旭川公園だけのブレンド米へ

店に立つ鳥越さん

ゲストハウス「旭川公園」で提供する朝ごはんは、和と洋の2種類を考えているけど、洋朝食は移住する前から、神戸の有名店「グラノラジャーニー」と組んだオリジナルのグラノーラにすることが決まっていて、和をどうするかが、まだだった。

いろんな宿で朝ごはんを食べて感じたのは、▽生産者の顔をとことん見せているところはそうそうない▽あ、ちょっとこだわってるなって宿で500円以上はとる▽量が多すぎても普通は食べきれないし、ロスに心が痛む▽ここでしか食べられない、っていう朝ごはんはほとんどない▽宿の最後の印象となる朝ごはんは重要すぎるほど重要 ということ。

ほかの宿との差別化をする意味でも、旭川公園は、「ここにしかない」こだわりをちりばめないといけないし、小規模だから丁寧に作り手のみなさんとコミュニケーションして、ゲストにも丁寧に伝えていきたい。

一番大事になってくるのが、白米。予定地の永山地区は稲作農家さんが多いし、意欲的なことをされている方がたくさんいて、ちょっと前までは「とにかく近くの生産者さんから」と考えてた。でも「うまい」と思えるお米はプロの米穀店さんから仕入れてることが多いし、年間通してのクオリティの維持や、季節変動・天候不順からくるリスクを考えたら、やっぱりお願いするのがいちばん。

ということで、旭川の一条通り近くにある、「上森米穀店」の門を叩いたのが11月中旬。店主の鳥越さんはホテル業界からの転身で、奥様の実家の米穀店を切り盛りすることになった。だからなのか発想がすごく柔軟でいらっしゃって、黒米をはじめとする雑穀米や、黒米茶、ギフト用の少量のお米のセットとか、話題を呼ぶ商品をたくさん送り出している。旭川でもすごく有名な、というか知る人ぞ知る名店。

鳥越さんに、旭川公園の目指すイメージや食についてお話ししてご理解いただき、オリジナルのブレンド米を提供いただく方向でまとまった。おいしい黒米茶も置かせてもらう。

旭川のお茶屋さん「USAGIYA」本店で出されている黒米茶

お米は、白米だけじゃなくて女性に人気のある雑穀米も朝ごはんで出すつもり。2種類あったほうが、楽しいし写真も撮りたくなるし。白米は、富良野・麓郷(「北の国から」の舞台)にある「高岡桶店」のおひつで出す予定〜。

器は、予定地近くの「突哨山」で、地元の素材を追求した作陶をしている工藤和彦さんの飯茶碗を。これまた楽しみすぎる!

ビジネスコンテストを客観的に見てみると

旭川信用金庫が毎年開いている「旭川しんきん創業アワード」の最終プレゼンと表彰式が開かれるので「見に来ませんか?」とお誘いをいただき、見てきた。

いつもお世話になっている、近くの里山「突哨山」で木こりをやっている清水省吾さんが出ているというのもあって、楽しみにしていて。

結果、清水さんは受賞ならなかったけど、たぶん一番若くて、エネルギッシュで熱量があって、いつもながら楽しませてもらった。審査員からも「これから大切になってくる事業というコメントがあった。「いかに収益を上げるか」「成長する」という点から考えれば、ビジネスコンテストに求められる要素とはちょっと違のかもしれない。

最優秀賞の方は、退院後のリハビリ環境を高い質で提供しようというもの。二位の方は、離農や後継者不足が深刻な問題になっているカボチャ収穫について、機械による自動化と集荷サービスを展開しているというもの。どちらも、確実に今後は需要の拡大が見こめるだろうし、目のツケどころが面白い。特にカボチャの現状は知らないことばっかりだったので、参考になった。

ひるがえって自分はというと、「なんとなく面白いこと」はやろうとしていて、旭川でも応援してくださる方が増えている感じはするけど、「事業がうまくいく確度」「堅い需要がどれだけあるのか」という点はまだまだ弱い。という事をあらためて思い知ることになった。

とはいっても、新しいことはなんでもそういうものだし、清水さんたちのやろうとしていることは、これから地球と人間にとって欠かせないし、「小さくて持続できる経済」を回すモデルにもなるはず。だから手を取り合って、うまくいくモデルを確立していかなきゃ。という使命感を勝手に感じて会場を後にしたのであります。

ちなみに会場になったリサーチパークは、文字通り公的な研究機関が集積していて広く企業支援もしていて、面白い製品や会社を紹介してた。旭川に限らないと思うけど、あんまり派手じゃないけど目を引く事業者っていろいろあるなー。商工会とともに、経営相談にも乗ってもらおうかな。

 

 

里山でなんちゃって木こりお手伝い

 

突哨山(とっしょうざん)の入り口にて。道北の11月とは思えない景色

はやくも11月。まだまだ初雪の便りが届かない。そのおかげで長く紅葉が楽しめてる。

1日には近くの里山「突哨山」で、フリーの木こりの清水省吾さんを訪ねに行く。前回、10月22日にお邪魔したときは、まだ黄色くなった葉っぱがたくさん残っていたけれど、今日はもうほとんどが落ちてしまっていて、秋の深まりというか、冬が着実に近づいていることを教えてくれた。

そして、初めてのアウトドア稼働となったスズキ・キャリイ君はさっそく、4WDの威力をいかんなく発揮! 前日までの雨で粘土質の地面はおもしろいくらいぬかるんでいて、四駆じゃないと絶対に不可能な状況だった。

それにキャリイ君はすごく森にマッチしていて、写真集にできるんじゃないかと思うくらい! やっぱりまちなかじゃなくて、自然の中に置いてこそ軽トラは映える。清水さんの軽トラ(ハイゼット)もなまらカッコいい。

清水さんは、自分の持っている山に、軽トラで材を搬出しやすいようにユンぼと人力で道をつくるということで、何日間にもわたって過酷な作業を続けていた。掘れば掘るほど出てくる大量の泥の処理に悪戦苦闘して、雨の日なんか大変なことになってしまったらしいけど、大方できあがったみたい。いちばん大変な時に手伝えなくて恐縮だったけど、地面に残った木をちょこっと運ばせてもらった。

キノコのホダ木として使うカシワやミズナラを見ていて、カシワの断面に見とれる。なんか神々しい。カシワって名前は知っていたけどあんまり意識したことはなくて、こんな綺麗だったとは。

鹿のワナを見せてもらって、そのあと、ゲストハウスに置くオリジナルのスツールに使うミズナラ探しに出た。清水さんの森には100年生のミズナラがたくさん生えていて、かなり立派な太い幹がかっこいい。(この辺からスマホの電池がなくなって写真なし)。風の通り方木を守る上で大事なこと、「光の一等地」を求めて木々が競っていること、本当に伐るべき木は何かを吟味した上でじゃないと伐らないこと、どんな木が「人間にとって良い木」なのか…。こうやって森の中で直接教えてもらうことで、体に染み込んでくる感じがするなぁ。本とかで聞くのとは全く違う。

このあと、事務所みたいに清水さんが使っている拠点の小屋の近くに行き、ミズナラ(カシワだったかな?)に生えた立派なナメコのホダ木を拝見。手伝ってくれたからということで、なんと一本そのままいただく。ホダ木が動いてナメコがつぶれちゃわないように、軽トラの荷台にあるタイヤで慎重に固定して、わがアパートへ。ちょっとだけワイルドな帰宅を演出。お味噌汁にいれたけど、風味豊かで歯ごたえもあり、なまらうまい。子どもたちも「おいしい、おいしい」とパクパク食べて嬉しかったなぁ。

 

長沼町で厚真町の古材サルベージ!

ゲストハウス「旭川公園」を施工してくれるのは、yomogi8さんこと中村直弘さん。新千歳空港や札幌からほど近い、おしゃれカフェや宿のある長沼町を拠点に、道内各地で大活躍されているー。ご自宅の敷地内にある事務所は、こんな感じ。きゃわわ。送電網につながない「オフグリッド」を、ほぼ達成されている。わくわく!

その中村さんが、北海道胆振東部地震で「自分になにができるのか、すべきか」を自問され、大工さんとして、使えなくなった廃材をどうレスキュー、サルベージ(救済)するかを考えておられた。そこで仲間たちの力を集めて、「salvage yard 古材市」なるイベントを10月28日。なので札幌に泊まって、長沼まで行ってきましたよ。

厚真町の農家さんの納屋にあった古材を選んで、これまた古物の脚に固定し、オリジナルのテーブルをつくるというワークショップ。次男・陽己(はるき)も前日の木工ワークショップの経験を生かして(?)、やる気満々で磨き、インパクトを手にしてて、最高だったなぁ。

選んだのはカツラで、幅は40センチ、長さ80センチほど。今はなかなかこれほど立派なカツラはないようで、貴重なんだとか。しかも自然にできた緑色のシミのようなかわいい模様や、たくさんの虫食いもあって、どれもが「ここにしかない」個性的な表情を演出してる!

ワークショップじゃなくても、古材だけを見に来るお客さんもたくさんいて、ほんと素晴らしいイベントに参加させてもらえた幸運に感謝。これに間に合うように移住できただけでも、でっかい意味があったわ。

この日できた机、リビングに置いて毎日大切に使ってます。すごく文化レベルが上がった気がする(笑)愛着感はハンパないしで。

ところで、会場はナガヌマ町ハナレという、カフェ兼雑貨ショップの納屋を使っていたんだけど、駐車スペースは傾斜になってて前日の雨で土がぐちゃぐちゃに。マイカーのミニバン は後輪駆動(FR)で、一度停めてからぬかるみにはまって動けなくなり、新聞紙や木枝をかませても無理で、来場者の皆さん総出で、サルベージしてくださった。たぶん45分くらいはかかったかなぁ。大変に、大変に、ご迷惑をおかけしました。早く四駆を買わなければと、夫婦そろって痛感!

そしてミニバンレスキューにも率先して加わってくれたのが、前日に旭川の我が家を出た深田氏

古材市の会場を後にする深田氏

この日は中村さんに会いたいということで、来ていたのです。すごいつながりだわ。このイベントでもちょっと話したけど、この後は十勝地方の更別村にある「熱中小学校」に行くのだそう。ここにゲストハウスがあるのを十数時間前に知ったらしく、自分も24時間くらい前に知って気になっていたばっかりだったので、どこまでも気持ち悪い偶然が重なる相手です。こんごもつながっていきそうだ。

ハナレさんのコーヒーやクッキー、優しくてすんごいおいしかった。お店の方は大人気でめちゃお忙しい感じだった。

下川町で出会った深田氏がわが家でお泊まり

笑顔でわが仮住まいを後にする深田氏

10月26日。ディーゼルの普通列車でiPadを開け、自分の資金計画をチェックしてため息を出しながら、永山駅から旭川の自宅に帰った。長男・大滋が市立旭川病院にいっているときに、下川の民泊「アナグラム」でばったり出会った深田氏からメッセンジャーで連絡が入った。

前日から、この日どこを回るべきか、どこに宿をとるべきか迷っていて、「困ったら言って」と伝えておいた。

すると「困ってます笑   公園ゲストハウス、初ゲストだったりするかもしれませんが、お邪魔したいです!」

「いや、まだ更地だよ!」と返すと、

場所が違っても、ゲストハウスってオーナーの個性のかたまりみたいなものだと思うんで、同じようなものですよ笑」ときた。

なんか面白いなぁ。よく考えたら、よくわからないけど!

たぶんこうなる予感はしてたんだけど、こんな経緯があって、深田氏はわが家に泊まることになった。親族以外では初めてのお客さん。男山のお酒と、剣淵(旭川から北に行ったまち)のパンを持ってきてくれた。

積極的に子どもたちの餌食になってくれて、こちらとしては大助かり。ご飯ができる前からビールで乾杯して、みんなで仮住まい感のある安テーブルを囲んで、寝る。深田氏はリビングで、持参の寝袋でご就寝。

翌朝は、ここから車で10分くらいの里山・突哨山で木こりとして活動している清水省吾さんのところへ弟子入り(今日限り)するというので、8時すぎには出かけていった。アグレッシブでどんどん輪を広げてるなぁー。また来てねー

森ビルつながりで森いっぱいの下川町ざんまい

浜松にいたころのはなし。東京の森ビルで六本木ヒルズのタウンマネジメントをされて浜松へUターンし、「丸八不動産」に入ってまちづくりの面白い仕掛けをされている高林健太さん(34)と知り合った。いろいろ話すうちに、北海道・下川町で頑張っている同期がいると聞いて、さっそく紹介してもらうことに。それが、下川町産業活性化支援機構のプロジェクト統括部長、長田拓さん(34)。自分と同い年で、しかも大阪出身。これは間違いない‼️

下川のすべてを教えてくれた長田さん

下川町は森林が町域の9割を占め、林業・経済・エネルギーの「地域内循環」を時間をかけて進め、移住者が増えてきているまちであります。近年は転入超過(2017年は32人のプラス)で、人口減少は緩和されてる。地域づくりの分野では全国的に有名で、しかも旭川からは80キロしか離れていない。北海道の感覚では、ちょっとそこのコンビニに行くくらい、すぐ近く。

自分の旭川のゲストハウス予定地からすぐの里山で木こりをやっている清水省吾さんたちも、伐った木を乾燥させるときは下川町まで持って行ってるし、この辺の林業集積地といえば下川は外せないので、旭川でそれっぽいことに首を突っ込むなら、下川を見ずして暮らせないのです。

なので10月25日にさっそく下川へ。この2日前に納車されるはずだった軽トラ(スズキ・キャリイ)が車検を通らず、この日はやむなく列車で行くことに。それはそれでもちろん楽しいけど、時間のロスは大きく、名寄駅からは長田さんに迎えに来てもらうことに。

最寄りの永山駅(旭川)から普通列車に乗って、和寒(わっさむ)という駅で一回おりて、後から来る特急「宗谷」に乗り換え。新婚旅行以来、5年ぶりくらいだなぁ、あの時はまだ「スーパー宗谷」で本数ももっとあった。 力強く唸るディーゼルエンジン音、軽快で小気味よいジョイント音、適度な揺れ。そのどれもが生命力にあふれていて、楽しいことこの上ない。旭川〜札幌の速達特急電車「カムイ」「ライラック」にはない楽しさがあるわ。

和寒駅にて。かっこいい。4両編成で、ぱっと見で5割くらいの乗車率。観光や都市間輸送が多いイメージ

名寄駅にて。かわいい!

「宗谷」を降りた名寄駅は、売店も旅行会社も撤退してしまった寂しい雰囲気で、駅前から続く商店街もなかなかにひっそりとしていた。道路が広い分、その辛さをより感じてしまう。名寄はスノボで来たことあるくらいだけど、下川を含めこの辺りの拠点都市なので、もうちょっとガヤガヤしてるかと思った。郊外のイオンは違うかもしれないけど。。。

11時45分、長田さんの運転するスイフトが名寄駅に。それから20分しないくらいで下川町の中心部に着いて、そのままランチ。そば屋さんの看板がかかっている「やまと屋」の暖簾をくぐる。ここ、もともと後継者がいなくて店を閉じたけど、商工会長さんが一念発起して自分で店を買い、曜日限定で開くようになったとか。

人口3400人のまち。一つの店がなくなることがまちにもたらすインパクトは大きいし、中心街の「景色」を保ちたいという志はなんともかっこいい! しかもこの日は、この店で移住者の方がチャレンジショップを開いた初日だとか。こんなステキな動きがあるなん、さすが!とさっそく感じ入ってしまった。みんな顔を知ってるんじゃないかと思うくらい、お客さん同士が楽しくワイワイガヤガヤしてて、よそ者のこっちまで嬉しくなる。しかも生姜焼き定食、味がしっかりしていてめちゃ好み。

ランチの後は、長田さんの職場である、まちおこしセンター「コモレビ」へ。NPO法人の観光協会や興業協同組合が入居して、交流スペースがあるところ。かつて駅があった場所で、バスターミナルが目の前だからめちゃ便利。

子どもたちの遊ぶ姿もあった。自分が高校生ならここでダベりたいなーと思っていたら、すでに実践者がいた

 

ちょっと分かりにくいけど、黒っぽい外壁の板には、木炭を作るときにでる煙を燻して防腐・防虫効果を持たせた「燻煙(くんえん)」処理をしている。これも、余すところなく使う精神から。

下川のこれまでとこれからについてレクチャーをいただく。2003年、北海道で初めて、流通や加工のプロセスを国際的に認証する「FSC」を取得するなど、循環型の林業経営をやってきて、2007年に町自治基本条例で「持続可能な地域社会の実現を目指す」とうたい、2008年に環境モデル都市、2011年に環境未来都市に選定。全国で徐々に知られるようになって、ことしはSDGs未来都市にもなった。SDGsは国連で採択された、「持続可能な開発目標」を示す国際的な目標で、町でも代表者がいろんな観点から現状と目標を話し合い、「誰ひとり取り残されず、しなやかに強く、幸せに暮らせるまち」を目指している。

基幹の林業では余すところなく使うことを徹底し、森林バイオマスを活用しての熱自給率は49%にのぼる。バイオマスボイラーを次々と導入し、公共施設の熱供給の68%を再生エネルギーに転換。年間で1900万円の費用を節約して、子育て支援にも回す仕組みを整えているらしい。すご!

コモレビを出た後は、森林組合の加工部門を株式会社化した「下川フォレストファミリー」さんを見学させてもらう。道北トップクラスの加工技術があり、シラカバやカラマツと幅広い樹種を扱っていて、集成材からクラフト用までいろんな製品を生産している。木材工場に入ったのは新聞記者のとき以来。丁寧につくられていて驚きだったし、木くずはボイラーに集めれらていて、やっぱり徹底してるなあとしみじみ。

木くずをボイラーに集めるための大きな配管。乾燥機の熱源になっているそう。

羽目板やフローリング材。広葉樹ならナラやシラカバ、タモ、針葉樹ならトドマツやカラマツなど多様な道産の材を使っている

フォレストファミリーさんの後は、役場で挨拶させてもらい、ボイラーを見せてもらい、チップ工場を見学。

チップに加工される、径の細い丸太が集められる「土場(どば)」

土場に集められたチップ加工用の木材。なかなかにフォトジェニック

このどデカイドイツ製の機械で、チップに加工される。間違っても、巻き込まれたくない

暮れなずむ空と役場庁舎

そしていよいよ、新しい地域づくりの動きが相次いでいるエリア「一の橋」へ。

役場を中心に半径1キロ圏内に8割の世帯が集中するコンパクトなまちだけど、限界集落はあったので、一の橋に「バイオビレッジ」をつくりだした。

お年寄りが集まって暮らせる長屋風のしゃれた「集住化住宅」、カフェ(地域食堂)、地域熱の余熱を使うシイタケ栽培施設、障害がある人の支援施設を一ヶ所に集約して、バイオマスボイラーや太陽光でエネルギーを自給している。地域おこし協力隊の方々が、買い物代行とかで暮らしやすい地域をつくろうと活躍しているのもステキ。ビレッジをつくる前と比べて、この集落の人口はほとんど変わらず、移住者が増えたことで高齢化率が下がってるのだとか!

集住化住宅のエントランス。しゃれてる

冬も暮らしやすそう。お年寄りが除雪しなくてもいいようになってる

カフェはお年寄りが使いやすいイスやテーブル。普段使いしやすいお値段とメニュー。地元のおもしろいものも置かれていた

有機ハーブやコスメを製造販売している」ソーリー工房」さんの小屋。好みドストライクでキュンキュンしてしまったー。営業時間中にまた見に行こう。同世代の地元の大工さんが手がけ、オフグリッドらしい。すご!

この「一の橋」というエリア、まだまだ面白くなりそうで。ライフスタイルに合わせて家具を修理する「家具乃診療所」というのができてくる予定だし、近くの廃校ではベルシステム24が、障害をもつ人が働けるチョコレート製造所をつくるらしい。タッグをくむのはこの分野では有名な久遠チョコレートさん! 愛知県の豊橋市に、よく買いに行ったなぁ。

他にも移住者が新しい構想を温めていて。外からでもかなり感じられるけど、「おもしろいことやってそう」という匂いがプンプンする。SDGsの流れで企業からの注目も高まっているみたい。

もともと、名寄市とくっつくかどうか、平成の大合併のころに町内で熱い議論があり、自分たちの地域を見つめ直し、やっぱり林業だ、じゃあ循環だ、と段階をへてきた。当たり前かもしれないけど、その長い間のプロセスや下地があって、いま下川町はここまで来たんだと痛感。そこを理解しないとうわべだけ真似してもダメだろうし、町民3400人のまちだからこそできた部分も見逃せないと思う。

せっかくここまで来たので、夜もじっくり楽しむことにする。コモレビから歩いて10分くらいのとこに、地域おこし協力隊の立花美咲さんがやっている民泊「アナグラム」に投宿。民家を改装した宿で、周りは普通の住宅街だし、おうちに帰ってきたようですごく落ち着く。センスあふれる空間で、江別(札幌から旭川方面にちょっといった所)のレンガで囲った薪ストーブも最高!  ここで、道内各地の木や森の現場を訪ね歩いている無職の大工さん・深田康介さんと出会い、この後の3日間連続して会う不思議な縁ができた。

日本や道北の未来について語り合う、立花さん(右)と深田さん

夜は焼き鳥屋で長田さん、立花さん、深田さんと一杯やって、アナグラムの共同スペースのソファーで撃沈!

下川町は手延べうどんで有名なので、シメにいただきました。んまい!飲んだあとに合う喉越し

次は、ここ行こ

ふかふかベッド。午前3時に入りました

朝から元気いっぱいの深田氏

朝はバスターミナルから始発バスに乗って名寄駅まで。460円。小学生から高校生、お年寄りまでほぼ満員(小学生は立ってる子もいた)。地元の公共交通に乗るとやっぱり気持ちいいし、子どもたちの元気な声にほっこりする。さすが地元の「名士バス」。

下川町のバスターミナルにて

かなり濃厚に勉強させてもらった下川ツアー。今回お会いできなかった人やお店、行けなかった場所もまだまだあるので、次回を楽しみにしよ。クラウドファンディングの返礼スツールをつくる時も下川町で木材を乾燥させる予定だけど、これからどんな形で絡ませてもらえるか、どんどん具体化してこー。楽しみ。

 

移住後はじめての「突哨山」

ゲストハウス「旭川公園」の予定地の近くには、突哨山(とっしょうざん)という里山があって、今や売れっ子になっている清水省吾さんが一部を所有して、消費者が気軽に入り、興味をもてる「オープンな林業」を展開している。

清水さんが展開する「里山部」入り口

木こりとしての貫禄十分な清水氏

「自伐型」というスタイルで、山主(所有者)が森林組合とかにお願いして終わり、ではなく、自分で所有して管理し、職人さんと連携して川下のお客さんまで届けるスタイル。これから北海道で広がっているだろうし、家具産地としての旭川にとって、森が近くにいて木々のことを知れる環境っていうのは何物にもかえがたい。

予定地から車で10分くらいの場所にこの里山と清水さんがいるっていうのは、場所を決める上ですごく大きなポイントになった。感謝!

10月22日には移住後はじめて、突哨山に来て清水さんと作戦会議。名目は、クラウドファンディングの返礼品にもなっているオリジナルスツールの候補木のセレクトだったけど、森のなかを案内してもらい、今後のことをなんやかんや話しているうちに、時間が過ぎて(笑)おかげで家族みんなで、心ゆくまで堪能させてもらいました。

「里山部」の清水さんのフィールドに唯一あるカラマツ

なんだか北海道っぽいシラカバ

木のスプーンとかを作れる「削り馬」が森の中に置いてあった。子どもたちは夢中になって乗りたがる。これ、ゲストハウスにも起きたいなあと夢想中。

当たり前だけど現行林業のうえに成り立っている家具産業。小規模だけど自分たちで所有し管理して手がける、そんな林業と丁寧なものづくり技術を組み合わせる、そんなオリジナルをつくっていきたい。(その片棒を担ぎたい)

 

ゆったり落ち着く「層雲峡ホステル」と「緑丘蔵」

(つづき)

さて層雲峡ホステルの紹介であります。

元ユースホステルというだけあって、建物はしっかりと大きい。立派なボイラーもついていて、クラウドファンディングで改修の費用を集めたんだとか。(ちなみに浴場はシャワーだけの利用になります)。

フロントもしっかりしている。共同スペース(下の写真)は広々としていて、暖房がついてあったまる。外国からのお客さんが多くて、自分たち以外に日本人客は見当たらず。翌日の計画を練るのにぴったりの雰囲気。北海道や山にまつわる本もいっぱい置いてあるー。

 

登山客の利用が多いってのがよく分かるフロントの壁!

家族で泊まるので、和室を手配してくださった。6人では窮屈かも・・・と言われていたけど、全然そんなことなく、11時間近く熟睡しました。(途中、咳のしすぎで肋骨が痛くなって何度も目が覚めた以外は)。シーツ類はセルフで敷いて、翌朝に一階へ自分で持っていくスタイル。

朝ごはんは共同スペースで。名前が書かれていて、なんかいい感じ。ここに射し込む朝の光が優しくて、外の冷気が美しく感じられる。ご飯は別料金だけど、これで税込み3000円ちょっと。めちゃコスパ高い。大ぶりな建物っていうのもあるけど、スタッフさんの雰囲気もあいまって、妙にゆったり落ち着ける空間だった。周りは高額なホテルが多いので、ゲストハウスで選択肢が増えていくのって重要だわ。

帰り際、ここ上川町と隣の愛別町でした売っていない緑丘蔵(上川大雪酒造)の日本酒「神川」をセブンイレブンで入手。道産の酒造好適米と、大雪山系の麓でとれる天然水にこだわっていらっしゃる。地元の活性化をしようと三重から移ってきた方が興した酒蔵で、地域で応援しようという機運がある。旭川市内では手に入らないってのがいいわ。自分のゲストハウスでも置いてみたい。雑味がなく、風味が強すぎず、適度にきりっとしていて、めっちゃ好きな味。

星野リゾート・OMO7で「地元愛され」考

ニセウコロコロさんをチェックアウトした11日も引越しの家財が届いていない状態だったので、この日は「競合分析」とかこつけて、旭川駅から歩いて20分ほど、市役所横にある星野リゾートの「OMO7」に投宿。この日は地震後の落ち込みが影響いているのかどうか分からないけど、5000円前後で予約することができたのです。

設定上の客単価は1万円ほど。変動はまぁまぁあるけど、ほかの星野ブランドでやっている高級リゾート志向ではなく、新しい「都市型リゾート」を模索している。そのためのブランドとして「OMO」を旭川で初めて立ち上げ、東京・大塚の第2号につなげている。

もともとは、地元の一番の老舗のグランドホテルだった。地元の人からすると、それはすごい存在感で、誇りのようなものがあった。ただ、いろんな人に聞いても、OMO7になってからの評判はなかなか厳しいものがあって、愛され度が低いまま。売りにしている「OMOレンジャー」という、ディープな近隣の店を紹介するアクティビティは低調と聞くし、かつてグランドホテルを愛用していた常連には、他の地元資本の古参に移っているという。

自分に置き換えて考えてみても、外からやってきて根を張るって難しい。今年4月にオープンしたばかり。OMO7も試行錯誤している段階だろうし、いろんな批判を承知の上で踏ん張っているんだろうと思う。そしてどうすれば自然と愛される存在になるのか、他山の石としよう!

前置きが長すぎたけど、館内インプレッションを。

まずエントランス。重厚感ある外観からボリュームある設えまで、風格あるホテルといった感じで好き。10月中旬だったのでハロウィン仕様に。ウエルカムドリンクは壁に据え置かれたサーバーから飲むしそジュース。これいい!

お部屋は、4ベッド。肝に据えてるコンセプトルームじゃないから何とも言えないところがあるけど、どんな雰囲気を出したいのか分からない内装とフロアだった。グランドホテルの時代から使われている寝巻きもあった・・・。ここまでお金が回らなかったのかしら。

夕食は安定の「田舎料理 田子兵衛」へ。ここのホテル、繁華街までちょっと距離があるので子ども連れだと20分ほど。

戻ってきてからはバーで妻と長男の誕生日祝い。関西から手伝いに来てくれた妹が手配した、いわゆるサプライズ。体調良くなかったのでスパークリングを飲んだらうたた寝してしまった。。。

寝かしつけは、妻と妹に押し付け、今夜締め切りの道庁主催のビジネスコンテストの資料作りがあるので、ラウンジで作業。「ブックトンネル」と名付けられたコーナーで北海道や旭川、アイヌ、アウトドアに関連する雑誌や本に囲まれた空間。気持ちいい。

帰り際、売店の向かいに「OMOレンジャー」が案内しそうな名物スポットの一覧が紹介されていた。旭川大の監修でつくったショップリストも置かれていて、楽しい。このパブリックスペースは、ふらっと観光客が来ても有意義(宿泊者じゃないと入りにくいかもしれないけど・・・)だと思った。

これは分かりやすいし、まちなかのコンシェルジュとして機能できれば最高!

一夜明けて朝ごはん。「焼きたてワッフルが楽しめる朝食ビュッフェ」としてウリにしていて、一般は大人2500円、7〜11歳は2000円という値段設定。

インスタ映えを意識しているのはよく分かる

グランドホテル時代から使っているとみられる、食器類

 

ホームページを見たら、「北海道ならではの」とか「ご当地素材」と書いてあるけど、実際の会場には産地や生産者の表示はいっさいなく、誰がどこでつくったものなのか、まったく分からない。そして動線が定まっておらず、お互いにプレートを持ったお客さんが、何度もぶつかりそうになっていた。まず、どこに何が置かれているのか、どういう順番で選んでいけばいいのか、途方に暮れてしまうレイアウト。

スイーツ好きの人にとっては、インスタ映えするものがいっぱい置いてあるから楽しさはあると思う。でも自分のように甘いものを好まず、その地域を感じながら何度も噛みたくなるような朝食を望む層にとっては、強気の値段もあってなかなかに厳しいと思う。新聞でも、地元客の声として「朝食が高すぎる」という声が紹介されているし、自分もそう思う。

いろいろ勉強になった!

 

ニセウコロコロで東川町に暮らす

旭川の周辺では珍しい、ヴィラタイプの「ニセウコロコロ」というお宿にチェックイン。北海道に来て、初めての外泊というだけでもめでたいけど、こんなハイグレードな所だなんて、さらにめでたい。独立した3棟があります。北海道の農機具小屋をイメージさせるデザインの棟もあって、「北の住まい設計社」が手がけたかわいい建物です。

場所は、旭川市の隣にあって、移住者や開業者がどんどん集まっている(少なくともそのイメージのある)東川町。役場や、モンベルの入っている道の駅があるメーンストリートをちょっと北に行って、クイっと細い道を左に入ったところ。周囲は畑や農家さんのおうちに囲まれている。

「ニセウ」とはアイヌの言葉で「ドングリ」の意味。いろんなところにドングリがあしらわれている。かわいい。

入ってまず目を引くのは、立派な薪ストーブ。オーナーさんが説明もしれくれたけど、宿泊ガイドの分厚いファイルにも懇切丁寧にコツが書いてあって、初心者でもくべることができて、何度かやるとコツも分かってきた。 火を見ていると、たまらなくなって、部屋の冷蔵庫備え付けのサッポロクラシックを開けてしまった。

次に、ダイニングテーブルの上に用意されていた、ウェルカムバスケット。翌日の朝食に使う野菜やパン、地元の米。冷蔵庫にはベーコンとか卵とか入っている。それとは別に、コーヒー豆とか紅茶の茶葉がふんだんに盛られている。気分がどんどん上がっていく!  わくわく。

寝室も、浴室も、すべてが上質な感じ。「暮らすように泊まる」っていうのが宿泊業界でも流行っている感じがするけど、それをまさに形にしたようなお宿! アメニティもすべて、分かる人には分かる系の、「いいもの」で揃えられている。環境や人にいいもの、丁寧でサステナブルなもの。。

子供たちはあったかい薪ストーブの前のソファーで沈没し、自分は北海道庁のプレゼン資料づくりで「ほぼ徹」。そしてとても爽やかな朝を迎えた。北海道の秋らしい空気。

朝ごはんは、スイスチャードとベーコンの炒め物、鍋で炊いたご飯(卵かけにも)、パン、みんなでミル引きからやったコーヒー。。。

あんたにはやらせないわよ

幸せを感じる〜!   チェックアウトが11時なので、ゆっくり、ゆっくりと滞在させていただく。

 

オーナー夫妻は移住組で、お子さんもたくさんいらっしゃってにぎやかなご家庭。生活と仕事がすぐ隣り合っていて、それはそれで苦労されることもあるだろうけど、すごく羨ましい生き方だなあと心酔しきり。いい宿を見つけた。少なくとも2日感、暮らしのクオリティが一段上がる場所。また行きたいなぁ。泊まっていない2棟が楽しみで。