「ウラヤマクラシテル」もこの山にありまして。駐車場のある「カタクリ広場」を過ぎてちょっと行ったところに、「里山部」の入り口がある。ここからは軽トラがおススメ。なんてったって清水さんに触発されて軽トラ買ったようなもんだから、四駆でアグレッシブに走らせる!

昨シーズンに取りにこれなかった分の薪は、ちょうど荷台満載くらいの量。ヒグラシや鳥の鳴き声をBGMに、筋肉痛覚悟で猛烈にポンポン載せて、ほどよく汗をかいて。重さでブレーキの利きにくくなった軽トラを駆り、ゲストハウスへ。

この前日には、ご近所さんからも大量の薪の差し入れがあったので、今年の冬の7割くらいはなんとかなりそう!

それにしても、畑が歩いてすぐあって、食べるもの(の一部)を自分たちでつくることができて、少し足を延ばせば永山新川も石狩川もあって、森があって。あぁ、この場所を選んでよかったーと思えた1日。この近さこそ、豊かさ。しかも人にも恵まれて・・・。

旭川、やっぱいいなー!

男山の酒蔵開放まで車で7分! 1年分の飲み倒しをぜひ

旭川公園ゲストハウスから車で7分。「北の灘」と称される旭川を代表する、そして北海道が誇る名酒蔵「男山」がすぐ近くにあります。同じく酒どころである兵庫県西宮市出身の管理人は学生時代に立ち飲み屋で毎週「男山」を愛飲し、こちらはなんと伊丹発祥でもあるので、親近感がすごいです。

管理人も週に2、3回は通って、たくさん仕込み水をいただいています。大雪山連峰の雪解け水が伏流水となって湧き出たもので、真冬でもボトルを持った市民が列をなしてます。ローカルでも大人気! まさに暮らしに根差した、最重要なローカル資源です。


その男山で2月9日、いよいよ年に一度の「酒蔵開放」が開催されます~。造りたての味を楽しんでもらおうと、なんと1979(昭和54)年から続いている超・長寿イベント。今や1万人が来るんだとか。男山から一番近いゲストハウスとして、宣伝せねば!

去年は家族みんなで出かけました。あんまり時間がなかったので、駆け足で振舞い酒をいただきまくりましたが、今年は体調をしっかり整え、珍味をつまみながら5時間ほどフルに堪能しようと思います!(開催は午前10時~午後3時)

試飲コーナーは長蛇の列! 待ち時間は想定しておかないと、けっこう体が冷えてくる。でも、辿り着いた時の喜びといったら・・・。何度でも並びたくなる。

けっこうテンポよく、すぐにいただけるのが「鏡開き樽酒」。杉の薫りと一緒にどうぞ。平安~室町時代の「かめ仕込み酒」も無料で試飲できます。お酒を飲まない方は、麹を使った甘酒の試飲もできます~


一升瓶のケースがずらりと並んでいて、この雰囲気がたまらない。グループでちょっとずつシェアしたり、つまみを味わったり。ワイガヤで酔いがどんどん気持ちよくなってきます!

 

ちなみにお子さまコーナーも充実。将来の左党を育成するには最適な環境です。ご家族連れでぜひどうぞ。ゲストハウスにもこれくらい空きビンがあれば、玄関へのアプローチにフットライト代わりに並べたい・・・。

インスタ映えする(かもしれない)、滝みたいな噴水もあります。訪日客はとりあえずみんなここで写真撮ってます。敷地内のこの日本庭園は、自撮りの聖地。(写真は最近のもの)

41回目の昨年は、早朝から開門を待つ長蛇の列ができていたんだとか。札幌からはバスツアーも!

今年の当日限定のお酒は、「今朝ノ酒」「斗瓶どり吟醸原酒」そして「燗酒」。あったまりそう★ お酒を飲まない人は甘酒のほか、酒粕入りの蕎麦やうどん、豚汁の販売もあります!お土産には「酒まんじゅう」や、時鮭や銀鱈を男山の酒粕で漬けた「北海道二段仕込み」も良さそう。福袋は午前25本、午後40本です。

詳しくは、公式ホームページhttps://www.otokoyama.com/blog/notice/1304 をご覧くださいませ~

従業員さん総出! 男山のすべてが詰まった年に一度の大イベントです。相乗りして一緒に行きませんかー。もちろん宿泊も大歓迎です!(昼寝はご相談ください)

木下斉さんを迎えます!

11月9日、全国のまちづくりの現場を渡り歩いてこられた地域活性化伝道師の木下斉さんが旭川と鷹栖町にーーー! 

めちゃ楽しみなので、近著の「地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門」(ダイヤモンド社)の読書感想文を勝手に書いちゃいます。ついでに、関係者じゃないのに勝手にイベント告知します。

補助金をもらったことのある身なので、帯にある「補助金が地方のガンなんや!」にドキッとするけれども、気にせずページをめくる。

気付けば一気に300ページくらいまで来ていて、やばいヤバいもう終わっちゃうと焦る。瀬戸さん(33)という主人公が、実家の家業の整理で帰省していくうちに衰退した地元の再生に関わっていくというストーリー(小説)仕立てなので、読書家になったと勘違いしちゃうくらい紙をめくるのがめちゃ速くなる。

307ページに、子どものころ瀬戸をパシッていて今は飲食事業で大成功している同級生の佐田が、こう言う。「地方やと『地元はダメだ、未来がない、何もできることはない』って大人たちが思い込んでることはまだまだあるんや」。

うんうん!

308ページでは、瀬戸が佐田の言葉を受けるように、「地方に生まれても、地元で何かをするのは無理だと諦めて東京に出てしまう子どもも多いからね。それは結局、大人たちが諦めているからなんだよね」。

ほんまそうそう!

旭川に自分が移住したのは、2018年の10月だった。いま、ちょうど1年が過ぎたところ。

これまで旭川市の経済事情の厳しさをいろいろ見せつけられ、十勝地方の盛り上がりとの比較をよく聞かされ、「旭川で商売なんてできっこない」「なんもないし、みんな諦めてるよ」みたいなことをさんざん聞かされてきた。普通に暮らしてる、それこそ本であえて表現されている「凡人」の皆さんが、そう言う場面に何度も立ち会ってきた。

「旭川ってこんなとこがすごいでしょ」「なんでもあるでしょ」っていう声は、自分で動いて多くのご縁をいただいて初めて、耳に入ってきた気がする。やっぱり少数派だと思う。

自分のまちに対するネガティブな思いや意見って、その子どもたちにも確実に伝染する。「地元で就職を」「流出を防げ」とかお題目をとなえる前に、まず大人たちがちょっとマインドや目線を変えてみることのほうが要るはずやけど。

そういう意味では、移住者のほうがまっさらな目で観察しやすいし、業界とか地域の常識も知らないので、ある意味やりやすい。でも無知すぎるし、勢い先行なもんで、いろんな忠告を受けてきた。「もっと普通のスタイルで着実にやったほうがいい」「こんな立地で人が来るわけないし、理解できない」「最初からこんな大きなリスクを背負うべきじゃない」とか。

確かに、木下さんのこの本でも「事業は小さく始める」こととか「確実な収入をまず確保する、営業の先回りを」というセオリー的な指摘があって、この点、自分のゲストハウス業は危ういところがある。それも自覚はしているつもり。

と同時に、76ページで佐田で瀬戸に迫る、「地方で事業やるゆうたら、誰もが反対する。おれと銀行、どっち信用するんや」という言葉にはちょっと救われる思いがした。木下さんによる解説コラムでも「不安を感じない人はいない。さらにまわりからは親切心で確実に反対される。いろいろな人の意見を聞く人がいるが、特段関係ない人たちに意見を聞いたりして回っているうちに、マイナスの意見ばかりを言われて諦めてしまうケースも多い(中略)不安があるからといって人の賛成を精神安定剤にしようとせず、自分で覚悟を決めてやるしかないのだ」とあった。

スーパーマンの登場を待つんじゃなくて、「凡人」がなにかで刺激を受けてきっかけをつくって、誰と組むかを意識して、とりあえず動きだしてみる。(と本で書いてある)そうそう、それが大事なんだよなーと自分で正当化してしまったわ。動きだしちゃったし、あとはやることでしか危うさを緩和する術はないし!

で、たぶん、大事なのは刺激やきっかけなんだろうけど、それは旭川や周辺にめちゃある。実は。

木こりの清水省吾さんがやっている里山部と自伐型林業だったり、旭町で展開されているnest co-livingだったり、江丹別で始まる熱中小学校だったり、まちなかの遊休不動産を取得して安く貸し出してエリアの価値を高めようとしているパターソンのむらさんの動きだったり。

でもいちばん手っ取り早いのは、9日に木下さんの講演を聴くことでしょう!

鷹栖町主催のまちづくりセミナー「稼ぐまちが地方を変える」は14時から鷹栖地区住民センターで、木下さん自主開催の「狂犬ツアー」は午後7時からJA上川ビルで。かなり突っ込んだ北海道ローカルな話が出てくるみたいですよ!

永山といえば、市民手づくりの「屯田まつり」

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旭川公園のある永山は、旭川市内でも一番早い時期に屯田兵が開拓した地域。だからなのか、旭川市に編入されたいまも、永山人としての誇りみたいなものを、いろんな人から感じとることができる。そしてその象徴が、まつり。

毎年7月下旬に行われる「永山屯田まつり」は、昭和62年に始まった。むかし「旭川屯田まつり」と呼ばれていた時期もあったけど、やっぱ「永山」ということになったらしい。なんか、いいなぁ。

一番の特徴は、発祥が寺社仏閣にあるんでなくて、市民から生まれたということ。「屯田魂の後世への継承」「地域開拓者の偉業に対する敬愛と感謝」をテーマに、住民や企業が手作りしているお祭りというのは、そんなにない。そういえば浜松まつりも、市民発祥だけど。

明治24年に400戸の屯田兵と家族が入ってきて、鍬で一から開拓。いまでは人口4万人を数えるまでになった。なかなか、地元の起こりや祖先を思いやる機会がないということで、お祭りをすることになった。

松本家が永山に移住してきたのは2018年10月だから、去年の屯田まつりは見れてなかった。今年が最初ということで、目を見開いてきましたよ。

「すごいよ」とは聞いていたけど、ほんとにすごい迫力だった。短い、短い夏を楽しみぬいてる感じがした。道内で一番大きいと言われる太鼓も、各地区の山車も。「エイヤサー、エイヤサー」の大合唱で、みなさん心底楽しんでる感じ。旭川公園のある地区の自治会でも、昔は独自にあんどんや山車を持っていたんだとか。今度、そんな歴史も紐解いてみよう。

この屯田まつり、冬に「実行委員にどうだ」と声かけをいただいていたけど、そのまんまになっていて反省。来年こそは、太鼓を叩けるように(裏方でもいいけど)、そして永山に早く溶け込めるように楽しもう!

「コミュニティ」がついた木工キャンプ

ずーっとずーっと前から気になっていた旭川木工コミュニティキャンプ(AMCC)に、初めて参加してきた。(初だけど実行委員として…)今回で11年目だけど、わけあって「0回目」という位置づけ。

6月22日からの一泊。旭川駅やデザインセンターで集合してバスに乗り、当麻町の地域おこし協力隊の原弘治さんの森「IKAUSI CLASS」へ。

キハダって本当に肌が黄色い。歓声があがったわ
雨でも何度も空を見上げて

丸太の上へ順々にあがって自己紹介。雨の中みんなでゆっくり歩いて、原さんが木それぞれの個性や生き残り戦略、森の成り立ちと使い方をガイドしてくれる。

お昼は当麻の奥のほうにあるRICOのカレー。辛い中にもココナツの甘味がいいバランスなんだよなー。

特筆すべきは、このお昼ご飯の後。薪割り、木の色鉛筆づくり(講師:協力隊の長多さん)、チェーンソー体験(森ねっとの中村さん)、火おこし(とうま振興公社の石黒さん)、足踏みロクロ(協力隊の荒木さん)。一級のプロたちがそろい踏み。この層の厚さが当麻であり、旭川! 参加者の皆さんはもう没頭につぐ没頭で、笑い声がいろんな所から聞こえてきた。

お宿は東川町のキトウシ森林公園。「ミーティング」としてグループワークがあって、森を使ってどんな新ビジネスをつくるのか案を出し合う。「ツリーハウスホテル」「森の図書館」とか、10分ちょいで斬新で実現できそうなアイデアが続々、ゾクゾク。すごい。

これまでAMCCは「10年やろう」ということで続けてきた。でも一区切りを迎えたことで、立ち止まって次の10年を考えよう、という趣旨で「0回目」になった。だから「AMCC」ではなく「AMCC2」になっている! ミーティングでは、この辺も話し合った。個人としては、「木工」という切り口で、ほかの産業や地域ともっと絡んでいこうというアイデアにグッときた。

アイスプレジェクトの小助川泰介さんのリーダーシップや場の取り回し方、バランス感覚、すげー。これが実行委員長かー

夜の懇親会は、わが地元・永山の前坂精肉店のジンギスカンで実に誇らしい。この懇親会とキャビンでの2次会はAMCCの中ですごく大切にされている。それは、ホストもゲストもない「キャンプ」であり、交流によって「コミュニティ」をつくるものだから。家具とクラフト、メーカー同士、道内・道外、職人とデザイナー…。あらゆる垣根を超えて、産地だからできる体験をして、想いを紡ぐ場所。

確かにこれは、「コミュニティ」をつくる場だ。だから響く。ゲストハウスづくりにも通じるなぁー

目的の本がなくても、お出かけの目的になる本屋

妻のリクエストで、札幌にほど近い江別市にある蔦屋書店に行ってきた。蔦屋は東京の代官山以来だったけど、久々にガツんときてサイコーでした。

自分の中での目的は2つ。なぜ集客力があるのかを感じることと、北海道の蔦屋書店として、旭川ゆかりのものがどれだけあるかをみること。

江別はレンガや小麦がたくさん作られてきたことで有名なまち。(江別のレンガを周りに積んだ薪ストーブを下川町で見て初めて知った😅)。だから駐車場から建物の外観をみて、「江別らしいな」とすぐ認知できた。分かりやすいのって大事。

<知><食><暮らし>の三つの棟から成っていて、まずはスターバックス以外が本棚である<知>に入り、つぎに洒落た飲食テナントが入る<食>へ、アウトドアや子どもの遊び、雑貨をメーンにした<暮らし>へと進んでいった。

入った瞬間から、キョロキョロしっぱなし。圧倒的な刺激量。目を前後左右、そして上下に忙しく動かす。「自分の興味がある本がないわけはない」という気分になって、本を買いに来たわけじゃないのに、なんとなく歩き回って探してしまう。

憎いほどいいなと思ったのは、おそらくコンシェルジュさんが作ったであろう、本のジャンルごとのおススメ文。キャッチーな写真も添えてある。ポップとは違ってスマートすぎるけど、思わず読んじゃうクオリティ。かなり力入ってる。

そして当然のように、その近くにはそれに関連するグッズが置いてある。旅行ならその行先を、お弁当ならその中身を、どうしても想像してしまう。これはもう、体験価値を提供してるようなもんだ。

そしてそして、3棟のうち、1つに足を運べば、どうしたって他も見たくなる。

すると、「食」「旅」「キッチン雑貨」「器」「子育て」「アウトドア」「洋服」と、暮らしのあらゆる要素がつながってくる。否応なしに、自分はどんな暮らしがしたいかなってイメージする。ライフスタイルを提案されてるな、自分。完全にCCC(運営会社)の術中にはまっているな…と思いながらも、まぁ楽しいからしょうがないよね。

子ども本のコーナー。いいなぁ
どどーんと贅沢にマリメッコを紹介

本に囲まれたり、本を選んでいる時間を楽しませることに主眼を置いているんだろなーと、来る前は思っていたけれど、それだけじゃなかった。

スタバのスペースで観察していると、本を持ち込んで(清算前でも読める)ドリンクを楽しんでいる人は、半分もいなかった。この「蔦屋書店」という空間で仕事したり、自習したり、おしゃべりしたり、ネットサーフィンしたりといった体験に価値を見出してるんだろな。たぶん。

ところで、にわか「おにぎり研究家」の松本家としては、フードコーナーのおむすび屋さん「Hakodate Omusubi函太郎」で大人食いしないわけにはいかない。

鮭と山わさび、二番目に高価な「岩海苔と雪たらこ」(550円)、日替わり味噌汁をオーダー。

ごはんは、道南で生まれたという「ふっくりんこ」の特別栽培米。ほんのり甘く、ほんのり塩味がして、ふっくらして瑞々しく、バランスがある。わが家で試行錯誤しているお米に比べて、透き通った感じがするし、粒感は弱くても粒ごとの存在感は生きている。うーむ! 

炊き立てご飯の水分の逃がし方、握り方、ノリの巻き方もめちゃ参考になった。調理場が丸見えなので、じーっと観察してしまった(すみません)。

おにぎり屋さんの楽しさの一つは、家庭ではできない種類の多さ。価格の幅が大きすぎて、ついつい高級メニューも食べたくなるじゃん! お米や具、みそ汁まで全体で「道南」を感じさせる演出にも驚いた。

そうそう、旭川周辺ゆかりの作家さんや商品もたくさんあった! ▼大雪木工(東川)のチェア、▼アカエゾマツのアロマ「はぐりら」(旭川)、▼旭川公園ゲストハウスでも使う瀬戸晋さん(東旭川)の漆拭きの木食器、▼ロクロ挽きで薄い質感の「kamiシリーズ」が人気の木工メーカー「高橋工芸」(旭川)、▼日本茶ブランド「USAGIYA」(旭川)。けっこういっぱいあって、うれしかったな~。

ゴールデンウイーク最終日。子どもを保育所やデイサービスに預けている間のとんぼ返りの小旅行だったけど、お腹いっぱいになれて幸せでした。

絵を描くように、植物たちをデザインする。ナチュラルな上野ファームについて



4月下旬、いよいよ旭川が誇る上野ファームがオープンした。全国のガーデナーの憧れの地で、このゴールデンウイークもさっそく賑わっている。連休中は2回、ヘッドガーデナーの上野砂由紀さんが案内するガーデンウオークもあって、すごい人気だった。

この時期に咲いている花は、まだまだ少ない。特に今年は雪解けが遅かったことも影響してるんだとか。最盛期ではないからそりゃそうなんだけど、けっして背伸びせず、それぞれの季節ならではの見せ方をしている表れでもある。

5月4日のガーデンウオークには50人超が参加。上野さんは冒頭「この時期のガーデンを知ると、もっと咲いた時の感動が大きくなります。100倍楽しめますよ」と切り出した。

ガーデン内は植物の名前が書かれたラベルがない。来園者からは表示を求める声もあるけれど、「自然な雰囲気で楽しめるようにしたいので」とあえて対応していないんだとか。だからこそ、上野さんから直に聞ける機会はまたとないチャンス。いつもより100倍耳の穴を大きくして、ゆっくり歩いた。


左右対称に植えている「ミラーボーダー」のエリアでは、チューリップが開花を待っていた。ここの球根類は植えっぱなしで、掘り上げることはしない。花が終わったら周りのほかの植物が伸びて、自然とバトンタッチするようにしているんだとか。

前後左右に植えることで開花期を調整し、6月~9月に「なんかしらが咲いている」状態をつくりだしている。「調整して、結果が出るのが一年後。それを繰り返していきます。気の長い作業ですが、うまくいくと嬉しいですね」と上野さん。

気軽にできるガーデニングのコツも教えてくれた。同じチューリップでも早咲き、中間咲き、晩成咲きの3種類を組み合わせることで、色が変わって長く楽しめるガーデンがつくれるという。

来園者が小人(こびと)になった気分で楽しむ「ノームの庭」でも、季節ごとに見せ場を変えている。チューリップが終わる頃には、アリウムが存在感を増すように演出。通路に近いところには常緑の植物を置き、花が終わっても楽しめるよう計算している。



「毎年同じ庭はありません。雨や気温で高さ(丈)も変わる。デザインは生きているので、日々変わるのがガーデニングの一番の面白さですね。絵を描くようなガーデニングです」

1時間のガーデンウオークも終盤。かつて屯田兵が訓練をした「射的山」のふもとでは、上野さんはクリスマスローズとルピナスを紹介した。「本州なら、クリスマスローズは日の当たるところはNG。でもここならどんどん大きくなります。植物は暑くなるとエネルギーをつかうので、それほど大きくならないんですが、北国では本州の2倍くらいになるのもあります。ここの植物を関東に持っていっても、3分の1くらいは枯れるはず。北海道だからこそのガーデンがつくれるということを知っていただきたいです」とまとめた。「北海道ガーデン」という言葉が、これまでで一番しっくりきた。

季節に逆らわず、花の組み合わせをイメージして長く楽しむって新鮮。上野ファームでやっていることを、普段の暮らしにも取り入れることができそうだし。草花の織り成す景色は春から夏、秋にかけての季節の変化だけでなく、1週間単位でめまぐるしく変わっていくというのも、生き物らしくて楽しい。農家の上野家が、お客さんをもてなすために始めたプライベートガーデンだからこその、自然体の魅力も大きいんだろうなーと思う。

暇さえあれば、季節ごとのグラデーションを見にいこう。準備するのはカメラと年間パスポートだけでいい。

森林公園ステイから科学館、クラフトショップ

ビジネスコンテストを見学したあと、急いで帰宅してみんなで東川町にあるキトウシ森林公園に向かう。キトウシ山のふもとに広がる、ケビンやキャンプ場、高原ホテルやスキー場が集まっているところ。ここで、突哨山の清水省吾さんや当麻町の地域おこし協力隊の原弘治さんたちが関わっている、「YAMABITO’S」が感謝祭をひらくということで。

このヤマビトーズは、木こりさんや山主、山好き、家具職人さんとかいろんな面白い人が集まっていて、今夜は山じゃなくてケビンに集まって鍋パーティー。初参加のわれわれ家族も温かく迎えていただき、すごく気持ちいい距離感で一緒にテーブルを囲む。お酒も進む。

子どもたちも興奮して、長男と次女は12時くらいまで寝付けず。次男は8時すぎにダウンしたけど、自分は不覚にも寝かしつけで一緒に落ちてしまい、激しく後悔。。。

朝は昨夜まったく見えなかった周囲の景色が見えて気持ち良い目覚め。雪はないけどクロスカントリーの練習をする人たちがたくさんいた。11月とは思えないほどあったかい空気のなか、颯爽と駆け抜けて気持ちよさそう。われわれも、パンとか残りの鍋を囲んで気持ちの良いご飯。みんなで手分けして後片付けして、11時にチェックアウト。

その後は、旭川駅の近くにある旭川市科学館「サイパル」へ。サケの特別展示がしてあると聞いていったはいいけど、待合室みたいな狭いところで資料置いてあるだけでがっくり。でも常設コーナーがすっごく充実していて、大人も一緒に楽しめる。巨大なシャボン玉に体が包まれるやつとか、プリ宇宙体験ができるやつとか、驚くほどのクオリティ。旭山動物園の年間フリーパスで何十円か安くなったし、また来たいなここー。

体を動かした後は、旭川家具の道産材を積極的に使うプロジェクトに賛同してコラボ商品のバウムクーヘンを売っている「壺屋」の本店へ。敷地内にはガーデンがあって、気持ちのいいイートインショップや、ブックラウンジも素敵な雰囲気。浜松でいえば、うなぎパイファクトリーで有名な春華堂がやっている「ニコエ」(浜北区)の小ちゃいバージョンっていう感じかしら。

お昼は、超有名な「福吉カフェ」へ。もう、間違いない感じの空間づくりに脱帽。にぎわっているのも納得!

夕方は、「北の嵐山」と呼ばれている観光スポットに。京都の嵐山みたいな風情あるエリア、ということでこの名前がついてる。住宅街に焼き物の窯とかギャラリー、カフェが並んでいる。お目当ては、「ブラウンボックス」という木工クラフトのセレクトショップ。もともとは自分の住んでいる永山地区で全国への卸業の会社をされていて、この嵐山に移転してショップを開かれたらしい。

間違いない感じのセンスいいクラフトがこれでもかと売られてて、ゲストハウスの準備でかなりお世話になりそうな予感。子どもが3人とも寝てたので妻とゆっくり見学。この日は丹野製作所の名刺ケースを入手して、満足満足。

 

ビジネスコンテストを客観的に見てみると

旭川信用金庫が毎年開いている「旭川しんきん創業アワード」の最終プレゼンと表彰式が開かれるので「見に来ませんか?」とお誘いをいただき、見てきた。

いつもお世話になっている、近くの里山「突哨山」で木こりをやっている清水省吾さんが出ているというのもあって、楽しみにしていて。

結果、清水さんは受賞ならなかったけど、たぶん一番若くて、エネルギッシュで熱量があって、いつもながら楽しませてもらった。審査員からも「これから大切になってくる事業というコメントがあった。「いかに収益を上げるか」「成長する」という点から考えれば、ビジネスコンテストに求められる要素とはちょっと違のかもしれない。

最優秀賞の方は、退院後のリハビリ環境を高い質で提供しようというもの。二位の方は、離農や後継者不足が深刻な問題になっているカボチャ収穫について、機械による自動化と集荷サービスを展開しているというもの。どちらも、確実に今後は需要の拡大が見こめるだろうし、目のツケどころが面白い。特にカボチャの現状は知らないことばっかりだったので、参考になった。

ひるがえって自分はというと、「なんとなく面白いこと」はやろうとしていて、旭川でも応援してくださる方が増えている感じはするけど、「事業がうまくいく確度」「堅い需要がどれだけあるのか」という点はまだまだ弱い。という事をあらためて思い知ることになった。

とはいっても、新しいことはなんでもそういうものだし、清水さんたちのやろうとしていることは、これから地球と人間にとって欠かせないし、「小さくて持続できる経済」を回すモデルにもなるはず。だから手を取り合って、うまくいくモデルを確立していかなきゃ。という使命感を勝手に感じて会場を後にしたのであります。

ちなみに会場になったリサーチパークは、文字通り公的な研究機関が集積していて広く企業支援もしていて、面白い製品や会社を紹介してた。旭川に限らないと思うけど、あんまり派手じゃないけど目を引く事業者っていろいろあるなー。商工会とともに、経営相談にも乗ってもらおうかな。