九州のレール・レディの魅力

毎日毎日、旭川のことばっかり考えてると、たまに沖縄とか九州のことが頭に浮かぶ。あっちに移住してたらどんなことしてたかな〜と。まだ移住してないのに。特にJR九州とかデザイナーの水戸岡鋭治さんには影響を受けたので、九州の動きはすごく気になっちゃう。

引っ越しに向けて荷物を減らしていかないといけないので、むだにたくさんある本を整理し始めてる。ダンボールの中から、懐かしい本が発掘された。

せっかくなので久々に読んでみる。

奥村美幸さんが実際の乗務体験をもとに仕事の素晴らしさを綴っている、優しい本です。あったかくなる。

しかも、めっちゃ大事なことをおっしゃっている。

「私たち社員の一瞬の笑顔でさえも、お客さまにとってはかけがえのないものになるのですね。私たちの一人ひとりのサービスによって、お客さまがJR九州全体のイメージをつくってしまう。それが会社のブランドそのものかもしれません」

サービス業としては当たり前のことかもしれないけど、やっぱりこういう事を意識してやれてる人って、多数派じゃないんじゃないかって思う。特に旅先では、車掌さんや駅員さんの対応、タクシー運転手さんの言動、ホテルのフロントさんの態度、そのどれか一つであっても、旅全体や地域の印象を左右してしまう。すごくシビアな仕事だと思う。

今まで九州で列車旅を何度もしたけど、九州全体のイメージは「楽しい」「元気」「おもてなし」「おしゃれ」とか、そんな感じ。九州新幹線から始まっていろんな観光列車で、地元の人たちが手を振るのが有名になり、今では全国でやられているけど、九州のこの一体感、心地よさはなかなか真似できないレベルだといつも思う。

奥村さんはこうも言う。

「私たちの会社も客室乗務員も、列車でのさまざまなサービスや出会いも、すべては九州という土壌が育んできたのだなということに気づかされました」

!!   なかなかここまでたどり着けないよね〜、と。こんな自然で気持ちいい郷土愛ってなかなかない! こういうのって、絶対にお客さんに伝わると思うんです。

勉強のために九州の外へ出向いた時のエピソードも面白い。

「水戸岡さんのデザインに慣れているせいでしょうか、そういえばそのとき、列車のデザインを『なんだか普通だな』と感じました。実は列車のデザインだけでなく、客室乗務員さんのサービスにも特に工夫が感じられず、『私たちのサービス、自信持っていいよね』と、みんなで話したのでした」

一歩間違えたら単なる自己陶酔、マスターベーションみたいになるけど、これはすごいよく分かる。デザインだから好みは分かれるけど、特急列車に乗ってドキドキするのは北海道くらいだし、普通列車でいえば、静岡ローカルは苦痛。人気の北陸新幹線や東北新幹線だって、九州新幹線ほどの「心が豊かになる感覚」を味わうことは自分にはできない。

ちなみに九州新幹線の800系のイスは、プライウッドという薄い板を11枚重ねたもので、窓のブラインドや手すりは、人吉市の山に生えているヤマザクラを活用。洗面室の縄のれんは、八代のイグサ。座席クッションは京都の西陣織・・・だそうです。人吉のヤマザクラっていうのは知らなかった。

岡崎さんにとって水戸岡さんは「雲の上にいる」ような存在らしい。自分にとっては、「公共空間を豊かにすることが子どもを育む」と教えてくださった存在で、やはり雲の上の方。10年ちょっとの記者人生の中でもとびきり得がたいインタビューをさせてもらえた。これもJR九州と新聞社のおかげ。すべてがつながってる。感謝。

 

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