ついに目覚めた「白樺プロジェクト」 (動画つき)

旭川で6月にあったデザインウィーク(ADW)で、去年からお邪魔していた「白樺プロジェクト」がお披露目になった。一般に公開される初めてのタイミングで、東川町の「木と暮らしの工房」の鳥羽山さん、美瑛の樹凛工房の杉達さん、デザイナーの田中さんたちがもの凄いエネルギー量で間に合わせた。そのブースがこちら

会場になった旭川デザインセンターの、二階に通じる階段を上がって正面という好立地も手伝っただろうけど、その圧倒的な存在感に客波は絶えず。切り株やチェーンソーがどーんと中央にあって、だれもが「森とのつながり」を直感できる空間だわ。

思わず「かわいーー」と唸るスツールやベンチ、「白樺がこんなきれいだなんて」と見惚れるテーブルはもちろん、樹液の化粧品や飲み物、白樺で染めたフェルト作品などなど、いろんなタッチポイントがあるのもすごい。

最終日には最強のキコリがブースに立って、お客さんにダイレクトに説明していた。いい意味での異様な光景で素晴らしき哉。

ADWの期間終了後も、さっそく7月1日には幌加内町にある北大雨龍研究林で視察・採取したし、9日には旭川大学で今後の方針を話し合った。大きなイベントがあった後こそ、しっかりじっくり持続させることを考えることが大事!

uryu1

そして旭川公園としての白樺プロジェクトも、地味に進行中。清水さんに切りだしてもらった里山部産の白樺は乾燥・製材が終わり、岡山県西粟倉の「ようび」へ送られた。完成が待ち遠しすぎる!!!

目的の本がなくても、お出かけの目的になる本屋

妻のリクエストで、札幌にほど近い江別市にある蔦屋書店に行ってきた。蔦屋は東京の代官山以来だったけど、久々にガツんときてサイコーでした。

自分の中での目的は2つ。なぜ集客力があるのかを感じることと、北海道の蔦屋書店として、旭川ゆかりのものがどれだけあるかをみること。

江別はレンガや小麦がたくさん作られてきたことで有名なまち。(江別のレンガを周りに積んだ薪ストーブを下川町で見て初めて知った😅)。だから駐車場から建物の外観をみて、「江別らしいな」とすぐ認知できた。分かりやすいのって大事。

<知><食><暮らし>の三つの棟から成っていて、まずはスターバックス以外が本棚である<知>に入り、つぎに洒落た飲食テナントが入る<食>へ、アウトドアや子どもの遊び、雑貨をメーンにした<暮らし>へと進んでいった。

入った瞬間から、キョロキョロしっぱなし。圧倒的な刺激量。目を前後左右、そして上下に忙しく動かす。「自分の興味がある本がないわけはない」という気分になって、本を買いに来たわけじゃないのに、なんとなく歩き回って探してしまう。

憎いほどいいなと思ったのは、おそらくコンシェルジュさんが作ったであろう、本のジャンルごとのおススメ文。キャッチーな写真も添えてある。ポップとは違ってスマートすぎるけど、思わず読んじゃうクオリティ。かなり力入ってる。

そして当然のように、その近くにはそれに関連するグッズが置いてある。旅行ならその行先を、お弁当ならその中身を、どうしても想像してしまう。これはもう、体験価値を提供してるようなもんだ。

そしてそして、3棟のうち、1つに足を運べば、どうしたって他も見たくなる。

すると、「食」「旅」「キッチン雑貨」「器」「子育て」「アウトドア」「洋服」と、暮らしのあらゆる要素がつながってくる。否応なしに、自分はどんな暮らしがしたいかなってイメージする。ライフスタイルを提案されてるな、自分。完全にCCC(運営会社)の術中にはまっているな…と思いながらも、まぁ楽しいからしょうがないよね。

子ども本のコーナー。いいなぁ
どどーんと贅沢にマリメッコを紹介

本に囲まれたり、本を選んでいる時間を楽しませることに主眼を置いているんだろなーと、来る前は思っていたけれど、それだけじゃなかった。

スタバのスペースで観察していると、本を持ち込んで(清算前でも読める)ドリンクを楽しんでいる人は、半分もいなかった。この「蔦屋書店」という空間で仕事したり、自習したり、おしゃべりしたり、ネットサーフィンしたりといった体験に価値を見出してるんだろな。たぶん。

ところで、にわか「おにぎり研究家」の松本家としては、フードコーナーのおむすび屋さん「Hakodate Omusubi函太郎」で大人食いしないわけにはいかない。

鮭と山わさび、二番目に高価な「岩海苔と雪たらこ」(550円)、日替わり味噌汁をオーダー。

ごはんは、道南で生まれたという「ふっくりんこ」の特別栽培米。ほんのり甘く、ほんのり塩味がして、ふっくらして瑞々しく、バランスがある。わが家で試行錯誤しているお米に比べて、透き通った感じがするし、粒感は弱くても粒ごとの存在感は生きている。うーむ! 

炊き立てご飯の水分の逃がし方、握り方、ノリの巻き方もめちゃ参考になった。調理場が丸見えなので、じーっと観察してしまった(すみません)。

おにぎり屋さんの楽しさの一つは、家庭ではできない種類の多さ。価格の幅が大きすぎて、ついつい高級メニューも食べたくなるじゃん! お米や具、みそ汁まで全体で「道南」を感じさせる演出にも驚いた。

そうそう、旭川周辺ゆかりの作家さんや商品もたくさんあった! ▼大雪木工(東川)のチェア、▼アカエゾマツのアロマ「はぐりら」(旭川)、▼旭川公園ゲストハウスでも使う瀬戸晋さん(東旭川)の漆拭きの木食器、▼ロクロ挽きで薄い質感の「kamiシリーズ」が人気の木工メーカー「高橋工芸」(旭川)、▼日本茶ブランド「USAGIYA」(旭川)。けっこういっぱいあって、うれしかったな~。

ゴールデンウイーク最終日。子どもを保育所やデイサービスに預けている間のとんぼ返りの小旅行だったけど、お腹いっぱいになれて幸せでした。

星野リゾート・OMO7で「地元愛され」考

ニセウコロコロさんをチェックアウトした11日も引越しの家財が届いていない状態だったので、この日は「競合分析」とかこつけて、旭川駅から歩いて20分ほど、市役所横にある星野リゾートの「OMO7」に投宿。この日は地震後の落ち込みが影響いているのかどうか分からないけど、5000円前後で予約することができたのです。

設定上の客単価は1万円ほど。変動はまぁまぁあるけど、ほかの星野ブランドでやっている高級リゾート志向ではなく、新しい「都市型リゾート」を模索している。そのためのブランドとして「OMO」を旭川で初めて立ち上げ、東京・大塚の第2号につなげている。

もともとは、地元の一番の老舗のグランドホテルだった。地元の人からすると、それはすごい存在感で、誇りのようなものがあった。ただ、いろんな人に聞いても、OMO7になってからの評判はなかなか厳しいものがあって、愛され度が低いまま。売りにしている「OMOレンジャー」という、ディープな近隣の店を紹介するアクティビティは低調と聞くし、かつてグランドホテルを愛用していた常連には、他の地元資本の古参に移っているという。

自分に置き換えて考えてみても、外からやってきて根を張るって難しい。今年4月にオープンしたばかり。OMO7も試行錯誤している段階だろうし、いろんな批判を承知の上で踏ん張っているんだろうと思う。そしてどうすれば自然と愛される存在になるのか、他山の石としよう!

前置きが長すぎたけど、館内インプレッションを。

まずエントランス。重厚感ある外観からボリュームある設えまで、風格あるホテルといった感じで好き。10月中旬だったのでハロウィン仕様に。ウエルカムドリンクは壁に据え置かれたサーバーから飲むしそジュース。これいい!

お部屋は、4ベッド。肝に据えてるコンセプトルームじゃないから何とも言えないところがあるけど、どんな雰囲気を出したいのか分からない内装とフロアだった。グランドホテルの時代から使われている寝巻きもあった・・・。ここまでお金が回らなかったのかしら。

夕食は安定の「田舎料理 田子兵衛」へ。ここのホテル、繁華街までちょっと距離があるので子ども連れだと20分ほど。

戻ってきてからはバーで妻と長男の誕生日祝い。関西から手伝いに来てくれた妹が手配した、いわゆるサプライズ。体調良くなかったのでスパークリングを飲んだらうたた寝してしまった。。。

寝かしつけは、妻と妹に押し付け、今夜締め切りの道庁主催のビジネスコンテストの資料作りがあるので、ラウンジで作業。「ブックトンネル」と名付けられたコーナーで北海道や旭川、アイヌ、アウトドアに関連する雑誌や本に囲まれた空間。気持ちいい。

帰り際、売店の向かいに「OMOレンジャー」が案内しそうな名物スポットの一覧が紹介されていた。旭川大の監修でつくったショップリストも置かれていて、楽しい。このパブリックスペースは、ふらっと観光客が来ても有意義(宿泊者じゃないと入りにくいかもしれないけど・・・)だと思った。

これは分かりやすいし、まちなかのコンシェルジュとして機能できれば最高!

一夜明けて朝ごはん。「焼きたてワッフルが楽しめる朝食ビュッフェ」としてウリにしていて、一般は大人2500円、7〜11歳は2000円という値段設定。

インスタ映えを意識しているのはよく分かる

グランドホテル時代から使っているとみられる、食器類

 

ホームページを見たら、「北海道ならではの」とか「ご当地素材」と書いてあるけど、実際の会場には産地や生産者の表示はいっさいなく、誰がどこでつくったものなのか、まったく分からない。そして動線が定まっておらず、お互いにプレートを持ったお客さんが、何度もぶつかりそうになっていた。まず、どこに何が置かれているのか、どういう順番で選んでいけばいいのか、途方に暮れてしまうレイアウト。

スイーツ好きの人にとっては、インスタ映えするものがいっぱい置いてあるから楽しさはあると思う。でも自分のように甘いものを好まず、その地域を感じながら何度も噛みたくなるような朝食を望む層にとっては、強気の値段もあってなかなかに厳しいと思う。新聞でも、地元客の声として「朝食が高すぎる」という声が紹介されているし、自分もそう思う。

いろいろ勉強になった!

 

「神戸」は強すぎる

帰省で神戸に来ました。

あっ、「神戸」と書いたけど、実家があるのは兵庫県の西宮市。神戸と大阪のちょうど中間にあるところ。西宮といえば、「甲子園があるところ」と言えば分かってもらえるけど、知らない人ももちろんいる。

なので大学生のころなんか、勉強会(人によってはコンパというらしい)とかで「神戸出身」と名乗ってた。「買い物は神戸でしてた」、とか、「よく神戸でご飯食べてた」とか。アホらしいけど、まぁウソではないし。

効果があったかどうかはともかく、それくらい「神戸」には力がある。武器にしている事業者もいっぱいいる。

なんでこんなに神戸ブランドがあるのかは、いろんな分析が言われるけど、まずはロケーションでしょう。山があって、海がある。しかも横浜と違って、その間の免責が狭いから、一日あれば両方楽しめる。ハイブリッドないいとこどり。 山に登って海を見る、海を目の前に山を望む。高校生のころまでこれは日常だったけど、この豊かさはすごいもんだと思ってた。

山なら、ハーブ園があるし少し足を伸ばせば乳製品で有名な六甲山もある。海ならもう説明不要なくらい、きれいに整えられた神戸港がある。失礼ながら、名古屋港や大阪港とは全然イメージが違う。

今まさにハーバーランドのスターバックス(本意ではないけど)におりまして。たくさん船が行き交い、マルシェみたいなものがあり、ランドマークとしてのポートタワーがあって、みんな記念写真を撮ってる。水辺空間というコンテンツの強さに思いを馳せる。子どもたちを母や妹に預け、アンパンマンミュージアムで遊ばせて楽をしているので、よけいに気持ちがいい!

実際に外国人が多いけど、その歴史がベースになった異国情緒が自然に漂っているのも、まちのブランドを形成するのに大きなポイント。

「神戸」と聞いて、説明不要なくらい多くの人がいだくイメージがあるから、「神戸」と名の付いた商品には競争力がでてくる。

北海道でいえば、「富良野」とか「小樽」、もしくは「十勝」、あるいは「知床」かなと。「札幌」は微妙だけど、まあ当てはまるかな。

じゃあ、旭川はどうだろうかと考えた時に、まだまだイメージが沸かない。旭川はよく知らなくても旭山動物園は知ってる人は多いくらい。(移住先としてはよく知られてる)。富良野や美瑛に行くために、宿が取れなくてある程度便利だから選ばれている要素が強いと思う。

旭山動物園以外に、強力なコンテンツが必要という声は地元でも根強いらしい。でもそれだけで「神戸的なまち」になれるわけじゃない。なる必要もないかもしれないけど。ただ旭川ってどんな所?と聞かれてすぐイメージできるような存在になれば、通過型のまちから脱却できるかも(?)。

まちの玄関が駅だとすると、現状は、木の香りがする素敵な旭川駅を出た瞬間に、イオンが飛び込んでくる。ホテルが立ち並ぶ中心部は、他の都市と代わり映えしない。そして歩く人が多くない。目に見える「旭川らしさ」が駅で完結していて、もったいない。大きい市だから動きにくい点はあるけど、これどうすんだろ。引っ越したら、なんかおもしろいこと考えたい。

旭川の動物園が全国発信する、マジメないのちの話。

◆「旭山」を全国区にした飼育員さん

水を得たホッキョクグマがフサフサの白い毛をゆするように泳ぎ、ペンギンが氷の上をスタスタ歩き、アザラシがクルクルと狭い円形水槽を動き回る。そんな映像が全国のお茶の間に流れて、旭川市の旭山動物園は一躍、全国区になった。

旭川に興味なくても、旭山動物園に入ってみたい、って人は多いだろうし、ゴールデンウィークも旭川駅から動物園に行くバスの乗り場はすごい列ができてた。宿の人も、まず間違いなく「動物園みにきたの?」と聞いてくる。

一時は閉園がささやかれながら、徹底したお客さま目線に切り替え、つねにチャレンジする集団を育てたのが、前園長の小菅正夫(こすげ・まさお)さん。

わざわざ浜松に来られ、22日に地元信金の「浜松を元気にするセミナー」で講演された。本はたくさん書いていらっしゃる。生で拝見したのは初めて。

日本最北の小さな動物園。動物の種類で比べたら上野動物園の4分の1しかいない。50年ほど前の開園時の人口は30万人ほどだったとか。それでも日本一になり、来場300万人を成し遂げた。めちゃくちゃすごい方です。旭川の至宝!!

◆危機感からチャレンジの集団に

開園してしばらくは順調に客足はのびたものの、遊園地が全国に増えて家族連れがでかける選択肢が増え、数字が減ってきた。市の幹部も、廃園を匂わすようになってきて、小菅さんはすぐさま動いた。

飼育係として目の前の動物ばかり見てきたけれど、あまりの危機感から、お客さんがなにをみて、どうしたいのかを考えるようになったらしい。

「このまま同じことをしてたら、絶対になくなる。すべてがチャレンジ。考えてやるんではなくて、考えながらやる集団になっていた」と振り返ってらした。

で、どういう風にして考えを深めたのか。

◆原点回帰・・・どんな動物園にしたいのか?

動物園の歴史は3000年あるそうで、近代動物園からの役割を整理。

教育、自然保護、研究に加えてあるのが、「娯楽」だった。

娯楽といってもパチンコじゃないし、これを小菅さんは人間性回復=レクリエーションと場、ってとらえ直し、動物と一緒にいることに幸せを感じる人じゃないと野生動物を守れない、だからそういう人を増やしていかないといけない、と。だから野生動物の魅力を伝えて、野生動物の味方をつくる、と。だから、一番大きな目標は、「俺たちが野生動物を守り、地球を救うのだ!」というのにたどり着いたんだって。

それを意識して口に出す。「継続するやる気は、壮大な使命感から」

壮大だと終わりがない。だから続く。深い。

理論なくして社会は認知しない。理論なくして活動する信念は生まれない。でも理論だけでは人は動かない」。めちゃくちゃ刺さる!

◆理念を実現すべくうまれた「行動展示」

来園者アンケートで、問題点を把握。動物が動かない、人間が見てるだけ、っていうところに不満があったと分かったので、見せていく。魅力がわかるように見てもらおう。ここから有名な「行動展示」の発想がうまれた。

アムールヒョウは狩りをするところを見せた。「姿、形ではない。暮らしを見せるぞ!」って小菅さんは考えたらしい。カバが水中でジャンプし、ペンギンは水中のトレーに乗せたエサをついばむなんていう、みんなが驚く動きも発見できた。まだまだニンゲンは、動物のことを知らない。

「条例に違反する」と市当局が反対した、冬の朝の開園は「やってみなきゃわからん」と続けて数字を伸ばした。日中とは全然違う動物の行動と表情がみれて、大人気に。マイナス数十度でも関係ないんです

◆こんな管理職って理想

行動力と発想はすごすぎるけど、マネジメント力もすごい。

1人のリーダーが声をあげても組織は動かないので、全員がそれぞれ得意なことで、できることをする、と意識改革をされた。動物園を「メディア」として、一人一人が自分の考え方・発想で発信することを重視したそう。

結論をだすための会議のルールがあるそうな。①提案されて、反対する人は必ず意見を言う。沈黙=賛成。一番よくないのは、後になって失敗しそうになって「だから言ったろ」って言うこと ②多数決には従う

◆まだまだやれそう

行動展示は訪日客にも人気で、現園長は「これからは、海外の人に日本や北海道の動物を紹介する役割も重要。海外からの来園者はヒグマなど北海道の動物をよく見ている」「海外も意識し、こまめに情報発信していくことも大切。周辺地域を組み合わせた体験型観光も企画してみたい」と朝日新聞のインタビューに答えてる。

ゲストハウスの予定地から旭山動物園までは、わずか7km。

どの宿泊施設も動物園を意識してるので、あえて深く見てなかったけど、いろいろできそうな気がしてきた。ただ見て楽しい、ではなくて、動物園が本当に目指してるのはなんなのか、その「コト」を伝えられるようにしたいなー。

暮らしを見せれば喜んでくれる、っていうのは人間だけじゃないんだなー。ゲストハウスに来たら、動物の「普段着の暮らし」もわかる、って言えるくらい勉強しよ。

動物にとっての暮らしは、いのちそのもの。動物園って、深い

そもそもこの日の講演会、当直明けに職場から解放されてドンピシャの時間にスタート。まさに自分のためにあるようなもので、一方的に運命を感じてる。

髭剃ってスーツに着替えていったけど、名刺交換すらできなったのが残念すぎる。北海道でまたお会いしたい

ゲストハウスのはじめかた

「ブランドのはじめかた~5つのケースでわかった経営とデザインの幸せな関係」(日経BP社)を読んだ。ブランド論の本は十年ぶりくらい。

筆者は、中川政七商店の中川淳さんと、エイトブランディングデザイナー代表でブランディングデザイナーの西澤明洋さん。

事例研究は、クラフトビールの地位を築いた「COEDO」、nana’s green tea、HASAMI(波佐見焼)、中川政七商店。

なぜ今、ブランドづくりやブランディングが必要なのか。

とくに中小企業(と書いてあったけど、実際は「小規模事業者」のが近いか)の関係者に参考になるようにまとめられてると思う。

 nana~は創業者の強烈な個性を知れて勉強になったし、HASAMIは瀬戸支局に勤務してたころ、長崎の波佐見焼産地まで行って思い入れがあったので楽しく読めた。

でも全体としては、読後感は今ひとつ。

大きな理由は3つ。

▼鼎談形式のところはともかく、筆者が誰なのか分かりにくい

▼2人の筆者が携わった成功事例をいくつか並べ事業内容を紹介しているが、その分▼量が多すぎて、全体として、手前味噌な感じ、楽屋話感が伝わってくる

その上で、こんご参考にしたいことをメモメモ

◆誤ってコンセプトが言語化されていない段階でいきなりデザインに落としこもうとしても、だめ(28ページ)

◆伝えるべきことをきちんと整理してしっかり伝える、ブランディングはそこに尽きますよね(29ページ)

◆社内にいるとわからなくなってしまうもの。だからこそ自分たちの本当の強みを見いだす段階で、外部の人にはいてもらうことが大切(3ページ)

◆ブランドにはチェーン展開に耐えうる明確なアイデンティティが必要(44ページ)

◆自分の子供のように無条件に事業を愛せるか(50ページ)

◆社長の仕事は、新しい価値を生み出すこと(52ページ)

◆敵がいないことが一番ですね(56ページ)

◆本人がやりたいことを素直に引き出すのがブランディングの基本(77ページ)

◆デザイナーが入る前段階、つまり「何のためにどんなブランドをつくるべきか」をきちんと考えること(82ページ)

◆「ブランディング」=「差別化」は「フォーカス」から生まれる(138ページ)

◆ブランディングデザイナーとして、「何をデザインすべきか」という問題もクライアントと一緒に決めていく責任がある(146ページ)

◆(理想とするブランドづくりのプロセス=)リサーチ→プラン→コンセプト→デザイン(147ページ)

◆差別化されたモノをつくるためにはお客様が発する声よりも半歩先にいっている必要がある(149ページ)

◆ブランドはあくまでお客様の頭の中にできるのであり、お客様の頭に届けるにはデザインの力が欠かせない(150ページ)

◆「コードの発見」=「〇〇らしさ」というものをつくっているデザイン的な表現の要素の構造を把握すること(151ページ)

◆「〝やりたいこと〟と〝できること〟を整理し上で〝差別化のポイント〟を見極める」(154ページ)

◆核になる考え方を明確にするため〝言葉として結晶化させてしまう〟 具体的に言うと1センテンス、たった1つの文にまで集約させます。その一言が、開発の方向性を示す軸、つまりはブランドコンセプト。外部にそのコンセプトを説明する際には、言葉不足になる場合もあるので、かみくだいた形で説明した、300~500文字程度のブランドステイトメントを用意するようにします(158ページ)

◆コンセプトを体現しないものは一切おこなってはいけない、という縛り。良かれと思って後から〝あれもこれも付け加えよう〟とでてくるのが常だからです。つくり手の性といってもいい(159ページ)

◆コンセプトからデザインまでのつながりは理詰めだけでは発見できない。クリエイティ・ジャンプと呼ばれる一種の飛躍が必要。最終的にはいくら考えを言葉で表したとしても、その言葉で売れるわけではなく、商品になったときのデザインであったり、キャッチコピーであったり、ネーミングであったりといった感性的な部分がイメージの直接の要因になります(164ページ)

◆ブランドは生き物。「連続性がある」とはつまり、ストーリーとしてその変化を語ることができるとも言い換えられます。人と同じです。私はこういう経験を通して、こういう変化をしてきたのだと。そのストーリー性が納得と共感を生む(196ページ)

◆ポジションを拡大しすぎない。ブランドとしての力がつけばつくほど、商品の幅を広げたくなるものです=「ライン拡大の失敗」(196ページ)

旭川のゲストハウスは、いったいなんなのか、何を目指すのか、何をしたいのか。どう生きたいのか。

を1センテンスで。ここめっちゃ大切なのでとりあえず寝よう

なんでここに朝市が?

浜松市の東区に、労災病院っていうのがあって、そのすぐ裏で、毎月第三日曜に、「蒲御厨」(かばのみくりや)おかげ朝市」ってのがありまして。

妻が好きで、たぶんこれまで10回くらいは来てる。お気に入りのパンとかお菓子、飲み物、オーガニックの食品が並んで、ピースフルな雰囲気。いつも、 何も考えないでちょっと離れた神社の参拝者用の駐車場に車をおいて、買い物にきていたわけであります。

今日はめずらしく自分もイスに座ってパンを頬張ってまったりしていて、初めてこの朝市のリーフレットを手にとってみたのであります。

そしたらそこには、

「開催地は、先年の昔、広く蒲御厨とよばれ、伊勢神宮の台所でありました」「『おかげさま』みえないモノを 私たちは カゲとよんでいました。昔々のもっと昔。古代の風から 新しい風の流れを共に育む朝市です」

と書いてあった。 え!伊勢神宮の台所?  「おかげ」ってそういう意味だったのー?

めちゃ衝撃的。全然しらんかった、めちゃおもしろいやん、と。中日新聞の記事でも神明宮の由来をかいたのがあったけど、こんなことに繋がってるとは全く想定してなかった。

しかも開催日は、「季節を祝う月次(つきなみ)祭」ということで、地球暦に基づいて意味があるみたい。なんかよく分からないけど、とにかくお伊勢さんと絡みがありそう。

「駐車する場合は必ず参拝をお願いします」とも書いてあった。どおりで、やたら蒲神明宮と結びついてるなーと思ってたけど、そんな深い意味があったとは。近くて、大きな駐車場があるから借りてるだけだと思ってた自分がはずかしい…

なんでこんな所でやってるんやろー、と思ったことはあったけど、ちゃんと調べなかった。知ってたらもっと真剣に買い物してた気がするわけでして

知らないのはもったいない。背景やストーリーを伝えていくのが大事よって、いろんな所で言われてるけど、それを身をもって感じることになった日曜日。これも祀神の蒲ノ大神さまの御利益なんだろうなー

旭川のゲストハウスはおかしなストーリーだらけだけど、ちゃんと伝わるように編集せねばー

ところで、おかげ朝市に出されてた、鳥取県は智頭町の「タルマーリー」のパンはめちゃうまかった。自家製のビール酵母をつかってる。発酵とかパンの世界ではめちゃ有名で、お店のカードには「発酵と地域内循環」と書いてあった。ローカルでの循環。自分のなかでの大テーマでもあるので、あらためてメモメモ。

お買い上げした自然栽培の雪下ニンジンは、ミコト屋というところで扱ってるらしい。こちらもメモ。