学校までの道も、いちいち景色がきれいで困る

星野リゾートの「OMO7」を早めに出発して、自分と妻、長男はとなり町・東川町というところへ向かう。東川は、ちょっと前の記事で紹介したニセウコロコロさんのある町。

アパートに荷物を取りに行って、そこから10分弱ほどクルマを走らせると、言わずと知れた旭山動物園。その周りは田園地帯で、紅葉が盛りを迎えていた。まだまだ北海道初心者なので、見るもの見るもの新鮮で。でもこの感覚は忘れずにいたい。外の目線だから、感じることを。

ここから十分しないくらいで、北海道立の東川養護学校に到着。登校体験として、調理実習の授業に参加させてもらう。われわれ父母は、先生や職員さんから説明を受ける。

素晴らしい方ばかりで、楽しい学校生活になるのは間違いないと確信できた。長男・大滋(たいし)も、浜松にいるときから体調が優れずにいたけど、学校に来たらハイテンションに。子どもにとって特別な場所なんだな。特にこの子にとっては、自分の素を解放できるところなんだろう。親に怒られるわけでもないし、弟妹のやかましさに怖がる心配もないしで。

学校の正門から見た、畑と空。近くの畑をお借りしての農業実習やスキー学習もあるので、自分がやりたいくらいだわ。

アパート方面に帰る時も、思わず見とれてしまう景色がずっと続く。イオン渋滞に巻き込まれる都市部より、こっちの方がずっといい。にしてもスマホ写真にするとどうも雰囲気とホンモノの色が出ない・・・。

お昼は、ちかくの「よし乃」で味噌バターらーめん。腹ペコな時は、ここに限る。安定してうまい。

ご飯を食べて、最寄りの佐川急便まで預かり荷物を取りに行くときも、石狩川沿いにこの景色。困った困った

しかもこの日は虹がでてた。北海道にきて、何度も虹を見ている気がする。

午後は引越しの家財の搬入日。10月5日に出して、この日は12日。いちばん安いところを選んで頼んだけど、安さにはやっぱりわけがある。トラブル続出で、なんやかんや、他のところとトータルでは変わらないくらい、余計な出費を強いられてしまったー。

なので夜は旭川発祥の塩ホルモンが食べられる、近くの「きくちゃん」へゴー。体調よくなくビール2杯で撃沈するも、肉はうまい。あと、ガゴメ昆布とキャベツをまぜた「きくちゃん漬け」に、おかわりしたくなる滋味あり。ちょっとずつ、ホルモンがソウルフードだと体で分かってきた。早めに「馬場ホルモン」もいきたいー。

手伝いに来てくれた妹と、長男・大滋

星野リゾート・OMO7で「地元愛され」考

ニセウコロコロさんをチェックアウトした11日も引越しの家財が届いていない状態だったので、この日は「競合分析」とかこつけて、旭川駅から歩いて20分ほど、市役所横にある星野リゾートの「OMO7」に投宿。この日は地震後の落ち込みが影響いているのかどうか分からないけど、5000円前後で予約することができたのです。

設定上の客単価は1万円ほど。変動はまぁまぁあるけど、ほかの星野ブランドでやっている高級リゾート志向ではなく、新しい「都市型リゾート」を模索している。そのためのブランドとして「OMO」を旭川で初めて立ち上げ、東京・大塚の第2号につなげている。

もともとは、地元の一番の老舗のグランドホテルだった。地元の人からすると、それはすごい存在感で、誇りのようなものがあった。ただ、いろんな人に聞いても、OMO7になってからの評判はなかなか厳しいものがあって、愛され度が低いまま。売りにしている「OMOレンジャー」という、ディープな近隣の店を紹介するアクティビティは低調と聞くし、かつてグランドホテルを愛用していた常連には、他の地元資本の古参に移っているという。

自分に置き換えて考えてみても、外からやってきて根を張るって難しい。今年4月にオープンしたばかり。OMO7も試行錯誤している段階だろうし、いろんな批判を承知の上で踏ん張っているんだろうと思う。そしてどうすれば自然と愛される存在になるのか、他山の石としよう!

前置きが長すぎたけど、館内インプレッションを。

まずエントランス。重厚感ある外観からボリュームある設えまで、風格あるホテルといった感じで好き。10月中旬だったのでハロウィン仕様に。ウエルカムドリンクは壁に据え置かれたサーバーから飲むしそジュース。これいい!

お部屋は、4ベッド。肝に据えてるコンセプトルームじゃないから何とも言えないところがあるけど、どんな雰囲気を出したいのか分からない内装とフロアだった。グランドホテルの時代から使われている寝巻きもあった・・・。ここまでお金が回らなかったのかしら。

夕食は安定の「田舎料理 田子兵衛」へ。ここのホテル、繁華街までちょっと距離があるので子ども連れだと20分ほど。

戻ってきてからはバーで妻と長男の誕生日祝い。関西から手伝いに来てくれた妹が手配した、いわゆるサプライズ。体調良くなかったのでスパークリングを飲んだらうたた寝してしまった。。。

寝かしつけは、妻と妹に押し付け、今夜締め切りの道庁主催のビジネスコンテストの資料作りがあるので、ラウンジで作業。「ブックトンネル」と名付けられたコーナーで北海道や旭川、アイヌ、アウトドアに関連する雑誌や本に囲まれた空間。気持ちいい。

帰り際、売店の向かいに「OMOレンジャー」が案内しそうな名物スポットの一覧が紹介されていた。旭川大の監修でつくったショップリストも置かれていて、楽しい。このパブリックスペースは、ふらっと観光客が来ても有意義(宿泊者じゃないと入りにくいかもしれないけど・・・)だと思った。

これは分かりやすいし、まちなかのコンシェルジュとして機能できれば最高!

一夜明けて朝ごはん。「焼きたてワッフルが楽しめる朝食ビュッフェ」としてウリにしていて、一般は大人2500円、7〜11歳は2000円という値段設定。

インスタ映えを意識しているのはよく分かる
グランドホテル時代から使っているとみられる、食器類

 

ホームページを見たら、「北海道ならではの」とか「ご当地素材」と書いてあるけど、実際の会場には産地や生産者の表示はいっさいなく、誰がどこでつくったものなのか、まったく分からない。そして動線が定まっておらず、お互いにプレートを持ったお客さんが、何度もぶつかりそうになっていた。まず、どこに何が置かれているのか、どういう順番で選んでいけばいいのか、途方に暮れてしまうレイアウト。

スイーツ好きの人にとっては、インスタ映えするものがいっぱい置いてあるから楽しさはあると思う。でも自分のように甘いものを好まず、その地域を感じながら何度も噛みたくなるような朝食を望む層にとっては、強気の値段もあってなかなかに厳しいと思う。新聞でも、地元客の声として「朝食が高すぎる」という声が紹介されているし、自分もそう思う。

いろいろ勉強になった!

 

ニセウコロコロで東川町に暮らす

旭川の周辺では珍しい、ヴィラタイプの「ニセウコロコロ」というお宿にチェックイン。北海道に来て、初めての外泊というだけでもめでたいけど、こんなハイグレードな所だなんて、さらにめでたい。独立した3棟があります。北海道の農機具小屋をイメージさせるデザインの棟もあって、「北の住まい設計社」が手がけたかわいい建物です。

場所は、旭川市の隣にあって、移住者や開業者がどんどん集まっている(少なくともそのイメージのある)東川町。役場や、モンベルの入っている道の駅があるメーンストリートをちょっと北に行って、クイっと細い道を左に入ったところ。周囲は畑や農家さんのおうちに囲まれている。

「ニセウ」とはアイヌの言葉で「ドングリ」の意味。いろんなところにドングリがあしらわれている。かわいい。

入ってまず目を引くのは、立派な薪ストーブ。オーナーさんが説明もしれくれたけど、宿泊ガイドの分厚いファイルにも懇切丁寧にコツが書いてあって、初心者でもくべることができて、何度かやるとコツも分かってきた。 火を見ていると、たまらなくなって、部屋の冷蔵庫備え付けのサッポロクラシックを開けてしまった。

次に、ダイニングテーブルの上に用意されていた、ウェルカムバスケット。翌日の朝食に使う野菜やパン、地元の米。冷蔵庫にはベーコンとか卵とか入っている。それとは別に、コーヒー豆とか紅茶の茶葉がふんだんに盛られている。気分がどんどん上がっていく!  わくわく。

寝室も、浴室も、すべてが上質な感じ。「暮らすように泊まる」っていうのが宿泊業界でも流行っている感じがするけど、それをまさに形にしたようなお宿! アメニティもすべて、分かる人には分かる系の、「いいもの」で揃えられている。環境や人にいいもの、丁寧でサステナブルなもの。。

子供たちはあったかい薪ストーブの前のソファーで沈没し、自分は北海道庁のプレゼン資料づくりで「ほぼ徹」。そしてとても爽やかな朝を迎えた。北海道の秋らしい空気。

朝ごはんは、スイスチャードとベーコンの炒め物、鍋で炊いたご飯(卵かけにも)、パン、みんなでミル引きからやったコーヒー。。。

あんたにはやらせないわよ

幸せを感じる〜!   チェックアウトが11時なので、ゆっくり、ゆっくりと滞在させていただく。

 

オーナー夫妻は移住組で、お子さんもたくさんいらっしゃってにぎやかなご家庭。生活と仕事がすぐ隣り合っていて、それはそれで苦労されることもあるだろうけど、すごく羨ましい生き方だなあと心酔しきり。いい宿を見つけた。少なくとも2日感、暮らしのクオリティが一段上がる場所。また行きたいなぁ。泊まっていない2棟が楽しみで。

旭川2回目のゲストハウスは、レトロな宿

(つづき)

ゲストハウス「旭川公園」の予定地から、最寄りの永山駅まで歩いてみた。のんびり、のんびり。線路を伝うように。車の通りは少ないし、道は荒れてないので歩きやすい。

途中にカメムシ(とみられる昆虫)を発見。旭川は、こういうものまで美しいんだなぁ。

いつもよりも、道にいる虫さん達によく目がいく

永山駅には10人以上、列車を待つ人がイスに座っていた。地方部の有人駅ではよくあるけど、列車到着のちょっと前に改札があるので、それまでは乗客が1つの場所に集まる。「あっ、これコミュニティっぽいなー」とほっこり。

永山駅にて

旭川までは快速「なよろ」。これまで普通列車しか乗ったことないからラッキー。停車駅が少ないだけで、旭川駅まで普通なら14分のところ、11分で着く。快適。サイクリストが輪行(タイヤを外してカバーに入れて車内に持ち込むこと)していて、自分も昔そうだったので懐かしくなった。

旭川駅からは市役所まで15分ちょっと歩いて、建築指導課に進め方で相談して、子ども育成課で保育園の入所について教えてもらう。皆さん親切でいつも嬉しい。

そのあとは、今宵のゲストハウス「宿・レトロハウス銀座」へまた20分歩く。今回は絶対、列車と徒歩で移動すると決めているのだー。

名前の通り、銀座商店街という場所のすぐ近くにあって、駅からも歩ける距離にある。いま、旭川では最古のゲストハウスになった。昨晩のアサヒカワライドより1000円ほど安く、相部屋(ドミトリー)で2000円台だった。レトロでシンプルだけど必要な設備はそろっている。フロントとロビーが開放的で明るい。

共同スペース。早朝に撮影
一階からはけっこう急な階段をのぼる。他のお客さんが寝静まった夜は、きしみ音が気になっちゃう


使用中の2段ベッド(同下)

そのフロントで、マレーシアからの女性ひとり客に「どこから来たの?アハ?」と英語で話しかけられ、「シズオカ プリフェクチャー」と答えると、「私たちはプリフェクチャーがどこにあるか分からない。分かると思う?ドンチュー?」となぜかまくし立てられ、「フジヤマのあるところ」ととっさにフォロー(笑) いろんなお客さんがいるゲストハウスあるある。これもちょっとした旅の思い出であります。

食事は商店街で一杯やりたい思いもあるけど、地元の税理士さんが懇親会をセッティングしてくださっているので、繁華街へ。会場は「めいじ家  大舟」。おつまみイクラ、刺し身、焼き物いずれも美味。お客さんが来たら連れて行きたいお店(ラーメン除く)第2号に決定〜。ここで名刺ケースを忘れてしまったけど、その後、丁寧に応対してくださった。

二件目は1人でラーメンへ。繁華街にある「味特」さん。スープは好きだけど、麺が・・・。茹で方の問題かしら。大将の表情をはじめ店の雰囲気は◎。酔ったらまた寄るかも。

醤油700円

酔い覚ましに宿まで30分以上かけて戻る。iPadに向かうも1時間ほどで撃沈。                                  (つづく)

 

「ようび」で美しい雷に打たれた

(つづき)

雷に打たれましたね、これで

タルマーリーを出て30分くらいかしら、次の目的地・岡山県西粟倉村に到着。雨脚はどんどん強くなって、仮に汽車が動いていてもコンビニ傘で何十分も歩くのはつらい。ちょっとした嵐。レンタカーでほんと正解。

主張しすぎているわけじゃないけど、強烈な存在感を放つこの外観にまず見とれてしまった。全国の皆さんの力が集まって建てられたというストーリーも相まって。

これに見とれない人はいないだろう(きっと)

普段はこのショールームは予約制だけど、日曜日はフリーオープンらしく。着いてから電話して、担当の方に迎えていただいた。一歩踏み入れれば、そこは息を飲む空間で。

 

この「ようび」という家具メーカー、全国手にも知られた存在で、超絶なオシャレさだけでなく、底流する森やものづくりへのマインドがすっごく美しいのです。単なる「用の美」じゃないんです。地域の材に誇りを持ち、可能性を探り、次代につなげ、循環させて意識を高めていく。トータルでのデザインをしてるって感じかしら。旭川家具で課題として指摘されている、地域との掛け算的なことを、さまざまに考えられいるんだなーと思った。

ホームページにある文言にも、それはよく現れてる。

私たちが作りたいのは、「人に使ってもらって生活が楽しくなる物」。観賞用ではなく、使い勝手の良さと楽しさがあふれる「用の美」。相手の欲しいものを本気で作るとそこに「用の美」が生まれる。  ようびが工房を置く西粟倉村は全面積の95%が森林、村民1500人強は海抜300m台の盆地に暮らす。「50年まえに将来の子どもや孫のために植えた木を、立派な100年の森に育てていく」と、村ぐるみで英断。今や清流と自然にも恵まれた地域再生の成功モデルとして名高い

「ようび」ホームページより

村と会社が同じ方向を向いてるんだな、きっと。

そんでもってもう一つ、この職能集団にはストーリーがあって。「ツギテプロジェクト」っていうやつ。

2016ねん1月に社屋が全焼し、   木材を組み合わせる「継ぎ手」の意味だけど、次の時代への「継ぐ」という意味も込められている。5500本ものスギの間伐材を格子状に組み立てていく。全国から林業の関係者がやってきて、少しずつ形にしてきた。簡単に言えばボランティアだけど、この日ショールームで応対してくださった方は「ボランティアじゃない。忘れていた『ともしび』を付けに来たような感じでした」と振り返っていた。妙にしっくりきた。

という感じで、この「ようび」は只者じゃないんです。そしてショールームでは、只者ではない感を放っているスツールを目撃してしまった。瞬間、雷に打たれたような感じに。

超絶かわいいスツール

これです。前にブルータスでも特集されていた、人気テキスタイルデザイナーの氷室友里さんの作品。座り込むほどに、おもしろい「変化」を楽しめる。そして文句なしに、かわいい!かわいすぎる。

これに一目惚れしてしまったわけです。ただ、当たり前だけどこの作品には「旭川」のあの字もないわけで。そこに「うーん」とと思いながら、担当の方と話していると、「うちはいま近くの山をきれいにしようとやっていますが、本当は日本全国でやりたいんです。各地の材を使って、デザインを組み合わせて、新しいものをつくりたい。旭川の材でやりましょう!」とびっくりするくらい瞬間的に話がまとまった!

この後、ゲストハウス「旭川公園」のバックヤードの突哨山で木こりをしている清水省吾さんに連絡してみると、「なまらいいですね! やりましょう」とのこと。一気に旭川×ようび×氷室友里テキスタイル のコラボレーション企画が前に進むようになった。これ、絶対におもしろい。

「やがて風景になるものづくり」が「ようび」のコンセプト。旭川家具ももちろん置くけど、旭川公園でもこのスツールが風景の一つになるように育てていきたい。

(山陰の旅はまだまだ続く)

 

 

とっておきの朝食☆大作戦

宿に泊まって迎えた新しい朝。どんなご飯で地域を感じ、楽しく過ごせそうな気分になれるか。朝食ってめちゃ大事だと思う。こだわりたい。

事業計画、収支計画を立てていく上でも、宿泊業そのものだけじゃなくて、朝食の仕入れと売価の設定もこれまた重要になってくる。考え抜きたい。

先日、神戸に住んでいる同級生の元に、ゲストハウス予定地のすぐ近くで作られている麹と味噌を送った。極秘の商品開発をするために。

屯田兵が開拓した、旭川市の永山地区。そのころからの製法を忠実に再現し、自給的な醸造品づくりを続けているお母さんたちによる「屯田の里」のもの。みそが優しく、かつしっかりしてほんと好き。

極秘と言いながら少し明かしてしまうと、この醸造品とか甘~いアレとかを使って、プレミアムな旭川グラノーラをつくるのです。これが洋朝食。値段は800~900円を想定。グラノーラだけじゃなく、クオリティの高いトマトジュースとかヨーグルトをつける。「和」もそうだけどコーヒーもつける。

和朝食は、永山のお米に、「屯田の里」の味噌汁、漬け物、お好みにより甘酒。お米は+でこだわって、無農薬玄米や健康にいい黒米、雑穀を扱っている市内の老舗「上森米穀店」さんにお世話になろうかと一方的に思ってる。健康にも環境にもいいし、まだ食べてないけど絶対おいしい。旭川のおむすび界でめちゃ有名な女性とも、一緒に企画されているようなので、間違いない。値段は400~500円を考えてます。

和も洋も、とにかく生産者さんや販売者さんの顔をどんどん見せていく。アルバムのようにして。どうやって作られてきたか、なんでこの地でできているのか、いろんなことを感じられるように。それは新しい朝の、上品な力になる。

最後の東京出張(すごいチェアを見つけた編)

ドトールできんきんに体を冷やした後は、夜の待ち合わせまで時間があったので、表参道・青山に向かうことにした。

ぶらぶらしたり服を買いたいわけではなく、旭川が世界に誇る家具メーカー「カンディハウス」の東京ショップに行きたかったのです。

ひっさしぶりに表参道交差点に出て、コムデギャルソンの方面に歩く。それっぽい感じのオネエサン、オニイサン、メルセデスやアウディ、アルファードなんかが道を支配している。完全に旭川とは空気が違っているー。浜松とも。

奇異な建物が目を引くプラダのある交差点を、表参道ヒルズから見て右手に曲がり、ぐんぐん行くと、わがゲストハウスの総事業費のたぶん3倍は行くであろう超高級(そう)なマンションがあり、その向かいに東京ショップはあった。

東京ショップ外観

佇まいも、明らかに旭川ショップとは違う! そして確実に入りにくい(笑)脂汗がでてきていったん通り過ぎるも、「これを避けては成功はない」と自分に言い聞かせて、シャツがズボンの中に収まっているか確認して、深呼吸して、この異世界へ足を踏み入れることにしたのです。

エントランス近くで最初に目にしたテーブルに、どこかで見た黄色いシールが。そう、道産材をもっと使ってこーよ!っていう「ここの木の家具プロジェクト」です。うれしい。これを東京で見られるなんて。

ただ目を奪われたのはこのテーブルではなくて、そのそばにあった、木工品。

これでどのお酒を呑もうかしら・・・

静岡県出身で北海道に移住し、森林が9割を占める下川町で創作されている「クラフト蒼」の臼田健二さんの作品。ナラやサクラとかを使って、ショップの人によると、生木をくり抜いて作っている。大きいものはサラダボウルになるし、小さいものはぐい呑みにしてもいいんだと。洗った後にちゃんと拭くなど、丁寧なケアが欠かせないのも、愛着が増すようでうれしくなる。迷わず購入。

ショップ内をグルグル見渡して、本気で欲しいものにもう一つ、出会った。下の写真のイージーチェア。

なんとこれ、座面と背面に馬の革を張っているのです! 知る人ぞ知る、日本で唯一の馬具メーカー「ソメスサドル」(砂川市)とのコラボレーションってこと。憧れのソメス! 新千歳空港にもショップを構えてるので目にする機会は少なくないけど、いろんなストーリーがあって、一度本社のファクトリー・ショールームに行きたいとずっと思ってる。

このチェアは38年前に商品化されたものを復刻させたとか。当時よりより丈夫な革を使ってるのだそう。勧められたので、厳かに腰を落としてみた。張りがあって厚くて固くて、でも座るほどに体になじむ。多分これは、無二の座り心地。ストイックではないけどシャキッとくつろげる、っていう新しい感じ。真剣に欲しいけど、34万円ときては数年単位で考えないと(笑)

いろんな所にバックルがある。しなりを受け止めることで、なじんでいくんだろうなー  ※いずれも撮影、掲載許可済み

店を後にする時は、店員さんやフロアに立たない社員さん?、搬入の方々?とかいろんな人にお見送りされて、気分はすっかり青山のオシャレ住民。「ソメスサドルさんは青山にお店ありますので、お時間ありましたら是非」とショップカードを渡された、家具と馬具、パートナーとして互いに高め合ってるんだなと感じて、ほっこりした。素敵。

夜は日本国の中枢を担う人物を日夜追っている、金沢時代にお世話になった超多忙な先輩記者とアメリカンなお店で乾杯。ご縁に感謝!

東京、ありがとう

脱皮なるか、旭川空港

交通問題に興味はあるしけっこう使っていながら、知らんことばっかりでびっくりすることがある。

ちょっと古いけど、8月17日の日経新聞にでっかく「北海道の空 4陣営争奪」っていう記事があった。

新千歳、旭川、帯広、函館、釧路、稚内、女満別の7空港が2020年6月以降に民営化される。旭川は、市が管理していて、赤字に苦しむ典型的な地方空港なんだとか。市営だなんて知らなかった・・・

記事によるとコンセッション(公共施設等運営権)の入札が締め切られ、4陣営が参加したと。新千歳が国管理空港の中で、羽田に次ぐ収益力をもつことに注目が集まり、空港コンセッションは仙台や高松で成果を上げていることもポイントらしい。コンセッションは空港以外でも水道とか、各分野で流行ってるからなぁ。

今回の特徴は、7空港を30年にわたり一括運営すること。新千歳を目玉に、旭川をはじめとする赤字空港への集客増も目指されることになりそうだとか。外資だけじゃなくて、東急とか東武とか域外の鉄道会社も名乗りを上げているけど、これは内需中心の会社にとって、訪日客増の空港ビジネスは貴重な成長分野に映るらしい。

しょっちゅう使う新千歳やセントレア、羽田なんかはそりゃ規模がでかいので、買い物やサービスも充実しているのが当たり前な感じがある。民間の工夫をいろいろ感じるし、空港=メディアとしてこぞって競争している。

でもこないだ旭川空港をインで初めて使った時、古ぼけた感じというか、彩りのない到着ロビーに出迎えられ、めちゃくちゃ残念だった。出発側はよく採光もされていて明るく洒落た雰囲気なのに、同じ空港とは思えない。

旅行者からすれば、まずその地域の印象は、空港の到着ロビーやレンタカー、タクシー、バスなんだろうと思うけど、空間デザインや交通案内のサインとか見ると、確かに「典型的な地方空港」っぽい。

石川県政を担当してた時は、小松空港に県がかなり力を入れているのを見てきた。旭川市ではどうなんだろ。議会の議事録とかいろいろ見てみようかしら。ことし11月に国際線ターミナルビルができるんだから、大きく脱皮してくれるんだろうと期待して。

すごいぞ北海道ガーデン

北海道らしい「ゆとり」と自然や地域を愛でる心が、日本のガーデン観光を引っ張っていく気がする!

5月のゴールデンウィークに行った、ゲストハウス近くの「上野ファーム」にて。シーズンではなく天気もイマイチだったけど、心安らぐ雰囲気。妻撮影

産経新聞(14日付)によると、国土交通省はガーデンツーリズムの普及を目指して、来年度に観光ルート化の支援に乗りだす方針だとか。

国交省は盆栽が世界的な人気を集めていることも踏まえて、旧家の日本庭園も入れてルート化するらしい。北海道は「和」テイストのものってないかもしれないけど、富良野のラベンダーとか、北竜町のヒマワリとか、規模感を生かして植物を楽しむのはかなり前から定着している。

そしてやっぱり出てきた。記事では「先駆的な例」として「北海道ガーデン街道を紹介している。「大雪 森のガーデン」やテレビドラマで一躍有名になった「風のガーデン」といった、8ガーデンを巡る250㌔の「花のルート」。「十勝千年の森」を運営していらっしゃる林克彦さんという方が仕掛け人で、十勝が通過されてしまうことに危機感を感じ、超高域で連携を模索した。ここんところ、十勝発のエネルギーには目を見張る。

わが「ゲストハウス旭川公園」としては、4700mしか離れていない、車で10分の「上野ファーム」をまず推すものであります。

もともとは米農家さんで、お客さんに直接売ることを始めて、「せっかくだからおもてなしをしよう」「魅せる農場にしよう」と時間をかけて庭を整備されてきた。オープンガーデンの一つだと思うし、理想的な公共空間だなぁ。規模はなかなか真似できないけど。今手がけている上野砂由紀さんはイングリッシュガーデンの界隈ではとても著名な方で、「風のガーデン」もデザインされた。今や数万人が訪れる人気スポットだけど、「観光客にたくさん来てもらおう!」と変な力を入れてきたんではなくて、地元志向、地に足の着いた感じが素敵すぎる!

上野ファームについてはまた詳しく書こう。道内の私設庭園(オープンガーデン)もたくさんお話があるのであらためて。

よく考えたら夏のハイシーズンの北海道で1度か2度しか経験がない。上野ファーム、いい季節にまた行きたくなってきた。

 

駆け込みでビジコンに応募!

昔からずっと、こんなだった。フォトコンテストとか、懸賞とか、応募締め切りの直前になって運良く思い出して、中央郵便局の夜間窓口に駆け込む、というパターン。中学生の時から成長してない。

8日25時30分。パワポのプレゼン資料をつくるためにファイルをめくっていたら、道庁が主催する「北海道創業ビジネスグランプリ」なるチラシを発見。1カ月くらい前だったか、公的機関の補助金を探している時にホームページで見つけ、「いいなあ」と思って、ファイルにしまい込んだままだった。

なにげなくチラシを見ると、「8月10日(金)必着」とある!

地域の課題を解決する創業プランを応募して、書類選考を通過したら地域ごとにある予選会でプレゼンする。本選で勝ち抜いたら、クラウドファンディング型ふるさと納税を使って、上限200万円の補助がもらえる。

おもしろそう! 単に担当部署に提出して可否を判断されるより、いろんな人の目に触れるだろうし。よしやろう!

とりあえず所定のフォーマットを見て、どんな項目が必要なのか確認。「事業概要」「地域課題」「創業計画」「セールスポイント」「5年目までの利益目標」「仕入れ・調達先」「資金計画」「補助金の使途」などなど。

書いていて思った。これは考えをまとめるのに、めちゃくちゃいい! 毎日いろんなアイデアとか、逆に「これはやめとこう」というブレーキとかが出てくるけど、どこかのタイミングで指を動かして(キーボードじゃなくて)紙に落とすという行動はめったにない。真剣に向き合える感じがする。

入学式、卒業式、結婚式、お葬式。いろんな行事があるけれど、単に形式的にやっているわけじゃなくて、気持ちを整える、自覚や覚悟を問われてる、という意味があるんじゃないかと近ごろ思うようになったので、こういう書類選考なんかも、儀式としてみれば必要な通過点に違いない。

応募用紙の「地域課題」については、この未明の時間帯に、けっこう考え込んだ。頭の中を整理した。そして出てきたのは、5点。

① 旭川は、宿泊しない通過型の観光のケースが散見されて、まちなかのホテルなどではローカル感を味わいにくい
② 周辺には山林が多いものの、持続可能な林業がなされていないケースも多々。「木のまち」なのに山や消費の現場が見えづらい
③ 旭川農業高校や旭川大の学生による加工食品の発表の場の確保
④ 近くの旭川大生らが、落ち着ける場や共同スペースを望んでいる
⑤ 子どもの減少と、最寄りの小学校の統合

こういう課題と、自分のやりたいことがどうマッチするのかを事業概要や創業動機に盛り込むようにして、仕上げた。公園をつくって地元のいろんな人が憩い、遊べるコミュニティーにすること宿泊者は町内会にチェックインするイメージで自然に地元を感じ、ローカルな暮らしをシェアできること・・・。

これから自治体とかに説明していく上でも、いい準備になったなー。

なんとか9日のうちに浜松東郵便局に持ち込めた。台風やお盆に差しかかることもあって不安があるけど、通常であれば速達なら10日に届くとのこと。ぜひよろしくお願いします! もし書類選考を通過できれば9月8日に旭川市でプレゼンという運びに。ドキドキ。