人とつながる旭川一泊の旅⑤ 熱を帯びる「地取り」

図書館から車で3分。ここが、ゲストハウス候補地の登記書類に書かれていた、土地所有者の住所があるエリア。ただ昭和40年代の資料で、丁目までしか書いていない。住宅地図にも該当する名前はない。

畑作業をしていた男性に話しかけて、事情を説明し、「この女性を探している」と協力をお願いする。ご丁寧に家に戻って、地図を持ってきて、町内会長や、もっとも長く住んでいる〝長老〟を教えてもらう。

さっそく突撃。長く住む方々は「まったく知らないなあ、分からんなあ」と申し訳なさそうな返事。町内会長さんも親身になって聞いてくれ、頭をひねって下さったが、分からずじまい。でも皆さん「ご苦労さま」「がんばってね」と励ましてくれて、うれしくなる。

ここで5人に当たったけど厳しそうだったので、候補地の永山地区へ。まず、書類上の同じ姓の家を一軒あたってから、昨日の夕方に引き続き、近くの方に聞いてみることにした。

まず候補地の経緯や思い出を教えてもらう。昔はやはり、町内会が管理する子どものための公園だったという。町内会のみんなで葦を借り、一通りの遊具もそろえて、盆踊りもやったそうだ。ますますここが欲しくなった。盆踊りをしていたなんて、完璧なまでのストーリー。けっして特別じゃないにしても、地域の記憶が詰まった場所だったということ。すぐに、みんなで踊っている光景を思い浮かべた。

町内会長さんを紹介してもらって、さっそくご自宅へ。いろいろ思い出してもらっている時に、奥様が援軍となってくださり、「(登記上の所有者と)下の名前が同じ人がいた気がする!」とアシスト。会長さんは昔、「ちびっこ広場」を運営していた時と閉鎖するときの資料ファイルを引っ張り出してくれ、ページをめくってくれた。すると、

あった!          下の名前が同じ女性の名前が!

確かに登記上の住所は違うけど、ここを訪ねればご本人がいらっしゃるか、親族が住んでおられるかも、と大ハシャギ。

3人で永山の魅力を語り合った。空気がきれい、大雪山がある、石狩川がある、まちに近い、暮らしやすい・・・。最近は子どもが減って寂しくなったことや、近くの人工河川「永山新川」ができるまでは、みんな井戸を使っていたこと、大学ができて区画開発がされ、昭和50年代に急速に人が増えたこと・・・。めちゃくちゃ勉強になった。

自分からは、「子どもやママ、お年寄りと、いろんな世代が混じり合う場をつくりたいし、そこで子どもを育てたい」「地域の人がふらっと来れるコミュニティをつくりたい」と計画を説明。

奥様からは「ぜひ実現させて! 盛り上げてよ!」とエールを送ってもらう。もう百人力ですよ。これだけでビールを浴びたい気持ちになったが、家の前に停めた車内で次男が号泣しているのが聞こえ、失礼することに。今後のご協力もお願いした。うれしすぎる。

徹底して周辺に聞き込みをする「地取り」で成果があったときの、あの喜び。新聞記者をやっててよかった・・・!

さっそく、所有者の現住所に急ごう!             (つづく)

人とつながる旭川一泊の旅④ 公園と図書館で準備体操

客室からの眺め。かわいい

次男は朝6時に起きてきたので、4時間しか寝れなかった。。。そのまま大浴場に入って朝食を食べることに。

お風呂はきれいで、お湯は温泉みたいな風情はないにしても、すっきりしてて◎。

朝ごはんは、イオンの4階の一部を間借りした感じのレストランで、地物にこだわったビュッフェ。ゲストハウス予定地でもある、旭川市永山地区のお米(ななつぼし)をはじめ、一通り地元産を網羅した感じで、予想以上だった。

一番気に入ったのは旭川ラーメンで、朝からスープまで飲み干してしまった。お椀に入れていただくので、そんなに罪悪感はなく。具はチャーシューとメンマ、ネギ。必要にして十分。周りを見回したら、ラーメン率がけっこう高くてびっくり。中華系の訪日客の皆さんのお盆を覗いたけど、和の人もいるし洋の人もいるし。いろいろ。そりゃそうか。

ホテルは全体的に、スタイリッシュな印象にまとまっているけど、木目調の壁紙がめくれて木じゃないことがモロ見えだったり、中途半端にモダンなアイテム(電話とか机とかイス)が多いのが残念。イオンっぽい軽さのある、どこでもあるホテル。木製のティッシュケースは、なぜか越前漆器だったし。なんでJR北海道のホテルで。。。?

でもフロントそばにあるラウンジや図書コーナーは良かった。本はJRだけあって鉄道関連や旅、スポーツ、酒といろいろで、ちょっと古めかしたハードカバーが揃っているのがそそられる。館内至る所にあるサインも併せて参考にしよう。

部屋に置いてあった利用の手引き。参考にしよう

ただ部屋に戻ってもテンションは高まらず、「きょう調べて、土地所有者が不明のままだったらどうしよう」という不安が先に立ってしまう。とはいっても部屋にいても仕方ないので、8時半前にはチェックアウト。中央図書館に向かう。

図書館は9時半からなので、旭川のセントラルパークたる「常盤公園」を散策。この公園の中に、図書館や公会堂、道立美術館が備わっている。上川神社も。

池の周りを歩いていると、カワウソみたいな動物がひょっこり水中から現れて、次男の好奇心を刺激してくれる。小径は気分が良く、市民が思い思いに時間を過ごしているのがいい。空気もいっそう美味しい。次男は久々に解き放たれて楽しそうで、だんだんとこちらもやる気がわいてきた。

その土地の空気を吸って、その土地にいる気分になってくる。ほんとに朝は大事だなあと思う。地元の人の生活感も分かるしね。公園は最適なメディアである。

突然、歌と踊りが始まった。旭川がきっと肌に合うんだろう

図書館では、第1候補地の登記事項証明書に書いてある所有者の住所と、候補地周辺のゼンリン住宅地図を閲覧して、親切で気持ちいい職員さんにコピーしてもらう。念のため電話帳(緑色、個人版)もチェックする。絵本コーナーには感謝してもしきれないわ、ほんと。助かった。

さあこれで道具はそろった。現地取材に向かおう! ここで決めなきゃもう勇気ある撤退も視野に入れないと。(つづく)

人とつながる旭川一泊の旅③ ありがたい助言

誰もが、北海道に住みたいと思うようなグリーンアスパラのナントカ

今宵の宿は、JR系の「JR inn」。旭川駅直結で、なぜかイオンと合体してる。土曜の夜7時前。駐車場に入るのにけっこう時間を取られて、時計を気にする。旭川もいくつかイオンがあるけど、〝イオン渋滞〟はどこの地方都市にも共通するんだろうなー。うーん、なんだかな〜、だけど。

やっと駐車場の空きを見つけてフロントを目指すも、一度5階に上がらないといけないらしい。フロントは中華系の訪日客でごった返している。やっぱ勢いすごい。当然、チェックイン後のエレベーターもなかなか乗れず。

部屋に荷物を置いて、次男を抱っこして傘をさし、急いで徒歩7分ほどの喫茶店へ。地元の名士に違いない、事情通で人脈も広い税理士の先生とのお約束。

何をしようとしているか、なぜこの場所か、資金計画と時期は・・・などなど一通りお話しして、真摯に耳を傾けてくださること90分。これまで、勢いよく起業したはいいものの、夢破れて消えた人をたくさん見てきたというだけあって、すべての言葉に重みがあった。ずしんと響く。

◆立地は中途半端なもので妥協するのは絶対ダメ。

◆やっつけで進めて秋オープンにするより、冬を越して3月にした方がいい。

◆やろうとしていることがダメになっても食べていけるような副業は絶対に必要。この安心感があるかないかが、大きな違いになって現れてくる。

ありがたい・・・・!

うすうす、自分の中で都合の悪いことを「まあいいか、なんとかなるか」と過小評価していたけど、戒めてもらえた。副業も、時期も、土地の代替案も、いちおう考えてはいるけど、見えにくいリスクや長い目でみた時の取るべき選択について、冷徹に考え抜こうと思った。

この方はすでに予定地の登記情報も取り寄せて、お知り合いの不動産屋さんにも、いろいろと取材してくださっていた。紹介されて初めてお電話したのが4日前の19日だったので、すごいスピード感。 脱帽するしかない。

この90分間、退屈した次男のSOSを振り切って熱中した。頑張ってお利口にしてくれた次男へのご褒美に(?)、繁華街で道内の海産物を食べられる地元資本の居酒屋へ。

疲れ果て、乾杯にもやらされ感が漂う次男

いくらこぼれ飯、時鮭といくらの長芋和え、干しコマイ、厚岸(釧路方面、最近はウイスキーで注目)の生牡蠣、襟裳のタコ塩炙り…。襟裳のたこわさびは、今まで食べてきた中で最高にうまかった(これまでは明石・魚の棚のだった)。

ちょっと食べてぐちゃぐちゃになったけど、厚岸の生牡蠣。あしたお腹痛くなりませんように。。。自転車で北海道回った時も、厚岸で牡蠣を大人買いして関西に送ったなあ
いくらこぼれ飯。美味しいけど、改善の余地あり。北海道で食べなくてもいいレベル。よくあることだけども
あんまり美味しそうに見えない写真だけど、まあまあウマイ。時鮭といくらの長芋和え。でもルイベにしたほうが鮭は喜ぶだろうなー

グリーンアスパラはゲストハウスの予定地から近い東鷹栖の「中谷農場」さんのもの。ご飯は同じく東鷹栖の「高見農場」さんの特Aななつぼし。食べてないけど、鷹栖町「新田ファーム」の牛肉もメニューにあった。日本酒は、予定地近くの「男山」のものがなかったので、駅近くの高砂酒造さんの「国土無双」でクイッと。

北海道は食料自給率が200%を優に超える。旭川は稚内、網走、釧路、十勝の各方面からうまいものが集まる「食の交差点」でもある。地物だけみてもすごいとこなんだけど、やっぱ旭川の総合力はおそるべし。

いい感じに流れが来てると勝手に思ってるので、明日は猛取材をかけていこう。明日が今後の全てを決める気がする。                                                                      (つづく)

 

人とつながる旭川一泊の旅② 舞い込んだ特ダネ

旭川駅からは、せかせかと歩いて日産レンタカーで。昨日電話をもらってたけど、ランクアップキャンペーンをやっていて、マーチクラスで予約したのに、まだ1100㎞しか走ってない、新車のエクストレイルを配車してくれた。

ステアリングは軽く、どっしり感はないけど、タウンユースで特に女性からしたら扱いやすそう。好みとしてはタイヤにもっと接地感がほしい。操作フィールやオーナメント、パーツに本物感や艶、しっとり感がほしい。ルームミラーが、かなり頭の近くにあって、強烈な違和感。大きくないボディなのに、取り回しが良くない印象になってしまってる。でも、予定地に向かう国道39号(その名も「大雪通り」、浜松の国道152号「自動車街通り」と雰囲気がめっちゃ似てる)では上手に路面のデコボコをいなしてくれた。快適。

さて予定地に着くと、もう夕方の5時40分。7時からまちなかで待ち合わせなので、時間がない! 「ママに持っていくんだー」と、予定地に咲き乱れる花を摘む次男をよそに、あたりをブラブラ。

ピンポンを押す前に、お向かいさんが庭で作業されていたので、お声かけ。世間話をしつつ、「ここに引っ越したい」「公園のような所をつくりたい」「小屋を並べて小さな宿にしたい」と伝える。怪訝そうなというか、「なんでこんな何もないところに?」と心配するような視線を投げかけてくださる。 そばにいた旦那さんも、「当麻町とか比布町、東川にした方がいいよ。こんなとこで宿やるなんて・・・」と苦笑い。うんうん、そうだよなーと、でも内心ではしたり顔に。だからこそ、面白いんであって。

めげずにお話をしていくと、予定地がかつて、町内会が管理(提案?)していた公園だったと教えてくれた。

なんと!  これは完全な特ダネ!

今から公園をつくろうとしているのに、予想だにしない奇跡の偶然の一致!  完璧すぎるストーリーを手にれて、天にも昇る心地だった。けっきょく所有者はわからずじまいだったけど。

これは幸先良さそうだとホクホク顔になって、まちなかにとんぼ返りすることにした。               (つづく)

人とつながる旭川一泊の旅① 北海道スイッチ

朝の8時15分に浜松駅に着き、セントレア直行バスに乗りこんだ。座り心地の悪い古い遠鉄(遠州鉄道)のバスだったけど、運転技術はその辺の路線バスとは異次元。北鉄(石川県、北陸鉄道)や名鉄でも一緒。やっぱり高速バスなんかは運転手さんのレベルが違うなあと実感する。例外はあるけど

セントレアでゆっくりエア・アジア便を待つも、到着機材の遅れとかで30分ほどのディレイ。新千歳着も同じくらい遅れて、予定してた列車に乗れず。今日はできる限り「地取り」しようと思ってたので、この30分はでかい。

札幌までは快速エアポート。次男の陽己(はるき、4歳)はさかんに話しかけられ、幼稚園での様子を根掘り葉掘り聞かれて、上機嫌に。でも最近、「恥ずかしい」とか言って、前みたいに聞かれてもいないのに名前とか自己紹介することがなくなった。これも成長なのかしら。

札幌駅で、同じホームに入線してきたスーパー北斗。キハ261系が導入されてからは乗ってない

札幌で乗り換えて特急「ライラック」に。自由席は乗車率80%ほどに見えるけど、指定は30%くらい。もっと賑わってほしいところだけど、バスとの競合もあるのかしら。

次男がすごくよく寝たので、そしてパワーポイントが文字化けしてフリーズしたので、これからのことに車内でじっくり思いを馳せてみた。

しばらく本業に追われていて、旭川移住とゲストハウスのことが頭から離れていたこともあって、この一週間はけっこうネガティブな状態だった。冷めた目で「ほんとに自分やるんかいな」「一生楽しめるのか」「うまくいくのかしら」とか心配してたけど、なんのことはない。北海道に足を踏みれたら、簡単にマインドに切り替わった。もとの自分に戻れた。しかも、いっそう(思いが)強くなって。

夫婦も一緒かもしれないけど、突っ走ってばかりだと、ろくなことはない。ときどきブレーキをかけてもらって考えを深めたり、違う目で思いのほどを確かめるのって大切だわ。

同じ編成でも、シートにはいろんな色がある。緑が主体なのに一部だけブルーがあったり、赤基調なのに緑が混じったり。変化球というか、多様性の演出みたいなのが好き
この色すごい好き。青森からよく昔乗った、スーパー白鳥と同じ色のままかしら?かわいい
旭川駅の同じホームで出発を待っていた、旭川始発、網走行きの特急「大雪」。自由席は厳しかったけど、ハイデッカーのグリーン車はほとんど埋まっているという謎

ライラックは16時55分、定刻通り旭川駅に滑り込んだ。

                                                                             (つづく)

 

いざ、旭川。「地取り」の旅へ

「旭川」の文字にドキドキする

明日からの土日は久々に旭川へ。前に行ったのが5月28日(日帰り)だったから、ほぼ一カ月ぶり。えらく時間があいちゃった。それだけ進展が鈍かったんだなー

急ごしらえの、「地取り」のための旅。取材っぽい旅。ゲストハウス予定地を詰めんなん。

いま、慌ただしく準備してます。
今回もいつもと同じく、セントレアから新千歳にエア・アジア便で入る。2人で片道2万円ちょい。
平日の安いときは4000~5000円台だけど、まあ仕方ないかー。

本当は旭川⇔セントレアor羽田でサクッと行ってみたいところやけど、旭川線はJAL/ANA・エアドゥしか飛んでないので、高くて高くて。
新千歳から旭川までは道央道をビュン!と走っても、なんやなんや2時間以上かかるし、眠いし、疲れる。
もっと旭川便が増えて安くなればなぁ・・・。エア・アジアほどじゃなくても。

エア・アジア便だけ数日前に確保していたものの、帰りの便がなかなか決まらず。昨日、やっと固まった。
ほとんどの便と座席が埋まってるし、高い!!
道内の記者によれば、観光シーズンに入り、2万人が来場するデザインウイークの期間中でもあるからでは、とのこと。これは夏のハイシーズンは恐怖でしかない。。。

帰りの足はさまざま検討した。
ベストは、新千歳→セントレアのスカイマークかエア・アジア、小牧着のジェットスター。つまりLCCを使う。
でも全滅。
新千歳→羽田のスカイマークを見たけどやはりダメで、エア・ドゥも厳しい。

そこでついに、初となる旭川発も調べ、セントレア行きや羽田行き、羽田経由のセントレア行きをチェックした。
これというのがなく、新千歳→神戸・大阪、新千歳→仙台も見たものの、できるだけ長く旭川に滞在できることや、運賃をひっくるめて考えて、19時半発の旭川→羽田のエア・ドゥをセレクト。大人3.5万円で合計5.3万円。

高い・・・。しかも最終の「ひかり」で浜松に戻る強行軍になる。次男よ、申し訳ない。

でもしかし、必死になって旭川までの空路を調べてみると、ほんとたくさん選択肢があってびっくりしたし、お金さえあれば旭川は遠くないんだと痛感。新千歳⇔羽田なんて、JR特急よりよっぽど多いんじゃないかと思うくらい。

浜松から空港までの足も考えないといけない。行きのセントレアまでは、バスがいいか、新幹線がいいか次男(4歳)に選んでもらったら、「バスがいい」と言う。
すぐに3000円強の空港直行バスをセレクト。膝上で130分はきついし、トイレに行きたいと言い出したら恐怖以外にないけど、新幹線より1300円くらい安いから◎。

新千歳からはいつも「カーレンタル北海道」で小型車(1日3000円!)で借りるけど、次男がいるので、快速「エアポート」と特急「ライラック」を乗り継いで旭川へ向かうことに。(昔はこの特急、「スーパーカムイ」って名前で、妙にワクワクした)

旭川駅に着いたら、日産レンタカーで借りて移動する。二日間借りて、コミコミ6600円。

次男との初めての2人旅でもある。
ホテルの部屋で寝かせたら夜の街には行けないけど、いい経験になりそう。人と会う時におりこうにしていたら、JR北海道の789系(特急「カムイ」か「ライラック」)のプラレールでも進呈しようかしら。

北海道に、少しでもいいイメージを持ってもらうための姑息な先行投資である!

進まない土地選び。もう「地取り」しかない

6月18日、旭川の不動産屋さんに久々に電話をかけた。ゲストハウス予定地として、稚内につづく線路に面した350㎡の土地の所有者と交渉してほしい旨を伝えて、ちょうど2週間たったので。

なかなか土地が決まらない。モヤモヤ、ドキマギする状態はけっこう続いているわけで・・・

法務局に行けば登記事項はすぐ確認できるので、そこから所有者のお名前とだいたいの住所が分かった。けど、実際にその住所をたどってみても、当事者らしき人には行き当たらなかったということ。所有者は女性なので、美容室なんかも当たろうとしていただいたみたいだけど、現時点で見当がつかないとのこと。これは仕方ない。どこまでもお金にならない仕事をお願いするわけにもいかない。

空き家問題が全国的に言われて随分たつ気がするけど、土地にしてもおんなじで、所有者が亡くなったり、相続されても登記されていなかったり、転居してそのままになっていたりと、持ち主が不明なケースはごまんとある。すごい勢いで進めば、大げさでなく国土の荒廃にもつながるので、国もうまく処理・活用できる法整備?かを進めているみたい。逆立ちしても活用できない土地が増えていくんだから、よく考えたら大変な問題。「もったいない」どころじゃない。こんな身近なところで、自分ごととして立ちはだかるとは!

どうしたものかと、地元新聞社の友人や地元の情報通の方を通じて、司法書士(兼土地家屋調査士)の先生に聞いてみた。すると、「昔はできたけど、いまは個人情報をそこまで辿れない。境界で争いがあるとか特殊な事情がない限り、土地を買いたいだけでは調べることは職権でできない。法的にはどうしようもない」とのこと。

げ!

もう、ひさびさに雷に打たれたような感じで、けっこうなショックを受けてしまった。土地ってこんな難しいのね・・・。いろいろあるとは思ってたけど。土地は5月に決める腹づもりだったけど、もうリミットの6月末が迫ってきてるんだなー。変に焦ったり妥協したりはダメなんだけど。

ということで、この週末に現地に行くことにした。なぜか次男を連れて。

事件とかの取材で、現場や関係者の周辺をあたるとき、一軒一軒お家とかをピンポンして、お話を地道に集めていく取材を「地取り」と呼んでます。この土日、まさに旭川で地取りをして、予定地のご近所さんに所有者の行方を聞いたり、登記上の住所の周辺を探ったりしてみようと思う。これ以上、静岡で事件が起きませんように。。。

年内の移住にも暗雲が垂れ込め始めたなー

旭山動物園のなかまたち

Yahoo!ニュースに「ショボい」水族館になぜ行列ができるのか?っていう記事がドーンと載ってた。このところ、どうやって人を集めるのか、的な本や記事にすごく反応しちゃう。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180608-00000044-zdn_mkt-bus_all

取り上げているのは、愛知県蒲郡市の竹島水族館。愛知に住んでたころはよく聞いたし、行ってみたいと思いながら、そのまま。運営が大変で、最近いろんな工夫がされてるなんて全く知らなかったなー。浜松から近いのに。

読んでびっくり。旭山動物園のブログでも書いた、旭山動物園の工夫や再生物語と、まんま一緒!!

  • 公立施設で来場者激減→一部の人から危機感を共有
  • 専門的な目でしか見られない飼育員さんたちの、改革への反発
  • お客さんを観察し、意見を吸い上げ、楽しませるという視点を獲得。手書きのPOPの活用
  • プロダクトアウト→マーケットインへの転換
  • 飼育員さんたちが自発的に動き出す  

 ライター大宮冬洋さんは記事の最後に、「環境が悪ければ悪いほど、『お客さんが求めることをなりふり構わずにやってみよう』と開き直ることもできる。起死回生の改革案や本当に顧客に喜ばれるアイデアはそこから生まれるのだ」と書いている。まさにそうなんだろうなぁ

佐藤尚之さんの名著「ファンベース」の考えにも通じるし、自分はまだまだターゲット層の絞り込みや、お客さんの求めること、ライフスタイル、ゲストハウスに来て得られることのブラッシュアップができてないなーと反省しきり。

住むなら駅の近くがいい

最近、浜松駅の近くの繁華街で飲んで、終電近くに帰ることが多くなってきた。自宅は浜松駅から東に一駅の天竜川駅前のマンションなので、電車で帰れると心地いい。

最終の電車を逃したらタクシーになり、2000円以上が普通にとんでいく。JRなら190円なのに。今のマンションの決め手となった一つは駅の近さ。ドアを開けて3分後の電車に乗れるし、家の窓から貨物列車が見れるし、妻子がベランダから手を振ってくれる恥ずかしさも楽しめる。

前任地の金沢でも、住んでいたアパートは金沢駅から2駅の野々市駅前。窓から北陸新幹線や、トワイライトエクスプレス、日本海といった今はなき寝台列車、サンバーダードとかの特急列車が見れて楽しかった。北陸本線は「特急街道」だったから、いろんな顔ぶれがあって最高でした。

近くに鉄道があるというのは立地を決める上でめちゃくちゃ重視していて、それは鉄道が好きなのもあるけど、レールがつながっている安心感というのが大きい。

雪とか事故とかでクルマで行きづらければ電車でいけばいいし、なにより飲みに行ける。タクシーに乗らなくていい。渋滞を心配しなくていいので待ち合わせがしやすい。

鉄道があるかどうかは、自分にとって死活問題だし、こどもにとってもいいことだらけ。クルマだけで移動していたら、完全なプライベート空間になって、そりゃ楽だけど、なんの刺激も発見もないんです。でも電車だと自由に体が動いて景色を見たがるし、騒いだらダメだと覚えるし、おばあちゃんとかおばちゃんが微笑ましく見守ってくれる。1駅乗るだけでも、いろんな人と話すことはざら。偏見だけど、その辺りの環境は山手線なんかよりいい。人が多ければいいってもんじゃないし。

北海道で土地を探すとき、旭川のお隣にある東川町というところも候補だった。旭川空港から10分とか15分とかで、北海道らしい田園風景もあるし、大雪山も拝める。ハイセンスな移住者がいまどんどん押し寄せてて、カフェや宿泊施設、雑貨屋、モンベルの入る道の駅とかなんでもござれ。実は通過したことしかないけど、めちゃ洒落てる。もう入り込む余地がないくらいすごい。しかも北海道で唯一、上水道がなくて大雪山の伏流水で全戸まかなってる!

東川町は三つの「道」がないと言われていて、ひとつがこの水道。次が国道。これはまあいいや。一番困るのは「鉄道」です。旭川の繁華街を知ろうにも、これじゃバスをうまく使わないと気軽に飲みにいけないし。農村や山だけじゃなくて、まちも気軽に楽しみたいよね、ってのが今の気分。

ゲストハウスは快速も停まる(といっても普通列車ふくめて10往復くらいしかないけど💦)永山駅から歩いて15分くらい。もう一つの最寄駅は、永山駅より一つ稚内側の北永山駅。田んぼの中に立っているような駅で、ホームの待合室からは大雪山が望めるし、冬は目の前でハクチョウがエサをついばんでる、幸せなところ。

ここなら幸せに暮らせそう

 

 

 

 

 

 

学生も大学もローカル資源

今朝の読売新聞一面(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180530-00050152-yom-soci)をみてびっくり。私大が公立化することによって志願倍率が上がり、全国的に経営改善ができている傾向があるんだと。

へー。そんなこと想像もしたことなかった。

公立大の運営費は行政経費とみなされるので、規模に応じて国から地方交付税交付金が充当される。だから授業料を抑えることができる、そして・・・というからくり。

ふむふむ確かにそうだよなー

これとは別に国立大でも動きは加速している。

5月29日には小樽商科、帯広畜産、北見工大が、2022年度の法人統合をめざすことで合意した。少子化が進むなか、運営費の削減が目的。名古屋大と岐阜大、浜松医科大学と静岡大など、各地ですでに検討がはじまっている。運営交付金を減らしてきた国が再編を促してるので、今後も増えるんだろうと思う。

という風に大学業界はいま、本当に忙しい。

まぁこれまでと同じ状態ではいられない、という意味ではどこの業界も同じなのかも。

冒頭の読売の記事では北海道内の動きとして、旭川大学が公立化を検討していることと、千歳科学技術大が2019年度に公立化される、とある。

千歳の例は知らなかったけど、ゲストハウスの予定地から歩いて5分かからない場所にある旭川大の件はずっと気になってるし、地元ではけっこう大きなテーマになっている(地元住民になったつもりで言うと)。

地元で経済・社会の担い手になるような若者を増やしたい旭川市、学生を確保したい大学側。この点では思惑は一致してるようで。

私学だからこそ思い切って自由にやれる利点もある気もするけど、大学が公立化を求めてるってことは、なかなか現状は厳しいんだろうなー。でも公立化となれば、税金を投じる大義と丁寧な説明も求められるはずだし。。。と漠然と勝手に思っていたけど、調べてみるとけっこう前から、市民(民間)レベルの動きもあったようで。

旭川は日本の「五大家具産地」に数えられるほど家具づくりが盛ん。業界には地域色を押し出したい、っていう考えがあったようで、ずっと「旭川に公立『ものづくり大学』の開設を目指す市民の会」が活動している。地元の名士の方々も名を連ねていて、けっこう影響力がありそうな気がする。

どうしても縮んでいく新聞業界と同じで、他の会社とお客さんを取り合うようなやり方はもう意味がないし、疲弊して息切れするだけ。ファンは育たない。だから「市民の会」が打ち出した明確な方向性はおもしろいと思った。

北海道新聞によると、5月18日には市と大学、市民の会による3者協議が始まり、「ものづくり系学部案」について意見を交わしている。6月には方針をまとめて、市長は任期の11月までに公立化するかどうかの判断をするらしい。

どうなるか楽しみで、ウオッチしてきたい。

その一方で、いま現にいる学生さん、大学に対して地域は何を求めてるやろ?と興味がわいた。旭川大学は地域連携でいろいろ面白いことをやっていらっしゃるイメージが強いけれど、地域から見たら、どんな風に映っているんだろう。

逆に学生さんは地域や大学に、何を求めているんやろう。旭川大がどんな範囲で学生を集めているのか、学生は何を求めてここを選んだのか、どんなブランドイメージなのか、まだまだ知らないことだらけ。

地域⇆学生・大学、お互いの求めていることはちゃんとマッチできてるのか知りたくなった。地域は学生・大学を活かしきれているのか。公立化となると、お金の問題だけじゃなくて、そんな点も問われる気がするもんで。

これまでの記者生活で、いくつかの大学で、地域との連携を模索している様子を見てきた。愛知淑徳大、愛知県立大学、愛知県立芸大、名古屋学院大、南山大、愛知産業大、金沢大、石川県立大、金沢工業大学、金沢美術工芸大、静岡文化芸術大、静岡大・・・。

いちばん強烈な印象が残っているのは、かつて金沢大の学生で、今は「学生×地域」の挑戦を後押しする「株式会社ガクトラボ」を経営する仁志出憲聖さん。まちなかの古民家を改装して学生たちが活動する拠点「金沢学生のまち市民交流館」のコーディネーターもされてる。学生時代からもう、とんでもない能力と人柄で、あらゆることとつながってるイメージだった。フォローしきれないくらいの活動の幅。仁志出さんたちの活動は間違いなく、金沢市や地域を動かしてきたし、金沢=学生のまち、のブランドをつくってきたと思う。

いま浜松市にいて取材する機会の多い、冒頭の読売記事にもでていた静岡文化芸術大学も、すごいなあと思うことが多々ある。本当によく学生さんや先生たちが地域に出て活動している。今年2月には、国内で初めて「フェアトレード大学」に認定された。このフェアトレードひとつとっても、いろんなレベルで、組織で、草の根的に動いている。学生団体は市と協働して駅前とかでカフェを開いたり。いつもそのバイタリティに圧倒される。

学生さんたちの力はすごい。でもそれだけではなくて、大学側も自分たちの役割を認識して、地域になにが求められるのかを探ってる気がする。

地域の中で自分たちの大学がどうあるべきか、公立大だからこそ深く考えられるんだろうなーと、勝手に思ってる。金沢大はこのエリアを引っ張っていく使命があるし、県立の静岡文芸大も、市との連携もうまくいっているように見える。

その上で、じゃあどんなリソースを使うのかというと、やっぱり学生の力を置いて他にないと思う。

学生はニュートラルな立場なので、利害関係がやっかいなオトナ同士だけでやるよりも、間に入ることでスムーズにいくことも多い。別に失敗したってご飯が食べられなくなるわけじゃないし。

「こんなことをしたい」と学生が熱くなって、きっかけやヒントを授ける先生がいて、それを地域の大人たちがどう活かして、地域の課題を解決しようとするか。戦略的に考えるといろいろできる気がする。というか、したい!  旧市街地でのコミュニティづくり、地元林業と家具産業の深いコラボレーションとか。それで地域が楽しく、豊かになっておカネとヒトが回っていくのなら、税金は無駄にならないはず!

学生も大学も、地域(ローカル)資源なのは間違いないと思う。