薪ストーブはスローでも最強!

日中のカフェでも、宿泊のゲストでも、共用スペース(コモン棟)に入ってこられてまず驚くのが、レジ台にしている農機具(唐箕)、そしてこの季節はやっぱり薪ストーブであります。初めての方はほぼ例外なくのぞき込み、「これ、本物?」「めちゃくちゃあったかいですね」と声を上げてくださる。

そう、正真正銘のホンモノの薪ストーブになります。

ホンモノというのは、ダミーで炎を演出していない、という意味ではなくて。匠が関わっているから。

まず薪は、近くの突哨山で活動する「里山部」の清水省吾さんから買わせてもらってる。枯れたり、倒れたりしたナラや白樺を薪にする。よく、木質バイオマス(薪やペレット)は環境に良さそうだからとたくさん無駄に伐採してしまうなんてことを聞くけれど、清水さんは成長の見込みのない=価値がこれ以上増大しない、ものだけを切って有効活用する。そして重機を使わず、人力で、斧で、たたっ切る。そして旭川公園ゲストハウス管理人の松本が細かく切る。清水さんいわく、「北海道で、日本で、いちばん環境に配慮した薪です」と胸を張る。しかも、近い距離で運ぶのだから、輸送で生じる二酸化炭素の排出も抑えられる。近いところで、顔の見える相手から、暮らしに必要なものを手に入れることほど豊かなものはない。都会ではなかなか、それは見えないから。

そして、施工は旭川市忠和の「煙筒の横山」さん。エントツ(煙突)じゃなくて、エントウです。正式には。社長の横山愛慈さんが長年の心意気と信念に魅せられた職人とお客が、横山ブランドに群がる。エントツが全てということで、その家にあった出力や空気の流れを徹底的に計算し、確実な施工と隙のないメンテナンスでフォローする。地球温暖化防止への啓発もやっておられ、森から燃料から、すべてのことを考えて木質バイオマスとの付き合い方を提案しておられる。

で、この薪ストーブ、当初はなかなかうまく火がつかないなんてこともあったけど、それも愛着を持てるというか、一筋縄ではいかないところがなんとなく人間っぽくていい。慣れてきても、その時の気温や空気によっても調子が変わるし、初心者としては様子を注意深く見ておいたほうがいい。手がかかるほど、かわいい。

雪が降り積もると、周囲はただただ、気持ちがまっすぐになるような無音の世界になる。そこに、薪ストーブの赤い炎が揺らぎをもって存在感を見せると、得も言われぬ贅沢な時間が流れる。朝もいいけど、夕方ごろも好き。

ヒュッゲな時間、ロハスな部屋、スロウな暮らし・・・。その象徴みたいな薪ストーブだけど、ぼやっとした憧れの対象というより、実用を考えたら何年かのローン組んででも取り入れたい。(薪の置き場所とかいろいろ考えないといけないけれど)

調理具としても使えるんだから、ほんとすごい。お湯を沸かすのはもちろん、カフェで軽食を出すときに重宝してます。お味噌汁やポトフやスープを温めたり、中に新聞紙とアルミホイルでくるんだサツマイモを入れたり。ジャパチーズのチェダーを炙ったり。ガス代の節約だなんて、野暮なことは、この間だけは忘れていられる。

薪ストーブのない旭川公園 はもう、考えられない。エネルギーもお金も資源も、できるだけ近い地域で回していけたら最高です。