変わり続けるまち。更新できてない自分。

久しぶりに東京に行ったので、空き時間に新宿で本でも探そうかと、新南口から高島屋タイムズスクエアを目指した。

はじめて生で見た「バスタ新宿」、なんだかよくわからない新しい複合施設・・・。数年前に来た時と景色がかわっていて、巨大なスーツケースを引く外国人の多さにびっくり。駅員さんも尋ねられまくりで、大変だ。

高島屋の横を代々木方面に歩くと、なんだか免税カウンターばかり目に入る。近くの工事現場は忙しそう。これ以上、またなにか造るんですか。落ち着かない。

紀伊國屋書店があったところにやっとこさ着いた。でも紀伊國屋のロゴは見当たらず、あれま、「ニトリ」の文字がドーンと飛び込んできた。

ニトリは北海道がうんだ名企業だから言いにくいけど、わが家でもテーブルやイス、ソファーといろいろそろえましたよ、安いから。お値段以上、とCMで言うので。でも何年もたたないうちに、テーブルの足はガタつき、イスとソファーのクッションがやられ、マシュマロのように沈んでいった。今も沈み続けてます。そのニトリが、なんかオシャレな感じの装いで入居していて、やっぱり免税カウンターをアピールしている。紀伊國屋があった時は和書も雑誌も専門書も洋書もあって、貴重な気持ちのいい空間だったけど、いまここではどんな家具文化を発信しているんだろうか・・・。

探し回ったけど、やっぱり以前のような複数フロアにまたがる紀伊國屋書店はなくなっていた。洋書専門、日本語参考書のワンフロアだけ残っていた。普通に考えて、ほとんどは外国人のお客さんだろうな

オリンピックが近いこととか、訪日外国人がどんどん増えてることがあるんだろうけど、明らかに新南口は数年前と違うかたちになってた。

東京は変わり続けている、すごいなあと思うと同時に、少し恥ずかしくなった。この日読んだ中日新聞の地域面で、ウェブマーケティング会社の女性の言葉に接していたから。いわく、「時代に合わせて自分の考えを更新したり変化に対応することが大切」。たぶん、高島屋の本館を含めて、この界隈で求める客層なんかも数年前とは全然違ってるんだろう。ものすごく変化しているのに、昔と同じように紀伊國屋はそこにあると思い込んでいた。新宿のまちの情報を更新できていなかったし、これほど変化してると思いもよらなかった。ちょっとオーバーだけど、軽くショックだった。

北海道でも、新幹線の札幌延伸とか、オリンピック(選ばれたら、だけど)開催、外国人のニセコからの流出とかで、どんどん変わっていくはず。旭川だって、空港が拡充されてくるから、つねに変わっていく。まちの更新についていけるように、自分も更新していかないと、とてもついていけない。ご飯も食べられない。

それにしても、東京は本当に疲れる。学生時代に4年間もいたことが、まったく信じられない。

大ナゴヤ大学というコミュニティー

29日(火)は名古屋本社へ出張。名駅から名古屋城近くの丸の内までのんびり歩いていると、8年前の楽しい記憶がよみがえってきた。

新聞記者になったのが2008年、初任地は愛知県の瀬戸支局というところだった。

焼き物のまち・瀬戸を中心に尾張東部を担当していて、休みの日なんかは名古屋・栄をぷらぷらしていた。

就職するまで名古屋といえば、関西出身の自分にとって、「東京でも大阪でもないところ」「最初は『のぞみ』に通過されたところ」くらいの印象しかなかった。

あとはきしめん、味噌カツとか。中学の時に地理の授業で、教師が「おみゃあ、えびふりゃあ」とか言って笑いを取ってたのはよく覚えてるけど。

ということで、それ以外にはナゴヤの印象はあんまりなままだった。でもそれが急に、彩り豊かに、おもしろいまちだ!と思えるようになった。

なんでかって、「大ナゴヤ大学」を取材したから。

校舎や特定の教室をもたない、まちじゅうがキャンパスという学びのコミュニティー。オシャレな生涯学習みたいな感じで、誰もが先生になれる。繊維街の魅力発掘、大須の住職さんのはなしを聴く、味噌蔵を歩いて回る、知る人ぞ知る市場で買い物する、ビール工場に入る・・・。

あらゆるテーマでいろんな人が先生になり、好きな授業に参加する。

まちを知り、いろんな人と会い、眠った地域資源を掘り起こして、ナゴヤの魅力を再構築する。ゆるいつながりを純粋に楽しんで、たとえ飲み会に行くだけでも〝単位を落とす〟わけじゃない。参加者同士、気づけば仲良くなっている。

一方で運営にたずさわるコアメンバーは、ナゴヤを代表する高感度な人たちばかり。  めちゃくちゃ真剣にブレーンストーミングとかやってるけど、めっちゃ楽しんでる。顔が疲れてても、ひたすら楽しそう。職種もバラバラ 。ただこのナゴヤという街が好きで、面白そうだからやってるんだろうと思う。だから人が人を呼ぶし、参加してる人にも伝染するんだろうと思ってた。

どんどん人気を集めて生徒数が増えていたので、直接関係のない瀬戸支局員ながら、取材を敢行。名古屋市内の取材は基本的に社会部がやるので、一部では「道場破り」って言われたけど、こんなに面白いのに書かないならしょうがないでしょ、と。夕刊1面にドーンとでて、自分の中ではけっこうな満足感があった。若気の至りでほんと恥ずかしい限りだけど、「大ナゴヤ大を発掘したー!」と勝手に思ってた。

初代学長の加藤慎康(シンヤス)さんは立ち上げですごい苦労をされたと思うけど、柔らかい包容力があって、まわりのスタッフに心から愛されていて、取材者としても参加者としても、「なんか輝いて生きてるなー、いいなー」って見ていた。こんな大きなまちで、大御所をふくめて人を巻き込めるのってすごい。そして自分の中で、ソーシャルなことへの関心がモクモクと立ち上がってきた。

今思えば、まち(地域資源)と人(人的資源)をみんなでシェアしているような感覚。それぞれの得意や興味を持ち寄って、みんなにおすそ分けするような。いま流行りの、小商いにも通じるのかな、と思う。

自分が大切にしている、「いろんな人がまじって、公共空間を豊かにする」ってことと、完全に一致してる。別に小難しいことを考えなくたって、子どもみたいにワクワクして楽しんでることの積み重ねが、まちを彩ってる。サイコーです。

姉妹校は元祖のシブヤ大学(東京)とか、札幌オオドオリ大学(北海道)とか、全国にいくつかある。札幌ものぞいてみたいところ。

規模とか仕組みはこれらとは違うけど、ゲストハウスの予定地からみれば似たような名前の〝大学〟もある。有名な景勝地・層雲峡のある上川町で開かれる、期間限定の「大雪山大学」。今シーズンのコンテンツが発表されたら、とりあえず遊びにいこ。列車でもいけるので、日本で一番新しい酒蔵がつくる日本酒でも学びにいこ。

知る、つながるってことも立派な体験。コト消費。

ツーリズムと親和性がないわけないので、いろいろ絡めていこう。

もっといえば、ゲストハウスを基点に学び合う企画もしたい。もう温めてあるけど、なんとか形にして、自分が一番たのしんでやろう。

シンヤスさんはいま、岐阜県美濃加茂市で「まちづくりコーディネーター」として活躍されている。久しぶりにメッセージを送ったら、相変わらずステキでした。シンヤスさん、これからもいろいろ教えてくださいー

行ったり来たり、のハイブリッドは楽しい

黄色い★マークが、旭川市永山1条のゲストハウス予定地。ちなみに、画像の下中央にあるGoogleのGの字あたりが、旭山動物園

仕事で新聞原稿をつくるときは会社から貸与されたノートPCを使って、移住&ゲストハウスのための作業は、買ったばかりの中古iPad Airを使ってと、慣れない作業に悪戦苦闘する毎日。

キーボードの並び違い、カーソルのあるなしとかいろいろ違っていてストレスがたまる。パワーポイントの資料をつくるときも、古いバージョンだとiPadで編集できなくて、ほぼ一から作り直したりして、うんざりすることもいっぱい。

でもこのまま会社員を続けてたら、ひょっとしたらiPadなんて買ってなかったかもしれないし、便利なアプリを知ることもなかったので、チャンスと刺激がたくさん舞い込んできた感じはする。うん、それは間違いない。

カメラだとデジタルとアナログのフィルム。クルマだとMTとオートマ、国産車か輸入車かで操作は真逆になる。せっかくなので両方とも楽しみたいって思っちゃう。

まちもそう。

初任地の瀬戸支局で担当した長久手町(当時。いまは長久手市)は、東西できれいに「農村」と「都市」が分かれていて、どっちも楽しめるハイブリッドなまちをつくってた。だから「農村と都市の交流」というアイデアもでてきて、直売所「あぐりん村」もすごい人気だった。愛知万博で注目されて、名古屋からすぐ近くっていう地の利もあったけど、ハイブリッド型はいいなあと、学校出たての青年はしみじみ。

長久手といえば、いま市長をされている吉田一平さんは、雑木林のなかで幼稚園から高齢者施設までなんでもやっちゃう「ゴジカラ村」をうみだした。「まざって暮らす」っていうコンセプトに心酔していたけど、これもハイブリッドといえばハイブリッド。しかも、一見すると全然ちがうものが同じ場所にいると、それぞれに役割がうまれて、生き生きするらしい。確かにそんな人がわんさかいた。一平さんは今もそんな感じで(たぶん)、「立つ瀬があるまち」をつくっている(はず)。

ゲストハウスも、両方を楽しめるところにしよう。

すぐ近くに農村や里山があって、それぞれにストーリーと役割があって、暮らしに取り込むことができる高いクオリティ。でも、まちに出かけようと思えば、ディーゼル列車に揺られて14分、バスで25分(確か)の繁華街に出たらいい。

見方によっては中途半端だとしても、両方あるってやっぱりいい。

そんな思いで探していた予定地。

Googleマップでみたら、農村とまちのハイブリッド具合がよく分かる!

なんでここに朝市が?

浜松市の東区に、労災病院っていうのがあって、そのすぐ裏で、毎月第三日曜に、「蒲御厨」(かばのみくりや)おかげ朝市」ってのがありまして。

妻が好きで、たぶんこれまで10回くらいは来てる。お気に入りのパンとかお菓子、飲み物、オーガニックの食品が並んで、ピースフルな雰囲気。いつも、 何も考えないでちょっと離れた神社の参拝者用の駐車場に車をおいて、買い物にきていたわけであります。

今日はめずらしく自分もイスに座ってパンを頬張ってまったりしていて、初めてこの朝市のリーフレットを手にとってみたのであります。

そしたらそこには、

「開催地は、先年の昔、広く蒲御厨とよばれ、伊勢神宮の台所でありました」「『おかげさま』みえないモノを 私たちは カゲとよんでいました。昔々のもっと昔。古代の風から 新しい風の流れを共に育む朝市です」

と書いてあった。 え!伊勢神宮の台所?  「おかげ」ってそういう意味だったのー?

めちゃ衝撃的。全然しらんかった、めちゃおもしろいやん、と。中日新聞の記事でも神明宮の由来をかいたのがあったけど、こんなことに繋がってるとは全く想定してなかった。

しかも開催日は、「季節を祝う月次(つきなみ)祭」ということで、地球暦に基づいて意味があるみたい。なんかよく分からないけど、とにかくお伊勢さんと絡みがありそう。

「駐車する場合は必ず参拝をお願いします」とも書いてあった。どおりで、やたら蒲神明宮と結びついてるなーと思ってたけど、そんな深い意味があったとは。近くて、大きな駐車場があるから借りてるだけだと思ってた自分がはずかしい…

なんでこんな所でやってるんやろー、と思ったことはあったけど、ちゃんと調べなかった。知ってたらもっと真剣に買い物してた気がするわけでして

知らないのはもったいない。背景やストーリーを伝えていくのが大事よって、いろんな所で言われてるけど、それを身をもって感じることになった日曜日。これも祀神の蒲ノ大神さまの御利益なんだろうなー

旭川のゲストハウスはおかしなストーリーだらけだけど、ちゃんと伝わるように編集せねばー

ところで、おかげ朝市に出されてた、鳥取県は智頭町の「タルマーリー」のパンはめちゃうまかった。自家製のビール酵母をつかってる。発酵とかパンの世界ではめちゃ有名で、お店のカードには「発酵と地域内循環」と書いてあった。ローカルでの循環。自分のなかでの大テーマでもあるので、あらためてメモメモ。

お買い上げした自然栽培の雪下ニンジンは、ミコト屋というところで扱ってるらしい。こちらもメモ。