箱根山から感じる心地よさといったら

(つづき)

至福の朝食

宿泊した「箱根山テラス」は、宿泊滞在施設を通じて「木と人をいかす」「木と人の健やかな循環」がコンセプト。代表の建設会社社長が、木質バイオマスでの地域熱供給を進めていて、震災をきっかけに「地域内循環」の必要性を感じられ、新しい暮らしのあり方を創っていこうというもの。

めっっちゃ共感できる、これ。被災地だからこその要素もあるけど、民間でこんな動きがいろんなところで出てくると、日本はもっと面白くなるだろうなー。西粟倉村もそうだったけど、地域内循環は避けては通れないテーマ。

箱根山テラスのロビーにあるストーブはペレット。パンフレットによると、ペレットは薪割りが難しい暮らしの中でも安定的に使える木質資源。たしかに。そういう見方ができるなぁ。あと、屋根に雨水を貯めて、手押しポンプで汲み出せるようにしているらしい。

テラスから、カキで有名な広田湾のほうを望むと、スギが伐採されてるのが分かる。地元の方が間伐したらしく、森で過ごせる場づくりを進めてるんだそう。いいなぁ。めちゃんこ参考になる。

馬みたいな形のオブジェ(乗り物?)も見える

そして朝ごはんがめちゃくちゃおいしい。高いお店で食べるようなおいしさではなく、長年の経験に裏打ちされた、丁寧に丁寧に手作りされたってのが分かる、優しい味。何度も噛みたくなる、おかわりしたくなる味。朝ごはんにこそふさわしい。「旭川公園」も、こういうの目指したい。

朝食のメニュー

広大で高低差のある、名物ウッドデッキでコーヒーを飲むのもいいし、中のサンルームでゆっくり本を読むのもよし。もう本当に居心地がいい。たまらない。

二階はワークショップルームになっていて、地域の集まりにも使われるのだそう。コミュニティにもなっているのかも。いいなぁ。このブックシェアリングというか、まちなか文庫というか、本を持ち寄ったり開放したりする取り組み、「いいな」と思った地域や場ではけっこうな頻度で見かける。やっぱりコミュニケーションツールとして本は欠かせない。

スタッフの方もめちゃ温かくて、ぜひリピートしたくなった。これから山をおりて、津波被害を受けたまちなかへ。

(つづく)

那須から仙台経由、陸前高田ゆき

(つづき)

Chus(チャウス)で眼が覚めると、あたりは真っ暗だった昨夜とはまったく違う光景に驚いた。こんなにたくさんのショップが張り付いているなんて! しかもどれも、「丁寧な暮らし」が好きそうなお店ばかり。パッと見る限り11時開店のとこばかりだったので行けそうにはないけど、首都圏からわざわざ足を運ぶお客さんがいるのも頷ける。

憧れの上げ床式の花壇。ゲストハウス「旭川公園」でもいつかやりたい!ハーブとか植えたい!

昨晩も見た、小さな古本屋やさん。夜もいいけど、昼もいい。景色になっている

チャウスだけではない、人気のスコーンショップ「SHOZO」とか秀逸なショップがいくつもあわさって、一つの「景色」になってる。ここの場合はお店だけど、「ここに行けばなんか面白いできそう」と思わせる仕掛けとしては最高なクオリティだなぁと思った。

チェックアウトして、また東北道で仙台へ。ちょうど息継ぎするのに良かったのと、ぜひ見たい公園があったので。

あまりにも当たり前すぎて恐縮しちゃうくらいだけど、東北随一の繁華街・国分町に車を停めて、にぎわっている商店街の一角にある牛タン「利休」でランチ。なんか普通の旅行みたいになってきた。でも安定してうまい。

たくさん頼んで子どもが食べきれず、けっきょく自分がご飯を3杯くらいいただくことになってパンパンにお腹が膨らんだので、小走りで「肴町公園」を目指す。

肴町って、浜松にもあってよく行ったから懐かしいなぁ。ほどなくして到着。観光名所でもなんでもないけど、センス良さげな若い男子2人組や、若い子連れ数組が憩っていた。

実はここ、2016年に コーヒーやお菓子の屋台を並べて、ハンモックも置いて、ブランコのペンキ塗りワークショップもするイベントが開かれまして。代表の本郷さんという有名な方たちが、公園のような自然に人が集まる、セミパブリックな場所をつくろうとコーヒースタンドを作り、その流れでイベントも企画された。ひと気の少ない公共空間を活用しようという、公民連携の分野では知られた取り組み。

百葉箱をつかったライブラリー。子ども向けの本が手に取れる。これはやっぱ楽しい
SENDAI COFFEE STAND さんでコーヒーをいただく。チャイとかお菓子もある

 

で、コーヒーを飲みながら自分たちも一服してみた。百葉箱を使った文庫「フリーライブラリー」で次男が本を読みたがって泣きじゃくって、憩いどころじゃなかったけど。どんどん北上しないといけないので、許しておくれ。

後ろ髪を引かれながら一気に一関市まで東北道でいき、そこから延々と下道を通って、陸前高田に到着。峠を越えて、なかなか疲れる道中だったけど、真っ暗な中にも、この一帯が津波で更地になったことを感じさせるのには十分だった。工事中だと分かる自発光式のコーンに導かれる道路ばかりで、大きな大きな空き地が道の両側に広がっていた。

震災の爪痕は翌日見ることにして、とりあえず今宵の宿「箱根山テラス」へ。暗闇の中、急な山道をのぼってたどり着く、静謐な空間。貸切で、よけいに静かに感じられたのかも。チェックインしてまた車にのってご飯を食べ、きょうは早く寝て疲れを取ることにしようー。

このゲストハウス、この空間で一泊7000円ほど。地元の建設会社社長が、震災の後にエネルギーの循環の大切さを痛感して、「木と人を生かす」をコンセプトに始められた、すごいところ。詳細はまた次回に。                          (つづく)

 

ただのゲストハウスとちゃうChus(チャウス)

(つづき)

今回の旅は、全国的に有名なゲストハウスや施設をちょっとでもたくさん見てみようというのがテーマの一つ。一晩めの東京のゲストハウスはキャンセルになってしまったので、那須・黒磯のChus(チャウス)が実質的に第一号。

那須のごちそうを中心に地域の魅力を凝縮したことプラットホームという位置付けで、一階の直販コーナーでは地元産の野菜やら加工品、乳製品がこれでもかと並ぶ。泊まらなくても、地元の人がぶらりとデイリーユースできる感じ。雑貨や化粧品は地元に限らず、全国のいいものを揃えてるので、地元の人にとっていい場所に違いない! 日用品店の役割も兼ねているらしいから、なるほどそうか!と。クッキーのようなお菓子で人気の「バターのいとこ」も置いてあって、すごい人気ぶりだった。いいものに包まれてる感が尋常じゃない。

どっちかというと、物販スペースやレストランを楽しんで、その上にゲストハウスがくっついてる、っていうのが近いかもしれない。受付(レセプション)も物販・レストランのレジでスタッフにお願いする形になってる。

生産者と始めたマルシェに端を発しただけあって、直売コーナーの充実ぶりには目を見張る。しかもおしゃれ。

外観からおしゃれ。周囲に似たようなショップが多く、駐車場も一目では分からないので、日が暮れてから到着するときは調べておいた方がよいかも。

物販スペースの横からのびる階段を上がると、宿泊者専用のフロアになる。この動線だと、絶対に一階で売っているものをなんかしら欲しくなってくるのが不思議。「この上で寝るんだ!」というマインドに無意識になっているのかも。

階段をあがると、ミニラウンジのようなスペースが現れる。ここも当然おしゃれ。思い出ノートが置かれているけど、これも当然しゃれている。食事や空間を絶賛するコメントがあふれておりました。

ドミトリーだと思い込んでいたけど、案内されたのは個室。やったー。当然おしゃれで、子どもは当然のように大はしゃぎで階段をのぼって「おーい!」とやる。案内してくれた方は「ロフトつくったらお子さんが喜ぶかなーと、思いつきでつくりました」と控えめに言っていたけど、この部屋だけじゃなくて、ちゃんと子連れ家族のことも考え抜かれた空間になってた。アメニティも安心できる、上質なものばかり。

 

3階が共同スペースとしてのラウンジになっていて、ゆったりとしたソファでうたたねするのもよし、作業するのもよし。カウンターには小さな冷蔵庫があって、ビール(ハートランド)やジュースが置いてある。野菜の無人販売所みらいに、ざるの中に小銭を投じるスタイル。これはいい!真似させてもらおうかなー。

朝は、前の晩にご飯を食べたレストランと同じ場所。ちょっと雰囲気を変えて、二階のイスに陣取ることに。

二階からの眺めも良い良い

グラノーラ、旭川公園の参考にしよー

(つづく)

管理棟の絵が見えてきた!

10月2日は松本憲さんの事務所で打ち合わせ。コンテナハウスが頓挫して、住宅(兼 管理棟)も憲さんのところでほかの建物と同様にお願いすると決まったのが9月25日、コンテナハウスのメーカーと破談になったのがその2日前だから、なんという、恐ろしいほどのスピード感! 睡眠時間やお子さんとの時間を削って仕上げてくれたであろう、奥さんのしのちゃん、憲ちゃん、所長、ありがとうございます💦

提示されたのは、この図面。

図面のほんの一部

「どうですか?」と言われて、もう「どうもこうもありません」と答えるのがやっと。限られた敷地と予算、「旭川公園」全体の世界観との統一性をぜんぶ満足してくれて、動線やレイアウトも素敵すぎて・・・。

よく、「期待以上、言われた以上のことをしてこそ仕事」みたいに言うけど、それを字でいくようなクオリティの仕事に脱帽&感激!組む相手によって、こうも違うものなのか…。

お気に入りのポイントはいくつかあるけど、一番大きいのはリビングからの景色と、宿泊棟・広場との動線。

景色といっても絶景があるわけじゃないけど、ご近所の家の向こうにそびえる大雪山の方向に、出入り口にもなるリビングの大きな窓があって、それが空き地を向いていて。なおかつ、ウッドデッキを(すぐじゃなくてもいつか)設けることで隣接する宿泊棟からのアクセスがしやすくなるし、デザイン的にもつながりを感じやすい。

それに、ペレットストーブの配置や小上がりの和室も最高の。これが、宿泊棟・広場から(カーテン閉めてない時に見ようと思えば)見えるようになっている。

直前の25日の打ち合わせでは、あくまで平屋にして、2階部分は将来的にロフトのようなものを設けられるような余地を残しておこう、という方向でまとまったけど、所長の方からは「一番大事な予算のことはあるけど、どうせなら最初から入れるプランにしました」と説明をいただいた。2段ベッドを置けて、ゆくゆくは子どもの机を置けるようなスペースや納戸やらを、秘密基地のように控えめに配置する提案をしてもらい、「そりゃあもう、2階はあったほうがいいに決まってますので」と即決。

すごく効率的で機能的なレイアウトで、狭小住宅ならではの「小さな暮らし」ができそう。これなら楽しくモノを減らせるし、減らした甲斐があったなぁ。これは〝間違いない管理棟〟になりそうだわ🤗

ハローアゲイン旭川を叫んだ、浜松のトークナイト

3年前まで住んでた金沢を再訪する旅を終えると、一路浜松へ。この日の夜は、トークイベントが開かれるので。

お題は「なぜ⁉︎  個人が旭川に公園をつくるのか?

いつもゲストハウスづくりでお世話になっているメンバーは普段、「浜松PPPデザイン」というグループをつくっていて、まちづくりの文脈で活動されてまして。そのPPPとしてイベントを開いて私がしゃべる機会を設けてくださり、同年代の人たちが手伝ってくれて盛り上げてくれたのです。

photo:鈴木裕矢 (カラオケの写真以外)

北海道庁のビジネスコンテストでやったプレゼンをベースに計画をお伝えし、PPPの皆さんが突っ込みや補足を挟んでくれるセッション形式。 いくつか質問もいただき、「一番のターゲットに据えている関東の30代女性が、地域の人と交流するというのは、聞いただけではイメージにしくいけど、どういうこと?」「価格設定はどれくらいにするのか」などなど。初めての人に話して反応をもらえるのって、ほんとうにありがたい機会。どんどん増やさねば。試食用でちょっぴり出した、旭川公園オリジナルの味噌グラノーラは、すっごく評判がよく、楽観的かもしれないけど手応えを得たり。

妻からは「グラノーラは反応良かったね。トークはう〜ん、なんかウワーって喋って終わった、みたいな感じ」と正しい指摘が飛んできた。聞いてる人のことを考えてしゃべり方もスピードも調整しないと。反省。

1984年生まれのメンバーがやってるタイムドリップコーヒーさん(https://m.facebook.com/TIME-DRIP-COFFEE-380661939012571/)や自転車屋のハッピースラッピーさん(https://ja-jp.facebook.com/happy.Slappy.hamamatsu/)たちが出してくれたオニギリスタンドとドリップ味噌汁、フリーの日本酒も大好評。投げ銭をしてくれた皆さま、ありがとうございました! すてきなご縁もいただきました!

まちづくりやリノベーションをやっている浜松の方や、会社の後輩とか多くの方に来ていただき、さながら壮行会にもなった。終わった後は、久々に未明までのカラオケ。90〜00年代を中心に。締めの曲はマイラバ(My Little Lover)のハローアゲイン。ハローアゲイン@旭川を合言葉に、心地よい疲労感でジャンカラを後にしたのでした。

 

旭川2回目のゲストハウスは、レトロな宿

(つづき)

ゲストハウス「旭川公園」の予定地から、最寄りの永山駅まで歩いてみた。のんびり、のんびり。線路を伝うように。車の通りは少ないし、道は荒れてないので歩きやすい。

途中にカメムシ(とみられる昆虫)を発見。旭川は、こういうものまで美しいんだなぁ。

いつもよりも、道にいる虫さん達によく目がいく

永山駅には10人以上、列車を待つ人がイスに座っていた。地方部の有人駅ではよくあるけど、列車到着のちょっと前に改札があるので、それまでは乗客が1つの場所に集まる。「あっ、これコミュニティっぽいなー」とほっこり。

永山駅にて

旭川までは快速「なよろ」。これまで普通列車しか乗ったことないからラッキー。停車駅が少ないだけで、旭川駅まで普通なら14分のところ、11分で着く。快適。サイクリストが輪行(タイヤを外してカバーに入れて車内に持ち込むこと)していて、自分も昔そうだったので懐かしくなった。

旭川駅からは市役所まで15分ちょっと歩いて、建築指導課に進め方で相談して、子ども育成課で保育園の入所について教えてもらう。皆さん親切でいつも嬉しい。

そのあとは、今宵のゲストハウス「宿・レトロハウス銀座」へまた20分歩く。今回は絶対、列車と徒歩で移動すると決めているのだー。

名前の通り、銀座商店街という場所のすぐ近くにあって、駅からも歩ける距離にある。いま、旭川では最古のゲストハウスになった。昨晩のアサヒカワライドより1000円ほど安く、相部屋(ドミトリー)で2000円台だった。レトロでシンプルだけど必要な設備はそろっている。フロントとロビーが開放的で明るい。

共同スペース。早朝に撮影
一階からはけっこう急な階段をのぼる。他のお客さんが寝静まった夜は、きしみ音が気になっちゃう


使用中の2段ベッド(同下)

そのフロントで、マレーシアからの女性ひとり客に「どこから来たの?アハ?」と英語で話しかけられ、「シズオカ プリフェクチャー」と答えると、「私たちはプリフェクチャーがどこにあるか分からない。分かると思う?ドンチュー?」となぜかまくし立てられ、「フジヤマのあるところ」ととっさにフォロー(笑) いろんなお客さんがいるゲストハウスあるある。これもちょっとした旅の思い出であります。

食事は商店街で一杯やりたい思いもあるけど、地元の税理士さんが懇親会をセッティングしてくださっているので、繁華街へ。会場は「めいじ家  大舟」。おつまみイクラ、刺し身、焼き物いずれも美味。お客さんが来たら連れて行きたいお店(ラーメン除く)第2号に決定〜。ここで名刺ケースを忘れてしまったけど、その後、丁寧に応対してくださった。

二件目は1人でラーメンへ。繁華街にある「味特」さん。スープは好きだけど、麺が・・・。茹で方の問題かしら。大将の表情をはじめ店の雰囲気は◎。酔ったらまた寄るかも。

醤油700円

酔い覚ましに宿まで30分以上かけて戻る。iPadに向かうも1時間ほどで撃沈。                                  (つづく)

 

IRORIホステル×干物

(つづき)


宿はもちろんゲストハウス で。東日本橋から歩いて3分の、めちゃくちゃ便利な「IRORI HOTEL and KITCHEN」さん。朝食付き2700円。問屋街のど真ん中にあるビルをリノベーションした風で、囲炉裏が並んだロビーは新鮮。なんで囲炉裏なのか分からないけど。エレベーターで各階に行って、客室に入るたびにドアのキーで暗証番号を押さないかん。これはけっこうめんどくさいし、酔っ払って忘れたらとんでもないことになるー。シャワーは別の階にあるし、けっこう移動の機会が多い構造になっているので、うーん。

写真撮りそびれたけど、鉄の既製品っぽい感じの二段ベッドがこれでもかと並んでる。2000円代だから当然なんだけど。タクシーで帰ってきた時、25時くらいだったけどすごい気を遣ってベッドインいたものの、26時くらいに下の段の外国人からなぜか「ハーイ!」と笑顔で覗き込まれ、「は、はーい」と返すのでいっぱいだった。その後もベッドが何回か揺れたし、スーツケースをごそごそと探る音が聞こえて、自分のビジネスシューズが散乱させられた。ドミトリーの二段ベッドあるあるだけど、〝相方〟がどんな人かで、過ごす夜の質が変わってくる。だから自然、旅や滞在のスタイルを選ぶことになる。

これはうれしい。ゲストハウス 「旭川公園」は棟から棟の移動があるので必須

朝は囲炉裏でアジの干物と白米、みそ汁。400円相当で、干物は焼き方もあっておいしいけどけっこう普通な感じ。みそ汁はインスタントっぽい感じが・・・。安いゲストハウス でも、朝食は400〜500円が多いなぁ。

この朝のスタッフは男性で、「ご出張ですか?」とソフト系の声で話しかけられ、干物を焼くのも丁寧で、よくお客さんのことを見ている。すごく感じがいい。こうやって出発する日の朝に気持ちよくなると、1日が楽しくなるし、宿にはいい印象が強く残る。大事なことだなあ。この日は旭川でプレゼンを控えていて、早朝からずっとノートとにらめっこしてたけど、朝食を無理して頼んで良かった。

朝食の提供スタートは8時と遅め。成田空港に向かう電車は8時24分。お兄さんは「いってらっしゃい。お気をつけて」と送り出してくれたのでした。「いってらっしゃい『ませ』」より、ずっといい響きだった。

(プレゼン後の記事に続く)

公園ざんまいの東京さんぽ

ビジネスコンテストでのプレゼンに先立ち、18日には東京・八王子でコンテナハウスの打ち合わせ。日程すり合わせに1ヶ月かかり、やっとの思いで行ったのに、あちらからの提案という意味での進展はなにもなく。さすがに社長さんが「せっかく来ていただいたのに、今日は設計を交えて詰めるべきだった。ちゃんと報告しろ」と指導してくれたので、若干スッキリしたけど、打ち合わせを何のためにやるのか、どこまで進めるのかがはっきりしてなくて、これまで時間だけが流れていく感じだった。ずっとモヤモヤ。こっちの考えもきちんと共有されていないようで、「今さら」の事ばかり聞かれる。こういうのってやっぱりあるんだなあ。とにかく住宅の遅れを取り戻さないと、もうちょっとで雪が降り始めるし、春まで仮住まいのアパートにいなくちゃなんない。

こんな状況なので、社長さんの指示で今回は高尾駅まで送ってくれ、次回は一週間後の25日に、浜松まで来てくれることになった。異例の対応。また東京まで無駄足を運ぶことはなくなったけど、月単位の遅れはキツい。

午後は気を取り直して都心部に向かった。高尾から初めて京王線で。JRより200円弱安くて360円で新宿まで行けた。これはデカい。学生時代に行った立ち食い寿司(600円のランチ+コハダ)を食べて、中古カメラ市場っていうディープなカメラ屋を覗いて、池袋。慶応大の鉄研(鉄道研究会)OBの方々が、「冬の北海道」をテーマに写真展をされていたので、拝見。

1970年代にやった写真展をもう一度開いたとか。かっこいいな、そういうの。単なる回顧とかじゃなくて、今の北海道の鉄道と当時のを比べてみることはできて楽しい。蒸機(SL)って生き物なんだよなーって再認識したり。比布とか旭川とか、ゲストハウス 予定地の近くで撮られた写真もあった。ひさしぶりに写欲をそそられる。あっちに引っ越したら、できるだけ毎日写真を撮ろう。

そこから、歩いてすぐの「南池袋公園」に急ぎ足で。公民連携の分野ではめちゃくちゃ有名な公園で、ビルに囲まれた場所で、エアポケットのような空気感があった。 よく本とかで紹介されているまんまの、心地よい光景。無料で貸し出されてるゴザを敷いて、ゴロゴロ、おしゃべりや昼寝やら。いいなぁ。親子連れは滑り台みたいなエリアでも遊んでるし、カフェでシードル飲んでるお兄さんもハマってる。

ここには絶景があるわけじゃないし、特段緑が多いわけではない。みんな何を求めてきてるんだろと考えたら、この場の空気に他ならないんだろなーと。弱い、緩やかにつながってる感じなのかもしれないし。 そんでもって、他の人が楽しそうに寛いでるのを見るのって、すごく幸せな気分になれるなーと再認識。「旭川公園」でも生かしてこ。

次の目的地は、池袋からメトロ丸の内線で向かった銀座。9番出口直結の「銀座ソニーパーク」を見学。改札を降りてすぐの所からパークエリアで、ローラースケートのリンクがあった。地上フロアに上がると、そこは数寄屋橋交差点に面した空間が。いろんな大きい植物が、デザインされるように配置されていて、スマホを向ける人多数。公園らしく、足を伸ばしてくつろぐおじさんも。企業や個人が、公園を開く時代の象徴のような場所だった。どんだけ金かかってんだろ。ソニーも再建ができてきたってことなのかなー。

続いて表参道。電通のコピーライター・阿部広太郎氏とお茶。博報堂のインターンで一緒になり、今や雲の上のような存在だけど、ずっと刺激になっている。近況報告や、いま世の中がどんな感じになっているのか、これからどうなるんやろーとか。知的興奮! こんごのコミュニティーづくりですっごくいいヒントをもらえたわ。超多忙なとこありがと!

夜は大学の広告の講義でお世話になった、博報堂出身で今は大学で教えている池田諸苗さん、その講義で知り合った栗田宏美さんと、代々木上原で焼き鳥会。楽しすぎて、別れぎわに改札口で通りがかりの人に無理やり記念写真を頼んでしまった。気持ちよすぎて目をつぶっちゃった。

宿は馬喰町(東日本橋)だけど、寝過ごして戻るための終電を逃し、タクシーで2300円もかかってしまった。宿代と同額じゃん。東京ってこわい。ウカウカ寝てられない。

(つづく)

「あわくら温泉 元湯」の冷めない心地よさ

(つづき)

「ようび」を出てから、今宵の宿であるゲストハウス「あわくら温泉 元湯」に向かうには早すぎたので、道の駅でも行こうかとブラブラ車を走らせることに。

道の駅には団体バスツアーのご一行が複数組いて、パッと見て関西の人っぽかった。どんなルートで寄ったのか気になるところ。買い物するには良さそうだけど、道の駅自体は普通の感じ。びっくりしたのは隣にある公衆トイレであります。

こんな美しいトイレ見たことない。ここなら、飲みすぎてお腹痛くなっても自分を許せてしまうわ。

宿には5時半くらいに着いて、ゆっくり温泉に入って疲れを癒すことに。ここは「こどもの笑顔がまんなかにある大きな家」がコンセプトで、キッズスペースや遊び場「こどもばんだい」がある。廃業した温泉施設を蘇らせていて、地元に愛されているのがよく分かるところだった。

子連れに優しい配慮が随所に

お湯が気持ちいいのは当たり前だけど、湯上りにいただいた晩ご飯がおいしいのにびっくり。

リベンジかなった、タルマーリーのビール。こんなおいしいクラフト飲んだことない
棚田の米で作られたライスビールと、森のうなぎ燻製

西日本豪雨の被災地に300円が寄付される「おうえんプレート」(1500円)と、木のまちならではの、木質バイオマスを燃料に使うとか資源・エネルギー循環を意識してる「森のうなぎ燻製」(600円)、買い忘れたタルマーリーのビール(セゾン、800円台、岡山県の棚田でつくられた米をつかったビール。けっこう頼んじゃって、宿泊の3240円を大幅に上回る売り上げに貢献したのでした。村内に限らず、周辺の本当にいいもの、ストーリーのあるものを提供していて、うれしくなる。「旭川公園」のカフェスペースの参考になるわ。

共同スペースは本や雑誌、近隣のお店の情報がたくさん集まっていて飽きないし。地元の人がふらっとお風呂に入ったり、宴会をしたり、生活感が漂っていて、心地いい!

廊下には味噌も置いてる

キッズスペース
キッチンを望む
こどもばんだい。秘密基地

ドミトリーはこんな感じ。雑魚寝の湯治場みたいな感じ。

隼駅近くのゲストハウス「8823BASE」のベッドと比較して思ったけど、自分で畳の上に布団を敷くのって、縛られないかんじで、これはこれでいいなと。あらかじめ決められた、セットされた所に寝るのより、自分の意思とタイミングで場所や角度、レイアウトをカスタマイズできる。他のお客さんは長期の1人だけで、大広間だから消灯に気を使うけど。

共同スペースからドミトリーに続く廊下。味がある
ドミトリー入り口

朝ごはん(600円)は有機無農薬の卵と、出雲の古式しょうゆがお目見え。タルマーリーのパンでも思ったけど、毎日のもので噛みたくなる食べ物って、すごく幸せを感じる。価格設定は参考になる。

卵がめりこんじゃって、うまく撮れなかった。。。お代わりできるので、もちろんオーダー

昨日は大雨で周囲がよく分からなかったけど、周りのロケーションはめちゃよかった。川もきれい。

昨夜とは打って変わって心癒される空気感

宿の隣には温泉の自動販売機が

(山陰の旅はまだまだ続く)

「ようび」で美しい雷に打たれた

(つづき)

雷に打たれましたね、これで

タルマーリーを出て30分くらいかしら、次の目的地・岡山県西粟倉村に到着。雨脚はどんどん強くなって、仮に汽車が動いていてもコンビニ傘で何十分も歩くのはつらい。ちょっとした嵐。レンタカーでほんと正解。

主張しすぎているわけじゃないけど、強烈な存在感を放つこの外観にまず見とれてしまった。全国の皆さんの力が集まって建てられたというストーリーも相まって。

これに見とれない人はいないだろう(きっと)

普段はこのショールームは予約制だけど、日曜日はフリーオープンらしく。着いてから電話して、担当の方に迎えていただいた。一歩踏み入れれば、そこは息を飲む空間で。

 

この「ようび」という家具メーカー、全国手にも知られた存在で、超絶なオシャレさだけでなく、底流する森やものづくりへのマインドがすっごく美しいのです。単なる「用の美」じゃないんです。地域の材に誇りを持ち、可能性を探り、次代につなげ、循環させて意識を高めていく。トータルでのデザインをしてるって感じかしら。旭川家具で課題として指摘されている、地域との掛け算的なことを、さまざまに考えられいるんだなーと思った。

ホームページにある文言にも、それはよく現れてる。

私たちが作りたいのは、「人に使ってもらって生活が楽しくなる物」。観賞用ではなく、使い勝手の良さと楽しさがあふれる「用の美」。相手の欲しいものを本気で作るとそこに「用の美」が生まれる。  ようびが工房を置く西粟倉村は全面積の95%が森林、村民1500人強は海抜300m台の盆地に暮らす。「50年まえに将来の子どもや孫のために植えた木を、立派な100年の森に育てていく」と、村ぐるみで英断。今や清流と自然にも恵まれた地域再生の成功モデルとして名高い

「ようび」ホームページより

村と会社が同じ方向を向いてるんだな、きっと。

そんでもってもう一つ、この職能集団にはストーリーがあって。「ツギテプロジェクト」っていうやつ。

2016ねん1月に社屋が全焼し、   木材を組み合わせる「継ぎ手」の意味だけど、次の時代への「継ぐ」という意味も込められている。5500本ものスギの間伐材を格子状に組み立てていく。全国から林業の関係者がやってきて、少しずつ形にしてきた。簡単に言えばボランティアだけど、この日ショールームで応対してくださった方は「ボランティアじゃない。忘れていた『ともしび』を付けに来たような感じでした」と振り返っていた。妙にしっくりきた。

という感じで、この「ようび」は只者じゃないんです。そしてショールームでは、只者ではない感を放っているスツールを目撃してしまった。瞬間、雷に打たれたような感じに。

超絶かわいいスツール

これです。前にブルータスでも特集されていた、人気テキスタイルデザイナーの氷室友里さんの作品。座り込むほどに、おもしろい「変化」を楽しめる。そして文句なしに、かわいい!かわいすぎる。

これに一目惚れしてしまったわけです。ただ、当たり前だけどこの作品には「旭川」のあの字もないわけで。そこに「うーん」とと思いながら、担当の方と話していると、「うちはいま近くの山をきれいにしようとやっていますが、本当は日本全国でやりたいんです。各地の材を使って、デザインを組み合わせて、新しいものをつくりたい。旭川の材でやりましょう!」とびっくりするくらい瞬間的に話がまとまった!

この後、ゲストハウス「旭川公園」のバックヤードの突哨山で木こりをしている清水省吾さんに連絡してみると、「なまらいいですね! やりましょう」とのこと。一気に旭川×ようび×氷室友里テキスタイル のコラボレーション企画が前に進むようになった。これ、絶対におもしろい。

「やがて風景になるものづくり」が「ようび」のコンセプト。旭川家具ももちろん置くけど、旭川公園でもこのスツールが風景の一つになるように育てていきたい。

(山陰の旅はまだまだ続く)