さよなら、初めての夏

何日か前まで、エアコンのない昔ながらのラーメン屋さんで食べていたら、汗だくになって、「どこが北海道なのよ。。。」と嘆いていたけれど、もうすっかり重ね着しても寒い秋に入ってしまった。この急な季節の変わり目、「さすが北海道!」。でも、もうちょっとマイルドにしてもらわないと、長期滞在のゲストは驚いてしまってるよ。ホストだって衣替えできていないのに~

ということで、初めて迎えた夏の繁忙期がほぼ終わってきました。当初の計画(ただの希望的観測)では、5月あたりにゲストがたくさんお越しになって、まだ手をつけられていない改修や、夏の準備をしようと思っていたのです。(言い訳がましいけれど)。

ただ、このコロナですから、小さくなって、農家さんとの絆を温めていたんです。できるだけ、メンテナンスかカイゼンの必要がでないように、我慢強く…💦

そして、いきなり迎えたドタバタの夏。これまでとは比べものにならないほどゲストがいらっしゃり、北海道の夏の底力をこれでもかと、見せつけられました。一度に多くのゲストがいらっしゃると。どうしても不備を埋めないといけないし、より安心・安全に過ごしていただけるようなカイゼンは待ったなしであります!

なので、いくつか夏の間にリニューアルしましたよ。順にご紹介を~

①自転車を貸し出ししてます!

これまで、近所を散歩してほしい、自転車で回ってほしいと言ってましたが、肝心の足がなかったんですね。大本命で欲しいものは、8万円くらいするし、簡単には手が出せないまま時間だけが過ぎていきました。ただ、ご予約のゲストから、レンタサイクルのお問い合わせが来て、「今がそのとき!」と決意。折りたたみ式のフォルクスワーゲンモデルを導入しました。

この子ぶり感が、タイニーハウスになじんで、いい感じです♫ 風が気持ち良い初運行の日、横浜からの女性のお客さまがこれに乗って上野ファーム に向かわれました。

自転車の気になるお値段は、①ご近所コース(90分、銭湯やスナック沙希への往路、わがままじぃじぃなど)→無料②ローカル気分コース(90分〜3時間)→600円③がっつりローカルコース(チェックインからチェックアウトの最大18時間)→1,000円※いずれも、ヘルメット、ライト付き。保険代も含まれますぜひご利用ください。石狩川沿いや、鷹栖町の丘陵地なんかも気持ちよさそうです !

②自転車といえばラックでしょ!

サイクルスポーツのチャリダーのご来園を見越し、当麻町で森をもっている家具職人・原弘治さんにお願いしました。しかも、敷地内に残っている廃材からインスピレーションを受けてもらって、即興で!

白、茶、こげ茶とゲストハウスの建物の壁の色と調和した色合い。タイニーハウスの外壁に使った廃材もあるので、生き写しのようです。想像を超えた作品です!

脚のうち、接地部分は車両やハンドルをモチーフに。ぜひ自転車でご来園くださいませ〜

③ついに網戸(アミド)がやってきた!

どうするか、ずっと悩んでいた網戸。yomogiya の中村さんにつくっていただきました!

上品で、心地よい仕上がり。真鍮の小さな棒で固定するのも楽しいです。このタイニーハウスの命である木製サッシを生かしてもらいましたタイニーハウスにはクーラーがありません。まだまだ旭川はクーラー普及率が高くないし、いつでもボタン1つで気温が同じなんて、違和感がありました。

クーラーなしでも過ごせるのも、豊かさの1つだろう。そう考えてましたただ、初めて迎えた夏の太陽はタイニーハウスをこれでもかと温め、外気が涼しい夜も熱を持ちやすいという課題が見えてきました。サーキュレーター、扇風機と試し、奮発して冷風機も導入、頻繁にシャワーで打ち水をして試行錯誤。それでも、最後の手段として、取り外し式の網戸も必要だと落ち着きました。つけてみると、あら不思議、はめた方がシルキーな透明感があって、美しいです。

厳しすぎる残暑でも多くのゲストを救いましたが、来年、本格的に活躍してくれるはずです!

⓸感染防止とプライバシー確保に向けて

本州の皆さんには怒られますが、日中は30℃を超える日もたまにあります。コモン棟の夜間通用口のドアと、洗面台やシャワー室周辺に、ロールスクリーンを取り付けました。目的は3つ。

まず繁忙期のコロナ対策で、同時に数人のお客さまが洗面やシャワー周りをお使いになると、飛沫がでないとも限りません。

そして、ふとした時に気になりがちな目線の交錯や、メイク・シャワー上がり時のばったり&びっくり を解消するためです。洗面台周辺は、洗面、トイレ、シャワーと三つの機能があり、使用シーンがさまざまなので、二枚を別々に取り付けました。タイニーな施設であるからこそ、一度に多くのご利用がある時には配慮を要するところなのですが、後手に回っていました…

勝手口については、換気をよくするために開放する時、どうしてもその先にタイニーハウス「土」があるため、目線を防ぐ必要がありました。一安心です。

立川ブラインドのしっかりしたカーテンです。すべすべ気持ち佳き。

⑤照明も、一気に

ベッドでより安心してお休みいただけるように、タイニーハウス「土」と「風」の枕の近く、ならびに「森」のロフト部分の照明(5本分)を入れ替えました。これまではオシャレ系ですが大ぶりでした。コンパクトに、かつ接触しても優しいタイプのものに変更。雰囲気がだいぶ変わりました!この工事の過程で、調光システムの不具合が生じましたが、合わせて直してもらいました。いやー、すっきり!

⑥インテリアも、ちょっとだけ広範囲に、進化

8月末、日本のてっぺんを家族で旅行して、美深にある大好きな羊毛工房・粗清草堂 さんで羊毛のクッションをいただいてきました。粗清草堂の逸見さんの作品は、ずっとずっと、欲しかったもの。サステナブルな暮らし、自然へのまなざし、ものづくりへのリスペクト…。雑誌「スロウ」に毎号出ているかのような不思議な存在感のある、憧れの工房です。ようやく、これから秋のシーズンにピッタリのアイテムが仲間入りです。

旭川は道北の入り口なので、ゲストハウスでちょっとずつ、きた北海道の魅力を紹介していきたいところです!

「ド」「レ」「ミ」と、つながるチカラ

今はやりの音楽はおろか、有名な歌手の名前もあまり知らない。眠気覚ましのYouTubeくらいしか日常的に聞く音楽がない、あんま褒められたもんではないわが身でも、年に何度か、たまたまご縁をいただいて耳にした音楽に、強く打たれることがある。書かずにはいられないことが家具メーカーのショールームであったので、ごくごく簡単にお伝えするのであります。

9月12日の夕方、旭川家具を代表するメーカーの「匠工芸」であった恒例の「星空コンサート」で、長尾匡祐さん(ヴォーカル)、せらよこさん(ピアノ)ご夫妻の「ドートレトミシー」さんのライブがあった。 ご夫妻は旭川公園にも来ていただいていて、東川町の地域おこし協力隊としてご活躍の幅を広げていらっしゃる。行かないわけにはいかない。

憧れていた星空コンサート。匠工芸さんから案内のDMをいただいて、「これは!」と思いたったものの、アナウンス直後に締め切られるほどの人気ぶりらしく。 ぜいたくな自社のチェアーを距離を離して置き、50名限定というプレミアムチケット! YouTube生配信もあったけど、直に聞く機会に恵まれたので、喜び勇んで軽トラを30分走らせた。

一曲目は、オリジナルの「̪̺̪̺Bridge」という曲。

「昔々の遠い国」で、思いを寄せ合いながら大きな川を隔てた別々の村に暮らす「娘」と「若者」が、橋が架けられたことで結ばれ、「小さな舟」で故郷を離れるという物語。なぜか四国の四万十川を思い浮かべて、「娘」と「若者」の着ているものや年頃合いとか、いろいろ想像を巡らせた。 じーんときて、思わず涙がなじむ。

別に悲しい内容ではないのに、魂のこもった言葉と、過剰に主張しないピアノとギターの音色が、鼻の奥のなにかをつついてくるような感覚。

「Bridge(橋)」も音楽も人をつなぐものだけれど、つなぐことで良くも悪くもいろいろ引き起こす、でも川の流れのように、時間の流れによって全てが良い方向に向かうし、それを楽しんで受けれていこうよ、っていうメッセージであるように聞こえて。この歌は「若者と娘は子供たちに連れられて いつかきっとこの橋に戻るだろう」という言葉で締めくくられる。いいなぁ。

長尾さんの声は、伸びやかで、澄んだなかに時折男声らしい力強さも顔をのぞかせる。その表情は、ほんとうに嬉しい、楽しいよという感じで。コロナで、大勢の前での表現を封じられていただけに、どれほどの幸福感なんだろうと、じわじわきてしまった。よこさんのピアノは、いのちの喜びに満ちているようで、そっとそばに寄り添い続けてくれるような優しさと速さが、じん、と心に入ってくる。何を思い浮かべて声を出しているのか、どんなシーンを描いて鍵盤をはじいているのか、気のせいかもしれないけど、鮮明に伝わってくる。

歌声と演奏はもちろん、西日本出身らしい、お二人の軽妙な掛け合いもめちゃ楽しかった。

よこさんは、今回、いつも使っている電子ピアノではなくて、匠工芸さんに置いてあるアコースティックピアノをギリギリまで調律して使ったという楽屋話を教えてくれた。これがとっても素敵で。「楽器も家具も、生きている木から生まれたもの。どこの森の木が切られたのか、枝にどんな鳥が止まっていたのか、下で鹿が座っていたのかと想像してしまいます」「木を使っているから、時間とともに変わっていくのもいいですね」とも。

これってすごく本質的なことで、なんとなく木はいいよね~じゃなくて(入り口はそれでもいいけど)、なんで木に惹かれるのか、森から木のことを考えている人からしか出てこない言葉。音楽を通して、人とのつながりや、自然・生き物への共感とリスペクトがビシバシ伝わってくる。「ドレミ」が世界共通なことから、「ドートレトミシー」になったらしいけど、音楽もMCも聞いてみて、「あー、このお二人なら!」と膝を打った。ライブは2時間弱だったけど、あっという間で、いつまでも包まれていたい感じだった。

旭川公園にお越し下さったよこさん(左)、長尾さん(右)  (2020年4月)

このまま、良い思い出に終わらせたくなかったので、 アルバム「星の地図を探して」を家に持ち帰りました。星空コンサートにぴったりなタイトル(笑)。サインもらったけど、写真忘れて悔やまれるー 。(※ドートレさんは、オンラインで「うたごえ喫茶」や「こども歌広場」もされてます)

そして、匠工芸の桑原社長の締めの挨拶が、しびれるくらい良かった。コロナ禍で、恒例のコンサートを開催するかどうか、社内で議論があったという。「いろんなことが中止になっている。やめることは可能だし、やめたことに文句は言われない」と。うんうん、本当に。それしか選択肢ないのかな?と思うくらいに。で、こう続けていらした。

「こういう時だからこそ、心地の良い暮らしってどういうことか、考えようと。音楽や芸術、自然があって心地よい暮らしはできる。コロナウイルスという化け物が、人の暮らしはどういうものかを見直そう、どうしたら仲良く、心地よく生きられるかを教えてくれる気がします。みんなで楽しい生活を過ごせますように」。これは匠工芸のファンになるよねー。ものづくりは「心」から、ということがライブでも伝わったし、作り手の思いから理解して買いたい、置きたいなーとあらためて。こういう素敵な取り組みは、お客さんはもちろん、社員の皆さんにとってもかけがえのない機会な気がする。

当麻のココペリさんで7月に聞いた、アイヌがルーツのトンコリ奏者・OKIさんのライブも衝撃的だった。世界的に有名で、知り合いにもファンがたくさんいると後で聞いたけど、恥ずかしながらまったく存じ上げなかった。

ご近所には、宝物があるふれているんだな。じっとしているのは時間がもったいない。

ほぼ月「朝の食卓」は、当麻の夏の思い出を

はじめて迎えた、夏の繁忙期が終わりつつあります。

どうなることか、まったく見通しが立たないまま、ドタバタと7月、8月が終わりました。満室のときも数日ありましたが、1日3組とゲストの人数が限られているので、おかげさまで濃密な時間を過ごすことができました。

いろんな「夏の思い出」がありますが、ほぼ月一で機会をいただいている北海道新聞(道新)の社会面コラムでは、当麻町であったバーベキューについて書きました。これまでにも紹介している、“定額で世界中住み放題”を掲げるサービス「HafH」を通した、偶然から生まれる出会いを取り上げました。

HafHは9月に入ってもご利用があり、社会人のみならず学生さんにも、そのフィロソフィーが広がっている(というか、マッチしやすい)という実感を得ました。これから、旅の形、生き方、どんどん変わるんだろうなーと予感させる夏でありました。

もちろん、当麻町のバーベキューだけではありません!

ゲストと一緒に夜ごはんをたべたり(この写真もそういえば同じく当麻町のココペリさん)、

いつもお世話になっている丹野さんのギャラリーKIMAMAにご案内したり、

近くのクラークホースガーデンさんで馬にまたがったり、

若手職人がたくさんいる家具メーカー・ガージーカームワークスの工場(あえてショールームではなく)をご紹介したり、

夜ははじめましてのゲストと語りあったり、

飲んだその翌朝に大雪山でテイクアウトの朝ごはんを召し上がってもらったり・・・。

ゲストハウス内の広場で花火をしたり、

楽しい思い出ばかり。

今夏は市内のホテルでいうと実働は例年の半分くらい、予約サイトの集計では検索数は30%台と当然ながら大きく落ち込んでいますが、来年・再来年への期待が大きく膨らみます。より多くの皆さんと出会い、濃い時間を地域のみなさんと過ごせそうで、今からワクワクしています!