昭和52年、滋賀県彦根市生まれ。静岡大学と名古屋大大学院を卒業し、8年余りのフランス留学をへて旭川大学へ。学生時代から自動車産業を研究してきたが、地元の「旭川家具」に魅せられて研究テーマに選び、どっぷりとはまった。2018年秋から籍は静岡大に移ったが、頻繁に旭川との間を行き来し、学生を指導する。静岡も旭川も日本五大家具産地。「地域産業として持続するには」を考え続けている。
旭川では、世界的に有名な家具メーカーや木材会社、業界団体などを学生と一緒に訪問してつぶさに聞き取り、川上である森側と、川下であるメーカー側に大きな隔たりがあることを痛感。地域材の活用など、地域と家具産業のつながりを強くしていかないと、産地が持続しないと見通した。山主、製材業者、メーカー、販売業者をつなげた「森林業の6次化」「ネットワーク化」がカギになるとみて、地域ならではのストーリーを見せていく「『家具づくり』を売っていくべきだ」と説く。
だからこそ、「木こり経済学者」を名乗る。自ら山に入って材を選び、顔の見える作り手と一緒に家具を仕上げるプロセスを重視。ゼミ生と一緒に「森から始める、出口の見える家具づくり」を実践している。山主・木こりとしては自伐型林業を展開する「里山部」の清水省吾さん、家具職人としてはガージーカームワークス出身で当麻町地域おこし協力隊の原弘治さんが全面的に協力する。
旭川大の学校祭ではシラカバの木を切って店舗にした「木育カフェ」を構えて来場者の人気を集め、図書館ではナラを使ったスツールを制作。旭川家具の祭典「旭川デザインウィーク(ADW)」」でもブースを置いて発信した。横田ゼミは旭大(きょくだい)の名物ゼミに育った。
フランス留学中は常にお腹をすかせていたが、手元に小麦粉はあった。自らうどんを打ち始め、やがてパーティーを自宅で開くまでになった。
今の自宅は、ヨーロッパでも知られる旭川家具のイスや、旭川の若手職人が手がけたテーブルで彩られる。夜は研究や読書に没頭するが、ゼミ生を集めた飲み会ではワイングラスを片手に饒舌になる。マイクに握り替えると、室内は一気にパーティームード。エアロスミスになりきり、流暢な英語で全身で歌う。