学び多き2021年、遊び多き2022年へ

今年もあとわずか。紅白を見ることもなく、ゲストさんとの時間をビールと日本酒で楽しんでいます。幸せ。

2020年に引き続いてのコロナ下での営業となりました。開業は2018年9月なので、いまだかつて、「普通」というものが分かりません。平年値、と言ったほうが正しいでしょうか。だいたい、年間を通してこのくらい、というのを経験していません。

それでも、やっぱり7月や8月は忙しいし、12月や1月は落ち着いています。どれだけ人が動いても、3室6名様しか受け入れられないキャパなので、お1人 お1人 とじっくり時間を過ごせるというのは変わらず、幸せなことだと、あらためてかみしめています。

閑散期に入った10月、近くの有名な施設への取材を兼ねて滞在された方がいらっしゃいました。たまたま、そこの責任者と管理人が知り合いだったので、ご紹介して、一緒にお話をしたら、ご縁がつながって一緒に仕事をすることになりました。その知らせを先日、このゲストから伺いました。

12月には、ご自身が登壇されるオンラインイベントの仕事で、チェックアウト時間(朝10時を過ぎて5時間半も滞在された方がいらっしゃいました。「仕事するのには快適すぎて、ずっといたい」とおっしゃいました。暮らすように滞在しつつ、無音の静けさが、このゲストにとって無上の価値だったようです。

そのあと、連泊された方は「居心地がよくて、ドアを開けた瞬間に『自然』を感じました」と言っておられました。大自然が目の前に広がっているわけでも、高級ホテルのような設備やしつらえがあるわけでもありません。それでも「居心地がいい」と思っていただけるのは、ひとえに“空気”なんだろうと思います。そしてその空気は、この地域と空間だからこそ、成しえるわざ。ほかにはない、自然体で、独自のものになっていると思います。

泊まるだけ、泊まって終わりではなく、関係が続いていく。なんでもなさそうな中に、何かを感じ取る。日常に戻っても、旭川やそこで体験したことが、体の一部に余韻となって残る。そんな新しいカタチをつくりたくて、宿をやっています。ゲストにとっても、ホストにとっても、忘れられない出会いを生んでこそ、旅の醍醐味なんだろうと思っています。

そんな素敵な出会いを、今年もいっぱい味わうことができました。幸せ。(前坂精肉店の閉店という悲い出来事は想定外でしたが・・・)

ゲストハウス業だけではなく、ライターとしての仕事も急ピッチで充実した1年でした。よりいっそう、ゲストハウスを楽しめる土壌づくりができたと思います。

2022年も、そうした出会いを一つずつ、積み重ねていこう。みんなにとって幸せなだと思える瞬間を少しでも生んでいこう。そう思える1年でした。コロナがあったからこそ、その丁寧な営みのありがたさを感じられたのかも。

2022年も、どうぞよろしくお願いいたします。

ジンギスカンの「灯」に不安を覚える理由

このところ、地域で長年親しまれてきた、ジンギスカンが手に入るお肉屋さんが、次々と姿を消している。これまでは、「跡継ぎがいないと大変だなぁ」くらいにしか思っていなかったけれど、こと前坂精肉店が閉店すると聞いて、ただならぬ危機感を覚えるようになった。

ゲストハウスにお泊りになったお客さんや、地域の知り合い、友達・・・。いろんな人に提供したり、一緒に鍋や焼き台を囲んできた。なくてはならない存在が、前坂さんのラム肉だった。あって当たり前、みんな、これを食べて育ってきたというような存在。なくなってしまうなんて、その知らせを耳にして1か月以上がたった今でも、信じられない。

わが家の小学1年生の次男は、「(大変だったら)ほかの人がやればいいんじゃない? そうすれば長くできるでしょ」と簡単に言ってくれる。人手の問題や、設備・機械のこと、体力や商いの環境などなど、閉店する理由はとっても複雑なので、簡単にああだこうだは言えない。

けれど、子どもの考えるようなシンプルな考えこそ、一番響くし、立ち返るべき思いだったりする。それが具体化することをどこかで期待しながら、まだまだ受け止められないでいる。

本当に困ってしまった。。。

居ても立っても居られなくなり、2021年最後の北海道新聞「朝の食卓」で書きました。